バイクと車の事故|過失割合の考え方と弁護士に依頼すべき理由

更新:2024年08月20日 公開:2024年08月20日
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バイクと車の事故|過失割合の考え方と弁護士に依頼すべき理由
バイクと車の事故が発生した場合、どちらに責任が多いかの「過失割合」において揉めるケースがあります。

たとえば、同幅員の信号機のない交差点で双方が減速せずに直進していた場合(車右方車・バイク左方車)の事故では「車:バイク=70:30」となりますが(ただしその他の条件によって異なることがあります)、バイクが右折し車が直進していた場合の事故では、バイクの過失が大きくなるケースもあります。

バイクと車とでは、車体の大きさが異なるため、車の方が大きい過失を問われる割合が多いと思われる方もいるかもしれませんが、ケース・バイ・ケースですので、しっかりと理解しておくことが大切です。

今回は、バイクと車の事故における過失割合の考え方と弁護士に依頼すべき理由について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、バイクと自動車の事故における過失割合の考え方

以下では、バイクと自動車の事故における基本的な過失割合の考え方を説明します(以下の過失割合は、下記2記載のとおり、事故状況により変わることがあり、絶対的なものではありません)。

  1. (1)双方が直進していたときの事故

    ① 信号機のある交差点における出合い頭事故(バイク青信号・車赤信号)
    信号機のある交差点において、バイクが青信号に従って交差点に進入したところ、赤色信号で交差点に進入した車と出合い頭事故が発生した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=0:100

    ② 信号機のない交差点における出合い頭事故(同幅員の交差点)
    一時停止規制や優先道路ではない同じ道路幅の交差点において、バイク(左方車)と車(右方車)との出合い頭事故が発生した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=30:70

    同幅員の交差点では、左方優先の原則が適用されますので、左方車の方が過失割合が低くなります。

  2. (2)バイクが直進し、車が右折していたときの事故

    ① 信号機のある交差点での右直事故(双方青信号)
    信号機のある交差点において、直進バイクと右折車との間で衝突事故が発生した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=15:85

    交差点で右折する際には、交差点を直進する車両の進行を妨害してはならないとされていますので、右折車両の過失割合が高くなります。

    ② 信号機のない交差点での右直事故
    信号機のない交差点において、直進バイクと右折車との間で衝突事故が発生した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=15:85
  3. (3)バイクが右折し、車が直進していたときの事故

    ① 信号機のある交差点での右直事故(双方青信号)
    信号機のある交差点において、右折バイクと直進車との間で衝突事故が発生した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=70:30

    ② 信号機のない交差点での右直事故
    信号機のない交差点において、右折バイクと直進車との間で衝突事故が発生した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=70:30
  4. (4)交差点における巻き込み事故

    ① 直進バイクと先行左折車との事故
    交差点において先行する左折車に後方から直進してきたバイクが巻き込まれて衝突した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=20:80

    このような事故態様では、車に左寄り不十分などの過失があることから、車側は80%程度の過失相殺をされることになります。

    ② 先行左折バイクと直進車との事故
    交差点において先行する左折バイクに後方から直進してきた車が衝突した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=60:40

    このような事故態様では、バイク側に大回り左折などの左折方法違反があるのが通常であるため、バイクと車の優位性の差を考慮しても60%程度の過失相殺がされることになります。

  5. (5)追突事故

    追突事故の場合、基本的には、被追突車には過失はなく、追突車の一方的な過失により発生した事故といえます。そのため、追突車と被追突車との基本的な過失割合は、以下のようになります。

    追突車:被追突車=100:0

    なお、被追突車が急ブレーキをしたことにより追突事故が発生した場合には、以下のとおり、被追突車にも一定の過失が発生します。

    ① 車が急ブレーキをかけた場合
    被追突車である車が理由のない急ブレーキをかけたために、後方からきたバイクが追突した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=60:40

    後続の追突車にも一定の車間距離を開けるべきと考えられているため、被追突車が理由なく急ブレーキをかけた場合であっても、追突車にも過失が生じます。

    なお、嫌がらせ等のために故意に被追突車が急ブレーキかけた場合は、別途、追突車の過失の有無について慎重に検討する必要があります

    ② バイクが急ブレーキをかけた場合
    被追突車であるバイクが理由のない急ブレーキをかけたために、後方からきた車が追突した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=20:80
  6. (6)進路変更により起きた事故

