交通事故被害を弁護士に相談するメリット・デメリット

更新:2024年09月25日 公開:2022年11月28日
慰謝料・損害賠償
交通事故被害を弁護士に相談するメリット・デメリット
交通事故に遭うと、相手の保険会社から賠償金が提示されますが、弁護士に依頼をすることで、賠償額を増額できる可能性があります。

ただ、弁護士を挟むことよって、何かデメリットが生じるのではないかと、不安を抱いている方も少なくないでしょう。

交通事故の被害に遭ったとき、弁護士に相談することによって、何か不利益が生じるのでしょうか。

今回は、交通事故の対応で弁護士に依頼をするときに考えられるメリットとデメリットについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、交通事故で弁護士に依頼するときに考えられる3つのデメリット

交通事故に遭ったことで弁護士に依頼する際に考えられるデメリットとしては、以下の3つが考えられます。

  1. (1)費用がかかりそう

    弁護士に依頼する場合には、当然ながら弁護士費用がかかります。そのため、費用面がネックになって弁護士への依頼をためらう方もいるでしょう。
    確かに、弁護士に依頼することで受け取れる賠償額が増額したとしても、それを上回る弁護士費用がかかってしまうと費用倒れになってしまい、被害者の方にとって経済的メリットはありません。

    しかし、正式に弁護士に依頼をする前に、弁護士から詳しい費用の説明があります。費用倒れになってしまう可能性のある事案については、依頼せずに相談だけで終わりにすることも可能です。相談をしたからといって、必ず弁護士に依頼しなければならないというわけではありませんので、ご安心ください。

    また、被害者の方が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合には、弁護士費用特約を利用することによって、一般的に300万円までを限度額として弁護士に依頼することができます。弁護士費用が限度額を超えることはほとんどありませんので、弁護士費用特約を利用できるケースでは、費用面でのデメリットはほとんどありません。

  2. (2)時間がかかりそう

    弁護士に依頼をすることによって、保険会社との交渉が長引いたり、裁判になれば、解決までに時間がかかったりするという点がデメリットとして考えられます。

    しかし、解決までに時間がかかる理由は、弁護士が被害者の方の賠償額を適正なものにするために、粘り強く交渉を行っているからです。保険会社の提示する内容に従い、すぐに示談に応じれば解決までの時間は短くなりますが、適正な賠償金ではない可能性があります。

    交通事故の被害者として、少しでも多くの賠償金を支払ってもらいたいと考えるのは当然のことです。時間がかかったとしても、費用倒れになることなく賠償金を増額することができるのであれば、解決までに時間がかかることはデメリットとはいえないでしょう。

  3. (3)手間がかかりそう

    弁護士に依頼をするためには、何度か法律事務所に相談しに行かなければならず、手間がかかりそうと考える方もいるかもしれません。
    たしかに、弁護士に相談するために事務所まで行かなければならないケースもありますが、最近では電話相談やZoomなどを活用したオンライン相談を受け付けている事務所もあります。

    また、依頼後の弁護士との連絡は、電話やメール、文書などで適宜行うことが基本であり、何度も法律事務所に行かなければならないという負担はありません。

    弁護士に依頼することによって、保険会社との面倒なやり取りをすべて弁護士に任せられるため、むしろ被害者の方の手間は軽減されるでしょう。

2、弁護士への依頼が推奨されるケースと早めの相談が良いとされる理由

交通事故の被害に遭った場合には、できる限り、早めに弁護士に相談することが推奨されます。ここからは、弁護士への依頼を検討すべきケースとともに、その理由を説明します。

  1. (1)弁護士への依頼をすべき4つのケース

    以下のようなケースでは、被害者の方が個人で示談交渉を進めていくのではなく、弁護士に依頼をした方が良いでしょう。

    ① 保険会社から提示された賠償額が適正なものか知りたい

    交通事故による怪我の治療がすべて終了した段階で、被害者の方は、相手の保険会社から賠償額の提示を受けることになります。保険会社から提示される賠償額は、必ずしも適正なものであるとは限らず、不当に低い金額ということもあるでしょう。
    交通事故の被害を弁護士へ依頼することで、適正な賠償額なのかどうかを知ることができます。

