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子どもが交通事故に遭った! 慰謝料請求や解決までの流れ

公開日:2023年9月6日 基礎知識 慰謝料・損害賠償
子どもが交通事故の被害に遭ってしまった場合、家族は大きなショックや苦しみを負います。何から対応すればよいかわからず不安な気持ちを抱いている方もいるでしょう。

しかし、子どものためにも、適切な慰謝料や治療費など、加害者への損害賠償はしっかりと求めていくことが大切です。また、後遺障害を負ってしまったら後遺障害等級認定の手続きも必要になります。こうした賠償金を取りこぼさないためにも、請求できる損害項目や手続きの流れを理解しておくことが重要です。

今回は、子どもが事故に遭った場合の解決までの流れや請求できる損害などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、子どもが交通事故に遭ったら|解決までの流れ

子どもが交通事故に遭った場合には、解決まで以下のような流れで進んでいきます。

  1. (1)病院での治療

    交通事故で怪我をした場合には、まず病院で検査・治療を受けるべきです。事故直後は、興奮状態にありあまり痛みなどを感じていなかったとしても、後々に強い症状が出てくるケースも少なくありません。仮に、忙しいなどの理由で、初回の通院が事故から数週間空いてしまうと、交通事故と生じている症状との因果関係が否定される可能性もあります。そのため、仮に症状が軽かったとしても、少なくとも初回の通院は事故直後に行うべきです。

  2. (2)完治または症状固定

    病院への通院は、怪我が完治または「症状固定」と診断されるまで続けます。症状固定とは、これ以上治療を継続しても症状の改善が見込めない状態をいいます。症状固定日までに発生した治療費等について、加害者へ賠償を求めることができます。
    もちろん、症状固定後も治療を続けることはできますが、基本的にはその日以降の治療費などの賠償を加害者に求めることはできません。そのため症状固定後は、原則として自費で通院することとなります。

  3. (3)後遺障害等級認定

    症状固定と診断され、その時点で何らかの障害が残っている場合は、後遺障害等級の認定手続きを行います。後遺障害等級認定の方法には、被害者側がすべての手続きを行う「被害者請求」と、加害者側の保険会社が手続きを行う「事前認定」という2種類の方法があります。

    「事前認定」を選択すれば、被害者にとっては面倒な書類作成などの手間を省くことができるというメリットがあります。しかし、保険会社が作成した書類を被害者がチェックすることは基本的にはできません。そのため、十分な資料が用意されているのかなどの確認ができないまま、審査の手続きが進むことになりかねません。

    他方で、「被害者請求」であれば、納得のいくまで証拠を集め、その証拠を添付したうえで申請をし、審査を受けることができます。後遺障害等級認定の審査は、基本的には損害料率算出機構の自賠責損害調査事務所が行います。自賠責損害調査事務所は、原則として書類審査しか行いませんので、適切な等級認定を受けるためには、書類上で、症状固定日に残存している症状を具体的に証明しなければなりません。どのような書類を集めた方がいいのか、それらの書類をどのように集めたらいいのかなど、不明な点は弁護士に相談するといいでしょう。

  4. (4)示談交渉

    怪我の完治、または症状固定後の後遺障害等級の認定手続きが終わった段階で、慰謝料などを含めた賠償金額が算定されます。

    慰謝料などの賠償金を決める基準は「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判所基準(弁護士基準)」の3種類あり、保険会社が採用する「任意保険基準」は、裁判所が採用する「裁判所基準(弁護士基準)」よりも低い金額であることがほとんどです。そして、多くの保険会社は、示談交渉段階では、弁護士に依頼をしなければ、「裁判所基準(弁護士基準)」での示談に応じてくれません。適切な賠償金を獲得するためにも、事故に遭った場合は弁護士に依頼することを検討すべきであると言えます。

  5. (5)裁判(示談不成立の場合)

    保険会社との交渉の結果、納得いく条件や金額にならなかった場合には、最終的に裁判所に訴訟提起を行います。裁判になれば裁判基準に基づいた賠償金の支払いを受けられる可能性が高くなりますが、解決までには時間と手間がかかるため、弁護士の適切なサポートを受けることが重要です。

2、事故後、相手に請求できるものは?

