交通事故で内臓破裂に……家族が知るべき後遺障害・死亡事故の賠償
内臓破裂は、大量出血や臓器機能障害を伴う重大な外傷です。救命された場合でも後遺障害が残る可能性があり、残念ながら命を落とされるケースもあります。その場合、ご遺族が刑事手続きや損害賠償請求への対応を迫られることになります。
しかし、事故直後からの対応や法的な準備によって、受けられる賠償や結果が変わる可能性があります。適切な賠償を受け、加害者に法的責任を負わせるためには、ご家族が知っておくべきポイントがあります。
今回は、交通事故で内臓破裂と診断された場合にご家族がまず知るべき医学的・法的知識、想定される後遺障害等級、死亡事故となった場合の賠償や刑事手続き、そして早期に弁護士へ相談すべき理由などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、交通事故で「内臓破裂」と聞いたご家族の方へ|まず知ってほしいこと
内臓破裂は生命に関わる重大な外傷ですが、必ずしも死亡に至るとは限りません。一方で、重い後遺症になる可能性や将来介護費用等の賠償問題につながるケースもあります。
以下では、内臓破裂の基本的な医学的意味と、救命後に生じ得る後遺症のリスクについて説明します。
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(1)内臓破裂とはどのような状態か
内臓破裂とは、交通事故などの強い外力によって体内の消化器、呼吸器、循環器、泌尿器などの臓器が破裂してしまう状態をいいます。なお、「内臓破裂」という言葉は重い印象を持たれがちですが、医学的には「内臓損傷」の一つです。その損傷の程度には軽度から重度まで幅があり、内臓破裂はより重度な損傷と扱われます。
自動車事故では、ハンドルやシートベルト、ダッシュボードなどによる圧迫や衝撃により、目立った外傷はなくとも、胸部や腹部の臓器が損傷することがあります。
代表的な内臓破裂には、次のようなものがあります。- 肺破裂
- 肝臓破裂
- 脾臓破裂
- 腎臓破裂
- 腸管破裂
- 横隔膜破裂
これらの臓器は、血流が豊富であるため、損傷すると体内で大量出血が起こりやすいという特徴があります。外見上は大きな出血が見られなくても、体内で出血が進行し「出血性ショック」と呼ばれる危険な状態に至ることがあります。
また、臓器が破裂すると本来体内にあるべき内容物(消化液や腸内容物など)が腹腔内に漏れ、腹膜炎や感染症を引き起こす可能性にも注意が必要です。そのため、内臓破裂は見た目以上に重篤な外傷といえます。
事故直後は症状が軽く見えても、時間の経過とともに状態が悪化するケースもあるため、少しでも異常を感じたら、病院でCTなどの画像検査を受け、臓器損傷の有無を確認してもらいましょう。 -
(2)内臓破裂=死亡とは限らない|ただし後遺症が生じる可能性あり
内臓破裂と聞くと「助からないのではないか」と感じる方も多いですが、現在は外科手術や集中治療の進歩により、重度の臓器損傷でも救命できる可能性が高まっています。
実際、肝臓や脾臓、腎臓などの損傷であれば、手術や保存的治療によって回復するケースも少なくありません。
しかし、救命できた場合でも、臓器の一部欠損や機能低下により、以下のような後遺症が生じることがあります。- 呼吸機能の低下、呼吸困難(呼吸器系)
- 消化吸収障害(消化器系)
- 免疫機能低下(循環器系)
- 腎機能障害(泌尿器系)
- 慢性的な腹痛・癒着障害
これらの症状は、日常生活や就労能力に影響する場合があり、交通事故の後遺障害として等級認定の対象となる可能性があります。
そのため、内臓破裂と診断された場合は、「命が助かったから終わり」と考えるのではなく、将来の後遺障害や賠償の問題が生じる可能性も視野に入れておくことが重要です。
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2、【部位別】交通事故による内臓破裂で認定される可能性のある後遺障害等級
内臓破裂によって、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めないと医師が判断した場合(症状固定)、医師による診断書(後遺障害診断書)に基づき、後遺障害等級認定審査が行われます。後遺障害等級は、1級から14級までがあり、それぞれの等級には厳格な「認定基準」が設けられています。
認定される等級によって、支払われる後遺障害慰謝料や逸失利益(将来得られたはずの収入の補償)の金額が変動するため、適切に認定してもらうことが重要です。
等級別:後遺障害慰謝料の目安額
以下では、交通事故で生じやすい臓器損傷について、想定される主な後遺障害等級を部位別に整理して解説します。
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(1)呼吸器系|肺・胸膜・横隔膜など
