家族が交通事故で即死状態となったときの手続きと起こり得ること

更新:2024年09月10日 公開:2023年06月13日
基礎知識
家族が交通事故で即死状態となったときの手続きと起こり得ること
交通事故で大切なご家族が即死状態になってしまった場合には、すぐに現実のこととして受け止めることができず、何も手につかないという方がほとんどでしょう。

しかし、被害者の遺族としては、葬儀の手配、相続手続き、賠償金の交渉などさまざまな手続きを行わなければなりません。できるかぎりでよいので、必要な手続きをしっかりと把握しておくことをおすすめします。

本コラムでは、家族が交通事故現場で亡くなったと連絡がきたときの手続きから、今後どのようなことが起こり、それらにはどう対応すべきかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、事故の連絡から葬儀までの流れと手続き

交通事故で即死状態になったときは、以下のような流れで葬儀までの手続きが進んでいきます。

  1. (1)事故の連絡

    交通事故で即死状態になった場合、警察が免許証、車検証、健康保険証などから被害者の身元を調べて、自宅や家族のところに連絡がいきます。身元がすぐに判明しない場合には、警察から連絡がくるまでしばらく時間がかかることがあるでしょう。

  2. (2)遺体の引き渡し

    即死状態の事故では、警察での検視が行われ、被害者がどのような原因で亡くなったのかが調べられます。検視では死因が特定できないときや事件性が疑われる場合には司法解剖が行われることがあります。

    検視や司法解剖が終わった段階で、ご遺族に遺体が引き渡されます。検視だけで終われば半日程度、司法解剖が行われる場合には、遺体の引き渡しまでさらに日数がかかることもあるでしょう。

  3. (3)死亡診断書(死体検案書)の提出

    遺体の引き渡しが終わった後は、死亡診断書または死体検案書などの書類とともに死亡届を市区町村役場に提出します。死亡届は、死亡後7日以内に提出する必要がありますので、注意が必要です。

    なお、死亡診断書には、「死因の種類」という項目があります。交通事故という分類にチェックがついているかを確認するようにしましょう。

  4. (4)病理解剖やエンバーミングをするか否かの検討・決定

    死亡診断書の死因が交通事故となっていない場合には、今後の賠償請求にあたって不利になる可能性もありますので、病理解剖を検討する必要があります。また、事故によって遺体が損傷している場合には、エンバーミングも検討する必要があります。

    このような費用は、交通事故との因果関係が認められれば、加害者に対して請求することが可能です。

  5. (5)葬儀

    葬儀会社との間で、葬儀の日程や方法についての打ち合わせを行い、通夜・葬儀・告別式などを執り行います。葬儀には、加害者が参列する可能性もありますので、心情的に加害者には来てほしくないという場合には、保険会社などを通じて連絡しておくとよいでしょう。

2、葬儀後に行われうる手続きと起こり得ること

亡くなった被害者の葬儀が終わった後は、以下のような流れで交通事故に関する手続きが進んでいきます。

  1. (1)刑事手続き

    交通事故が起きると、警察が加害者と被害者の双方から聞き取りを行い、供述調書を作成し、事故現場で実況見分を行います。死亡事故の場合には、被害者の方が亡くなっていますので、代わりに遺族が聞き取りを受けます。聞き取りでは、被害者の生前の様子や加害者への処罰感情などが確認されます。

    また、加害者が刑事事件で起訴された場合には、被害者の遺族は、被害者参加制度を利用することで刑事裁判に参加することができます。被害者参加制度を利用すると、刑事裁判で遺族としての意見を述べることができますので、裁判官に被害者感情を直接訴えることが可能です。

  2. (2)保険会社との示談交渉

    早ければ四十九日が過ぎると、保険会社から慰謝料などの損害賠償金の提示がなされます。遺族としては、保険会社から提示された賠償額を精査して、示談に応じるかどうかを判断します。

    ここで示談に応じてしまうと後から請求することができなくなるため、少しでも疑問があるときや、提示された賠償額に納得がいかない場合には、弁護士に相談することを強くおすすめします。場合によっては、法的な根拠を示したうえで増額を求めることができるためです。保険会社が応じない場合には、裁判所に訴訟提起することも可能です。

  3. (3)遺族年金や生命保険などの確認と手続き

    年金を受け取っている方が亡くなられた場合には、亡くなった方によって生計を維持されていたご遺族は遺族年金を請求することができます。

    また、被害者の方が生命保険に加入していた場合には、死亡保険金の受取人に指定されていた方は、保険会社に対して、死亡保険金の請求をすることができます。

  4. (4)相続

    交通事故で亡くなられた方の財産は、相続人が相続することになります。被害者が遺言書を作成していなかった場合には、原則として法定相続割合に基づき遺産が分割されることになり、相続人による遺産分割協議を経てその内容が確定します。

