全国対応
0120-49-5225 平日 9:30~21:00 |土日祝 9:30~18:00

右直事故における過失割合の典型パターンと修正される要因

公開日:2024年6月4日 基礎知識 慰謝料・損害賠償
右直事故とは、右折車と直進車の間で発生する交通事故です。

右直事故における過失割合は、信号機の有無や両者の交差点への進入状況などによって変わってきます。右直事故による交通事故被害に遭ったら、弁護士のサポートを受けながら、適切な過失割合に基づく損害賠償を請求しましょう。

本記事では、右直事故における過失割合のパターンや修正要素などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、右直事故とは

「右直事故」とは、右折車と直進車の間の交通事故をいいます。
右直事故は、主に交差点において発生します。右折車の右折のタイミングが悪かったために、対向車線の直進車と衝突するケースが典型例です。また、すでに右折が完了しているかそれに近い状態(=既右折)にある右折車に対して、直進車が右折車の側面に衝突するケースもあります。

交差道路を通行する車同士の間で右直事故が発生することもあります。右折しようとした車に、交差道路を通行中の直進車が側面衝突するケースが典型例です。十字路交差点だけでなく、丁字路交差点においても同様の右直事故が発生することがあります。

さらに、交差点以外の場所でも、右折車が道路に進入し、または道路外に出ようとする際に右直事故が発生することがあります。たとえば、右折して駐車場などを出入りしようとする車と、本線を通行中の直進車が衝突するケースです。

右折車は直進車の進行妨害をしてはならないとされているため(道路交通法第37条)、右直事故の過失割合は、基本的には右折車の方が直進車よりも大きくなりますただし、交通事故の具体的な状況によって、過失割合は変化し得るので注意が必要です

2、状況パターン別|右直事故の基本過失割合

交通事故の過失割合は、損害賠償の金額に大きく影響します。特に被害者側としては、適正な過失割合に基づく損害賠償を請求することが大切です。

過失割合は、事故状況のパターンに応じた基本過失割合をベースに、修正要素を加味して決定します。以下の各パターンにつき、右直事故の基本過失割合を一覧的に紹介します。

なお、ここでは車対車の場合の右直事故の過失割合を紹介します。車対単車などの場合は、過失割合が変わる可能性もありますので、不明な点があれば弁護士に確認をしてみてください。



  1. (1)信号機がある交差点での右直事故の基本過失割合

    信号機がある交差点での右直事故については、右折車と直進車の各信号の色によって基本過失割合が変わります。


    右折車の信号 直進車の信号 右折車の過失割合 直進車の過失割合
    青信号 青信号 80 20
    進入時:青信号
    右折時:黄信号
    黄信号 30 70
    黄信号 黄信号 60 40
    赤信号 赤信号 50 50
    進入時:青信号
    右折時:赤信号
    赤信号 10 90
    進入時:黄信号
    右折時:赤信号
    赤信号 30 70
    赤信号(右折の青矢印あり) 赤信号 0 100
  2. (2)信号機がない交差点での右直事故の基本過失割合

    信号機がない交差点での右直事故については、右折車と直進車がそれぞれ進行する道路の優先関係によって基本過失割合が変わります。


    <一方の進行している道路の幅が明らかに広い場合>
    道幅 右折車のポジション 右折車の過失割合 直進車の過失割合
    右折車:狭い
    直進車:広い
    80 20
    右折車:広い
    直進車:狭い
    直進車から見て左方から右折 40 60
    右折車:広い
    直進車:狭い
    直進車から見て右方から右折 50 50

    <道幅が同程度である場合>
    右折車のポジション 右折車の過失割合 直進車の過失割合
    直進車の対向から右折 80 20
    直進車から見て左方から右折 60 40
    直進車から見て右方から右折 70 30

    <一方が優先道路だった場合>
    優先道路 右折車のポジション 右折車の過失割合 直進車の過失割合
    直進車側 90 10
    右折車側 直進車から見て左方から右折 20 80
    右折車側 直進車から見て右方から右折 30 70

