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交通事故で足切断。適切な賠償を受けるには? 将来生じ得る費用は含まれる?

公開日:2023年11月22日 慰謝料・損害賠償
交通事故が原因で足を切断せざるを得なくなった場合、仕事や日常生活に大きな支障が生じます。義足や車いす生活を余儀なくされる、今まで働いていた仕事を辞めなければならないなど、将来にわたってさまざまな損害が発生します。

このような損害は、交通事故の賠償金として補塡(ほてん)されるのでしょうか。

本コラムは、交通事故により足の切断を余儀なくされた場合の後遺障害等級認定や請求できる損害賠償の内容などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、交通事故による足の切断における後遺障害等級認定

交通事故により足を切断した場合には、後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。足を切断した箇所に応じて、後遺障害等級が変わりますので、以下で詳しく説明します。

  1. (1)ひざ関節以上で失ったもの(両下肢:別表第二1級5号・一下肢:別表第二4級5号)

    ひざ関節以上で失った場合は、両下肢では後遺障害等級別表第二1級5号、一下肢では別表第二4級5号と認定されます。下肢をひざ関節以上で失ったものとは、股関節からひざ関節までの間で切断し失ったものをいい、股関節またはひざ関節において離断したものも含まれます。より具体的には、以下のいずれかに該当するものをいいます。

    • 股関節において寛骨と大腿(だいたい)骨を離脱したもの
    • 股関節とひざ関節との間において切断したもの
    • ひざ関節において、大腿骨と脛骨(けいこつ)および腓骨(ひこつ)とを離断したもの
  2. (2)両下肢を足関節以上で失ったもの(両下肢:別第二2級4号・一下肢:別表第二5級5号)

    足関節以上で失った場合は、両下肢では後遺障害等級2級4号、一下肢では別表第二5級5号と認定されます。
    下肢を足関節以上で失ったものとは、ひざ関節を残し、足関節までの間で切断し失ったものをいい、足関節において離断したものも含まれます。より具体的には、以下のいずれかに該当するものをいいます。

    • ひざ関節と足関節との間において切断したもの
    • 足関節において、脛骨および腓骨と距骨とを離断したもの
  3. (3)リスフラン関節以上で失ったもの(両下肢:別表第二4級7号、一下肢:別表第二7級8号)

    リスフラン関節(足の甲の関節)以上で失った場合は、両下肢では後遺障害等級4級7号、一下肢では別表第二7級8号と認定されます。足をリスフラン関節以上で失ったものとは、足関節を残し、リスフラン関節までの間で切断し失ったものをいい、リスフラン関節において切断したものも含まれます。より具体的には、以下のいずれかに該当するものをいいます。

    • 足根骨において切断したもの
    • リスフラン関節において中足骨と足根骨とを離断したもの

2、交通事故で足を切断した場合に請求できるもの|将来生じ得る費用は含まれる?

交通事故で足を切断した場合には、どのような損害を請求することができるのでしょうか。

  1. (1)足を切断した場合に請求できる損害項目

    足を切断した場合に請求できる主な損害項目としては、以下のものが挙げられます。

    ① 治療関係費
    交通事故の治療関係費として、以下の費用を請求することができます。

    • 治療費
    • 付添看護費
    • 入院雑費
    • 文書料
    • 通院交通費
    • 装具・器具購入費用


    ② 休業損害
    交通事故で足を切断した場合、入院や手術、その後の通院などのために仕事を休んだり、遅刻・早退が必要になったりすることが考えられます。そうなると休んだ日数分の収入が減ってしまいますが、そのような減収分については、休業損害として請求することができます。
    実際に減収がない主婦の方も、家事労働に支障が生じたとして休業損害を請求することが可能です。

    ③ 入通院慰謝料
    交通事故で怪我をしたことによる肉体的・精神的苦痛に対しては、入通院慰謝料(「傷害慰謝料」とも言われます。)を請求することができます。入通院慰謝料は、入通院日数や入通院期間などに基づき算定するのが一般的です。

    ④ 後遺障害慰謝料
    交通事故により後遺障害が残存した場合には、後遺障害慰謝料を請求することができます。足を切断した場合には、基本的には、切断した箇所に応じた後遺障害等級に基づいて、後遺障害慰謝料を請求することが可能です。

    ⑤ 後遺障害逸失利益
    交通事故により後遺障害が残存した場合、仕事に大きな支障が生じ、これまでどおりの働き方ができなくなることがあります。そのような場合、将来にわたって本来得られたはずの収入が得られなくなるなどの損害が生じてしまいます。そこでこのような損害に関しては、後遺障害逸失利益として請求することができます。
    なお、詳しい計算方法や項目の説明については、後述します。

