骨挫傷とは|交通事故後の痛み・後遺障害・慰謝料を弁護士が解説
骨挫傷は、骨の内部の損傷であり、レントゲン検査(エックス線検査)では異常が見つかりにくいにもかかわらず、強い痛みが続く症状です。しかし、適切な検査や治療を受けなければ、後遺障害が残ってしまう可能性もあります。
本コラムでは、医師の監修のもと、交通事故により引き起こされる骨挫傷の症状から治療方法、そして治療が終わっても症状が残ってしまった場合に行う後遺障害等級認定の重要性や損害賠償請求について、交通事故専門チームの弁護士が詳しく解説します。
1、骨挫傷とは? 事故被害者が知るべき症状と原因
まずは「骨挫傷」がどのような症状で、なぜレントゲンでは発見されにくく、そして交通事故で起こりやすいのかについて解説します。
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(1)骨折していないのにずっと痛い原因の代表格
骨挫傷とは、一言でいえば「骨の内部で起こった打撲や内出血」のことです。強い衝撃によって骨の形状は保たれているものの、骨の内部にある骨髄が出血したり、骨の組織が傷ついたりしている状態を指します。一般的に「ヒビ」と呼ばれる骨不全骨折とは異なり、骨の連続性が断たれていないことから、骨折とは区別されています。
骨挫傷の主な特徴は以下のとおりです。- 骨折はしていないが、骨内部で損傷が起きている
- レントゲン検査(エックス線検査)やCT検査では発見困難
- MRI検査で確認できる
- 強い痛みが長期間続く
- 適切な治療を行わなければ後遺障害が残る可能性がある
「骨折ではないからたいしたことはない」と思われたり、言われたりすることがあるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。骨の内部が損傷しているため、強い痛みや腫れを伴うことが多い、れっきとした「怪我」なのです。
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(2)主な症状と「レントゲンで異常なし」と言われる理由
骨挫傷の主な症状には、以下のようなものがあります。
- 強い痛み(特に患部を押したり、体重をかけたりしたときや夜間)
- 腫れ(患部周辺が熱を持つこともある)
- 関節の動かしにくさやしびれ(可動域の制限)
- 皮下出血(あざ)
このような症状があるにもかかわらず、病院の初診で「レントゲンでは異常ありません」と言われてしまうことが非常に多い点が骨挫傷の特徴です。なぜなら、レントゲン(エックス線検査)やCT検査は、骨の形状(骨折やヒビ)を描写することには長けていますが、水分変化にほぼ反応しません。そのため、これらの検査だけでは骨挫傷を見つけることは極めて困難なのです。
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(3)交通事故で骨挫傷が起こる原因とMRI検査の重要性
交通事故では、さまざまな形で体に強い衝撃が加わります。
以下の例が代表的です。- 車やバイク、自転車の運転中にハンドルやダッシュボードに膝などを強く打ち付ける
- 歩行中に車と衝突し、転倒して地面に体を強く打ち付ける
- 追突の衝撃で、シートベルトで体が固定されているにもかかわらず、膝などが前の座席にぶつかる
このような強い衝撃が骨に加わることで、骨挫傷が発生します。特に膝関節、足関節、股関節、手関節などに多く見られます。ただし、事故直後は興奮状態にあるため痛みを感じにくく、数日後から症状が顕著にあらわれることがあります。
レントゲンで異常が見つからない骨挫傷を正確に診断するために不可欠なのが、MRI(磁気共鳴画像)検査です。MRIは、水素原子核の変化を描写できるため、X線では見えない骨内部の出血や損傷を明確に捉えることができます。
もし、あなたが「レントゲンで異常なしと言われたのに痛みが引かない」という状況にあるならば、すぐに医師に相談し、MRI検査を受けてください。事故直後、できるだけ早いタイミングで検査をすることが非常に重要です。
2、骨挫傷の治療と完治までにかかる期間
