交通事故のケガで6か月通院したら、慰謝料はいくら受け取れる?
また、6か月間通院してもケガが完治しない場合は、後遺症が現れる可能性が高くなってきます。後遺症が残った場合、後遺症慰謝料などを請求できるため、損害賠償はさらに高額となるでしょう。
さらに、交通事故の被害者は加害者に対して、慰謝料以外にもさまざまな損害賠償を請求することが可能です。弁護士にご相談のうえ、ご自身に生じた損害の賠償を漏れなく請求しましょう。
今回は、交通事故の被害に遭った際に請求できる慰謝料などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、慰謝料は交通事故で請求できるお金の一部
「慰謝料」とは、不法行為(民法第709条)によって被害者に生じた精神的な損害につき、加害者が支払う賠償金です。
交通事故の場合も、被害者は加害者に慰謝料の支払いを請求できます。
また、慰謝料以外にもさまざまな費目で損害賠償を請求できます。以下で詳しく見ていきましょう。
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(1)交通事故における3種類の慰謝料
交通事故に関する慰謝料は、「傷害慰謝料」「後遺症慰謝料」「死亡慰謝料」の3つに分けられます。
①傷害慰謝料(入通院慰謝料)
ケガをしたことによる精神的な損害に対する賠償金です。入院・通院の日数などに応じて支払われます。
②後遺症慰謝料
後遺症が残ってしまったことによる精神的な損害に対する賠償金です。基本的に、後遺症の部位・症状・程度などに応じて認定される、後遺障害等級に応じて支払われます。
③死亡慰謝料
死亡したことによる精神的な損害に対する賠償金です。被害者本人の死亡慰謝料請求権を承継した相続人が、加害者に対して請求します。
入院・通院が長引いている場合は、傷害慰謝料および後遺症慰謝料を請求できる可能性があります。
なお、ケガがなく物損のみが発生した場合には、基本的には交通事故に関する慰謝料は請求できない点にご注意ください。 -
(2)慰謝料以外にも損害賠償を請求できる
交通事故の損害賠償は、慰謝料以外にもさまざまな項目に及びます。
たとえば以下の損害につき、加害者に対し損害賠償を請求できます。
弁護士にご相談のうえ、該当する損害項目は漏れなく請求していきましょう。①治療費
診察料・手術費用・薬剤費用・装具費用など、ケガの治療に要した実費を請求できます。
②入院雑費
入院中の日用品購入費用として、一定額を請求できます。
③付添い費用
入院・通院時に付添いを要する場合に、近親者の日当や職業付添人の報酬相当額を請求できます。
④通院交通費
通院に要した交通費を請求できます。
⑤休業損害
ケガの治療のために仕事を休んだ場合、得られなかった収入相当額を請求できます。
⑥逸失利益
後遺症による労働能力の喪失または死亡により、将来にわたって失われた収入相当額を請求できます。
⑦修理費
事故によって壊れた車の修理費を請求できます。
⑧買替え差額
車の買い替えが必要となった場合、事故車の時価額からスクラップ代金を控除した金額を上限として損害賠償を請求できます。
⑨登録手続き関係費
車を買い替えた場合、自動車の登録や車庫証明などにかかる費用を請求できます。
⑩評価損
車が事故車となって経済的価値が下がった場合、減価分の金銭を請求できます。
⑪代車使用料
代車を利用せざるを得なかった場合、その使用料を合理的な期間に限り請求できます。
⑫休車損害
営業用車両の修理が必要となった場合、当該車両が稼働できなかったことによる損害の賠償を請求できます。
2、慰謝料の算定基準は3種類。6か月通院した傷害慰謝料の金額は?