    ① 先行車の進路変更により後続直進バイクと衝突した事故
    あらかじめ前方にいた車が進路変更をしたことにより、後ろから直進してきたバイクと衝突した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=20:80

    ② 先行バイクの進路変更により後続直進車と衝突した事故
    あらかじめ前方にいたバイクが進路変更をしたことにより、後ろから直進してきた車と衝突した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=60:40
  7. (7)渋滞中の車両を抜けようとして起きた事故

    渋滞車両のわずかな間を抜けようと右折してきた車と渋滞をすり抜けて直進するバイクが衝突した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=30:70

    このような場合でも直進車優先の原則が働きますので、直進バイクの過失割合が低くなります。

  8. (8)急にドアが開けられたことによる事故

    停車中の車がドアを開けて、車の左側または右側を走行しようとしたバイクがドアに接触する事故が発生した場合の基本的な過失割合は、以下のようになります。

    バイク:車=10:90
  9. (9)高速道路上の事故

    高速道路上の事故では、一般道路上での事故とは過失割合の考え方が異なるケースがあります。

    ① 合流地点における事故
    高速道路の本線に入ろうとする車両は、本線を走行する車両の進行を妨害してはならないとされています。そのため、基本的には本線に合流しようとする車両の過失割合が高くなります。

    車が合流車、バイクが本線車である場合の過失割合
    バイク:車=20:80

    バイクが合流車、車が本線車である場合の過失割合
    バイク:車=60:40


    ② 進路変更に伴う事故
    高速道路上で、走行車線から追い越し車線に車線変更をする際には、追い越し車線を走行する車両の進行を妨害してはならないとされています。そのため、基本的には、走行車線から追い越し車線に車線変更をする車両の過失割合が高くなります。

    車が進路変更車で、バイクが後続直進車である場合の過失割合
    バイク:車=10:90

    バイクが進路変更車で、車が後続直進車である場合の過失割合
    バイク:車=70:30


    ③ 追突事故
    高速道路上では、原則として駐停車は禁止されていますので、駐停車車両に何らかの落ち度を認めるべき事情、例えば、整備不良によるガス欠・エンジントラブル、事故に過失のある先行事故などにより駐停車していた場合には、駐停車していた先行車両にも一定の過失割合が生じることになります。

    車が駐停車しており、バイクが追突した場合の過失割合
    バイク:車=50:50

    バイクが駐停車しており、車が追突した場合の過失割合
    バイク:車=30:70

    駐停車車両の路肩等への退避や停止表示器材の設置の事情は、駐停車車両の過失を下方修正する事情になります。

2、バイク対車の事故において過失割合が変わりうる要素

バイク対車の事故の基本的な過失割合は前述のとおりですが、事故現場の要素によっては、基本的な過失割合が修正される可能性があります。

  1. (1)事故現場の見通し

    信号機の設置されていない交差点においては、左右の見通しがきかないことを前提として基本の過失割合が定められています。

    そのため、事故現場が同幅員で見通しのきく交差点である場合には、左方車の存在を認識するのが容易であるため、左方優先の原則を適用しやすい場合であるため、右方車の過失割合が加算されます。

  2. (2)道幅

    道路外出入車と直進車との事故では、幹線道路である場合に過失割合の修正が行われます。
    幹線道路とは、車歩道の区別があって、車道幅員がおおむね14メートル以上(片側2車線以上)で、車両が高速で走行し、通行量の多い国道や一部の都道府県道などを指します。このような幹線道路での事故が発生した場合には、道路外出入車の過失割合が加算されます。

  3. (3)減速や徐行の有無

    減速していることを想定して基本の過失割合が定められている場合、減速していないことは不利な修正要素になります。また、右左折車に徐行がなかった場合には、右左折車の過失割合が加算されます。

  4. (4)夜間

    夜間とは、日没時から日出時までの時間を指します。夜間は、視界が悪く、障害物の発見が遅れがちになりますので、駐停車車両に対するバイクの追突事故やドア開放事故において、バイクの過失割合が減算されます。

