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追突事故の過失割合の決まり方|被害者なのに過失があると言われたら

更新日:2024年1月25日 慰謝料・損害賠償 示談交渉
追突事故など、交通事故の被害に遭ってしまった場合には、加害者の加入する任意保険会社との間で、慰謝料等の支払いをもとめて示談交渉を行う必要があります。

突然交通事故に遭い、示談交渉をしなければいけないといわれても、どうしたらいいのかわからない、という方が大半でしょう。自分の加入している保険会社に頼んで、代わりに交渉をしてもらいたいと考えるかもしれません。

ところが、自分に全く過失がなく、完全な被害者である場合には、加入している保険会社に交渉を断られてしまう場合があります。

この記事では、なぜ保険会社に示談交渉を断られてしまうのか、断られてしまった場合にどのように対処すれば良いのかなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

01
過失割合とは?

交通事故の被害を加害者側に賠償してもらうにあたっては、「過失割合」が重要なポイントになります。過失割合とはどういうものかについて、基本的な知識を押さえておきましょう。

(1)過失割合は当事者間の責任分担の割合

過失割合とは、交通事故の当事者同士の間で、「どちらにどのくらいの責任があるか」を表す割合をいいます。

たとえば、歩道を歩行していたのに突然車が車道から突っ込んできたケースや、青信号に従い車を走らせていたのに、赤信号を無視した車が飛び出してきて衝突したケースなど、過失割合が100対0という場合もあります。

一方で、被害者側が加害者の合図を見落としていたり、被害者側が急ブレーキをかけたりしたケースでは、加害者が100%悪いとも言い切れません。
その場合には80対20、70対30など、加害者と被害者の両方に過失が認められることになります。

(2)「過失相殺」により損害賠償の金額に影響する

過失割合は、民法上は「過失相殺」という形で、損害賠償の金額にダイレクトに影響します。

【民法 第722条 第2項】
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

たとえば被害者の受けた損害額が100万円、加害者対被害者の過失割合が80対20だったとします。この場合、被害者は加害者に対して、実際の損害額の80%に相当する80万円の賠償しか請求できません。
つまり、過失割合は損害賠償の金額を決定する上で非常に重要な要素であり、示談交渉の中でも問題になりやすいポイントといえます。

(3)過失割合は保険会社との示談交渉の中で決まる

過失割合は、警察が決めると思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、警察が過失割合を決めることはなく、加害者側の任意保険会社と示談交渉をする際には、過失割合についても交渉の中で決定することになります。

加害者側の任意保険会社は、独自に過失割合を算定した上で被害者側に一方的に提示してくることもありますので、被害者はそれを鵜呑みにする必要はありません
加害者側の任意保険会社が提示する過失割合に納得ができない場合には、被害者側の考えを交渉の中できちんと伝えるようにしましょう。

(4)過失割合の算定基準は?

実務上、過失割合の算定にあたっては、道路交通法の規定や裁判例を参考として、事故のパターンごとに過失割合をまとめた算定基準が用いられています。
算定基準としてもっともポピュラーなのは、『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]』別冊判例タイムズ38号(東京地裁民事交通訴訟研究会編)です。保険会社、弁護士、裁判所など、交通事故実務に関わる人たちが必ず用いている基準です。

示談交渉の中でも、基本的には上記基準を用いて過失割合を決定することになります。しかし、どの事故のパターンに該当するかについては、加害者と被害者の間で主張が食い違う可能性があります。
その場合には、交渉の中で落としどころを探る必要があるでしょう。

02
追突事故の被害者であれば過失割合はゼロ?

追突事故といえば、被害者が気の毒な交通事故の代表例でしょう。
突然追突されたのですから、当然被害者の過失割合はゼロとなるようにも思われますが、実際のところはどうなのでしょうか。