交通事故における慰謝料の算定基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3種類があります。
どの基準を用いて算定するかによって、傷害慰謝料額が大きく異なることに注意が必要です。各基準で6か月通院した場合の計算方法についても、見ていきましょう。
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(1)自賠責基準
自賠責基準は、自賠責保険から支払われる保険金額を算定する基準です。算定される傷害慰謝料の金額は、3つの基準の中でもっとも低額となります。
自賠責基準による傷害慰謝料は、治療日数1日当たり4300円です。以下のうちいずれか少ない日数を治療日数として計算します。
- 総治療期間の日数
- 実際の入通院日数×2
例えば、総治療期間が6か月間にわたり、実際に35日通院した場合の金額は以下の通りです。
(例)- 通院6か月間(182日間)
- 実際に通院した日数は35日
→実際の通院日数×2で計算した日数の方が少ないので治療日数は70日間として算定
傷害慰謝料
=4300円×70日
=30万1000円 -
(2)任意保険基準
任意保険基準は、任意保険会社が独自に定める損害賠償の算定基準です。
具体的な基準は非公開ですが、自賠責基準と弁護士基準の中間的な傷害慰謝料が算出されます。加害者側の任意保険会社と示談交渉を行う場合、任意保険基準に基づく傷害慰謝料を提示されるのが一般的です。 しかし、被害者に生じた客観的な損害額よりもかなり低額なので、決してそのまま受け入れてはいけません。
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(3)弁護士基準(裁判所基準)
弁護士基準(裁判所基準)は、過去の裁判例に基づき、被害者に生じた客観的な損害額を算定する基準です。
3つの基準の中でもっとも被害者に有利で、かつ公正な基準となります。弁護士基準による傷害慰謝料は、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」の別表Ⅰまたは別表Ⅱを用いて計算します。
別表I:骨折などの重傷の場合
別表II:むちうち症・打撲・ねん挫などの軽症の場合別表I(単位:万円)
別表II(単位:万円)
この基準を用い、6か月間にわたり通院した場合の金額は以下の通りです。
例 ①:重傷のケガを負い、6か月通院した場合
- 通院6か月間(入院なし)
- 骨折
→傷害慰謝料は116万円
例 ②:軽傷のケガを負い、6か月通院した場合
- 通院6か月間(入院なし)
- むちうち症
→傷害慰謝料は89万円
3、6か月通院して後遺症がある場合の対処法
6か月間通院してもケガが治らない場合、症状が後遺症として残ってしまう可能性もあります。その場合には、医師から症状固定の診断を受けた後、「後遺障害等級」の認定を申請し、補償を受けましょう。
2章では傷害慰謝料について述べてきましたが、3章では後遺症慰謝料について解説します。
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(1)後遺障害等級とは?
後遺障害等級とは、後遺症の部位・症状・程度などに応じて認定される等級です。
後遺障害等級認定の申請は、医師が作成する後遺障害診断書などの申請書類を、自賠責保険会社に提出して行います。
申請書類は損害保険料率算出機構に回付され、審査の末に後遺障害等級が認定されます。被害者ご自身でも申請できますが、弁護士にご相談いただければ、申請手続きを代行し、認定の可能性を高めるサポートをすることが可能です。
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(2)後遺障害等級別|後遺症慰謝料の金額目安
認定される後遺障害等級によって、後遺症慰謝料の金額が大きく変動します。 そのため、適正な後遺障害等級の認定を受けることが極めて重要です。
自賠責基準・弁護士基準では、後遺障害等級に応じて、以下の通り後遺症慰謝料の金額が決まっています(弁護士基準は目安)。
4、事故直後でも治療中でも、交通事故の損害賠償請求は弁護士に相談を
交通事故の被害にあった場合、できるだけ早い段階で弁護士へのご相談をおすすめいたします。
弁護士は、加害者側の任意保険会社とのやり取りを全面的に代行します。
仮に任意保険会社が不合理な主張をしてきても、弁護士が代理人に付いていれば惑わされることはありません。
事故の客観的な状況や慰謝料相場などを踏まえて、適正額による損害賠償の請求が可能です。
また、後遺症が残った場合には、損害賠償の金額を大きく左右する後遺障害等級認定の申請についてもサポートいたします。
交通事故について、納得できる金額の損害賠償を請求したい場合には、お早めに弁護士までご相談ください。
5、まとめ
慰謝料は交通事故の損害賠償の一部ですが、入院・通院期間が長引いた場合や、後遺症が残った場合には非常に高額となります。
弁護士にご依頼いただくことで、適正額の慰謝料を獲得できる可能性が高まりますので、お早めのご相談がおすすめです。
ベリーベスト法律事務所は、交通事故に関する60分の初回無料相談を受け付けております。
全国各地にオフィスを有しているほか、Zoomでのご相談にも対応しており、大変ご利用いただきやすい法律事務所です。
交通事故の損害賠償請求は、ぜひベリーベスト法律事務所にお任せください。
交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。
交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。