自動車保険と生命保険の違いは? 両方受け取ることは可能?

更新:2025年03月03日 公開:2025年03月03日
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自動車保険と生命保険の違いは? 両方受け取ることは可能?
交通事故により被害者が死亡または怪我をしたことで生じた損害については、自動車保険や生命保険から補填を受けることができます。自動車保険と生命保険は、性質の異なる保険になりますので、基本的には両方受け取ることが可能です。

適切な保険金や賠償金の支払いを受けるためにも、保険の種類や交通事故の示談の流れをしっかりと押さえておくようにしましょう。

今回は、交通事故の被害に遭ったときに使える自動車保険と生命保険の違い、受け取れる保険金の種類、保険金を受け取るまでの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、交通事故で使える保険は?

交通事故の被害に遭うと被害者にはさまざまな損害が発生します。以下では、そのような損害を回復するために使える保険について説明します。

  1. (1)交通事故で被害者が使える保険の種類

    交通事故で被害者が使うことができる保険の種類には、以下のようなものがあります。

    ① 加害者が加入している自動車保険
    交通事故の被害者は、加害者が加入している自動車保険および自賠責保険から補償を受けることができます。
    加害者が自動車保険(任意保険)に加入している場合、被害者に生じた損害は、基本的には加害者の自動車保険から補償されます
    他方、加害者が自動車保険(任意保険)に未加入だった場合には、加害者が加入している強制加入保険である自賠責保険に支払いを請求することができます。ただし、自賠責保険による補償は、最低限度の補償になりますので、被害者に生じた損害のすべてを回復することはできません。

    ② 被害者が加入している自動車保険や生命保険
    交通事故の被害者は、加害者が加入する自動車保険・自賠責保険だけでなく、被害者自身が加入する自動車保険や生命保険からも補償を受けることができます。
    たとえば、生命保険であれば被害者が死亡した場合の生命保険金が代表的な補償になりますが、特約があれば怪我による入院や治療による費用も生命保険から補填される可能性があります。
    また、被害者が加入する自動車保険では、以下のような保険や特約が利用できます。

    • 人身傷害補償保険
    • 無保険車傷害保険
    • 自損事故保険
    • 搭乗者傷害保険
    • 車両保険
    • 弁護士費用等補償特約

    具体的な補償内容は、保険会社や契約内容(約款)によって異なってきますので、ご自身の加入する保険会社に確認してみるとよいでしょう。

  2. (2)損害保険と生命保険の違いは?

    自動車保険などの損害保険は、偶然の事故・災害により生じた損害を補償する保険であるのに対して、生命保険は、人の生死や病気・怪我などによる入院などを保障する保険になります。
    このように損害保険と生命保険とでは、保険の種類が異なりますので、保険会社に保険金を請求する際には、両者を混同することのないように注意が必要です。

2、自動車保険と生命保険の両方から保険金を受け取れる?

結論からいえば、交通事故の被害者は、自動車保険と生命保険の両方から保険金を受け取ることができます
生命保険は、交通事故により被害者に生じた実損害を填補するものはありませんので、自動車保険とは保険の性質が異なります。そのため、保険事故が発生した場合、被害者または被害者の遺族は、保険契約に基づいて定額の保険金を請求することができます。
自動車保険は、治療費や慰謝料などの被害者に生じた実損害を填補する保険ですので、加害者が対人賠償保険に加入していれば、自動車保険と生命保険の両方から保険金を受け取ることが可能です。

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3、受け取れる保険金の種類

交通事故の被害者が受け取ることができる代表的な保険金の種類には、以下のようなものがあります。

  1. (1)治療に対する保険金

    交通事故で怪我をした場合、病院での治療が必要になります。

    加害者が自動車保険に加入している場合、基本的に、治療費については、加害者の自動車保険会社が各医療機関に一旦支払ってくれるので、被害者が窓口で治療費を支払わずに治療を受けることができます。

    また、生命保険は、主に死亡した場合に備えた保険になりますので、怪我の治療は保険金支払いの対象外です。ただし、生命保険で医療特約を付けているような場合には、怪我による治療費が保障されることもあります。
    なお、自動車保険と生命保険の保険金は、二重取りにはなりませんので両方から支払いを受けることが可能です。

  2. (2)後遺障害に対する保険金

    交通事故の怪我の程度によっては治療を継続しても完治とはならず、痛み、しびれ、可動域の制限など何らかの後遺障害が生じてしまうことがあります。このような状態になると「症状固定」と判断され、残存している症状については後遺障害等級認定の手続きを進めていくことになります。
    後遺障害等級認定の手続きにより、後遺障害等級が認定されると後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することができます。

    加害者が自動車保険に加入している場合には、後遺障害に対する賠償として後遺傷害慰謝料や後遺障害逸失利益に対する保険金(賠償金)が保険会社から支払われます。

    また、被害者が生命保険に加入しており、怪我による後遺障害が生じた場合、障害の程度に応じた保険金が支払われます。

    なお、自動車保険と生命保険の保険金は、二重取りにはなりませんので両方から支払いを受けることが可能です。

  3. (3)死亡事故に対する保険金

    交通事故で被害者が死亡してしまった場合、加害者の自動車保険から、死亡慰謝料や死亡逸失利益などに対する保険金(賠償金)が支払われます。

    また、被害者が生命保険に加入している場合、保険契約で受取人に指定されている人は、保険会社に対して死亡保険金の請求をすることができます。

    なお、自動車保険と生命保険の保険金は、二重取りにはなりませんので両方から支払いを受けることが可能です。

4、交通事故から保険金を受け取るまでの流れとは?

