交通事故の入通院慰謝料とは|計算方法や慰謝料を受け取るまでの流れ

更新:2025年01月08日 公開:2025年01月08日
慰謝料・損害賠償
交通事故の入通院慰謝料とは|計算方法や慰謝料を受け取るまでの流れ
交通事故の「入通院慰謝料」とは、けがの治療やリハビリのために、入院や通院を余儀なくされたことによる精神的損害に対して支払われる慰謝料を指します。

入通院慰謝料として支払われる金額は、弁護士を通じて示談交渉を行うことで増額されることがあります。交通事故の被害に遭ってしまった方は、まずは弁護士にご相談ください。

本記事では、交通事故による入通院慰謝料の計算方法や請求手続きの流れなど、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、交通事故の入通院慰謝料とは

交通事故の入通院慰謝料(「傷害慰謝料」とも呼ばれます。)とは、交通事故でけがをしたことによる精神的苦痛を慰謝するために支払われる金員です。被害者は加害者に対して、入院期間や通院期間に応じた額の入通院慰謝料を請求することができます。

  1. (1)入通院慰謝料の目的

    入通院慰謝料の目的は、交通事故の被害者が負った精神的損害を賠償することです。

    けがをした被害者は、痛みや不自由さに耐えなければなりません。また、治療やリハビリのために入院や通院を要する場合、やりたいことや仕事ができない苦痛も感じるでしょう。

    これらの精神的損害を賠償することが、入通院慰謝料の目的です。

  2. (2)交通事故について請求できるその他の慰謝料|後遺障害慰謝料・死亡慰謝料

    交通事故の被害者が加害者に対して請求できる慰謝料には、入通院慰謝料のほかに「後遺障害慰謝料」と「死亡慰謝料」があります。

    【後遺障害慰謝料】
    交通事故によるけがが完治せず、後遺症が残った場合に請求できる慰謝料です。認定される後遺障害等級に応じて、裁判所基準の場合、基本的に、110万円(14級)から2800万円(1級)程度の後遺障害慰謝料を請求できます。

    【死亡慰謝料】
    交通事故の被害者が死亡した場合に、本人や遺族の精神的損害の賠償として請求できる慰謝料です。家庭内における被害者の立場などに応じて、裁判所基準の場合、基本的に、総額2000万円から2800万円程度の死亡慰謝料を請求できます。

2、入通院慰謝料の計算方法と注意点

入通院慰謝料を計算する基準は3種類ありますが、その中でも裁判所基準(弁護士基準)が被害者にはもっとも有利です。

  1. (1)入通院慰謝料を計算する3つの基準|自賠責基準・任意保険基準・裁判所基準

    入通院慰謝料を計算する基準は、「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判所基準(弁護士基準)」の3種類です。

    【自賠責基準】
    自賠責保険の保険金額を計算する基準です。国が定めた被害者に対する最低限の補償金額を定めているため、3つの基準の中でもっとも低額となります。

    【任意保険基準】
    加害者側の任意保険会社が独自に定める、非公開の基準です。自賠責基準よりやや高額となる場合もありますが、多くの場合、自賠責基準に近い金額となります。

    【裁判所基準(弁護士基準)】
    過去の裁判例に基づき、被害者の客観的な損害額を算定する基準です。3つの基準の中でもっとも高額で、かつ公正な金額を計算することができます。
  2. (2)自賠責基準に基づく入通院慰謝料の計算方法

    自賠責基準に基づく入通院慰謝料の額は、以下の式によって計算します。

    入通院慰謝料=4300円×対象日数

    なお、対象日数は以下のいずれか短い方です。

    • 実際の入通院日数×2
    • 総治療期間(治療開始日から治癒または症状固定の日まで)

    たとえば、骨折をして1か月間(30日間)入院し、その後4か月間(120日間)にわたって15回通院した場合の計算式は、以下のとおりです。

    入通院慰謝料(自賠責基準)の対象日数は90日(=(30日+15日)×2)
    よって金額は、38万7000円(=4300円×90日)

    むちうち症になり、3か月間(90日間)にわたって12回通院した場合の計算式は、以下のとおりです。

    入通院慰謝料(自賠責基準)の対象日数は24日(=12日×2)
    よって金額は、10万3200円(=4300円×24日)
  3. (3)裁判所基準に基づく入通院慰謝料の計算方法

    裁判所基準に基づく入通院慰謝料の額は、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)の別表Iまたは別表IIに基づいて計算します。