骨挫傷と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。完治までの道のりについて解説します。
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(1)基本は安静! 適切な治療を
骨挫傷の治療の基本は、患部を安静に保つことになります。
具体的な治療法としては、以下のようなものが挙げられます。① 安静療法
患部に負荷をかけないように、安静を保ちます。必要に応じてギプスなどで患部を固定し、松葉づえや車いすなどを使用することもあるでしょう。また、仕事や日常生活においても活動制限が必要となるケースは少なくありません。
② 薬物療法
消炎鎮痛剤による痛みや炎症の軽減を図るとともに、湿布薬などを用いた局所治療を行います。症状に応じて、ステロイド注射を行う場合もあるでしょう。
③ 物理療法
炎症や腫れを抑えるために、アイシング(患部を冷やす)を行い、炎症の抑制を図ります。完治が近くなってからは、温熱療法による血行促進を促すこともあるでしょう。また、電気治療や超音波治療を行うこともあります。
④ リハビリテーション
経過を見て、関節可動域訓練や筋力強化訓練、歩行訓練などのリハビリが行われます。自己判断で「もう痛くないから」と無理に動かしてしまうと、治癒が遅れたり、痛みが再発したりする可能性があります。また、逆に痛みがあるからと過度に安静にしすぎることも回復が遅くなってしまうことにつながりかねません。
必ず医師の指導に従い、適切な治療を続けてください。 -
(2)全治までの期間は症状の重さで変わる
骨挫傷が完治するまでの期間は、損傷の程度によって大きく異なります。
【軽度の骨挫傷(骨髄の浮腫が軽微な場合)】
- 治療期間:2~4週間
- 症状:軽度の痛みと腫れ
- 日常生活への影響:軽微(患部の安静)
【中等度の骨挫傷(骨髄に明らかな出血がある場合)】
- 治療期間:1~3か月
- 症状:強い痛みと機能障害
- 日常生活への影響:大きい(特にスポーツ活動は制限)
【重度の骨挫傷(広範囲な骨髄損傷がある場合)】
- 治療期間:3か月~6か月以上
- 症状:激しい痛みと著明な機能障害
- 日常生活への影響:大幅な制限(運動機能の低下やしびれ、神経症状など)
これらの期間などはあくまでも目安であり、個人差が大きいものです。
特に、膝の軟骨(半月板など)や靱帯(じんたい)の損傷を伴う場合や、高齢者、持病がある方の場合などは、治療が長期化する傾向にあります。焦らずじっくりと、医師の指導に従い治療に専念することが大切です。 -
(3)後遺障害にならないようにするためにすべきこと
骨挫傷そのものにより後遺症が残るケースは少ないですが、ごくまれに痛みが残ってしまうケースもあります。
そのような事態を防ぐために重要なポイントは以下のとおりです。- 早期の適切な診断
- 治療の継続
- 症状の記録をとっておく
- 医師の診断に従った労働や生活の調整
特に重要なのは、医師の診断に従い、適切な治療を継続することです。それでも、事故の状況によっては残念ながら完全に事故前の状態まで回復せず、症状固定(これ以上治療を続けたとしても改善が期待できない状態)と診断されてしまうことがあります。
症状固定の時期は医師が判断しますが、通常は事故から1か月~6か月程度とされています。治療の終了時期について、相手側の保険会社から言われることがあるかもしれませんが、医師の診断に従ってください。保険会社への対応に悩んだ場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
3、適切な後遺障害等級認定と慰謝料の請求方法
残念ながら治療を続けても痛みやしびれが残ってしまった場合、適切な補償を受けるために「後遺障害等級認定」という手続きを行うことになります。
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(1)事故被害者が損害賠償請求できるお金
まず、交通事故の被害者の方が加害者(側の保険会社)に請求できる損害賠償には、主に以下のようなものがあります。
- 治療関係費:診察料、薬代、各種検査費用、入院費、通院交通費など
- 休業損害:事故による怪我が原因で仕事を休んだことによる減収分