交通事故による胸部外傷では、肺や胸膜、横隔膜などの呼吸器が損傷することがあります。これらの臓器に障害が残ると、呼吸機能の低下や慢性的な息切れなどの症状が生じ、日常生活や労働能力に影響を及ぼす場合があります。
呼吸器の後遺障害は、主に血液中の酸素状態や肺活量などの検査結果、呼吸困難の程度を総合的に評価して等級が判断されます。
① 動脈血ガス分析による認定基準(基準値は酸素分圧80~100Torr・炭素ガス圧35~45Torr)動脈血炭素ガス分圧 37~43Torr それ以外 動脈血酸素分圧 50Torr以下 3級4号
※常時要介護:別表第1・1級2号
※随時要介護:別表第1・2級2号50を超え60Torr以下 5級3号 3級4号
※常時要介護:別表第1・1級2号
※随時要介護:別表第1・2級2号60を超え70Torr以下 9級11号 7級5号 70Torrを超える - 11級10号 - ※Torr=体内の圧力を測る数値
② スパイロメトリー(肺機能検査)の測定および呼吸困難の程度による認定基準等級 呼吸困難の程度 スパイロメトリー測定値 3級4号
※常時要介護:1級2号
※随時要介護:2級2号高度 %1秒量が35以下
または
%肺活量が40以下7級5号 高度
または
中等度%1秒量が35を超え55以下
または
%肺活量が40を超え60以下中等度 %1秒量が35以下
または
%肺活量が40以下11級10号 高度、中等度または軽度 %1秒量が55を超え70以下
または
%肺活量が60を超え80以下軽度 ・%1秒量が35以下、または、%肺活量が40以下
・%1秒量が35を超え55以下、または、%肺活量が40を超え60以下
- ※%1秒量=大きく息を吸った後に勢いよく息を吐きだしたときの最初の1秒間に吐き出される息の量(正常値は70以上)
- ※%肺活量=基準値の肺活量に対しての、実際の肺活量の比率
なお、呼吸困難の程度は、以下のように定義されています。
- 高度:呼吸困難のため連続しておおむね100m以上歩けない
- 中等度:呼吸困難のため平地でも健康な人と同じペースで歩けないが、自分のペースなら1km程度歩ける
- 軽度:呼吸困難のため健康な人と同じように階段の昇り降りができない
③ 運動負荷試験による認定基準
①および②の検査では等級が認定できない場合であっても、呼吸機能低下による呼吸困難があり、運動負荷試験による結果から明らかに呼吸機能に障害がある場合には、後遺障害11級10号が認定される可能性があります。 -
(2)循環器系|心臓など
強い衝撃が胸部に加わると、心臓や大血管などの循環器系に損傷が生じることがあります。心臓機能の低下は、全身の活動能力に直結するため、後遺障害として残った場合は生活制限の程度に応じて等級が認定されます。
また、事故に伴う損傷や治療の結果として、除細動器・ペースメーカーの植え込みや人工弁の置換が必要になるケースもあり、その場合も後遺障害の対象となります。
① 心機能の低下
等級 認定基準 9級11号 心臓機能の低下による運動耐容能の低下が中等度の場合
おおむね6METsを超える強度の身体活動が制限される場合
(例)平地を急いで歩く、健康な人と同じ速度で階段を上るという身体活動が制限される状態11級10号 心臓機能の低下により運動耐容能の低下が軽度の場合
おおむね8METsを超える強度の身体活動が制限される場合
(例)平地を急いで歩く、健康な人と同じ速度で階段を上るという身体活動に支障はないが、それ以上激しい身体活動が制限される状態- ※METs=運動強度の指標
② 除細動器またはペースメーカーを植え込んだ場合
等級 認定基準 7級5号 除細動器を植え込んだ場合 9級11号 ペースメーカーを植え込んだ場合
③ 房室弁または大動脈弁を置換した場合
等級 認定基準 9級11号 房室弁または大動脈を置換し、継続的に抗凝血薬療法を行う場合 11級10号 房室弁または大動脈を置換し、上記の基準に該当しない場合
④ 大動脈に解離を残す場合
等級 認定基準 11級10号 偽腔開存型の解離を残す場合 -
(3)消化器系|食道・胃・腸・肝臓・膵臓・脾臓など
腹部への衝撃により、食道・胃・腸・肝臓・膵臓・脾臓などの消化器が損傷することがあります。消化器は、栄養の消化吸収や代謝に関わる臓器であるため、機能障害が残ると体力低下や栄養障害、慢性的な腹部症状などが生じる可能性があります。
消化器の後遺障害は、損傷した臓器の種類や切除範囲、消化吸収機能への影響の程度などに応じて、それぞれ個別に等級が判断されます。
① 食道の障害
等級 認定基準 9級11号 食道の狭さくによる通過障害を残す場合
② 胃の障害
等級 認定基準 7級5号 消化吸収障害、ダンピング症候群、胃切除後逆流性食道炎のすべてが認められる場合 9級11号 消化吸収障害とダンピング症候群
または
消化吸収障害と胃切除後逆流性食道炎