    なお、交通事故の賠償金も相続の対象になりますので、それを含めて話し合いをしていかなければなりません。

  5. (5)カウンセリング

    突然家族が亡くなってしまうと喪失感から深く心が傷つき、立ち直れず働けなくなってしまう方も少なくありません。そのような場合には、カウンセリングを受けることを検討してみましょう。

3、損害賠償請求をする際に気をつけるべきポイント

被害者の遺族として、慰謝料を含む損害賠償を請求する場合には、以下の点に気をつけるようにしましょう。

  1. (1)死亡逸失利益の計算

    事故で亡くなってしまった場合には、被害者の方が将来得られたはずの収入を損害として請求することができます。このような損害を「死亡逸失利益」といいます。

    死亡逸失利益は「基礎収入×就労可能年数に対するライプニッツ係数×(1-生活費控除率)」という計算式によって計算をします。基礎収入は、基本的には前年の年収を基準に計算をすることになりますが、学生・子どもでも賃金センサスの平均賃金を用いて計算することが可能です。また、高齢者や失業などで働いていない方などでも、場合によっては平均賃金の何割かを用いて計算することが可能です。

    また、生活費控除率は、一家の支柱、主婦、独身男性、年金受給者など被害者の属性によって異なってきますので、実態に応じた主張をしていくことが大切です。

    死亡逸失利益は、死亡事故の損害賠償の中でも高額になる項目のひとつです。したがって、適切な賠償額を獲得するためにも専門家である弁護士のサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。

  2. (2)死亡慰謝料

    死亡慰謝料の金額は、基本的には、以下のとおりの基準になります。
    もっとも、裁判所の判断によって前後する可能性がありますので、必ずしもこのとおりの金額が認められるわけではありません。

    1. 一家の支柱………2800万円
    2. 母親・配偶者……2500万円
    3. その他……………2000万円~2500万円

    また、加害者に飲酒運転、無免許運転、極端な速度違反、殊更な信号無視、轢き逃げなどの事情がある場合、慰謝料の額が増額されることがあります。

  3. (3)過失割合

    死亡事故では、被害者本人が亡くなっていますので、加害者との過失割合の交渉において不利になる可能性があります。

    加害者側から一方的に不利な過失割合を押し付けられてしまわないように、遺族としてもできる限りの証拠収集を行う必要があります。過失割合の証拠としては、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像目撃証言などが挙げられますので、まずは、これらの証拠を探してみましょう。

    過失割合で争いが生じた場合には、弁護士が対応することで有利な過失割合に修正できる可能性もありますので、早めに相談することをおすすめします。

4、弁護士に相談すべきタイミングと可能な対応

以下では、死亡事故の被害に遭ったご遺族の方が弁護士に相談すべきタイミングと弁護士ができる対応について説明します。

  1. (1)事故直後

    大切なご家族が亡くなってしまうと、気が動転して冷静に行動することができない方がほとんどでしょう。被害者が亡くなった後は、葬儀の手配や相続手続き、保険会社との示談交渉などやらなければならない手続きがたくさんありますので、それらを把握するためにも弁護士に相談することをおすすめします。

    弁護士から必要な手続きと今後の流れについて説明を受ければ、気持ちを落ち着かせて対応することができるでしょう

  2. (2)刑事手続き開始前

    死亡事故を起こした加害者に対しては、遺族調書の作成や被害者参加などによって、遺族も刑事手続きに参加することができます。刑事手続きへの参加は、ほとんどの方が初めての経験になりますので、被害者感情を刑事裁判に反映させ、適切な処罰を受けさせるためにも弁護士のサポートが不可欠になります。

    そのため、刑事手続きへの参加をお考えの方は、刑事手続きが開始する前の早めのタイミングで相談することをおすすめします

  3. (3)示談交渉前

    死亡事故の場合には、四十九日が過ぎた後、いずれかの時点で保険会社との間で示談交渉が開始されるのが一般的です。弁護士に依頼をすることで、保険会社との間の示談交渉をすべて任せることができ、家族を失ったことによる精神的負担を軽減することができます。また、弁護士が示談交渉をすることによって、有利な条件で示談を成立させることができる可能性が高くなります

    保険会社から賠償額の提案がなされていない段階であっても弁護士に相談することは可能ですので、将来の示談交渉に備えて準備をするためにも早めに相談することをおすすめします。

5、まとめ

交通事故で家族が亡くなってしまうと、残されたご家族の方は、悲しみのあまり何も手につかない状態になってしまいます。しかし、遺族の方は、葬儀の手配、相続、示談交渉などの手続きを行っていかなければなりませんので、自分だけでは負担が大きすぎるという場合には、弁護士への依頼もご検討ください。

ベリーベスト法律事務所では、ご遺族の精神的な負担を軽減しながら、適正な賠償額の獲得に向けて全力でサポートします。まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
外口 孝久
外口 孝久
プロフィール
外口 孝久
プロフィール
ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士
所属 : 第一東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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