交通事故による脳損傷|症状別の後遺障害等級認定基準・慰謝料相場

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後遺障害
交通事故による脳損傷|症状別の後遺障害等級認定基準・慰謝料相場
交通事故により脳損傷を負うと、脳や体全体にダメージが残り日常に不都合が出る可能性があります。

その場合、後遺障害等級申請を行うことで慰謝料を請求できますが、弁護士に相談することによって、加害者や任意保険会社から受け取ることができる慰謝料などの金額が増額される可能性があります。

本コラムでは、交通事故を原因とする脳損傷が引き起こす症状から、残ってしまった症状別で認定されうる後遺障害等級、慰謝料や逸失利益などの請求が可能な損害賠償について、ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士が解説します。
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1、交通事故による脳損傷の分類|局所性脳損傷とびまん性軸索損傷

脳損傷と呼ばれる傷害には、大きく分けて「局所性脳損傷」と「びまん性軸索損傷」の二つがあります。

(1)局所性脳損傷

局所性脳損傷は、脳のうち特定の部位に強い力が働くことによって、当該部位に損傷が発生してしまう傷害です。
脳挫傷のほか、脳出血を原因とする急性硬膜外血種、急性硬膜下血種、さらには外傷性くも膜下出血を引き起こすおそれがあります。

(2)びまん性軸索損傷

びまん性軸索損傷は、強い衝撃が加わることによって脳全体が揺さぶられ、脳内の神経細胞が損傷してしまう傷害です。重症の場合は高次脳機能障害、遷延性意識障害を引き起こす可能性があります。

2、脳損傷による主な後遺障害(後遺症)

脳損傷によって引き起こされる症状の内容は、おおむね以下のとおりです。

(1)脳挫傷

「脳挫傷」は、脳の組織が損傷・出血する局所性脳損傷をいいます。脳挫傷による出血を原因として、さらに他の症状を引き起こすケースもあります。

(2)急性硬膜外血種

脳は内側から軟膜・くも膜・硬膜という3層の髄膜で包まれているところ、1番外側の硬膜と頭蓋骨の間で出血が起こり、血がたまってしまうのが「急性硬膜外血種」です。急性硬膜外血種も、局所性脳損傷の一種です。

(3)急性硬膜下血種

「急性硬膜下血種」は、急性硬膜外血種とは異なり、くも膜と硬膜の間で出血が起こり、血がたまってしまう局所性脳損傷をいいます。

(4)外傷性くも膜下出血

「外傷性くも膜下出血」は、くも膜の内側で出血が起こってしまう局所性脳損傷をいいます。

(5)高次脳機能障害

高次脳機能障害」とは、脳損傷を原因として高次の脳機能に障害が残ってしまい、日常生活などに支障をきたしてしまうことをいいます。

高次脳機能障害は、後遺障害として残存してしまうことが多く、その場合には症状の程度に応じて後遺障害等級が認定されます。詳しい認定基準については次の項目で解説します。

(6)遷延性意識障害

「遷延性意識障害」は、いわゆる「植物状態」と表現される状態です。医学的には、以下の6要件を満たす場合を遷延性意識障害と定義しています。

  1. 自力移動不能
  2. 自力摂食不能
  3. ふん便失禁状態
  4. 意味のある発語不能
  5. 簡単な指示に従う以上の意思疎通不能
  6. 眼球の追視不能、または認識不能

遷延性意識障害は、常に介護を必要とする重篤な後遺障害であり、多くの場合後遺障害1級が認定されます。

3、脳損傷で認定されうる後遺障害等級の基準

脳損傷によって後遺障害が残ってしまった場合、加害者・任意保険会社に対して慰謝料を請求するためには、原則として、後遺障害等級認定を受ける必要があります。
以下では、後遺障害等級の概要と、脳損傷のケースにおける後遺障害等級の認定基準を詳しく解説します。

(1)後遺障害等級の認定には「症状固定」となっていることが前提

後遺障害等級の認定を受けるためには、治療を継続した結果「症状固定」の段階に到達することが前提となっています。
症状固定とは、これ以上治療を継続しても症状が改善しないと医学的に判断される状態をいいます。

医師により症状固定の診断が下されたら、その旨を自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書(以下単に「後遺障害診断書」といいます)に記載してもらいます。
そのうえで、加害者が加入している自賠責保険会社に対して、症状固定その他の事項が記載された後遺障害診断書を含む申請書類一式を提出して、後遺障害等級の認定を申請することになります。

