知られてないけど事例が多い「ダッシュボードインジュリー」

更新:2024年09月10日 公開:2016年07月21日
基礎知識
知られてないけど事例が多い「ダッシュボードインジュリー」
交通事故の怪我の事例でも多い「ダッシュボードインジュリー」

交通事故に遭った際には24時間以内の迅速な整復治療が鍵となります。
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1、ダッシュボードインジュリーとは

交通事故は、色々なケースで起こり、頸椎捻挫(むち打ち症)等がケガの代表選手として挙げられます。

しかし、実は、膝をダッシュボードに打ちつけることで発症する「ダッシュボード・インジュリー(dashboard injury)」という症状も、結構多く存在するのです。

ダッシュボード・インジュリーはダッシュボード損傷とも言われ、自動車の追突などにより、後方から強い力が加わって、膝をダッシュボードに打ちつけて生じるケガのことです。大腿骨が関節包を突き破り、長軸方向つまり腰骨に向かって押し上げられ、股関節脱臼に加えて、寛骨臼(大腿骨頭が収まっている凹んだ部分)の骨折も起こしてしまうことを指します。

2、エアバッグでは保護できない?

交通事故に遭った瞬間に、エアバックなどでのガードや保護はできないのかとお考えの方もいらっしゃるでしょうが、車種にもよりますが、エアバックの保護範囲という問題がありまして、保護対象となっていないケースもある程度は存在するのではないかと考えられます。

3、「ダッシュボードインジュリー」となってしまった場合の治療方法

大腿骨頭は、3本の血管で栄養素や酸素などを送っているのですが、この供給ができなくなってしまうと、骨頭自体が壊死してしまいます。この壊死に至るまでがおよそ24時間ですので、それまでに整復する必要があります。

それに、脱臼に伴って、血管が損傷してしまう場合も多くあります。また、骨折が伴っている場合は、骨の破片が体内に散らばってしまって、坐骨神経麻痺なども起こしてしまうので、これに対応するブロック注射なども、後に行う必要があります。とにかく、できるだけ早い時間帯での整復が第一で、順を追って治療することが重要です。

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4、交通事故の後遺障害等級認定も難しい「ダッシュボードインジュリー」

このように、ダッシュボードインジュリーは、非常に大変な状態になる恐れがある怪我です。

弁護士としての視点で話をさせていただくと、股関節の機能障害で症状固定となった場合は、受傷後6ヶ月を固定と仮定すると、12級7号と認定されるのがほとんどのケースです。

よく、交通事故の被害者の方から後遺障害等級認定の12号7級が等級として低いのか、高いのか、と聞かれることがあります。後遺障害等級については、各障害状況に応じて等級に関する一覧表が予め作成されており、その中から症状に鑑み等級が与えられるものですので、画一的に定められているというのが正直なところです。

5、症状固定の時期

ダッシュボードインジュリーをはじめとする関節の可動域制限に対する後遺障害認定においては、関節可動域というのは徐々にではあるものの、かなりの長期間に渡って改善していくものであることから、症状固定の時期について悩まれる方が多いです。

むち打ちのように、「なるべく長期間、定期的に治療を受けた方がよい」と考えて症状固定を遅らせてしまうと、逆に後遺障害等級認定の可能性を下げかねませんので、症状固定時期の判断は慎重に行う必要があります。

ベリーベスト法律事務所には交通事故専門チームのメディカルコーディネーターやパラリーガル・弁護士が対応しますので、この判断を随時行うことができます。多くの方々が心配される大腿骨壊死についても、事故当時の処置を確認することができ、適切な処置が行われているのであれば、問題ないケースがほとんどだと思います。

6、人工関節を入れた場合

大多数は10級10号が認定されます。ただ、これも多くの方が心配されることですが、人工関節の耐久年数などの問題から、保険会社や加害者との交渉が難航する場合があります。これについても、我々ベリーベスト法律事務所ではノウハウを有しておりますので、相談者の方に不利な条件での決着にならないように、粘り強く交渉を行います。安心してご相談をいただきたいと思っております。

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この記事の監修者
外口 孝久
外口 孝久
プロフィール
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プロフィール
ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士
所属 : 第一東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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