- 入通院慰謝料:入院や通院を強いられたことに対する精神的苦痛への補償
- 後遺障害慰謝料:後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛への補償
- 後遺障害逸失利益:後遺障害によって将来の収入が減少することへの補償
このうち、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」は、後遺障害等級が認定されなければ請求することはできません。
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(2)後遺障害等級認定が重要な理由|認定なしとアリの差
後遺障害等級とは、交通事故によって残ってしまった後遺症を、その症状や程度に応じて1級から14級までの等級に分類したものです。後遺障害等級認定の有無により、受け取ることができる損害賠償額には大きな差が生じます。
骨挫傷と診断されたのち症状が残ってしまった場合、「局部に神経症状を残すもの」として第14級9号が認定される可能性があります。
【認定された等級と慰謝料額】後遺障害等級認定なし 第14級9号が認定 後遺障害慰謝料(裁判所基準) 0円 110万円 労働能力喪失率 0% 5% 労働能力喪失率は、逸失利益の計算で用いられます。
たとえば、膝の骨挫傷により第14級9号の認定を受けた40歳男性会社員(年収500万円)の場合の逸失利益は以下のように計算されます。【逸失利益の計算例】
- 基礎収入:500万円
- 労働能力喪失率:5%
- 労働能力喪失期間:5年
- ライプニッツ係数:4.5797
弁護士に対応を依頼した場合、後遺障害慰謝料(110万円(裁判所基準))と後遺障害逸失利益を合わせると、200万円を超える金額を請求できる可能性があります。もちろんこのほかにも、実際に治療にかかった費用や休業損害なども請求します。
しかし、もし、「事故直後に撮ったレントゲンで骨折ではなかったから」という理由で、その後痛みが出ても検査をしていない場合、どうなるでしょうか。骨挫傷が見逃され、満足な治療を受けることができず、痛みやしびれが残り、後遺障害となってしまったとしても、後遺障害等級の認定を受けることは難しくなります。これは、事故による負傷が原因であるかについて因果関係の特定が難しくなるためです。
後遺障害等級の認定を受けられなかった場合、慰謝料として請求できる項目は入通院慰謝料のみとなります。この差は非常に大きいことがご理解いただけるでしょう。 -
(3)骨挫傷の慰謝料相場と計算方法|3種の算定基準による違い
後遺障害等級が認定されたとしても、保険会社が提示する示談金が思いのほか少ない、と感じられることがあるかもしれません。
実は、交通事故の慰謝料を計算する算定基準は、3つあります。
まず、「自賠責基準」は法律で定められた最低限の補償を行う基準です。そして、「任意保険基準」は、加害者側の任意保険会社が独自に設定している基準です。任意保険基準は、自賠責基準よりは高いですが、限りなく自賠責基準に近い金額となるケースがほとんどです。
そして、依頼を受けた弁護士が用いる「裁判所基準(弁護士基準)」は、過去の裁判例に基づいて定められた基準であり、3つの基準の中で最も高額になります。
【骨挫傷における後遺障害慰謝料、算定基準ごとの違い】第14級9号 自賠責基準 32万円(逸失利益と合算して最大75万円) 裁判所基準(弁護士基準) 110万円 加害者側の保険会社が被害者本人に提示してくる金額は、通常、自賠責基準若しくは任意保険基準です。個人の方が裁判所基準で請求したとしても、受け入れてくれることは、ほぼありません。そのため、裁判所基準で慰謝料を請求するためには、弁護士に交渉を依頼する必要があります。
事例紹介
4、事故で骨挫傷になった方が弁護士に対応を依頼すべき理由
骨折もしていないのに弁護士に頼むなんて……と思われるかもしれません。しかし、交通事故により、レントゲンなどですぐに判定できず証明が難しくなりがちな骨挫傷を負ってしまった場合こそ、交通事故問題についての知見が豊富な弁護士のサポートが有効となります。