交通事故から保険金を受け取るまでの流れは、以下のとおりです。

  1. (1)交通事故後、警察と保険会社に連絡

    自動車の運転者には、法律上救護義務と報告義務が課されています。そのため、事故が発生したら、すぐに安全な場所に車を停止し、怪我人の救護をしなければなりません。自分が怪我をしている場合もその場で安静にして救急車の到着を待ちましょう。
    また、現場の安全確保ができたら警察に事故の報告をしなければなりません。軽微な事故であっても報告が義務付けられていますので必ず報告をしてください。警察への報告を怠ると刑罰が科されるだけでなく、保険金の支払いを受けられないなどのリスクがありますので注意が必要です。

  2. (2)医師による診断・治療を受ける

    交通事故により怪我をしたときは、すぐに病院を受診して医師による診断・治療を受けてください。

    加害者が自動車保険に加入している場合、基本的に、治療費については、加害者の自動車保険会社が各医療機関に一旦支払ってくれるので、被害者が窓口で治療費を支払わずに治療を受けることができます。

    被害者は、怪我の完治を目指して、医師の指示に従い適切な頻度で通院を続けるようにしましょう。

  3. (3)完治しない場合は後遺障害等級の申請をする

    交通事故によって怪我をしてしまった場合、怪我の部位や程度によっては治療を継続してもこれ以上症状がよくならず、改善の見込みがない状態になることがあり、このような状態を「症状固定」と言います。

    「症状固定」後の治療費については、基本的に、保険金の支払い対象とはなりません

    その時点で残存している症状については、後遺障害等級申請を行うことで、症状の内容や程度に応じた後遺障害等級認定を受けることができます。後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求するには、後遺障害等級認定が必要になりますので、しっかりと書類をそろえて申請するようにしましょう。

  4. (4)保険会社との示談交渉を開始

    怪我が完治または後遺障害等級認定を受けたタイミングで保険会社との示談交渉を開始します。基本的には、保険会社から示談金の額が提示されますので、その内容を精査して交渉を行うことになります。
    保険会社から提示される示談金は、相場よりも低い金額であることが多いため、提示された金額ですぐにサインするのではなく、しっかりと交渉をするようにしてください。

  5. (5)保険会社から保険金が支払われる

    保険会社との間で示談が成立すると、示談書の取り交わしが行われ、指定した口座に保険会社から保険金が支払われます。

5、交通事故被害を弁護士に相談するべき理由

交通事故の被害に遭った場合には、以下のような理由から弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)裁判所基準に基づく慰謝料請求が可能

    交通事故の慰謝料の算定基準には、以下の3種類があります。

    • 自賠責保険基準
    • 任意保険基準
    • 裁判所基準

    実際の慰謝料額は、基本的に、自賠責保険基準≦任意保険基準<裁判所基準の順で大きくなりますので、被害者としては裁判所基準により慰謝料を請求することがもっとも有利です。

    ただし、裁判所基準を利用して保険会社と交渉することができるのは、弁護士に示談交渉を依頼した場合に限られます。すなわち、弁護士に示談交渉を依頼することで、慰謝料額を増額できる可能性があります。

  2. (2)保険会社とのやり取りをすべて任せられる

    交通事故で被害者が亡くなった場合、被害者の遺族が保険会社とのやり取りをしなければなりません。また、交通事故により重い後遺障害が残ってしまった場合には、自分だけで保険会社とのやり取りを進めていくのは困難なケースもあります。

    ご自身で対応が難しいと感じるときは弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、保険会社とのやり取りを弁護士にすべて任せることができますので、負担を大幅に軽減することができます。また、専門家である弁護士が対応することで不利な条件で示談してしまうリスクもありません。

  3. (3)裁判に発展したときも対応してもらえる

    死亡事故や重い後遺障害が生じる事故の場合、交通事故の賠償額も高額になります。保険会社との示談交渉で納得できる金額が提示されないときは、弁護士に依頼することで慰謝料を増額できる可能性がありますし、交渉では解決できない場合、裁判を起こして適正な賠償額を請求する必要もあるでしょう

    弁護士に依頼すれば示談交渉から引き続いて裁判の手続きにも対応してもらえますので、適正な賠償額を獲得できるまで安心して任せることができます。

6、まとめ

交通事故の被害にあった場合、自動車保険だけではなく生命保険からも保険金の支払いを受けられる可能性があります。自動車保険と生命保険とでは、保険の性質が異なりますので、基本的には保険金の二重取りとはならず、どちらからも保険金の支払いを受けることができます

もっとも、加害者が加入する保険会社から適正な賠償金の支払いを受けるには、交通事故事案に関する知識や経験が必要になりますので、専門家である弁護士に任せるのが安心です。
交通事故の被害に遭われた方は、交通事故の問題に詳しいベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

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