恥骨骨折の治療と後遺障害|慰謝料相場と仕事復帰までにかかる期間

更新:2026年02月26日 公開:2026年02月26日
基礎知識
恥骨骨折の治療と後遺障害|慰謝料相場と仕事復帰までにかかる期間
交通事故で恥骨骨折した場合、強い痛みだけでなく、仕事への復帰や後遺症・慰謝料などさまざまな不安が湧いてくるものです。恥骨は骨盤の前面にある骨で、交通事故の強い衝撃で骨折してしまうケースがあります。

適切な慰謝料を受け取るためには、請求できる項目や算定基準の違い、慰謝料相場など正しい知識をもつことが重要です。

本コラムでは、恥骨骨折の治療期間や後遺障害認定、そして適正な慰謝料の請求方法などについて、ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士が解説します。

1、交通事故による恥骨骨折の診断・治療|治療終了までの道のり

交通事故で恥骨骨折が生じた際は、適切な治療と安静を守ることが重要です。骨盤は身体の中心に位置するため、骨盤の一部である恥骨を骨折すると、想像以上に日常生活に影響を与える可能性があります。

以下では、恥骨骨折の基礎知識から治療の流れ・重症化のリスクなどを確認していきましょう。

  1. (1)恥骨骨折とは

    恥骨骨折とは、骨盤を構成する骨のひとつである「恥骨」の骨折です。転落やスポーツ中の接触などのほか、交通事故で骨盤に強い衝撃を受けることで生じる可能性があります。

    恥骨は左右で2本あり、中央で恥骨結合という関節により結合しています。この部位を骨折すると、歩くときや立ち上がるときなどに強い痛みを感じ、日常生活が大きく制限されるため注意が必要です。

    また、恥骨骨折はレントゲン検査だけでは骨折の状況がはっきりわからない場合もあるため、必要に応じて精密検査を受けましょう

  2. (2)恥骨骨折の治療と仕事復帰までかかる期間

    恥骨骨折の治療は、骨のズレが大きいかどうか、複数箇所の骨折を伴うかどうかなどによって異なります。基本的には保存療法(安静・薬物・装具)で治療しますが、重症の場合は手術が必要となるケースもあります。

    治療期間の目安は、以下のとおりです。

    治療段階 期間の目安
    ベッド上の安静 0~2週間
    歩行できるまでの期間 2週間~6週間程度
    リハビリ期間 6か月程度
    完治・仕事復帰までの期間 2か月~6か月程度

    仕事復帰までの期間は、職種によって以下のように異なります。

    職種 仕事復帰までの目安期間
    事務職 1か月~3か月程度
    肉体労働 3か月~6か月以上

    事務職であれば比較的早い段階で復帰できますが、肉体労働の場合は完全復帰までに長い期間を要するケースが多いでしょう。

    ただし、恥骨骨折の治癒には個人差があり、状況によって治療期間が変動する可能性があります。無理をして復帰してしまうと後遺障害が生じるリスクもあるため、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。

  3. (3)事故による恥骨骨折は重症化しやすい|骨盤脆弱性骨折との違い

    交通事故による恥骨骨折は、一時的に強い衝撃を受けたことによる外傷性の骨折です。そのため、ほかの骨盤部位との合併骨折や内臓損傷を伴うケースもあり、重症化しやすい傾向があります。

    一方で、「骨盤脆弱性骨折」とは、高齢者などが転倒して尻もちをつくなどの軽微な外傷によって生じる骨折です。骨粗しょう症によって、恥骨を含む骨盤周囲の骨がもろくなっていることで発生します。

    交通事故が原因の骨折は、軽症のように思えても後遺症につながるリスクがあるため、正確な診断と長期的な経過観察が必要です。

2、恥骨骨折で認定されうる後遺障害等級は?