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(1)保険会社との交渉ストレスから解放される
事故後の心身がつらい状況下で、専門知識が豊富な相手方保険会社の担当者と交渉を行うのは、大変な精神的負担を感じる方が多いものです。
特に、骨挫傷のような、外見からはわかりにくい怪我の場合、以下のような対応をされることがあります。- 「MRI検査は必要ない」と検査費用の支払いを渋る
- 「痛みの原因は事故以外にある」と因果関係を否定する
- 「もう治療の必要はない」と、主治医に言われていないのに治療費の打ち切りを通告する
- 「後遺障害には該当しない」と等級認定を否定する
保険会社は営利企業ですから、支払額をできるだけ抑えようとするのは当然といえるかもしれません。
しかし、弁護士に対応を依頼すれば、あなたの代理人として相手方保険会社との交渉を行います。あなたは治療に専念することができ、精神的なストレスから解放されるでしょう。 -
(2)後遺障害等級認定申請のサポートを受けられる
骨挫傷で後遺障害等級認定を得るためには、MRI画像はもちろんのこと、症状の一貫性や治療経過を説得力のある形で、かつ法的な観点でも認められる形で主張する必要があります。
交通事故対応の知見が豊富な弁護士であれば、これまでの経験から、どのような書類や証拠をそろえ、どのように主張を行えば認定の可能性が高まるかを熟知しています。医師が作成する「後遺障害診断書」の内容を事前にチェックし、より有利な認定が得られるようサポートすることが可能です。 -
(3)最も高額で実情に沿った損害賠償請求を行うことができる
前述のとおり、慰謝料の算定基準が異なるだけで請求できる金額が大きく変わります。弁護士に対応を依頼することにより、最も高額な「裁判所基準(弁護士基準)」で慰謝料を請求することが可能です。保険会社から提示された示談金が、実はあなたが負った怪我の実情に見合わない金額しか提示されていないケースが多々あることを知っておきましょう。
保険会社に示談金として慰謝料や損害賠償金を提示されたとしても、すぐには承諾せず、まずは弁護士にご相談ください。本来あなたが受け取るべき正当な賠償金を計算し、弁護士に依頼した場合はどれぐらい増額するのかについて、計算します。
また、前述のとおり、請求できるお金は慰謝料だけではありません。すべての項目を漏れなく請求するためにも、本来はなかったはずの過失が問われて減額される事態を回避するためにも、一度弁護士に相談することをおすすめします。
以下の慰謝料算定ツールでは、完全無料・匿名であなたの交通事故慰謝料を無料で算定することができます。慰謝料の算定や弁護士相談の参考としてご活用ください。 -
(4)弁護士費用特約があれば実質0円で利用可能
弁護士に対応を依頼したいと思っても、費用面に心配がある方は少なくないようです。そのような場合であっても、まずは弁護士に相談したほうがよいでしょう。
なぜなら、弁護士費用特約を使用すれば、上限額(多くは300万円)まで、保険会社が弁護士費用を負担してくれるため、被害者自身が弁護士費用を負担する必要はありません。まずは、ご自身やご家族が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」を付けているかご確認ください。弁護士費用特約を利用すれば、更新時の等級に影響するのではと思うかもしれませんが、この特約を利用しても自動車保険の等級は下がりません。ほとんどのケースで、実質的な自己負担0円で弁護士に依頼することが可能です。
また、弁護士費用特約を付けていなかったケースでも、ベリーベスト法律事務所では初回相談と着手金は無料です。弁護士費用が受け取れる金額を上回ってしまうかどうかについても、初回相談の時点であらかじめご確認いただけます。
「骨挫傷」は、決して軽視してよい怪我ではありません。
適切な対応を知っているかどうかで、その後の治療や受け取れる賠償金が大きく変わってしまいます。ベリーベスト法律事務所には、交通事故専門チームがあり、医療知識を持つコーディネーターと連携をとった対応が可能です。
あなたの怪我の状態を正しく理解し、最善の解決策をご提案し、解決までサポートします。
ひとりで悩まず、抱えている不安や疑問を弁護士にご相談ください。