    <一方に一時停止規制が設けられている場合>
    一時停止規制 右折車のポジション 右折車の過失割合 直進車の過失割合
    右折車側 85 15
    直進車側 直進車から見て左方から右折 30 70
    直進車側 直進車から見て右方から右折 40 60
  3. (3)丁字路交差点での右直事故の基本過失割合

    丁字路交差点における右直事故の基本過失割合は以下のとおりです。


    道路の優先関係 右折車の過失割合 直進車の過失割合
    道幅が同程度である場合 70 30
    直進車側の道幅が明らかに広い場合 80 20
    右折車側に一時停止規制が設けられている場合 85 15
    直進車側が優先道路である場合 90 10
  4. (4)交差点以外の場所での右直事故の基本過失割合

    交差点以外の場所における右直事故については、右折車が道路に進入しようとしていたのか、それとも道路外に出ようとしていたのかによって基本過失割合が変わります。


    右折車の状況 右折車の過失割合 直進車の過失割合
    道路に進入するために右折 80 20
    道路外に出るために右折 90 10

3、右直事故の過失割合の修正要素

交通事故における実際の過失割合は、基本過失割合に修正要素を加味して決定されます

  1. (1)修正要素の種類

    右直事故に関する過失割合の主な修正要素としては、以下の例が挙げられます。
    なお、右直事故といっても、すでに見てきたとおり様々な事故類型があります。事故類型によって、下記のうち考慮しない修正要素や、下記に記載はないものの考慮すべき修正要素があったりしますので、過失割合に悩むときは一度弁護士に相談するといいでしょう。

    <右折車側の加算要素>
    ① 早回り右折
    交差点の中心の直近の内側に寄らず、または道路標識等によって指定された部分を進行しないで右折した場合は、右折車側の過失割合が加算されます。右折をする場合は交差点の中央付近を通らなければならず、ショートカットをするかのように右折をした場合は、右折車の不利に過失割合が修正されるということです。

    ② 大回り右折
    あらかじめ道路の中央に寄らずに右折した場合は、右折車側の過失割合が加算されます。右折をする場合は、交差点に入る前に、道路の中央付近に寄る必要があります。片側1車線道路であれば、センターライン付近まで寄ってから交差点に入らなければならず、これをせずに大きく弧を描くように右折をした場合は、右折車の不利に過失割合が修正されます。

    ③ 直近右折
    右折車が直進車の至近距離で右折した場合は、右折車側の過失割合が加算されます。直進車が通常の速度で停止線を越えて交差点に入る付近まで来ている場合に右折を開始したときが例として挙げられます。

    ④ 合図なしの右折
    方向指示器(ウインカー)などで合図をせずに右折した場合は、右折車側の過失割合が加算されます。

    ⑤ 右折禁止違反
    右折禁止の場所において右折した場合は、右折車側の過失割合が加算されます。

    ⑥ 徐行なしの右折
    徐行せずに右折した場合は、右折車側の過失割合が加算されます。

    ⑦ 幹線道路
    右折車が道路外から進入し、または道路外に出ようとする場合において、直進車側が幹線道路を走行している場合は、右折車側の過失割合が加算されます。幹線道路に該当するか否かは、個別具体的な道路状況によって判断されますが、一般的に、歩車道の区別があり、車道幅員がおおむね14m以上(片側2車線以上)で、車両が高速で走行し、通行量の多い国道や一部の都道府県道が想定されています。

    <直進車側の加算要素>
    ⑧ 減速なしの直進
    信号機のない交差点において、直進車が減速しなかった場合は、直進車側の過失割合が加算されます。

    ⑨ 速度超過
    直進車が速度超過をしていた場合は、直進車側の過失割合が加算されます。

    ⑩ 既右折
    右折車がすでに右折を完了しているか、またはそれに近い状態にあった場合は、直進車側の過失割合が加算されます。

    ⑪ 右折車の明らかな先入
    交差点で優先順位が低い右折車が直進車から見て右方から右折する場合、または丁字路交差点で右折する場合において、右折車が明らかに先に交差点または丁字路に進入していたときは、直進車側の過失割合が加算されます。

