偽関節になるとどうなる? 交通事故でなった場合の対応法・慰謝料

更新:2026年01月29日 公開:2026年01月29日
後遺障害
偽関節になるとどうなる? 交通事故でなった場合の対応法・慰謝料
交通事故で骨折した際、医師から「なかなか骨がくっつかない」などと言われることもあるかもしれません。通常、骨折は数か月の治療で癒合しますが、まれに治りきらず、骨のつなぎ目が関節のように動いてしまう「偽関節(ぎかんせつ)」という状態になることがあります。

偽関節になると、痛みやしびれ、関節が動きすぎるような違和感などが続き、日常生活や仕事に支障をきたしてしまいます。このような場合、後遺障害として等級認定を受けることで、適正な賠償が受けられる可能性があるため、補償の種類や内容を確認しておきましょう。

今回は、偽関節になるとどのような症状が出るのか、交通事故で偽関節と診断された場合の対応方法、後遺障害等級の認定基準と慰謝料の目安などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、交通事故で偽関節になるとどうなる?

通常、骨折は3〜6か月ほどで自然に癒合しますが、何らかの原因で骨が再生せず、動くたびに痛みやぐらつきが残ることがありますこれが「偽関節(ぎかんせつ)」と呼ばれる状態です

以下では、偽関節の原因や症状、診断を受けたときに取るべき対応について説明します。

  1. (1)偽関節の原因・症状

    交通事故で強い衝撃を受けて骨が粉砕されたり、骨折の手術をしてからの固定が不十分だったりすると、骨の再生がうまく進まずに偽関節となるケースがあります。

    具体的には、以下のような原因で偽関節が起こってしまいます。

    • 骨折部分のずれが大きく、骨同士がしっかり接触していない
    • 血流障害などで骨の再生が妨げられた
    • 感染や炎症が起きて治りが悪化した
    • 手術後の安静不足や外力による再損傷

    症状としては、骨折部の痛みや腫れが長く続くほか、患部がぐらぐらして力が入らない、異常に動くといった違和感を抱く方もいるでしょう。

    特に、太ももやすねなどの下肢の偽関節は、歩行に支障をきたし、長時間の立ち仕事や階段の上り下りが難しくなることもあります。
    また、手や腕に起きた場合は、握力の低下や細かい作業の困難さにつながりかねません。

  2. (2)偽関節になった場合の対応

    交通事故による骨折の治療を受けたあと、偽関節のような症状があったら、次のような対応を行いましょう。

    ① 再検査を受けて偽関節の確定診断を受ける
    まずは整形外科でレントゲンやCT検査を受け、骨の癒合状態を確認します。仮骨(骨の再生組織)ができていない場合、癒合不全として偽関節と診断されます。

    ② 再治療で治るか確認する
    骨移植や金属プレートによる再固定など、追加治療で回復できるケースもあります。治療方針に迷う場合は、セカンドオピニオンを受けることも検討しましょう。

    ③ 再治療をする場合は保険会社に連絡する
    再手術を行うと治療期間が延びるため、必ず加害者側の保険会社に手術することを報告しておきましょう。

    ④ 治癒の見込みがない場合は後遺障害等級認定の申請をする
    医師から「症状固定」と判断された場合、後遺障害等級認定の申請をしましょう。詳細は2章で解説します。

    偽関節の治療は長期化しやすく、状態によっては1年以上かかることも珍しくありません。独断で判断せず、医師とよく相談をしながら症状を見定めましょう。

2、偽関節が治らなければ、後遺障害等級認定の申請を

偽関節の治療をしても、完治せず、癒合不全の状態が続いてしまうこともあります。このような場合、医師から「症状固定」と判断され、完治しないまま残った症状(後遺障害)として扱われることになります。

