交通事故で歯が折れた! 慰謝料の相場と後遺障害等級認定の可否

更新:2024年09月10日 公開:2023年08月01日
後遺障害
交通事故で歯が折れた! 慰謝料の相場と後遺障害等級認定の可否
交通事故で顔面に衝撃を受けた場合、歯が折れたり欠けたりしてしまうことがあります。また、歯が欠損するほどの事故であれば、歯の欠損だけでなく咀嚼機能や言語機能にまで障害が及んでしまうケースも少なくありません。

このような場合には、どのような補償を受けることができるのでしょうか。

本コラムでは、交通事故で歯が折れた場合における慰謝料相場と後遺障害等級認定の可否について、ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チームに所属する弁護士が解説します。
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1、交通事故で歯に影響が出たときの扱いは?

交通事故によって歯に影響が出た場合には、どのような項目で損害賠償金を請求できるのでしょうか。

  1. (1)交通事故における歯の欠損(歯牙障害)とは

    交通事故によって歯科補綴をした場合には、欠損した歯の本数に応じて以下のような後遺障害が認定されます。

    • 14歯以上に対して歯科補綴を加えたもの(10級4号)
    • 10歯以上に対して歯科補綴を加えたもの(11級4号)
    • 7歯以上に対して歯科補綴を加えたもの(12級3号)
    • 5歯以上に対して歯科補綴を加えたもの(13級5号)
    • 3歯以上に対して歯科補綴を加えたもの(14級2号)

    歯科補綴とは、歯が著しく欠けたりなくなったりした場合に、クラウン、ブリッジ、入れ歯、インプラント治療などによって欠損した歯を補う歯科治療のことです。

    なお、後遺障害認定される歯の欠損とは、「歯の喪失」または「歯を著しく欠損」した場合をいいます。歯の喪失は、文字通り歯を失うことをいい、事故による抜歯も含まれます。また、「歯を著しく欠損した」とは、歯冠部の体積の4分の3以上が欠けてしまった状態を指します。

  2. (2)歯牙障害が生じた場合に請求できる損害賠償の種類

    上記のような歯牙障害について後遺障害等級認定を受けた場合には、一般的な損害(治療費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料など)に加えて、以下の損害を請求することができます。

    ① 後遺障害慰謝料

    交通事故によって後遺障害が生じてしまった場合には、そのことによって被害者には多大な精神的苦痛が生じます。そのような精神的苦痛を補償するために、認定された後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料を請求することができます。

    ② 後遺障害逸失利益

    交通事故によって後遺障害が生じると労働能力の低下によって将来の収入の減少が予想されます。このような減収分を補償するために、後遺障害逸失利益を請求することができます。

    後遺障害逸失利益の金額は、被害者の年収や認定された後遺障害等級を基準にして、以下のような計算方法によって算出します。

    基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数

    ただし、歯牙障害の場合には、治療後は労働能力に直接の影響を及ぼさない場合があるため、後遺障害逸失利益が否定されることも多いです。

2、もともと治療予定だった歯がある場合はどうなる?

交通事故に遭う前から虫歯の治療などによって、すでに歯を喪失していたケースや、著しく欠損して歯科補綴を加えていたというケースがあります。

このような場合には、「加重障害」として、治療中または治療予定の歯も加えて、歯の欠損の有無・本数がカウントされます。たとえば、事故前に4歯に歯科補綴を加えていた方が事故によってさらに3歯に歯科補綴を加えた場合には、3歯の歯科補綴ではなく、7歯の歯科補綴として扱われることにありますので、後遺障害等級は12級に該当します。

ただし、加重障害がある場合の賠償は、認定された後遺障害等級(上記例の場合は12級)から事故前からある既存の障害等級(上記例は、事故前に4歯に歯科補綴を加えているので事故前の既存の障害等級は14級)による賠償額を控除した範囲で行われます。そのため、事故前から治療中または治療予定の歯についての賠償まで受けることができるわけではない点に注意が必要です。

3、歯が折れただけでなく、そのほかに障害があったら

歯の欠損が生じるような事故では、咀嚼機能、言語機能、醜状障害などそのほかの障害が生じる可能性もあります。

  1. (1)そのほかの障害がある場合の扱い

    歯の欠損が生じるような事故では、あごの骨折や歯牙障害などによって、食べ物をかみ砕く機能である咀嚼機能や言葉を発する言語機能に異常が生じているケースが起こりえます。また、顔面に怪我を負った場合には、醜状障害が生じることもあるでしょう。