子どもが交通事故に遭った場合、加害者に対しては、以下のような損害を請求することができます。

  1. (1)治療費

    怪我の治療のためにかかった必要かつ相当な実費については、治療費として請求することができます。加害者が任意保険に加入している場合には、治療費の支払いが打ち切られるまでの間は、保険会社から病院に直接支払われるのが一般的です。
    治療費の支払いが打ち切られた後は、いったん立て替えのうえ自費で通院を継続するか、その時点で損害額を確定させて示談交渉に移るかを検討することとなります。
    上記のとおり、加害者に対しては、症状固定日までの治療費等の賠償を請求することができます。加害者側の保険会社が治療費の対応を打ち切ってきた日が、必ずしも症状固定日とは限りません。自費で症状固定日まで通院を継続し、症状固定日までに立て替えて支払った治療費を後で加害者へ請求することもできます。
    他方で、症状固定に至っているか否かは、様々な点を考慮して決定されます。医者が「未だ症状固定ではない」と言ったからといって、必ずしも症状固定ではないとは限りません。症状固定かどうかの判断に悩む場合は、一度弁護士に相談してみるといいでしょう。

  2. (2)通院交通費

    通院のために公共交通機関を利用した場合には、利用額が損害として認められます。通院のために自家用車を利用した場合には、一般的にガソリン代として1キロメートルあたり15円が損害として認められます。なお、タクシー代については、公共交通機関の利用が困難な場合など、タクシー利用の必要性がある場合に限って認められます。

  3. (3)付添費用

    被害者の入院や通院に家族の付き添いが必要になった場合には、付添費用が損害として認められる可能性があります。付添費用が認められるかどうかは、医師の指示の有無、怪我の程度、被害者の年齢などを考慮して判断することになりますが、被害者が幼児や子どもである場合には、付添費用が認められる可能性が高いでしょう。

  4. (4)慰謝料

    交通事故の被害に遭った場合に認められる慰謝料には、以下の4種類があります。

    ① 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
    入通院慰謝料とは、交通事故で怪我をしたことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。入通院慰謝料は、治療期間または治療実日数に応じて計算されます。

    ② 後遺障害慰謝料
    後遺障害慰謝料については、 下記で詳しく説明します。

    ③ 死亡慰謝料
    死亡慰謝料とは、交通事故で被害者が死亡したことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。死亡慰謝料は、家族の有無や家族内での立場に応じて金額が変わってきます。

    ④ 近親者慰謝料
    近親者慰謝料とは、親族等が死亡またはこれに比肩するほどの怪我を負ったことによって甚大な精神的苦痛を受けた者が、固有の損害として請求する慰謝料をいいます。子どもがそのような被害を受けた場合、そのご両親は近親者慰謝料を請求することができる可能性があります。

3、子どもに後遺障害が残った場合は?

交通事故によって子どもに後遺障害が残った場合には、以下のような損害を請求することができます。

  1. (1)逸失利益

    逸失利益とは、後遺障害が生じたことによって、将来得られるはずだった収入の減少分をいいます。後遺障害が生じると、障害の内容や程度によって、労働能力に制限が生じます。労働能力が制限されたことによって、将来の就職、昇給、昇進などに影響が生じる分の損害については、「逸失利益」としてその減収分を請求することができます。

    逸失利益は、以下のような計算式によって算定します。

    ① 基礎収入(事故前の年収)× ② 労働能力喪失率 × ③ 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数


    たとえば、10歳の男児が交通事故に遭い、後遺障害等級10級の障害を負ったとシミュレーションして、各項目をみていきましょう。

    ① 基礎収入
    被害者が子どもで未だ働き出していない場合は、「事故前の年収」というものは存在しません。しかし、子どもであっても将来働くことによって収入を得るはずだったといえますので、基本的には、男子の場合男性の、女子の場合男女計の学歴計全年齢平均賃金を基礎収入にして計算をします。学歴については、本人の事故時の学歴や事故後の学歴によって、学歴別(職業別)の平均賃金を用いることもあります。
    令和3年賃金センサス(学歴計)によると、男性の基礎収入は、546万4200円、女性(男女計)の基礎収入489万3100円となります。

    ② 労働能力喪失率
    労働能力喪失率とは、後遺障害によりどの程度労働能力が低下したのかを数値化したものです。労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて定められており、重い等級になるほど労働能力喪失率は高くなります。
    なお、後遺障害等級10級の労働能力喪失率は、27%です。

    ③ 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
    労働能力喪失期間とは、後遺障害により労働能力が制限される期間をいいます。一般的には、症状固定日の年齢から67歳までの年数が労働能力喪失期間になります。
    もっとも、将来の減収分に関する損害を、基本的には「今」一括して受け取ることになります。そうすると、「今」から本来的にその収入分を得ることができる日までの期間の運用利益を控除しなければ、その運用利益の分もらいすぎとなってしまいます。そのため、運用利益分を控除する必要があります。この、労働能力喪失期間に対応する運用利益を控除した係数が、ライプニッツ係数です。このライプニッツ係数を1年あたりの減収額に乗じて、逸失利益の金額を算出することとなります。
    また、10歳の男児が後遺障害を負ったとして、67歳-10歳=57年間の逸失利益を請求したとしても、実際には、18歳から働き出す(労働能力を獲得する)だろうことを前提とした場合は、18歳-10歳=8年間分の逸失利益はとりすぎとなってしまいます。そこで、57年間分の逸失利益から8年間の逸失利益を控除する必要があります。
    そのため、10歳の男児が後遺障害を負った場合の労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数は、以下のように計算します。