    ② 慰謝料額をアップさせたい

    慰謝料の算定基準には、自賠責基準任意保険基準裁判所基準(「弁護士基準」と言われることもあります)の3つの基準があり、そのうちどの基準を採用するかによって慰謝料の金額が大幅に変わってきます。保険会社は不当に低い慰謝料を提示することもありますので、慰謝料額をアップさせたいという場合には、弁護士への依頼が必要不可欠です。

    ③ 適切な後遺障害等級認定を受けたい

    交通事故の怪我の内容や程度によっては、治療を続けていても完治せずに、何らかの後遺症が残ってしまうことがあります。このような場合、後遺障害等級認定を受けることで、別途自賠責給付金などを受け取ることが可能です。それだけでなく、相手方への後遺症慰謝料や逸失利益の金額を請求することもできます。

    このとき、後遺障害として認定された等級により、自賠責保険金の金額や請求できる賠償金額が変わることに注意しましょう。適切な後遺障害等級認定を受けたいという場合は、専門家である弁護士のサポートが欠かせません。

    ④ 保険会社とのやり取りが負担

    交通事故の被害に遭うと、相手の保険会社との間で何度もやり取りをしなければならず、被害者にとっては大きな負担となります。少しでもその負担を軽減したいという場合には、弁護士に保険会社とのやり取りを任せられるため、弁護士に依頼をすると良いでしょう。

  2. (2)なるべく早めに弁護士に相談をすべき理由

    交通事故の被害に遭った方のなかには、「どのタイミングで弁護士に相談をしたら良いのだろうか」と悩む方もいます。タイミング自体に特に決まりはありませんが、適切に示談交渉を進めていくためには、なるべく早めに弁護士に相談することがおすすめです

    たとえば、通院の頻度・方法や必要な検査項目、医師に伝えておくべきことなど、事故当初から適切な行動をとっておくことが示談では重要になります。しかし、事故に遭った直後はどのように対応すれば良いかわからず、後になってから「こうしておけば良かった……」などと後悔してしまう方もいるでしょう。

    このような後悔をすることがないように、早期に弁護士に相談をすることによって、事故当初からとるべき行動をアドバイスしてもらうことが可能です。疑問や不安を抱いたまま話が進むような精神的な負担や手間が軽減され、その後の示談交渉を適切に進めることもできます。

    さらに、以下で説明するようなメリットもあるため、早めに弁護士へ相談すると良いでしょう。

3、交通事故で弁護士に依頼すると享受できる4つのメリット

交通事故の対応を弁護士に依頼することによって、以下のような4つのメリットを得られます。

  1. (1)精神的・身体的負担の軽減

    交通事故の被害者の方は、仕事や家事などに加えて、怪我の治療のために通院をしなければなりません。怪我により、思うままに身体を動かせないストレスも生じるでしょう。加えて、保険会社とのやり取りもしなければならないとなると、事故後の負担は非常に大きなものとなります。

    弁護士に依頼をすると、面倒な保険会社とのやり取りをすべて任せることができるだけでなく、アドバイスも受けられるため、被害者の方の精神的・身体的負担を大幅に軽減することが可能です。

  2. (2)賠償額の増額

    保険会社は、被害者に対して賠償金を支払う立場にあります。被害者のために親身になって対応してくれているようにみえても、中立の立場ではないということを念頭においておきましょう。

    そのため、保険会社から提示される賠償額が被害者にとって不十分な金額であることも少なくありません。弁護士であれば、適正な賠償額に近づけるように保険会社と交渉を進めることができます。

    後述するように、過去の裁判実績をもとにした適切な慰謝料の算定基準で交渉できるのは、弁護士に依頼をした場合のみに限られます。弁護士への依頼により、賠償額の増額が期待できることも大きなメリットといえるでしょう。

  3. (3)適正な過失割合

    交通事故の態様によっては、被害者の方にも過失割合が生じることがあります。交通事故の過失割合は、事故類型や事故態様によって定型化されていますが、基本の過失割合については、具体的な状況を踏まえて修正していくことが必要です。

