交通事故の示談を弁護士に依頼する前に! 費用など知るべき6つの知識
しかし、ほとんどの場合、示談交渉の相手は加害者本人ではなく、任意保険会社の担当者となります。保険会社の担当者は示談交渉の経験が豊富であるため、被害者自身が示談交渉を行うと、不利な立場となって、適切な損害賠償が請求できないリスクがあるのです。
本コラムでは、交通事故の示談を弁護士に依頼するメリットについて解説します。
1、被害者自身で示談交渉をする場合のリスク
交通事故で被害に遭った場合、加害者が任意保険に加入していれば、その保険会社の担当者とやり取りするケースが多いでしょう(「示談代行」というサービスによるものです)。その場合、保険会社の担当者から、裁判をした場合の相場よりもかなり低い金額で示談の打診をされることも少なくありません。
被害者自身で賠償額の相場を正確に計算することは難しく、それぞれのケースで示談を受けた方がいいのか判断することは困難です。そのため、それなりにまとまった金額だと考えて示談書にサインした後、実際には相場よりもかなり低額であったと知る、ということもあるでしょう。そして、一度示談してしまうと、原則として追加の支払いを求めることはできません(ちなみに、電話口で承諾しただけでも、その内容が録音されていれば示談が成立したとみなされてしまう可能性があるので注意が必要です)。
2、弁護士に示談交渉を任せると慰謝料の増額が期待できる
交通事故はある程度類型化が可能で、自動車事故や自転車事故などの種別はもちろん、後遺症の有無など、個々のケースにおける大よその金額を計算できますから、算出した金額を根拠に保険会社と交渉できます。慰謝料額などを計算する場合には、「自賠責基準」「保険会社基準」「裁判所基準(弁護士基準)」の3種のうち、いずれかの算出基準が用いられることが一般的です。
自賠責保険が用いる自賠責基準は最低限の補償を提供するもので、保険会社が用いる保険会社基準は自賠責基準から大きく増額されるわけではありません。一方、弁護士に示談交渉を依頼した場合、裁判をした場合の相場となる「裁判所基準(弁護士基準)」を元に、もっとも実態に近い適切な慰謝料額を求めて交渉を進めていくことになります。
具体的にどれほどの差が出るのかという観点で、以下の表をご確認ください。たとえば、一家の支柱である方が死亡事故被害にあった場合、死亡慰謝料の金額は自賠責基準と裁判所基準では7倍もの差が生じます。
担当者も「裁判基準」での示談に必ず応じてくれるわけではありませんが、少なくとも弁護士相手に保険会社内部の基準が通用しないことは知っているはずですし、一般に弁護士が介入した方が、被害者自身で交渉するよりもスムーズに増額できる(裁判基準に近づく)傾向にあります。
3、弁護士が損害費目を精査するので適切な賠償を得られる
裁判基準での交渉と同じくらい重要なのが、どの損害について請求するのか、という損害費目の問題です。
交通事故の損害賠償については、たとえば主婦の方の休業損害など、交通事故に詳しくなければ請求できるかの判断が難しく、保険会社もあまり支払いを認めてくれない費目がいくつもあります。弁護士に状況を詳細に伝えれば、被害者自身では請求することを思いつかなかった費目についても弁護士が発見して、賠償額を増やせる可能性があります(言い換えれば、被害者自身の交渉では、請求できる費目に気づくことができずに損をしてしまう可能性があるということです)。
さらに、弁護士なら、保険会社に対して過去の判決など被害者に有利な根拠を示して交渉できるため、示談段階において、被害者に有利な賠償額を認めさせやすくなります(被害者自身で交渉を試みたけれど、担当者から「そのような損害についてはお支払いできないんですよ」などと根拠なくあしらわれてしまった、というご相談も少なくありません)。
具体的に、どのような内容で損害賠償を請求できるかについて、詳しくは以下のページをご確認ください。
4、弁護士費用の相場と弁護士費用特約
ここまでご説明したように、交通事故の示談を弁護士に依頼することにはいくつもメリットがあります。もっとも、費用がいくらかかるのか分からないから依頼しにくい、という方も多いと思いますので費用の相場と保険についてもご案内します。
(1)弁護士報酬の相場
報酬をいくらもらうかについては各事務所が自由に設定するものですが、昨今の事務所同士の競争の結果、ある程度相場が形成されてきています。
まず、「相談料」については、有料の場合は30分で5000円程度が相場です。もっとも、最近では(特に被害者について)初回相談を無料で受け付けている事務所が増えているため、弁護士に依頼するか悩まれている方は、そのような金銭的に敷居の低い事務所に相談してみることが有効でしょう。