以下では、後遺障害があると認定された場合に受けられる「後遺障害等級認定」の仕組みと、偽関節で認定される可能性のある等級について説明しましょう。

  1. (1)後遺障害等級認定とは

    交通事故でケガを負って治療をしても、痛みやしびれ、関節の動かしづらさなどが残る場合があります。このように後遺障害が残ったら、後遺障害等級認定の申請を行うことができます。

    後遺障害等級認定とは、医師の診断書やレントゲン・CT画像などの客観的な資料に基づいて、後遺障害があるかどうか、どの等級に該当するのかを審査・認定する手続きです。後遺障害の等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど重い障害にあたります。

    偽関節で後遺障害等級認定を申請する場合、すべての治療が終わってから申請することが大切です。治療の途中で申請してしまうと、正確な等級で認定されないおそれがあります。
    医師から「これ以上の改善は見込めない」と診断されたタイミングで、申請をしましょう。

  2. (2)偽関節で認定されうる後遺障害等級

    偽関節で認定される可能性がある後遺障害等級は、骨折した部位(上肢・下肢)や、可動域制限の有無に応じて、以下が挙げられます。

    後遺障害等級 認定要件
    7級9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
    7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
    8級8号 1上肢に偽関節を残すもの
    8級9号 1下肢に偽関節を残すもの

    それぞれ、どのような状態を指すのか、さらに詳しく紹介しましょう。

    ① 上肢の後遺障害等級
    後遺障害7級9号にあたる「上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、常に硬性補装具を必要とする状態であり、かつ、以下のいずれかに該当する状態です。

    • 上腕骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの
    • 橈骨(とうこつ)および尺骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの

    また、後遺障害8級8号にあたる「上肢に偽関節を残すもの」とは、以下のいずれかに該当する状態を指します。

    • 上腕骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
    • 橈骨および尺骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
    • 橈骨または尺骨のいずれか一方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの

    ② 下肢の後遺障害等級
    後遺障害7級10号にあたる「下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、常に硬性補装具を必要とする状態であり、かつ、以下のいずれかに該当する状態です。

    • 大腿(だいたい)骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの
    • 脛骨(けいこつ)および腓骨(ひこつ)の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの
    • 脛骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもの

    また、後遺障害8級9号にあたる「下肢に偽関節を残すもの」とは、上記の7級10号のうち、硬性補装具を使っていない、または常時ではなく必要時に使っている状態を指します。

3、偽関節になったら、賠償は受けられる?

偽関節の治療には時間がかかるだけでなく、痛みや可動域の制限によって日常生活に大きな支障をきたすこともあるでしょう。このような損害を補うために、交通事故の被害者は加害者側の保険会社からさまざまな賠償(損害賠償)を受けることが可能です。

以下では、交通事故で偽関節になった際に受け取れる賠償の種類と、慰謝料の金額を決める基準について説明します。

  1. (1)受け取れる賠償の種類

    交通事故が原因で偽関節となった場合、加害者側の保険会社から受けられる賠償には、以下のようなものがあります。

    • 治療費:診察料、手術費、入院費、投薬費、リハビリ費用など
    • 通院交通費:病院への通院にかかった交通費
    • 休業損害:けがの治療により仕事を休んだ期間の収入補償
    • 入通院慰謝料:通院や入院で被った精神的苦痛への補償
    • 後遺障害慰謝料:後遺障害が残った場合に支払われる精神的苦痛への補償
    • 後遺障害逸失利益:後遺障害によって将来得られなくなった収入分の補償

    このうち「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」は、後遺障害等級の認定を受けた場合に支払われるものです。

  2. (2)後遺障害慰謝料の算定基準は3つある

    後遺障害慰謝料の金額は、どの基準で計算するかによって大きく異なります。代表的な3つの基準は以下のとおりです。

    ① 自賠責保険基準
    自賠責保険が採用する最低限の賠償基準です。金額は3つの基準のなかで、もっとも低くなります。

    ② 任意保険基準
    加害者側の任意保険会社が独自に定めている基準です。自賠責基準よりはわずかに高いものの、被害者にとって十分な金額とはいえない場合が多いでしょう。