    ⑥ 近親者慰謝料
    後遺障害の程度によっては、被害者が生命を害された場合にも比肩しうる面があるとして、近親者の慰謝料が認められることもあります。

  2. (2)将来生じる費用として請求できるもの

    交通事故により足を切断した場合には、将来にわたってさまざまな損害が発生します。将来生じる費用として請求できる主な損害としては、以下のものが挙げられます。

    ① 後遺障害逸失利益
    後遺障害逸失利益は、以下のような計算式により計算をします。

    【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数】

    各項目の詳しい内容は、以下のとおりです。

    【基礎収入】
    基礎収入は、基本的には、事故前1年間の収入が基準になります。
    サラリーマンであれば、事故前年の源泉徴収票の総支給額が基礎収入になります。また、主婦であっても家事労働として金銭的評価が可能ですので、賃金センサスの女性労働者全年齢平均が基礎収入になります。

    【労働能力喪失率】
    労働能力喪失率とは、後遺障害によりどの程度働く能力が低下したかを数値化したものです。足の切断をした場合の労働能力喪失率は、基本的には、以下のようになります。

    • 両下肢をひざ関節以上で失ったもの(別表第二1級5号)……100%
    • 両下肢を足関節以上で失ったもの(別表第二2級4号)……100%
    • 一下肢をひざ関節以上で失ったもの(別表第二4級5号)……92%
    • 両足をリスフラン関節以上で失ったもの(別表第二4級7号)……92%
    • 一下肢を足関節以上で失ったもの(別表第二5級5号)……79%
    • 一足をリスフラン関節以上で失ったもの(別表第二7級8号)……56%


    【労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数】
    労働能力喪失期間とは、後遺障害によって働く能力が制限される期間をいいます。基本的には、症状固定時の年齢から67歳になるまでの年数が基準となります。ただし、以下のようなケースでは、これと異なる計算をします。

    • 18歳未満の子ども……18歳から67歳までの年数
    • 大学生……大学を卒業する時点から67歳までの年数
    • 67歳までの期間が短い人……67歳までの年数または平均余命の2分の1のうち長い方
    • 67歳を超える人……平均余命の2分の1

    ライプニッツ係数とは、中間利息控除をするために利用する数値です。中間利息控除とは、簡単にいえばもらいすぎになる利息を控除することをいいます。逸失利益は、将来にわたって支払われるはずだった収入を一括で受け取ることになりますので、本来得られるはずのなかった利息が発生します。そこで、被害者に必要以上の利益を与えることにならないようにするために中間利息控除が行われます。

    ② 将来介護費
    将来介護費は、介護が必要な後遺障害が生じた場合に認められる損害項目です。介護を要する後遺障害については、後遺障害等級別表第二ではなく、別表第一の範疇ですが、足の切断による後遺障害の場合であっても、具体的な状況によっては支払い対象となる可能性もあります。

    ③ 装具・器具費(メンテナンスや買い替え費用)
    義足や車いすは、一度購入すれば一生涯使用できるというものではありません。成長に合わせてメンテナンスが必要になることや、耐用年数を過ぎれば買い替えも検討しなければなりません。
    このようなメンテナンスや買い替えに要する費用についても、損害に含めて請求できる可能性があります。

    ④ 家屋改造費
    足を切断してしまうと日常生活に支障が生じるため、自宅のバリアフリー化が必要になることもあります。バリアフリー化のためのリフォーム費用は家屋改造費として損害に含めて請求することができます。

    ⑤ 自動車改造費
    足を切断してしまうと、車の運転をする際のブレーキやアクセルの操作を足で行うことができなくなりますので、自動車の改造が必要になります。車椅子仕様の福祉車両の購入が必要となることもあるでしょう。このような自動車改造費・車両購入費についても、損害に含めて請求することができます。

3、適切な賠償を受けるために確認しておきたいこと

適切な賠償を受けるためにも、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  1. (1)後遺障害慰謝料には3つの算定基準がある

    後遺障害慰謝料の算定基準には、以下の3種類の基準が存在しています。

    • 自賠責保険基準
    • 任意保険基準
    • 裁判所基準(弁護士基準)

    後遺障害慰謝料を請求する際には、どの算定基準を利用するかによって、支払われる金額が大きく異なってきます。
    たとえば、「一下肢をひざ関節以上で失ったもの(4級5号)」という後遺障害が認定された場合には、自賠責保険基準で737万円、裁判所基準で1670万円が後遺障害慰謝料となります。このように2倍以上も金額に差が生じるケースもありますので、被害者としては裁判所基準の後遺障害慰謝料を請求してくことが大切です。

    ただし、裁判所基準を利用して後遺障害慰謝料を請求するためには、弁護士に示談交渉を依頼する必要がありますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