    ⑫ 右折車が頭を出して待機
    右折車が道路外から進入し、または道路外に出ようとする場合において、右折車が頭を出して待機していた場合は、直進車側の過失割合が加算されます。

    <右折車・直進車双方の加算要素>
    ⑬ 一時停止した後に進入
    一時停止規制が設けられている側が、一時停止をした後に進入した場合には、他方車の過失割合が加算されます。

    ⑭ 著しい過失
    事故の態様に応じて通常想定される程度を超える過失(=著しい過失)が認められる側については、過失割合が加算されます。一例として、脇見運転等の著しい前方不注視や、携帯電話の画面を注視したり、おおむね時速15キロから30キロの速度違反、酒気帯び運転等があったりする場合が挙げられます。

    ⑮ 重過失
    故意と同視し得る重大な過失(=重過失)が認められる側については、過失割合が加算されます。一例として、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、おおむね時速30キロ以上の速度違反などが挙げられます。
  2. (2)修正要素ごとの加算・減算割合

    以下に記載の加算・減算割合は、あくまでも目安であり、個別具体的な事故の類型・状況によって変動し得ます。ご自身の事故状況における妥当な過失割合について確認をし、又は過失割合の修正要素を主張し交渉を進めたい場合は、弁護士にご相談ください。


    修正要素 右折車側 直進車側
    早回り右折 +5~15% -5~15%
    大回り右折 +5~10% -5~10%
    直近右折 +10% -10%
    合図なしの右折 +10% -10%
    右折禁止違反 +5~20% -5~20%
    徐行なしの右折 +10% -10%
    幹線道路 +5% -5%
    減速なしの直進 -10% +10%
    速度超過 -5~10% +5~10%
    既右折 -10% +10%
    右折車の明らかな先入 -10% +10%
    右折車が頭を出して待機 -10% +10%
    直進車が一時停止した後に進入 +15% -15%
    右折車が一時停止した後に進入 -15% +15%
    右折車側の著しい過失 +10% -10%
    直進車側の著しい過失 -10% +10%
    右折車側の重過失 +10~20% -10~20%
    直進車側の著しい過失 -10~20% +10~20%
    右折車側が二輪車 -5~10% +5~10%
    直進車側が二輪車 +5~10% -5~10%

4、交通事故被害に遭ったら弁護士に相談を

交通事故の被害に遭ってしまったら、損害賠償請求について弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、慰謝料等の損害賠償を、交通事故の状況に応じた正しい過失割合に基づいて請求します。弁護士が法的な根拠のある主張を行うことで、適正額の損害賠償を受けられる可能性が高まります。

また弁護士は、加害者・保険会社との示談交渉や損害賠償請求訴訟などの対応を一括して代行いたします。弁護士にお任せいただければ、労力や精神的なご負担が軽減される点も大きなメリットです。

5、まとめ

右直事故の過失割合は、具体的な事故状況によって異なります。弁護士のサポートを受けながら、適正な過失割合に基づく損害賠償を請求しましょう。

ベリーベスト法律事務所では、交通事故専門チームを編成し、さまざまな事故案件のノウハウや解決実績を共有しています。損害賠償請求に関するご相談も随時受け付けておりますので、交通事故の被害を受けてしまった方は、まずはベリーベスト法律事務所へご相談ください。

ご相談無料※
全国対応
電話で相談する
平日 9:30~21:00 | 土日祝 9:30~18:00
0120-49-5225
[受付時間]平日9:30~21:00 土日祝9:30~18:00
メールで相談する
※営業時間外はメールにてお問い合わせください。
弁護士費用特約を利用されてご依頼となった場合には、特約から1時間1万1千円(税込)の相談料を頂戴いたしますが、お客様のご負担はございません。
交通事故コラム一覧へ戻る
メールで相談 24時間受付 電話で無料相談 平日9:30~21:00 土日祝9:30~18:00