  5. (5)危険運転の有無

    わき見運転などの著しい前方不注視、著しいハンドル・ブレーキ操作不適切、携帯電話などの通話・画面注視、おおむね時速15キロメートル以上30キロメートル未満の速度違反、酒気帯び運転などの場合は「著しい過失」として、また酒酔い運転、無免許運転、居眠り運転、おおむね時速30キロメートル以上の速度違反などの場合は「重過失」として、当該違反者に過失割合が加算されます。

3、適切な過失割合となるためにすべきこと

適切な過失割合を認定するためには、以下のような対応が必要になります。

  1. (1)ドライブレコーダーなどを確認する

    過失割合は、事故現場の状況や事故態様などに基づいて基本の過失割合や修正要素が決められます。そのため、適切な過失割合を認定するためには、事故状況を把握することができる客観的な証拠が非常に重要になります。

    ドライブレコーダーを設置しているバイクは多くはありませんが、もし設置していた場合には、上書きなどで映像が消えないようにしっかりと保存しておくことが大切です。

  2. (2)目撃者や監視カメラなどの映像を探す

    ドライブレコーダーがなかったとしても、事故現場を目撃していた人の証言や事故現場周辺に設置されている監視カメラの映像なども過失割合を判断する際の証拠になります。
    事故から時間がたってしまうと目撃者を見つけるのが難しく、防犯カメラの映像も消去されてしまうおそれがありますので、早めに証拠を探すようにしましょう。

  3. (3)事故の状況をメモする

    事故状況や事故態様などは、事故から時間がたつと記憶が薄れていき、詳細に思い出すのも難しくなります。そのため、事故直後に詳しい事故状況をメモしておくことで、いつでも当時の状況を思い出すことができます。

  4. (4)事故現場を撮影する

    事故直後は、パニックに陥ってしまうことも多いため、難しいかもしれませんが、できる限り事故直後の事故現場の状況をスマホなどで撮影しておくことをおすすめします。
    当事者間で事故態様が食い違った場合には、事故直後の現場の状況を撮影した映像や画像が役に立つ可能性があるため、さまざまな角度から撮影を行っておくとよいでしょう。

  5. (5)加害者との会話を録音しておく

    事故直後の加害者との会話も過失割合を判断する際の証拠になります。事故直後に加害者が自己の過失(信号無視、一時停止の見落とし、速度超過など)を認めている場合には、会話を録音しておけば、後日過失を否定した場合でもそれを覆す証拠として利用することができます。

4、弁護士に対応を依頼すべき理由

交通事故の被害に遭った場合には、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

  1. (1)適切な過失割合を認定することができる

    交通事故の過失割合は、事故状況や事故態様に応じて類型化されています。しかし、類型化されていたとしても、どの類型に該当するか、修正要素に該当するかどうかで過失割合に関する争いが生じることがあります。

    適切な過失割合を認定するためには、客観的証拠の収集や適切な類型・修正要素の選択が重要になりますが、交通事故の被害者自身では、これらを適切に行うことは困難です。適切な過失割合を認定するためには、交通事故の解決実績がある弁護士のサポートが不可欠です。

  2. (2)保険会社との対応を任せることができる

    交通事故の示談交渉は、保険会社の担当者と被害者との間で行うことになります。しかし、保険会社の担当者と被害者との間には、交渉力や情報の面で差がありますので、自己に有利な条件で示談をまとめるのは難しいといえます。

    弁護士に依頼すれば、保険会社との対応をすべて任せることができますので、交渉による精神的負担を軽減できるだけでなく、有利な条件で示談できる可能性が高くなります

  3. (3)慰謝料が増額できる可能性がある

    慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準(「弁護士基準」ともいいます)の3つがあります。

    慰謝料が最も高額になる算定基準は、基本的には「裁判所基準」になりますが、裁判所基準を用いて示談交渉ができるのは弁護士に依頼した場合に限られます。少しでも慰謝料を増額したいという場合には、弁護士への依頼が不可欠となります。

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5、まとめ

バイクは、車と比べて車体が小さく、事故が起きたときにバランスを崩して被害が大きくなりやすいなどの特性があることから、車に比べて過失割合が小さくなっています。
しかし、事故状況によってはバイクの過失が問われる割合が大きくなるケースもあるため、適切な過失割合を選択することが重要になります。

ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チームでは、医療コーディネーターと連携し、示談交渉から後遺障害等級認定まで幅広くサポートする体制が整っています。バイク事故による過失割合でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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