(2)認定される等級によって慰謝料・逸失利益の金額が変わる

交通事故における損害賠償実務上、後遺障害に関する慰謝料と逸失利益の金額は、認定された後遺障害等級によって、だいたいの目安を決めることができます。

そのため、後遺障害等級認定において、実際に発生している後遺障害を適切に認定してもらうことは、被害者が十分な損害賠償を受けるためにきわめて重要なのです。

(3)脳損傷時に認定される後遺障害等級の一覧

神経系統の機能又は精神の障害は、大きく「器質性障害」と「非器質性精神障害」の2種類に分類されます。

器質性障害とは、脳に物理的な損傷がある場合に生じる後遺障害で、さらに「高次脳機能障害」と「身体的機能障害(まひ)」の二つに分かれます。

これに対して非器質性精神障害とは、脳に物理的な損傷がない場合に生じる後遺障害で、異常な精神状態が発生している状態をいいます。各後遺障害の症状に対応する後遺障害等級の一覧は、以下のとおりです。

①器質性障害

(i)高次脳機能障害
後遺障害の症状 後遺障害等級
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 1級
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 2級
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 3級
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 5級
神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 7級
神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 9級
(ii)身体的機能障害(まひ)
後遺障害の症状 後遺障害等級
高度の四肢麻痺
中等度の四肢麻痺で、常時介護が必要な状態
高度の片麻痺で、常時介護が必要な状態
1級
高度の片麻痺
中等度の四肢麻痺で、随時介護が必要な状態
2級
中等度の四肢麻痺 3級
軽度の四肢麻痺
中等度の片麻痺
高度の単麻痺
5級
軽度の片麻痺
中等度の単麻痺
7級
軽度の単麻痺 9級
運動性、支持性、巧緻性、速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺 12級

②非器質性精神障害

後遺障害の症状 後遺障害等級
非器質性精神障害のため、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 9級
非器質性精神障害のため、通常の労務に服することはできるが、多少の障害を残すもの 12級
非器質性精神障害のため、通常の労務に服することはできるが、軽微な障害を残すもの 14級
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4、脳損傷の損害賠償金相場と解決事例

交通事故により脳損傷を負い、その結果後遺障害が残ってしまったケースでは、被害者は加害者や任意保険会社に対して、さまざまな項目の損害賠償・保険金の支払いを請求できます。

以下では慰謝料の点を中心に、後遺障害に関して加害者側に請求できる損害賠償の内容を解説します。

(1)後遺障害があるケースでは「逸失利益」「慰謝料」が重要

交通事故で後遺障害を負ったケースでは、一例として以下の項目の損害賠償・保険金の支払いを請求できます。

  1. 治療費
  2. 通院交通費
  3. 入院雑費
  4. 付き添い看護費
  5. 休業損害
  6. 傷害(入通院)慰謝料
  7. 後遺障害逸失利益
  8. 後遺障害慰謝料

後遺障害があるケースでは、上記の中でも、「後遺障害逸失利益」と「後遺障害慰謝料」の金額が特に高額になります。

後遺障害逸失利益は、後遺障害により体が動かなくなったり、脳に障害を負ったりしたことによる労働能力の喪失に関して、将来の収入を補塡(ほてん)する性質を有しています。

後遺障害慰謝料は、後遺障害を負ったことによる精神的損害を補塡(ほてん)する性質を有しています。

後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって左右されるので、正しい後遺障害等級認定が重要になります。

(2)慰謝料計算の三つの基準|自賠責基準・任意保険基準・裁判所基準(弁護士基準)

特に後遺障害慰謝料の計算に当たっては、自賠責基準・任意保険基準・裁判所基準(弁護士基準)という三つの基準が存在することが特徴です。それぞれの基準の概要は以下のとおりです。

①自賠責基準

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)から支払われる後遺障害慰謝料の金額を算出する基準です。

②任意保険基準

被害者が弁護士を伴わない示談交渉のケースで、任意保険会社が提示してくる後遺障害慰謝料の金額を算出する基準です。

③裁判所基準(弁護士基準)

裁判例をもとにした、被害者が本来得られる後遺障害慰謝料の金額を算出する基準です。被害者が弁護士を伴って任意保険会社と示談交渉を行う場合、裁判所基準(弁護士基準)によって算出された後遺障害慰謝料を受け取れる可能性が高いでしょう。

(3)示談交渉は弁護士同席で行うのがおすすめ|被害者に有利な裁判所基準(弁護士基準)が適用

上記三つの基準のうち、被害者にもっとも有利な基準であるのが裁判所基準(弁護士基準)です。以下の表のとおり、裁判所基準(弁護士基準)で計算すると、自賠責基準に比べて、非常に高額の後遺障害慰謝料が認められます。 また、任意保険基準は非公表ですが、裁判所基準(弁護士基準)の6割前後と考えられています。