    事故によって歯の欠損のほかにこのような障害が生じた場合には、障害内容に応じて以下のような等級が認定されます。

    • 咀嚼機能および言語機能を廃したもの(1級2号)
    • 咀嚼機能または言語機能を廃したもの(3級2号)
    • 咀嚼機能および言語機能に著しい障害を残すもの(4級2号)
    • 咀嚼機能または言語機能に著しい障害を残すもの(6級2号)
    • 咀嚼機能および言語機能に障害を残すもの(9級6号)
    • 咀嚼機能または言語機能に障害を残すもの(10級3号)
    • 外貌に著しい醜状を残すもの(7級12号)
    • 外貌に相当程度の醜状を残すもの(9級16号)
    • 外貌に醜状を残すもの(12級14号)
  2. (2)各障害の認定基準

    ① 咀嚼機能の障害

    「咀嚼機能を廃したもの」とは、流動食以外を摂取できない状態をいいます。そして、「咀嚼機能に著しい障害を残すもの」とは、粥食またはこれに準ずる程度の飲食物以外を摂取できない状態を指します。

    「咀嚼機能に障害を残すもの」とは、固定食物のなかに咀嚼することができないものがある状態または咀嚼が十分にできないものがありそれが医学的に確認できる状態です。

    ② 言語機能の障害

    「言語機能を廃したもの」とは、4種の語音のうち3種以上の発音が不能な状態を指します。また、「言語機能に著しい障害を残すもの」とは、4種の語音のうち2種の発音が不能な状態または綴音機能(語音を一定の順序で連結すること)に障害があるため言語のみを用いては意思疎通ができない状態を指します。そして、「言語の機能に障害を残すもの」とは、4種の語音のうち1種の発音が不能な状態をいいます。

    4種の語音とは、子音を構音部位(語音を形成するために変化させる口腔等の部位)により分類した以下の4種類を指します。

    • 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ)
    • 歯舌音(な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ)
    • 口蓋音(か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)
    • 咽頭音(は行音)

    ③ 醜状障害

    外貌に著しい醜状を残すものとは、以下のいずれかに該当し、人目につく程度以上の状態をいいます。

    • 頭部に手のひら大以上の瘢痕または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
    • 顔面部に鶏卵大以上の瘢痕または10円玉大以上の組織陥没
    • 首に手のひら大以上の瘢痕

    「外貌に相当程度の醜状を残すもの」とは、顔面部に長さ5cm以上の線状痕が残っている状態をいいます。

    「外貌に醜状を残すもの」とは、以下のいずれかに該当し、人目につく程度以上の状態をいいます。

    • 頭部に鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損
    • 顔面部に10円玉大以上の瘢痕または長さ3cm以上の線状痕
    • 首に鶏卵大以上の瘢痕

4、交通事故で負傷したらすぐ弁護士に相談をすべき理由

交通事故によって負傷した場合には、直ちに弁護士へ相談をすることをおすすめします。

  1. (1)保険会社との交渉を代行してもらえる

    交通事故の被害に遭ってしまった場合は、その後のやり取りは加害者側の保険会社と行っていきます。しかし、被害者は、治療中であり、集中して書類を読み込んだり交渉したりすることが難しい状態である場合が少なくありません。さらに、一般の方のほとんどは交通事故に関する知識や経験が少ないのに対して、保険会社の担当者は、毎日数多くの交通事故事案を処理しているため、知識や経験に圧倒的な差があります。

    このような状態で交通事故の賠償に関する交渉をしたとしても、被害者側に有利な条件で示談をすることは難しいでしょう。精神的にも大きな負担となります。

    弁護士に依頼をすれば、保険会社とのやり取りはすべて弁護士が窓口となって対応することができますので、不利な条件で示談するのを回避し、精神的な負担も軽減することが可能です。

  2. (2)慰謝料額が増額する可能性がある

    交通事故の慰謝料の計算には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準という3つの基準が存在します。この3つの基準では、通常、裁判基準が最も慰謝料の金額が高額になるため、被害者の立場では、当然裁判基準を利用して慰謝料を請求したいと考えるでしょう。

    しかし、裁判基準を利用して慰謝料を請求することができるのは、弁護士に依頼をして示談交渉を行う場合か裁判を起こした場合に限られています。被害者自身が行う交渉では、裁判基準を利用して慰謝料を請求することはできません。

    そのため、少しでも多くの慰謝料を請求したいという場合には、弁護士に依頼をすることが不可欠です。

5、まとめ

交通事故によって顔面に衝撃を受けた場合には、歯の欠損や咀嚼機能障害、言語機能障害、醜状障害などさまざまな障害が生じる可能性があります。これらの障害が生じた場合には、適切な後遺障害等級認定を受け、適正な賠償額を請求していく必要がありますが、そのためには弁護士のサポートが不可欠といえます。

交通事故の被害でお悩みの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。交通事故についての知見が豊富な弁護士が所属する交通事故専門チームが一丸となって、あなたのサポートを行います。

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この記事の監修者
外口 孝久
外口 孝久
プロフィール
外口 孝久
プロフィール
ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士
所属 : 第一東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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