    保険会社から提示された過失割合に納得ができないという場合には、弁護士が法的観点から適切な主張をすることによって、納得いく過失割合に修正できる場合もあります

  4. (4)被害の実態に適した後遺障害等級の認定

    交通事故によって後遺障害が生じた場合には、後遺障害等級認定の手続きを行うことになります。
    後遺障害等級認定を受ける方法は、被害者がすべての手続きを行う「被害者請求」と加害者の保険会社がすべての手続きを行う「事前認定」の2つです。

    事前認定による方法は被害者の負担がほとんどありませんが、加害者の立場にある保険会社が被害者にとって適切な等級認定をするために動いてくれるとは限りません。そうすると、適正な後遺障害等級認定を受けることができない可能性があります。

    弁護士に依頼をすれば、被害の実態に適した後遺障害等級認定の獲得に向けたサポートを受けることが可能です。そのため、被害者請求の方法で手続きを行うにしても、被害者本人の負担はほとんどありません。

4、損害賠償請求できるものと賠償金増額が期待できる裁判所基準とは

以下では、損害賠償請求することができる項目と慰謝料の算定基準について説明します。

  1. (1)損害賠償請求することができるもの

    交通事故の被害にあった場合には、以下の損害を請求することができます。

    ① 治療費

    病院での治療費や整骨院での施術費用については、必要かつ相当な実費が損害賠償の対象となります。

    ② 通院交通費

    自家用車を利用した場合にはガソリン代(1キロメートルあたり15円)、公共交通機関を利用した場合には実費が損害賠償の対象です。
    タクシー代については、公共交通機関を利用することができないなどの事情がある場合に限って認められる点に注意しましょう。

    ③ 休業損害

    給与所得者の場合には、事故前の収入を基礎として、仕事を休んだことによる減収分が損害賠償の対象です。専業主婦(主夫)の場合でも、「賃金センサス」と呼ばれる政府の統計資料に記載のある平均額を基準にして、休業損害の請求が認められます。

    ④ 慰謝料

    交通事故で負った怪我の治療のために通院を余儀なくされた場合は、それによる精神的苦痛を被ったとして、傷害慰謝料(「入通院慰謝料」とも言われます。)が支払われます。
    また、後遺症が残存してしまった場合にも同様に精神的苦痛を被りますので、通常、後遺障害等級が認定された場合には、傷害慰謝料とは別に、後遺症慰謝料を請求することが可能です。

    ⑤ 逸失利益

    後遺症が残存した場合には、将来にわたって労働能力が制限されることになります。そのため、将来の減収分についての損害が逸失利益として支払われます。

  2. (2)慰謝料の算定基準

    交通事故の慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準任意保険基準裁判所基準(「弁護士基準」とも言われます。)という3つの基準が存在しています。

    以下の考え方のように、支払われる慰謝料はひとつの基準に則って支払われることになるということをチェックしておきましょう。

    • 自賠責保険から慰謝料が支払われるときには、自賠責保険基準によって計算した金額
    • 任意保険会社から慰謝料が支払われるときには、任意保険基準によって計算した金額
    • 裁判によって慰謝料請求が認められた場合には、裁判所基準によって計算した金額


    この3つの基準のなかでは、通常、自賠責保険基準がもっとも低い金額になる基準であり、裁判所基準がもっとも高額になる基準です。

    交通事故の被害者の方としては、当然、もっとも高額な慰謝料となる裁判所基準によって計算をしたいと考えるでしょう。しかし、基本的に裁判所基準を利用することができるのは、弁護士に示談交渉を依頼した場合か裁判をした場合に限られます。

    一般の方が自分で交渉したとしても、保険会社はなかなか裁判所基準による解決に同意してくれません。保険会社から提示された慰謝料の金額を増額するためには、弁護士への依頼が不可欠です

5、まとめ

交通事故を弁護士に依頼することによって考えられるデメリットは、実際にはほとんどデメリットにあたらないものばかりです。むしろ、弁護士に依頼をすることによって得られるメリットの方が大きいといえるでしょう。

費用倒れになるようなケースについては、弁護士が事前にきちんと説明をいたしますので、交通事故の被害に遭った方は、早めに弁護士に相談することがおすすめです。

交通事故の対応について悩んでいる方や適切な賠償を受けたいとお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
外口 孝久
外口 孝久
プロフィール
外口 孝久
プロフィール
ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士
所属 : 第一東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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