また、弁護士が解決に向けて動き出すことの対価、いわば仕事に着手することについての報酬として「着手金」という費用を設定している事務所もあります。金額はケースによってさまざまですが、途中で弁護士を解任しても返金されないという点は基本的に共通しています。「着手金」も交通事故被害者の場合には無料としている事務所が増えています。
そして、事件が示談の成立や判決によって解決を迎えたときに支払う「報酬」額の目安としては、20万円+獲得額の10%という相場が形成されつつあり、交通事故を多く扱う事務所の多くはこれに近い金額を設定しています。
そのほかに発生する費用としては、弁護士が移動しなければならないときの日当(1日かかる場合には数万円になることもあります)や交通費・郵便料金といった実費も別途支払う必要があります。
(2)心強い弁護士費用特約
このような弁護士報酬を考慮すると、比較的軽傷のケースにおいては、賠償額が増えても弁護士費用に消えてしまうという理由で、依頼することが難しくなってしまう場合もあります。しかし、あらかじめ任意保険に弁護士費用特約を付けておけば、このような心配とは無縁になります。
保険会社によって内容は異なりますが、弁護士に依頼してかかった費用を300万円まで保険会社が負担してくれるというものが一般的で、よほどの大事故で賠償額が大きなものにならない限り、自己負担はありません(もっとも、弁護士費用特約があるからといって解任を繰り返すと、解任された弁護士への支払いで300万円の枠が減っていってしまうので注意が必要です)。
ちなみに弁護士費用特約を利用しようとすると「ウチで弁護士を指定するからその人に依頼してほしい」という話をされることもありますが、約款にそのような規定はないのが通常で、被害者が選んだ弁護士に依頼する際にも使えることがほとんどですので、ぜひ信頼できると見込んだ弁護士に依頼しましょう。
5、いつ弁護士に依頼すればいいのか
弁護士に依頼するタイミングとしては、可能な限り早く、できれば事故直後からをおすすめします。
まだ怪我が治っていない段階から担当者と話さなければならないのは多くの方にとってストレスですし、後遺障害が残ってしまいそうな場合には適切な通院や検査が重要だからです。
怪我がちゃんと治るのか・適切な賠償がされるのか、ご不安な方は、ぜひ事故直後から弁護士に依頼して、治療や交渉を計画的に進めてください。
また、弁護士に依頼しないまま保険会社から示談の提示が来たという場合にも、少なくとも一度は、無料相談を利用して額が妥当なものか弁護士に確認してみてください。状況と提示額を説明すれば、弁護士の介入が必要なケースなのか、具体的なアドバイスがあるはずです。
6、どんな弁護士に示談交渉を依頼すればいいのか
どの弁護士に交渉を依頼するかは、交通事故分野での実績を基準に判断することをおすすめします。
示談はあくまで保険会社が任意に(裁判で負ける前から)支払いを行うものですから、弁護士には保険会社の担当者を納得させる技術が要求されます。そのため、有利に交渉を進めていくには、交通事故分野についての知識に加え、担当者との交渉に慣れている必要がありますから、交通事故に力を入れていて交渉の経験が豊富な弁護士に依頼することが重要です。
そして、弁護士を探す方法としては、インターネットをおすすめします。
交通事故分野に力を入れている事務所は、ホームページ上に費用だけでなく解決実績も詳細に掲載していることが多いです。そのため、インターネットを使って弁護士を探せば、費用が相場より高すぎないか、実績が十分か、しっかり確認した上で相談・依頼することができます。
ぜひ、交渉の経験が豊富な弁護士を介入させて、後悔のない示談を目指してください。
7、まとめ
交通事故の示談では、保険会社の提案に一度同意をしてしまうと、あとから覆すことは難しくなります。個人で対応することもできますが、多くのケースで弁護士に対応を依頼するケースより、損害賠償金額が少なくなってしまうでしょう。
ベリーベスト法律事務所では、交通事故被害にあったお客さまがより適切な賠償を受けられるよう、交通事故専門チームを結成し必要に応じて医療チームとの連携を取りながら、示談交渉の段階から対応しています。自動車保険などにつけている弁護士費用特約を利用する場合、特約から相談料などが支払われるため、お客さまご自身が弁護士費用支払う必要はなく、実質無料でご利用可能です。弁護士特約がない場合でも、慰謝料の金額から着手金などを含めた弁護士費用などの目安から、実際に弁護士に依頼したほうが経済的利益を少しでも得られるのかという点から、無料相談を通じてアドバイスします。示談に挑む前に、まずはベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。
交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。
交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。