    原則としては別表I、むちうち症・軽い打撲・軽い捻挫などの場合は別表IIを参照します。入院期間と通院期間が交差する部分が、裁判所基準に基づく入通院慰謝料の目安額です。

    別表I(原則)

    別表II(むちうち症・軽い打撲・軽い捻挫などの場合)

    たとえば、骨折をして1か月間入院し、その後4か月間通院したケースの入通院慰謝料(裁判所基準)は130万円となります。また、むちうち症になって3か月間通院したケースだと、入通院慰謝料(裁判所基準)は53万円です。

  4. (4)入通院慰謝料を請求する際の注意点

    適切な入通院慰謝料を受け取るには、通院期間や頻度が重要となります。通院期間と比較して通院日数が極端に少ない場合には、治療の必要性がないと加害者側の保険会社に判断され、慰謝料が減額される可能性があります。
    適切な通院頻度については、医師の見解が重要ですが、加えて慰謝料を請求するうえで適切な通院頻度や通院期間については、弁護士に相談しましょう。

    また、適正額の入通院慰謝料を計算するためには、判所基準を用いることが必要です。

    加害者側の保険会社から任意保険基準に基づく金額を提示されることが多々ありますが、その金額を受け入れてはいけません。弁護士に示談の代理交渉を相談・依頼して、裁判所基準による適正額の入通院慰謝料を請求しましょう

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3、交通事故発生から入通院慰謝料を受け取るまでの流れ

交通事故が発生してから、入通院慰謝料を受け取ることができるまでの大まかな流れは、以下のとおりです。

① けがの治療から完治、あるいは症状固定
医師から完治または症状固定(=治療を続けても症状の改善が医学的に見込めない状態)の診断を受けるまで、入院または通院を続けましょう。

なお、後遺症が残っている場合には、症状固定の診断を受けた後に後遺障害等級認定の申請を行ってください。

② 示談交渉・自賠責保険の被害者請求
治療の終了後(後遺症が残っている場合は、後遺障害等級の認定を受けた後)に、加害者側の保険会社との間で示談交渉を行います。
入通院慰謝料と併せて、他の損害賠償(治療費・後遺障害慰謝料・逸失利益など)についても、示談交渉を通じて請求しましょう。

示談交渉が長引いている状況で、早く入通院慰謝料の支払いを受けたいときは、自賠責保険の被害者請求を行えば、自賠責基準相当額の保険金を先に受け取れることがあります。

③ 入通院慰謝料の受け取り
加害者の保険会社との示談交渉が完了した後、他の損害賠償と併せて入通院慰謝料の支払いを受けます。
示談交渉が決裂した場合は、交通事故ADRや訴訟などの手続きを通じて金額が確定した後、入通院慰謝料の支払いを受けることが可能です。

4、交通事故の損害賠償請求を弁護士に相談すべき理由

交通事故の損害賠償請求を行う際には、以下の理由から弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)保険会社との示談交渉を一任できる

    弁護士に依頼すれば、損害賠償請求に関する保険会社との示談交渉を一任できます。

    弁護士が代理で対応することで、保険会社側の主張に惑わされることなく、法的な根拠に基づいて損害賠償を請求することが可能です。また、示談交渉の労力や精神的負担が大幅に軽減される点も、弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

  2. (2)損害賠償が増額される可能性がある

    弁護士は、客観的な損害額を計算できる裁判所基準に基づいて、交通事故の入通院慰謝料を請求します。加害者側の保険会社が用いる任意保険基準よりも、裁判所基準による金額は被害者にとって有利なので、入通院慰謝料の増額が期待できます

    また弁護士は、入通院慰謝料以外の損害についても適切に積算し、かつ事故の客観的な状況に応じた適正な過失割合を主張します。弁護士によるこれらの対応は、損害賠償全体の増額につながるものです。

    交通事故による被害について、最大限の損害賠償を受けたい方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

5、まとめ

交通事故の入通院慰謝料の額は、弁護士を通じて請求する場合には、入院期間や通院期間に応じて計算します。

弁護士に示談交渉を依頼すれば、保険会社の提示額に比べて、慰謝料が増額するケースが多くあります。労力や精神的負担を軽減しつつ、適正額の損害賠償を受けるためには、弁護士に依頼しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、交通事故の損害賠償請求に関する被害者のご相談を随時受け付けております。交通事故の被害に遭ってしまった方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。交通事故専門チームの弁護士が、親身になってサポートいたします。

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この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

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