後遺障害等級 自賠責基準(カッコ内は要介護の場合 裁判所基準(弁護士基準)
1級 1150万円(1650万円) 2800万円
2級 998万円(1203万円) 2370万円
3級 861万円 1990万円
4級 737万円 1670万円
5級 618万円 1400万円
6級 512万円 1180万円
7級 419万円 1000万円
8級 331万円 830万円
9級 249万円 690万円
10級 190万円 550万円
11級 136万円 420万円
12級 94万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

裁判所基準(弁護士基準)による後遺障害慰謝料の支払いを受けるためには、弁護士に示談交渉を依頼することがもっともスムーズです。適切な後遺障害慰謝料の支払いを受けたい場合は、弁護士に依頼すると良いでしょう。

(4)ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの解決事例

ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士が対応し、解決に導いた実際の事例を紹介します。

【意識障害なしでも7級】保険会社の「認定は難しい」を覆し、賠償金2,551万円を獲得した事例

最終示談金額:25,510,000円

自転車で走行中に車と衝突した60代男性のAさん。事故当日の診断は「意識障害なし」で、一度は帰宅を許可されるほどの軽傷と見なされていました。しかし後日、高次脳機能障害の症状が現れます。相手方保険会社からは「意識障害がない以上、後遺障害の認定は難しい」と告げられ、Aさん自身も一度は諦めかけていました。

当事務所の弁護士が医療記録を精査したところ、画像所見などから認定の可能性があると判断。早期解決を望むAさんに解決できる部分から交渉を進めると同時に、「後遺障害申請を行うべき理由」を丁寧にご説明し納得いただいたうえで申請を行いました。粘り強い立証の結果、当初の予想を覆す「7級」が認定。最終的に2500万円を超える賠償金を獲得しました。

この事例から得られること

  • 事故当日に「異常なし」と診断されても、後から重い障害が判明することがある
  • 保険会社の「認定は難しい」という言葉を鵜呑みにしてはいけない
  • 意識障害がなくても、画像や症状の精査次第で高い等級が認められる可能性がある

弁護士に相談するメリット

  • 膨大な医療記録の中から、後遺障害認定に必要な「証拠」を見つけ出せる
  • 本人が諦めかけている状況でも、客観的な視点から最善の選択肢を提示できる
  • 認定が難しいとされるケースでも、保険会社との交渉を有利に進められる
  • 解決事例を詳しく見る
意識障害のない高次脳機能障害について、後遺障害の認定を獲得!
【高次脳機能障害:7級】複雑な保険関係を整理し、訴訟によって賠償金と労災年金をダブルで獲得した事例

最終示談金額:3018万1203円(別途、労災年金を受給)

60代男性のBさんは、同僚が運転する車に同乗中、スリップ事故により頭部外傷を負い、高次脳機能障害が残りました。会社側は「運転者の責任」として責任を認めず、保険会社も複雑な約款を理由に十分な支払いを拒否する困難な状況でした。

ベリーベスト法律事務所が介入し、当初「9級」と判断された労災等級に対して異議(審査請求)を申し立て。結果、7級への繰り上げに成功し、一時金ではなく生涯にわたる「労災年金」を確保しました。さらに、支払いに応じない相手方に対して訴訟を提起し、最終的に3000万円を超える賠償金を勝ち取った事例です。

この事例から得られること

  • 保険会社が「払えない」という複雑なケースでも、訴訟によって適切な賠償を得られる
  • 自賠責と労災の後遺障害等級認定が異なる結果となっても、弁護士の指摘により覆せる可能性がある
  • 労災等級が上がれば、一時金ではなく「一生涯の年金」として受け取れる

弁護士に相談するメリット

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事故にまつわる複雑な保険関係についても経験豊富な弁護士に依頼すれば安心

5、脳損傷の慰謝料請求を弁護士に依頼すべき理由

脳損傷の慰謝料請求を弁護士に依頼すべき理由

交通事故で脳損傷を負った場合、適切な損害賠償・保険金の支払いを受けるために、弁護士に相談することをおすすめいたします。

前述のように、弁護士に示談交渉を依頼すれば、被害者に有利な裁判所基準(弁護士基準)による後遺障害慰謝料の支払いを受けられる可能性が高まります。また、交通事故の被害者にとっては、医学的な観点を踏まえて後遺障害の立証をすることや、交通事故のプロである任意保険会社と示談交渉を行うことは大きな負担です。

この点、ベリーベスト法律事務所の弁護士は、交通事故を専門に取り扱う経験を生かして、交通事故の後遺障害にお悩みの方は、ぜひベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。

6、まとめ

交通事故で脳損傷を負った場合、完治せずに高次脳機能障害や身体のまひなどが残ってしまう場合があります。

後遺障害が残ってしまった場合、任意保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することで、より高額の後遺障害慰謝料などを得られる可能性が高まります。

交通事故に遭ってしまった場合、お一人で悩むことなく、お早めにベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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