【図解】脊髄損傷レベルの覚え方と症状|後遺障害等級・慰謝料の相場を解説

更新:2026年01月28日 公開:2026年01月28日
後遺障害
【図解】脊髄損傷レベルの覚え方と症状|後遺障害等級・慰謝料の相場を解説
交通事故による脊髄損傷は、損傷部位(C1~S5)によって麻痺や呼吸障害、排泄障害など症状が異なります。

適切な賠償金を受け取るには、自分の症状レベルを把握し、正しい後遺障害等級認定を受けることが重要です。

本記事では、脊髄損傷レベルの覚え方や症状、後遺障害等級の一覧、慰謝料相場などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、脊髄損傷レベル(C1~S5)の分類と症状の覚え方

脊髄は、脳と全身をつなぐ太い神経の束で、中枢神経系の一部として運動や感覚、自律神経の働きをコントロールしています

脊髄は背骨(脊椎)に守られており、首から腰までを通る一本の幹のような存在です。ここから枝分かれする末梢神経が、手足や内臓に信号を送っています。

交通事故や転倒などで強い外力が加わると、脊髄そのものに損傷が生じたり、脊椎の骨折や出血によって脊髄が圧迫されたりすることがあります。これを脊髄損傷といい、骨折を伴う場合を「骨傷性脊髄損傷」、伴わない場合を「非骨傷性脊髄損傷」と呼ぶのが一般的です

損傷の高さ(レベル)が脳に近いほど症状は重くなりやすい、というのが覚え方の基本です。以下では、部位ごとに症状の特徴を見ていきます。

  1. (1)【図解】C1~S5の脊髄損傷レベル

    脊髄損傷の症状は、損傷した部位(レベル)によって異なります。図1は、首の頚髄(C1~C8)、胸の胸髄(T1~T12)、腰の腰髄(L1~L5)、骨盤の仙髄(S1~S5)の位置関係を示したものです。まずはこの図で、自分の損傷部位がどの位置にあるかを把握しておきましょう。

    ■脊髄損傷の部位(レベル)ごとの身体への影響

    頚髄損傷(C1~C7)|呼吸機能障害や四肢麻痺
    首にある神経で、上半身や呼吸筋をコントロールする部位。損傷すると呼吸機能や四肢の動きに深刻な影響がでる。

    胸髄損傷(T1~T12)|下肢麻痺や体幹の安定性への影響
    主に体幹と下肢の動きをコントロールする部位。損傷すると座位保持や姿勢の維持が難しくなる。

    腰髄損傷(L1~L5)|下肢機能障害
    股関節や膝、足の動きをコントロールする部位。損傷レベルにより歩行能力に影響する。

    仙髄損傷(S1~S5)|排泄障害
    足首や足指の動き、ふくらはぎから足裏の感覚、さらに排尿・排便といった自律神経機能をつかさどる部位。損傷すると、下肢末端の感覚障害や筋力低下、排泄機能へ影響がでる。

    ここで覚えておきたいのは、「脳に近いほど、症状は重くなりやすい」というシンプルな原則です。

    たとえば、頚髄(C1~C4)では呼吸筋まで影響が及ぶ一方、仙髄(S1~S5)では主に排尿・排便機能に関わる症状が出ます。

    次項では、レベル別の症状の特徴を詳しく解説します。

  2. (2)脊髄損傷レベルに応じた症状の特徴

    脊髄損傷は、損傷した高さ(レベル)によって症状の出方が大きく変わります。損傷部位が脳に近いほど障害範囲が広く、重度になりやすい点が覚え方のポイントです
    以下では、頚髄・胸髄・腰髄・仙髄の4つに分けて特徴を解説します。

    ① 頚髄損傷(C1~C8)|呼吸機能障害や四肢麻痺
    頚髄は首にある神経で、上半身や呼吸筋をコントロールする重要な部位です。ここが損傷すると、呼吸機能や四肢の動きに深刻な影響が出る場合があります。

    ・C1~C3損傷
    横隔膜が麻痺して自力呼吸ができなくなることが多く、人工呼吸器が必要になるケースもあります。四肢麻痺が生じることがほとんどです。

    ・C4損傷
    呼吸機能はある程度保たれるものの、手足は動かせず四肢麻痺が残ります。

    ・C5損傷
    肩・肘の動きは可能で、日常生活の一部動作ができるようになりますが、体幹や下肢に麻痺が生じます。

    ・C6~C7損傷
    手首や指の動きが一部残り、車いす操作や食事など日常動作が可能になる場合があります。下半身の麻痺は残ります。

    ② 胸髄損傷(T1~T12)|下肢麻痺や体幹の安定性への影響
    胸髄は主に体幹と下肢の動きをコントロールする部位です。損傷時には下半身の麻痺に加え、腹筋や背筋が弱くなり、座位保持や姿勢の維持が難しくなります。