(1)追突事故の被害者は過失割合ゼロになるケースが多い

追突事故の場合、やはり基本的には被害者に責任がないとされるケースが多いといえます。

特に、信号待ちをしているところに追突されたケースなどは、被害者にとっては完全なる災難です。こうしたケースでは、被害者の過失割合はゼロになる可能性が高いでしょう。

(2)被害者に過失割合が認められるケースもある

しかし、追突事故であればすべて被害者の過失割合がゼロになるかといえば、そうとは限りません。

たとえば被害者が急ブレーキを踏んだ場合には、通常の追突の場合と比べて、加害者が前方車両との追突を回避することは困難になります。
また、夜間で前方を走る被害者車両のブレーキランプ(制動灯)が点灯していなかった場合には、後方を走る加害者が被害者の停止を認識できるまでに時間がかかってしまいますので、やはり追突を回避することは難しくなります。
さらに、被害者が幹線道路の走行車線で停止していたような場合には、加害者にとっては車の流れに逆らって停止している車が存在することを予期しにくい状況があったといえるでしょう。

このようなケースでは、被害者側にも過失が認められる可能性が高いといえます。

03
過失割合ゼロの場合の注意点は?

被害者の過失割合がゼロの場合、被害者は加害者に対して、被った損害全額の賠償を請求することができます。
ただし、この場合でも、損害の金額(通院慰謝料、死亡慰謝料など)をめぐって加害者側の任意保険会社との間で示談交渉を行う必要はあります

被害者に過失がない場合の示談交渉にあたっての注意点を押さえておきましょう。

(1)被害者側の保険会社が示談交渉に参加できない

被害者の過失割合がゼロの場合、弁護士法の規制との関係上、被害者側の保険会社に示談交渉を任せることはできません。

【弁護士法 第72条】
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

被害者にも過失があるケースでは、被害者の過失分に相当する損害賠償金を、被害者側の任意保険会社が負担する必要があります。この場合、被害者側の任意保険会社としても、示談交渉について利害関係を持っているので、その交渉に参加することが可能です。

しかし、被害者に過失が全くないケースでは、被害者側の任意保険会社が保険金を支払う必要はありません。
つまり、被害者側の任意保険会社にとっては、示談交渉に対して利害関係がありません。
利害関係がないにもかかわらず、被害者のために示談交渉を代行することは、弁護士法第72条で禁止される「非弁護士の法律事務の取扱い等」に該当するおそれがあります。

そのため、被害者に過失がないケースでは、被害者側の任意保険会社に示談交渉を代行してもらうことができないのです。

(2)弁護士に交渉を依頼することがおすすめ

とはいえ、交通事故の示談交渉に不慣れな被害者の方としては、専門家に交渉を代行してもらうことが望ましいといえます。
その場合、弁護士に交渉を依頼することをおすすめします

弁護士に交通事故の示談交渉を依頼するメリットについては、次の項目で解説します。

04
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリット

交通事故の示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士は、被害者に過失がないケースでも、加害者側の任意保険会社との交渉を代行することができます。また、後遺障害等級認定の申請手続きを被害者の代わりに行うこともできるので、被害者の方の手間が大きく軽減されるでしょう。

さらに、慰謝料の金額決定にあたっては、弁護士を伴って交渉する場合とそうでない場合とでは、加害者側の任意保険会社が提示する金額に大きな開きがあることが知られています。いわゆる「弁護士基準」と「任意保険基準」、「自賠責基準」の違いです。

このように、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すると、さまざまなメリットを得ることができます。

05
弁護士への依頼時に活用したい「弁護士費用特約」

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する場合には、被害者が加入している任意保険(自動車保険)の「弁護士費用特約」を利用すれば、最大300万円まで弁護士費用が補償されます。

弁護士費用特約とは、交通事故の当事者となってしまった加入者が弁護士に示談交渉などを依頼する場合、依頼費用を保険金から支払ってもらうことができる特約です。

弁護士費用特約は、自動車保険に加入する際や、契約期間の途中で付けることができます。
弁護士への依頼を検討する場合には、まずはご自分の自動車保険に弁護士費用特約が付いているかどうか確認しましょう。

06
まとめ

追突事故の過失割合は、被害者側が必ず責任がないとされるわけではありません。状況によっては、あなたが被害者だとお考えであっても過失があるとされるケースがあることを知っておきましょう。

なお、被害者の過失割合がゼロとされたケースでは、被害者側の任意保険会社のサポートを受けることはできません。そのため、加害者側の任意保険会社との示談交渉を、弁護士に依頼して法的なサポートを受けることをおすすめします。

交通事故の被害に遭ってしまい、示談交渉などでお困りの方は、ぜひベリーベスト法律事務所にご相談ください。交通事故専門チームの弁護士が、適切な慰謝料を受け取れるよう全力でサポートします。

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