  2. (2)症状固定の判断は医師が行う

    怪我の治療が長引いていると、保険会社から治療費の打ち切りの打診を受けることがあります。しかし、治療の終了時期を判断するのは、保険会社の担当者ではなく、治療を担当している医師です。医師が治療の必要性があると認めているのであれば、保険会社から治療費の打ち切りの打診を受けたとしても、治療を継続することが大切です。

    治療を継続して、これ以上症状の改善が見込めない状態になれば、「症状固定」となりますので、その時点で残存している障害については、後遺障害等級認定の対象となります。

  3. (3)適切な賠償を受けるためには事前準備が大切

    足の切断が生じるような交通事故では、足の切断以外にもさまざまな後遺障害が生じる可能性があります。複数の後遺障害が生じているにもかかわらず、それらを見落としてしまうと、適切な賠償を受けることができなくなってしまいます。

    早期に弁護士に相談をすれば、後遺障害等級認定に必要となる書類などの準備を進めてくれます。適切な賠償を受けるためには、弁護士のアドバイスやサポートが不可欠ですので、できる限り早い段階で弁護士に相談することが大切です

4、交通事故で足を切断した場合に弁護士に相談するメリットと流れ

交通事故で足を切断した方は、適切な賠償を受けるためにも弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)弁護士に相談をするメリット

    弁護士に相談するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

    ① 適切な後遺障害等級認定に向けたサポートができる
    後遺障害等級認定の方法には、事前認定と被害者請求という2種類の方法があります。
    事前認定は、保険会社に任せて後遺障害等級認定の申請を行う方法で、被害者請求は、被害者自身で後遺障害等級認定の申請を行う方法です。

    提出する書類が同じであれば、どちらの方法であっても結論は変わりません。しかし、事前認定では、資料収集などの面で適正な後遺障害等級が認定されるように積極的に動いてくれることは期待できませんので、被害者請求の方法で行うべきです。

    弁護士に依頼すれば、適正な後遺障害等級が認定されるように積極的に動いて、後遺障害等級認定に必要となる書類の作成や収集のサポートをしてもらうことができますので、被害者請求でも、被害者自身の負担は抑えられます。

    ② 適切な賠償額を請求することができる
    交通事故により足を切断することになった場合には、一般的な損害項目に加えて、将来発生する損害についても請求していく必要があります。

    このような将来発生する損害については、被害者側でしっかりと主張立証していかなければ、保険会社が支払いに応じてくれることはありません。弁護士であれば、被害者に生じ得る損害について、正確に算出したうえで、請求することができますので、しっかりと被害回復を図ることができます。

    ③ 加害者および保険会社との交渉を一任できる
    弁護士に依頼をすれば、加害者や保険会社との交渉を一任することができますので、被害者の方の負担は大幅に軽減するといえるでしょう。不慣れな方では、保険会社から提示された条件が適正なものであるか判断できず、不利な条件であるにもかかわらず示談に応じてしまうリスクがあります。弁護士であればそのようなリスクはありませんので、安心して交渉を任せることができます。

  2. (2)弁護士に相談した場合の流れ

    弁護士に相談した場合には、以下のような流れで進んでいきます。

    ① 後遺障害等級認定のサポート
    医師により症状固定と判断されたら、後遺障害等級認定の申請を行います。
    後遺障害等級認定にあたっては、以下のような書類が必要になりますが、これらの書類の作成や収集は、弁護士がサポートします。

    • 支払い請求書
    • 交通事故証明書
    • 事故発生状況報告書
    • 医師の診断書、診療報酬明細書
    • 印鑑証明書
    • レントゲン画像など


    ② 示談交渉
    適正な後遺障害等級認定を受けた後は、被害者に生じた損害額を計算し、保険会社に請求していきます。弁護士が交渉する際には、裁判所基準に基づいて計算した賠償額を請求していくことになりますので、被害者の方が本人で対応するよりも有利な条件で示談できる可能性があります。

    ③ 裁判
    保険会社との交渉では満足いく条件での解決が図れないときは、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。裁判所への出頭や書面の提出などはすべて弁護士が対応しますので、被害者の方の負担はほとんどありません。

5、まとめ

足を切断するという交通事故の被害に遭ったときは、適正な後遺障害等級を受けることが大切になります。後遺障害等級認定の有無および等級によって、損害額が大きく変わってきますので、しっかりと被害の回復を行うためにも、専門家である弁護士のサポートを受けることが必要です

弁護士に相談することで適正な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高くなり、その他の費用なども含めて適切な賠償を受けることにつながります。交通事故により足を切断してしまった方は、まずは、ベリーベスト法律事務所へお気軽にご相談ください。

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