    • 67歳-10歳=57年(対応するライプニッツ係数は27.1509)
    • 18歳-10歳=8年(対応するライプニッツ係数は7.0197)
    →労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数=27.1509-7.0197=20.1312


    したがって、10歳の男児が後遺障害等級10級の障害を負った場合の逸失利益は、以下の通り算出することができます。

    ① 546万4200円 × ② 27% × ③ 20.1312 ≒ 2970万243円
  2. (2)後遺障害慰謝料

    後遺障害慰謝料とは、交通事故で後遺障害が生じたことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定の手続きによって認定された後遺障害等級に応じて計算されます。

    たとえば、後遺障害等級10級が認定された場合の後遺障害慰謝料は、以下のようになります。

    • 自賠責保険基準:190万円
    • 裁判基準(弁護士基準):550万円
  3. (3)将来にわたる治療費

    症状固定日までの治療費については、交通事故と因果関係のある損害として、加害者に対して請求することができますが、症状固定日以降の治療費については、原則として請求することができません。

    しかし、症状固定日以降の治療費であっても、症状の程度、内容、治療の必要性・相当性が認められる場合には例外的に将来にわたる治療費として請求することができます。

    将来にわたる治療費を請求できる可能性があるケースとしては、以下のケースが挙げられます。

    • いわゆる植物状態になってしまった場合
    • 治療の継続により症状の悪化を防止する必要性がある場合
    • 強い身体的苦痛を軽減するために治療を継続する必要性がある場合
    • 将来、手術が行われることがあらかじめ決まっている場合
  4. (4)介護費用

    交通事故により重い後遺障害が生じた場合には、将来にわたって介護が必要になることがあります。そのため、将来にわたって介護が必要であると認められる場合には、介護費用を請求することが可能です

    介護費用として請求できる金額は、近親者による介護であれば平均余命まで日額8000円で計算するのが一般的です。職業付添人による介護であれば、平均余命までに生じ得る実費相当額を、相当因果関係が認められる範囲で請求できます。

  5. (5)住宅改修費用

    交通事故の後遺障害により、日常生活に支障が生じるような場合には、いわゆるバリアフリー住宅にすべく住宅を改修することがあります。このような住宅改修費用についても、後遺障害の程度、内容、改修工事の必要性・相当性などを考慮して、損害として認められることがあります。

4、子どもが交通事故に遭ったら弁護士に相談を

子どもが交通事故の被害に遭ってお困りの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)事故解決までの流れをアドバイス

    交通事故の直後は、親として何をすべきか判断に迷う方が少なくありません。
    このような場合には、まずは、弁護士にご相談ください。交通事故について実績がある弁護士であれば、知識と経験をもとに損害賠償を見据えたアドバイスが可能です。また、弁護士から解決に至るまでの具体的な流れについて聞くことができるため、不安な気持ちも解消できるはずです。

  2. (2)適切な後遺障害の認定をサポート

    交通事故によって、子どもに重度の後遺障害が残り得る場合、適切な後遺障害等級が認定されるか否かによって、賠償額が大きく異なります。ベリーベスト法律事務所では、交通事故専門の弁護士チームと医療コーディネーターが連携し、このような事案についても専門的なアドバイスと、適切な後遺障害等級の認定のサポートが可能です。

  3. (3)慰謝料を増額できる可能性がある

    交通事故の慰謝料の算定基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判基準」の3つの基準があり、裁判基準が最も慰謝料が高額になります。ただし、裁判基準を用いて慰謝料を請求できるのは、基本的には弁護士に示談交渉を依頼した場合に限られます。少しでも慰謝料を増やしたい場合は、弁護士への依頼が必要になりますので、まずは、弁護士にご相談ください。

5、まとめ

子どもが事故に遭った場合、入通院の付き添いや看病などで家族の方は、肉体的にも精神的にも多大なストレスが生じます。このような状態で保険会社との示談交渉をしなければならないのは大きな負担です。

弁護士に示談交渉を依頼すれば、負担を軽減できるだけでなく、慰謝料や治療費など適切な賠償金額で示談を成立できる可能性が高くなります。

子どもの交通事故でお困りの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。交通事故の解決実績がある専門チームと医療チームが適宜連携し、保険会社との示談交渉から後遺障害認定まで、迅速にサポートいたします。

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