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交通事故で配偶者が死亡した場合、逸失利益はどうなる?

公開日:2021年11月9日 慰謝料・損害賠償
交通事故で家族が亡くなってしまった場合、残された家族は悲しみと今後の不安に直面します。さらに、未成年の子どもがいる夫婦で、配偶者を失ったとき、残された方の経済的な不安はとてつもなく大きいでしょう。

家族を交通事故で失った場合、遺族は、精神的な苦痛に対する慰謝料に加えて、逸失利益を加害者に請求することができます。

本記事では、遺族が請求できる逸失利益の意味や、受け取ることのできる相場などを解説します。

1、逸失利益とは

  1. (1)逸失利益とは

    逸失利益とは、本来得られるはずだったにもかかわらず、交通事故にあったがために得られなくなった将来の収入のことをいいます。逸失利益には2種類あります。

    ひとつは、事故後、命に別条はないものの後遺障害が残ってしまったときに請求できる「後遺障害逸失利益」です。
    一般に、後遺障害の程度が重いほど、その後の就労制限が見込まれるため、逸失利益は高くなります。

    もうひとつは、事故により被害者が死亡した場合に請求できる「死亡逸失利益」です。交通事故により被害者が死亡した場合、当然ながら、その後の収入がすべて失われてしまいます。この失われてしまった将来の収入分を、加害者に請求していくこととなります。

  2. (2)逸失利益が認められる条件

    これまで見てきたとおり、逸失利益は、事故がなければ受け取れたであろう将来の収入分を補填するものです。どのような場合に認められるのかについて、以下で解説いたします。

    ① 逸失利益が認められるケース
    たとえば、会社員として給料をもらっている人や、自営業として自分で稼いで収入を得ている人などは、事故によってその収入を得ることができなくなったものとして、逸失利益を請求できます。

    また、事故当時に収入がなくとも、将来収入を得たであろうと考えられる人も逸失利益を請求できます。たとえば、学生や子どもは今後成長して自立し、働いて収入を得ていくことが予想されるので、逸失利益の請求が認められています。

    さらに、専業主婦・主夫の家事についても、家事労働として、経済的価値が認められています。裁判所も、専業主婦・主夫が亡くなった場合の死亡逸失利益を認めています。
    なお、無職者の場合でも、勤労意欲や労働能力があって、将来仕事に就く見込みが十分にあるということがきちんと立証できれば、逸失利益が認められる可能性はあります。

    ② 逸失利益が認められないケース
    無職者のうち、就労意欲や就労能力のないと判断された人や、90歳を超えているなど、今後働いて収入を得るとは考えにくい高齢者については、逸失利益の請求が認められない可能性があります。

  3. (3)死亡逸失利益の計算方法

    死亡逸失利益は、次の数式によって計算します。

    基礎収入額 ×(1-生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数


    ① 基礎収入とは
    「基礎収入」とは、逸失利益を算定するときに基礎とする収入額です。原則としては、事故前の被害者の収入額をベースとします。

    ② 生活費控除率
    「生活費控除率」とは、基礎収入から、被害者自身の将来の生活費相当分を差し引く割合のことです。

    仮に被害者が生きていれば、将来にわたって食費などの生活費がかかったはずですが、被害者が亡くなった以上、それらの出費が無くなります。

    そこで、遺族が受け取るべきこととなる逸失利益の算定に当たっては、将来の収入分から、実際にはかかるはずだった生活費分を控除するべきであるという考えから、生活費控除率を考慮した計算が採用されているのです。

    ③ 就労可能年数
    「就労可能年数」とは、生きていれば就労できたはずの年数のことです。人によって定年や就労の実態は異なりますが、交通事故実務では、原則として67歳まで就労するものとして計算します。

    ④ ライプニッツ係数
    「ライプニッツ係数」とは、中間利息というものを差し引くための係数です。被害者(遺族)は、逸失利益として、事故にあわなければ被害者が生涯にわたって少しずつ受け取っていたはずの金銭を一括で受け取ることとなります。一括で金銭が手元に入ると、その後、そこに対して利息が永続的に発生することになります。

    このように、逸失利益を一括で受け取ることによって見込まれるその後の利息のことを中間利息といいます。被害者であっても、その後の中間利息分まで受けとる理由はないため、このことを考慮して計算するために使用される係数をライプニッツ係数といいます。

  4. (4)基礎収入の具体的な算出方法

    上記の4つのうち、基礎収入だけは被害者の職業や属性によって計算方法がかなり異なっています。それぞれ確認しておきましょう。

    ① 給与所得者(会社員など)
    会社員などの給与所得者の逸失利益は、事故前年の年収額を基礎収入として計算します。事故前年の年収には、賞与や各種手当などすべてを含めて計算します。勤務先が発行する源泉徴収票や給与明細書を用意しましょう。

    なお、例外として、被害者の事故前年の年収が賃金センサスの平均賃金額よりも低い場合で、かつ平均賃金が得られる蓋然性が認められる場合には、実年収ではなく、平均賃金を採用します。一時的に収入が低くとも、仕事を続けていくうちに収入が増えて平均賃金程度に達する可能性が十分あるためです。特に30歳未満の場合は、年齢とともに今後収入が増えていく段階ですから、賃金センサスを利用して計算するのが一般的です。

    ② 自営業者
    自営業者についても、原則として事故前年の年収額を基礎収入としますが、確定申告書がベースとなるのが一般的です。なお、自営業者の場合は、年によって収入にばらつきがあるかもしれません。この場合は、事故前3年程度の収入状況を平均して算出することもあり得ます。
    そのため、事故の前年だけたまたま売上が低いような場合には、それより以前の収入を証明することで基礎収入を上げる主張をすることも考えられます。