    ・T1~T6損傷
    体幹の筋力が低下し、座位の安定が難しくなるほか、呼吸が浅くなることもあります。下半身にも麻痺が生じます。

    ・T7~T12損傷
    上半身の安定性は保たれやすく、リハビリにより車いす操作や移乗動作が自立できる場合もありますが、下肢麻痺は残ります。

    ③ 腰髄損傷(L1~L5)|下肢機能障害
    腰髄は股関節や膝、足の動きをコントロールする重要な部位です。損傷レベルが低いほど、歩行能力が残る可能性が高いとされています。

    ・L1~L2損傷
    腰や鼠径部から大腿にかけて感覚が鈍くなり、股関節や膝の動きが制限されます。歩行には杖や歩行器などの補助具が必要になることが多いです。

    ・L3~L5損傷
    膝の伸展や足首の動きが一部保たれ、装具をつければ歩行可能になるケースもあります。感覚障害は大腿前面や下腿、足の甲などに現れます。

    ④ 仙髄損傷(S1~S5)|排泄障害
    仙髄は、足首や足指の動き、ふくらはぎから足裏の感覚、さらに排尿・排便といった自律神経機能をつかさどる重要な部位です。損傷すると、下肢末端の感覚障害や筋力低下に加えて、排泄機能への影響が大きな課題となります。

    ・S1損傷
    足首や足指の筋力が低下し、つま先を上げる動きが難しくなるため、歩行時に足が引っかかり、つまずきやすくなります。ふくらはぎや足裏の感覚が鈍ることもあります。

    ・S2〜S4損傷
    この範囲には排尿・排便をつかさどる仙髄中枢があり、損傷すると尿意や便意がわかりにくくなり、自力で排泄するのが難しくなることがあります。さらに、性機能をつかさどる神経も含まれるため、勃起障害や射精障害といった症状が現れることがあります。
初回相談 60 無料
全国対応
「交通事故被害」や
「慰謝料」のこと
弁護士に無料相談しませんか?
「交通事故被害」や「慰謝料」のこと 弁護士に無料相談しませんか?
FREE
0120-49-5225 平日 9:30~21:00|土日祝 9:30~18:00
FREE
電話でお問い合わせ 平日 9:30~21:00|土日祝 9:30~18:00
弁護士費用特約をご利用の場合、特約内で相談料1時間11,000円(税込)を頂戴しますが、ご負担はありません。

2、【一覧】脊髄損傷レベルごとの後遺障害等級

脊髄損傷では、麻痺や感覚障害などの後遺症が残ると「後遺障害等級」が認定され、賠償金や慰謝料の金額に大きく影響します

脊髄損傷による後遺障害等級は、症状の重さや日常生活・仕事への支障度合いに応じて別表1の第1級1号から別表2の第12級13号まで7段階に分類されます。

下表では、等級ごとに「概要」「具体的な症状」を整理しました。ご自身やご家族の症状がどの等級に当たるかを確認する目安として参考にしてください。

等級 概要(障害の程度・介護要否等) 具体的な症状・例示
別表第1
1級1号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 高度な四肢麻痺や両下肢麻痺(医学的には対麻痺)で寝たきり、日常動作を自力で行えない
2級1号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 四肢麻痺または両下肢麻痺があり、入浴・排泄・着替えなど日常生活で随時介護が必要
別表第2
3級3号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 重度の麻痺により仕事や家事がほぼ不可能だが、随時介護までは不要な状態
5級2号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 両下肢に強い麻痺があり、肉体労働は困難だが特に簡単な作業なら可能なケース
7級4号 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 下肢や体幹に麻痺が残り、通常の勤務は難しいが、座位中心の仕事なら可能
9級10号 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 麻痺や感覚低下により動作が制限されるが、工夫次第で仕事は継続可能
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 軽度のしびれや感覚鈍麻、軽い運動制限などが残るが日常生活は自立可能

3、脊髄損傷レベルに応じて請求できる損害賠償項目と慰謝料相場

交通事故で脊髄損傷を負い、麻痺や排泄障害など重い後遺症が残った場合、被害者や家族には多くの経済的負担が生じます。

ここでは、被害者が請求できる主な損害賠償項目と、後遺障害等級別の慰謝料相場を整理しました。

  1. (1)脊髄損傷で請求できる主な損害賠償項目

    脊髄損傷の被害者が請求できる代表的な損害賠償項目は次のとおりです。

    脊髄損傷における主な損害賠償項目
    治療費・入院費 手術・投薬・入院・通院にかかる実費
    入院付添費・雑費 入院時の家族付添や日用品費用
    傷害慰謝料 入院・通院による精神的苦痛への補償
    後遺障害慰謝料 後遺症が残ったことへの精神的苦痛への補償
    逸失利益 後遺症による将来得られたはずの収入の減少分
    将来介護費 今後必要となる介護費用(職業介護・家族介護を含む)
    将来雑費 おむつ代・消耗品・通院交通費など
    装具・器具購入費 車いす・介護ベッド・マットレスなど
    家屋・車両改造費 スロープや浴室のバリアフリー化、車の改造費など
    損害賠償請求関係費 診断書・鑑定書作成費など
  2. (2)脊髄損傷による後遺障害慰謝料の相場