    ③ 裁判所基準(弁護士基準)
    過去の裁判例をもとに算定される、もっとも金額の高い基準です。弁護士に依頼して交渉・訴訟を行った場合に適用されます。

    なお、保険会社は、任意保険基準をもとに計算をして賠償額を提示します。しかし、被害者には、より高い基準である裁判所基準で賠償を受ける権利があります。

    適切な金額の賠償を受けるためにも、偽関節で後遺障害等級認定を受けたら、すぐに弁護士へ相談しましょう。弁護士は裁判所基準によって慰謝料を計算し、法的な観点から、保険会社と金額交渉をすることが可能です

4、交通事故に巻き込まれたら、早めに弁護士へ相談を

交通事故で偽関節などの後遺障害が残ってしまった場合、賠償の内容や金額は「後遺障害等級」の認定結果によって大きく変わります。

この認定を正しく受けるためには、医学的な証拠の準備や、申請手続きの知識が必要で、被害者本人だけで行うのは簡単ではありません。
そこで頼りになるのが、交通事故に詳しい弁護士です。

以下では、交通事故で後遺障害が残りうる怪我をおったときに、弁護士へ相談することで得られるメリットをいくつか紹介します。

  1. (1)後遺障害等級認定を適切に受けるための通院アドバイスができる

    後遺障害等級認定では、「医師の診断書」や「画像検査(レントゲン・CT)」などの医学的な証拠が重要になります。

    しかし、どの検査を受ければよいか、どのように症状を医師に伝えればよいかは、一般の方にはわかりづらいものです。

    治療の早い段階で弁護士に依頼すれば、適切に認定を受けるための通院回数や頻度、検査の受け方について、アドバイスを受けられます
    認定手続きをスムーズに進めるためにも、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。

  2. (2)後遺障害が残った際、適切な等級で認定を受けられるようサポートできる

    後遺障害等級の認定は、提出する資料の内容次第で結果が変わることがあります。「偽関節」と診断されても、提出資料が不十分な場合や、症状固定時期の判断が早すぎる場合には、本来より低い等級で認定されかねません。

    弁護士であれば、医療記録や検査画像、診断書の内容を確認し、申請書類を整えるサポートが可能です

    また、もし認定結果に納得できない場合は、「異議申立て」という再審査手続きも可能です。弁護士が必要な証拠の補強や意見書の作成を行うことで、より正当な認定を得られる可能性が高まります。

  3. (3)納得いく後遺障害慰謝料を受け取れる可能性が高まる

    先述のとおり、保険会社から提示される賠償額は、多くの場合「任意保険基準」で計算されており、実際の損害に見合わない低い金額にとどまることがあります。

    一方で、弁護士が代理人として交渉を行えば、裁判所の相場(裁判所基準)での賠償を求めることができます。

    たとえば、後遺障害等級7級の賠償を受ける場合、保険会社は後遺障害慰謝料として500万円前後で提示する可能性がありますが、裁判所基準を使うことで、1000万円ほどに増額できるケースもあります。

    弁護士が交渉することで、金銭的な負担が軽減されるだけでなく、「納得のいく解決」が実現しやすくなります

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5、まとめ

偽関節は、治療を続けても骨が癒合せず、長期にわたって痛みや可動制限が残る深刻な後遺障害です。

適切な等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益などで正当な賠償を受け取ることができますが、証拠・資料の準備や後遺障害等級認定の手続きには専門的な知識が欠かせません。

ベリーベスト法律事務所では、後遺障害等級認定の申請手続きや後遺障害慰謝料の交渉など、交通事故で後遺障害が残ってしまった方のサポートが可能です。交通事故で偽関節になってしまった方は、一人で悩まず、まずはベリーベスト法律事務所へご相談ください

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この記事の監修者
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弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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