恥骨骨折によって痛みや身体機能の低下が長期間残った場合、「後遺障害等級」が認定される可能性があります。1級~14級までのいずれかの等級が認定されると、加害者側に対して慰謝料や逸失利益などの賠償を請求できるようになります

以下では、恥骨骨折で認定されうる後遺障害等級と申請時の注意点について具体的に見ていきましょう。

  1. (1)2つの軸で等級が決まる|変形障害(12級)と神経症状(12級・14級)

    そもそも後遺障害等級は、「自動車損害賠償保障法施行令」別表第二に定められた基準に基づいて認定されます。

    恥骨骨折の後遺障害等級は、主に「変形障害」と「神経症状」の2つを軸に判断されます。

    等級 後遺障害 認定基準
    12級5号 骨盤骨に著しい変形を残すもの(変形障害) 裸体で明らかに変形がわかる程度(変形障害)
    12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの(神経症状) 画像所見(レントゲン・MRI・CT)で証明可能な神経症状
    14級9号 局部に神経症状を残すもの(神経症状) 画像所見では証明困難だが医学的に説明可能な神経症状

    恥骨骨折後に骨盤が癒合する過程で明らかな変形やズレが残った場合、12級5号が認定される可能性があります。「著しい変形」とは、衣服を脱いだ状態(裸体)で明らかに変形がわかる程度の状態です。

    一方で、恥骨骨折の影響で慢性的な痛みやしびれなどの神経症状が残ってしまうケースもあります。神経症状が画像所見(レントゲン・MRI・CT)で証明可能な場合は12級13号、証明が困難な場合は14級9号と認定される可能性があります。

    なお、恥骨骨折が股関節付近に及んでいたり、他の骨盤骨折(坐骨骨折など)を併発していたりする場合、股関節の可動域が制限される「機能障害」が残ることがあります。この場合、8級や10級、12級といった高い等級の後遺障害認定がなされる可能性があります。

  2. (2)後遺障害等級申請を行う際の注意点

    後遺障害等級の認定は、痛みや不調があるだけでは認められない点に注意が必要です。事故直後の検査結果や医師の診断などによっては、認定結果が大きく変わる可能性があります。

    申請を行ううえで特に重要となるのは、次の3点です。

    • 事故直後からの継続的な通院と記録
    • MRIやCTなどの画像検査での異常所見
    • 医師による正確な診断書と後遺障害診断書の記載内容

    後遺障害等級申請を行う際は、早期の段階から後遺障害を見据えた対応が不可欠です。認定の見込みや申請方法に不安がある場合は、早めに弁護士に相談しましょう

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3、恥骨骨折の慰謝料相場と適正な賠償を請求する方法

交通事故で恥骨骨折の被害に遭った場合、治療費などのほかにも精神的苦痛に対する慰謝料の請求が可能です。以下では、請求できる慰謝料の項目や計算方法・実際の裁判事例を解説していきます。

  1. (1)交通事故の慰謝料として請求できる項目

    交通事故の被害に遭った場合は、その程度に応じて以下の3つの慰謝料を請求できます。

    慰謝料の種類 内容
    入通院慰謝料 入通院中の精神的苦痛に対する補償
    後遺障害慰謝料 後遺障害が認定された場合の精神的苦痛に対する補償
    死亡慰謝料 交通事故で死亡した場合の精神的苦痛に対する補償

    恥骨骨折の場合、骨盤の変形や慢性痛が残ると後遺障害慰謝料を請求できる可能性があります。後遺症が残らなかったとしても、治療期間などに応じた入通院慰謝料の請求が可能です。

  2. (2)計算方法は3種ある|算定基準による違いと比較

    慰謝料の計算方法には、自賠責保険基準・任意保険基準・裁判所基準(弁護士基準)の3つの算定基準があります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

    慰謝料の算定基準 特徴
    自賠責保険基準 国が定めた最低限の補償基準
    任意保険基準 保険会社が独自に定めた基準(非公表)
    裁判所基準(弁護士基準) 過去の裁判例に基づく基準

    一般的に慰謝料の金額は、自賠責保険基準がもっとも低く、裁判所基準がもっとも高い傾向にあります。たとえば、後遺障害等級12級の後遺障害慰謝料の目安は、自賠責保険基準で94万円、裁判所基準で290万円です。