    ③ 専業主婦・主夫
    専業主婦・主夫の場合は、賃金センサスの全女性労働者の平均賃金を基礎収入として計算します。主夫(男性)であっても、女性労働者の平均賃金を基礎とすることとなるのが一般的です。

    兼業主婦・主夫は、パートで得られる収入額と賃金センサスを比較して、高いほうを基礎収入とします。

    ④ 18歳未満の未就労者・学生など
    事故発生当時に18歳未満の未就労者であった場合、一般的には、賃金センサスの男女別の全年齢平均賃金を確認し、基礎収入を計算します。子どもや学生の場合は、この方式を採用することが多いでしょう。

    ⑤ 無職者
    事故当時無職だった方は、現実の収入が存在しないことから、逸失利益を認めさせることは難しくなります。もっとも、労働能力および労働意欲があり、働く可能性が十分にあると認定されれば、無職者でも逸失利益が認められる可能性があります。この場合、原則として失業前の収入か賃金センサスの全年齢平均賃金を基礎収入として計算します。

    ⑥ 年金受給者の場合
    年金受給者の基礎収入は、年金支給額をもとに算定します。年金は死亡したら受け取ることができませんが、それまで年金保険料を払ってきた実績が評価されて、遺族が逸失利益を受け取れるのです。

2、逸失利益以外に請求できるもの

被害者が事故で亡くなった場合、逸失利益以外にも以下のような費目の損害も請求可能となります。

① 治療費
病院に運び込まれて治療が行われた場合は、亡くなるまでの間の治療費が発生します。この治療費も加害者に請求することができます。原則として、治療や手当のために必要な医療費はすべて請求できます。

② 慰謝料
死亡した被害者本人の慰謝料に加えて、大切な家族を失った遺族固有の精神的苦痛についても慰謝料を請求することができます。
なお、交通事故の損害賠償には3つの基準があり、どの基準を採用するかによって賠償額が大きく異なります。
自賠責保険基準<保険会社基準<弁護士(裁判所)基準の順に得られる賠償額が高くなりますので、まずは弁護士にご相談されることをおすすめします。

③ 葬儀費用
被害者が死亡して葬儀を執り行った場合、通常必要な範囲内の費用も事故による損害として加害者に請求できます。なお、通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用も葬儀費用に含まれます。

3、死亡逸失利益を加害者に請求する流れ

  1. (1)示談交渉

    四十九日が過ぎるまでは、葬儀などのことだけで精いっぱいなのが通常でしょう。そのため、加害者側保険会社も遺族に配慮し、四十九日が過ぎたころから、賠償の話を提案してくるケースが一般的です。

    遺族としては、落ち着かない日々が続くかもしれませんが、今後の生活のことも踏まえて、具体的な賠償額を計算しながら交渉をはじめる必要があるのも事実です。しかし、死亡事故の損害を計算するためには、たくさんの資料とともに法的な知識が必要となり、遺族には過大な負担となってしまうことでしょう。

    そのため、積極的に弁護士に相談するなどして、保険会社のペース飲まれないようにしましょう。示談交渉の段階で賠償額に納得がいけば、示談を成立させることになります。示談が成立すると、保険会社から賠償金が支払われます。

  2. (2)訴訟

    保険会社と交渉しても、納得のいく示談金額が提示されない場合もあります。特に、死亡事故の場合は、賠償額が多額になるため、保険会社が支払いを渋り、低い基準額で計算してくることも多く見受けられます

    しかし、しっかりと責任を追及するためには、低い賠償額で甘んじるべきではありません。金額的に折り合いがつかない場合は、訴訟により、適切な賠償金の請求をすることになります。

4、交通事故の交渉を弁護士に依頼したほうが良い理由

  1. (1)精神的な負担が軽減される

    交通事故に関する交渉は、たとえ軽微な事故であっても大変に骨の折れるものです。交通事故で家族を失った遺族の中には、事故そのものよりも、保険会社と交渉することのストレスが大きかったと話す人も少なくありません。

    大切な家族を失った悲しみと不安の中でも、遺族は仕事や家事などの生活を続けていかなければなりません。さらに、子どもがいる場合は、事故後の子どもの精神的なケアも重要です。
    相手方保険会社との交渉を弁護士に依頼すれば、計算から交渉、訴訟に渡るまで任せることができるため、事故後の精神的負担を軽減することができます。

  2. (2)適切な賠償を求めることができる

    交通事故の損害賠償額は、一律に決まっているわけではありません。

    弁護士に依頼すれば、ご本人の事情に合わせて、有利となる計算方法を採用し、また有利な資料を提出することもでき、適切な賠償の実現に向けて動くことができます。

    さらに、弁護士を依頼するメリットの一つとして、弁護士(裁判所)基準と呼ばれる、高い慰謝料の基準額を採用できる点も挙げられます。そのため、弁護士に依頼すると高い金額の基準で保険会社と交渉できるようになり、結果として遺族が受け取れる損害賠償額を増額できる可能性が高くなります

5、まとめ

交通事故で被害者の方が亡くなった場合、適切な補償を受けることは遺族の今後の生活を考えても非常に大切です。しかし、大事な家族が亡くなった直後に、保険会社との交渉を進めるのは心身ともに負担のかかることです。さらに、弁護士がついていない遺族に対しては、相手方保険会社から本来支払うべき金額よりも低い金額が提示されるのが通常です。

ベリーベスト法律事務所では、交通事故事件の解決実績豊富な弁護士が、多数在籍しています。
大切なご家族を失ったご遺族の代理人として、ご遺族の精神的な負担を軽減しつつ、適正な賠償がなされるよう、尽力します。是非一度、ご相談ください。

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