    脊髄損傷で麻痺や感覚障害などの後遺症が残った場合、症状固定後に後遺障害慰謝料を請求できます

    症状固定とは、治療を続けてもそれ以上大きな改善が見込めない状態を指します。この時点で残存した症状に応じて後遺障害等級が認定され、賠償請求の対象が確定します。

    後遺障害慰謝料には、主に次の2つの基準があります。

    ① 自賠責基準
    自動車損害賠償責任保険が定める全国一律の最低限の基準。金額は低めです。

    ② 裁判所基準(弁護士基準)
    過去の裁判例をもとにした算定基準を用いて算出する基準。もっとも高額になりやすく、弁護士に依頼した場合はこの基準での請求を目指します。

    次の表では、後遺障害等級ごとの慰謝料額を自賠責基準と裁判所基準で比較しています。

    等級 自賠責基準慰謝料 裁判基準慰謝料
    別表1
    1級 1,650万円 2,800万円
    2級 1,203万円 2,370万円
    別表2
    3級 861万円 1,990万円
    5級 618万円 1,400万円
    7級 419万円 1,000万円
    9級 249万円 690万円
    12級 94万円 290万円

    症状固定後の認定が遅れると賠償請求も後ろ倒しになります。適切なタイミングで等級認定を申請し、裁判基準での慰謝料獲得を目指すためには、早めに弁護士に相談することが重要です

初回相談 60 無料
全国対応
「交通事故被害」や
「慰謝料」のこと
弁護士に無料相談しませんか?
「交通事故被害」や「慰謝料」のこと 弁護士に無料相談しませんか?
FREE
0120-49-5225 平日 9:30~21:00|土日祝 9:30~18:00
FREE
電話でお問い合わせ 平日 9:30~21:00|土日祝 9:30~18:00
弁護士費用特約をご利用の場合、特約内で相談料1時間11,000円(税込)を頂戴しますが、ご負担はありません。

4、交通事故で脊髄損傷の障害が残ったときに弁護士のサポートが重要な理由

脊髄損傷は、治療やリハビリが長期にわたり、後遺障害等級の認定や損害賠償請求も複雑になりがちです。被害者や家族が単独で保険会社と交渉するのは大きな負担になります。ここでは、弁護士に依頼するメリットを解説します。

  1. (1)保険会社とのやり取りを任せて治療や回復に専念できる

    交通事故後は、保険会社からの書類や連絡が頻繁に届きます。弁護士に依頼すれば、これらのやり取りをすべて任せられるため、被害者や家族は治療やリハビリに集中できます。必要な書類の収集や提出期限の管理も弁護士が行うため、手続きの漏れやミスを防げます。

  2. (2)適切な後遺障害等級の認定が受けられる

    後遺障害等級は、今後受け取る慰謝料や逸失利益の金額に直結します。

    しかし、提出する診断書や検査結果が不十分だと、適切な等級の認定が受けられないこともあります。弁護士は必要な医証の収集や申請書類の作成をサポートし、認定の見落としや不利益を防ぎます。また、異議申立ても含め、適切な等級認定を目指せます。

  3. (3)慰謝料などの増額が期待できる

    保険会社が提示する賠償額は、「自賠責基準」または保険会社が独自に設けている「任意保険基準」で計算されていることが多いです。この基準は、過去の裁判例を基準とした「裁判所基準」より低額である場合が少なくありません。

    裁判所基準で慰謝料請求をすることは、弁護士なしでは困難です。弁護士が交渉に入ることで、裁判所基準での示談が成立する可能性が高まります。

    特に脊髄損傷は将来介護費や住宅改造費なども含めた高額な賠償が認められるケースも多いため、緻密な立証活動が必要です。

5、まとめ

脊髄損傷で後遺障害が残った場合、今後の生活や仕事に大きな影響が出ます

日常動作や介護、経済的な負担も増えるため、弁護士に相談して適切な賠償を受けることが大切です。後遺障害等級の認定や損害賠償の請求は複雑で、早めの対応が望まれます。

ご自身やご家族が交通事故の被害に遭った場合は、まずは早めにベリーベスト法律事務所にご相談ください。経験豊富な弁護士が適正額の賠償獲得に尽力し、安心して生活を再建できるようサポートします。

この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

同じカテゴリの記事

同じカテゴリ一覧へ戻る 交通事故コラム一覧へ戻る
メールで相談 24時間受付 電話で無料相談 平日9:30~21:00 土日祝9:30~18:00