    恥骨骨折で認定されうる後遺障害等級における慰謝料の比較をまとめました。

    後遺障害等級 自賠責保険基準 裁判所基準(弁護士基準)
    11級(併合) 136万円 420万円
    12級 94万円 290万円
    14級 32万円 110万円

    このように、自賠責保険基準と裁判所基準では、受け取れる可能性がある慰謝料額に大きな差があります。適正な慰謝料を受け取るには、弁護士を通じて裁判所基準で請求することが重要となります

  3. (3)【実際の事例】恥骨骨折の慰謝料が裁判所基準額で解決

    実際に、恥骨骨折による後遺障害が認定され、裁判所基準での適正な賠償が認められたベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの解決事例を紹介します。

    被害者は交通事故により恥骨・坐骨を骨折し、左右の股関節に可動域制限が残りました。弁護士が後遺障害診断書を精査し、参考可動域角度と比較して大きな制限があることを根拠に主張した結果、後遺障害等級として併合11級が認定されています。

    当初、保険会社は裁判所基準よりも大幅に低い金額を提示していたものの、弁護士が粘り強く交渉を重ねました。最終的には、裁判所基準額での示談解決にいたっています。

    本解決事例の詳細は以下をご確認ください。

4、適切な等級認定と慰謝料請求は弁護士へ依頼すべき理由

交通事故による恥骨骨折で適切な後遺障害等級の申請や慰謝料請求を行うためには、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼する具体的なメリットは、以下のとおりです。

  1. (1)保険会社との対応は弁護士に任せ治療に専念できる

    弁護士に依頼すれば、保険会社とのやりとりはすべて弁護士が代行できます。

    交通事故に遭った際、一般的に示談交渉の相手は加害者が加入している任意保険会社の担当者となります。しかし、被害者自身で交渉を進めるとなると、精神的に大きな負担となりがちです。

    弁護士に依頼することで、書類作成や示談交渉を一任できるため、被害者は安心して治療と回復に専念できるでしょう。

  2. (2)後遺障害等級認定サポートを受けられる

    後遺障害等級認定は、適切な手続きを踏まないと、実際の症状よりも低く評価されてしまうおそれがあります。

    申請では、医師の診断書や画像検査・通院履歴などの書類が必要ですが、どのようにそろえるべきかわからないケースも多いでしょう。

    弁護士が診断書作成や申請書類作成をサポートすることで、負担を軽減でき、正当な後遺障害等級が認定される可能性も高まります。

  3. (3)裁判所基準(弁護士基準)による請求を行える

    保険会社が提示する賠償金額は任意保険基準で算定されており、裁判所基準(弁護士基準)より慰謝料が低くなる傾向があります。

    弁護士に依頼すれば、裁判例に基づいた裁判所基準での請求が可能です。これにより、慰謝料の増額が期待できます。

    同じ骨盤骨折でも算定基準によって大きな差が生じるため、適正な賠償を受けたい方は弁護士への依頼を検討してみてください。

  4. (4)弁護士費用特約があれば弁護士費用は実質ゼロ円になる

    加入している保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば、実質自己負担ゼロ円で弁護士に依頼できる可能性があります

    弁護士費用特約とは、弁護士への相談料や依頼費用を保険金として補償してくれる特約です。保険会社によって異なる場合もありますが、相談料は10万円まで、弁護士費用は300万円まで補償されるのが一般的です。

    交通事故問題であれば多くの場合自己負担なしで依頼できるため、一度特約の付帯状況を確認することをおすすめします。

5、まとめ

恥骨骨折は、交通事故による外傷の中でも生活や仕事に大きな支障をきたす可能性のある怪我のひとつです。治療に数か月を要するケースが多く、骨の変形や痛みが残った場合は後遺障害等級の認定も視野に入ります。

適正な慰謝料や賠償を受け取るためには、治療中の記録や的確な後遺障害申請、保険会社との交渉が欠かせません。しかし、これらをすべて被害者自身で行うのは困難なため、弁護士のサポートを得ることが望ましいです。

適切な補償を受けるためにも、ぜひベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士にご相談ください

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この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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