のどちらかが認められる場合11級10号 消化吸収障害、ダンピング症候群、胃切除後逆流性食道炎のうち、いずれかが認められる場合 13級11号 噴門部または幽門部を含む胃の一部を失った場合
③ 小腸の障害
・小腸を大量に切除した場合
等級 認定基準 9級11号 残存する空腸および回腸の長さが100cm以下になった場合 11級10号 残存する空腸および回腸の長さが100cmを超え300cm未満であり、消化吸収障害が認められる場合(低体重などが認められる場合)
・人工肛門を造設した場合
等級 認定基準 5級3号 小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチなどの装着ができない場合 7級5号 上記基準に該当しない場合 - ※ストマ=手術によって腹部に作られた排泄口(人工肛門など)
- ※パウチ=ストマに装着する排泄物を受ける袋
・小腸皮膚瘻(ろう)を残した場合
等級 認定基準 5級3号 瘻孔(ろうこう)から小腸内容の全部または大部分が漏出し、小腸皮膚瘻周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチなどの装着ができない場合 7級5号 瘻孔から小腸内容の全部または大部分が漏出する場合で、上記に該当しない場合
または
瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上であり、小腸皮膚瘻周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチなどの装着ができない場合9級11号 瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上である場合で、上記に該当しない場合 11級10号 瘻孔から少量ではあるものの明らかに小腸内容が漏出する程度の場合
・小腸の狭さくを残した場合
等級 認定基準 11級10号 小腸の狭さくがあり、以下のどちらにも該当する場合
・1か月に1回程度、腹痛、腹部膨満感、嘔気、嘔吐などの症状が認められること
・単純エックス線像においてケルクリングひだ像が認められること
④ 大腸の障害
・大腸を大量に切除した場合
等級 認定基準 11級10号 結腸のすべてを切除するなど大腸のほとんどを切除したもの
・人工肛門を造設した場合
等級 認定基準 5級3号 大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチなどの装着ができない場合 7級5号 上記基準に該当しない場合
・大腸皮膚瘻を残した場合
等級 認定基準 5級3号 瘻孔から大腸内容の全部または大部分が漏出し、大腸皮膚瘻周辺に著しいびらんが生じ、パウチなどの装着ができない場合 7級5号 瘻孔から大腸内容の全部または大部分が漏出する場合で、上記に該当しない場合
または
瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のものであり大腸皮膚瘻周辺に著しいびらんが生じ、パウチなどの装着ができない場合9級11号 瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上である場合で、上記に該当しない場合 11級10号 瘻孔から少量ではあるものの明らかに大腸内容が漏出する程度の場合
・大腸の狭さくを残した場合
等級 認定基準 11級10号 大腸の狭さくがあり、以下のどちらにも該当する場合
・1か月に1回程度、腹痛、腹部膨満感などの症状が認められること
・単純エックス線像において、貯留した大量のガスにより結腸膨起像が相当区間認められること
・便秘を残した場合
等級 認定基準 9級11号 用手摘便を要すると認められる場合 11級10号 上記に該当しない場合
・便失禁を残した場合
等級 認定基準 7級5号 完全便失禁を残す場合 9級11号 常時おむつの装着が必要な場合 11級10号 常時おむつの装着は必要ないものの、明らかに便失禁があると認められる場合
⑤ 肝臓の障害
等級 認定基準 9級11号 肝硬変である場合 11級10号 慢性肝炎である場合
⑥ 胆のうの障害
等級 認定基準 13級11号 胆のうを失った場合
⑦ 膵臓の障害
等級 認定基準 9級11号 外分泌機能の障害と内分泌機能の障害の両方が認められる場合 11級10号 外分泌機能の障害または内分泌機能の障害のうち、いずれかが認められる場合 12級13号
または
14級9号軽微な膵液瘻(すいえきろう)を残したために、皮膚に痛み等が生じるもの
⑧ 脾臓の障害
等級 認定基準 13級11号 脾臓を失った場合 -
(4)泌尿器系|腎臓・膀胱など
交通事故では腹部や骨盤の外傷により、腎臓や尿路系(尿管・膀胱・尿道)が損傷することがあります。腎機能の低下や排尿障害、尿失禁などの症状が残ると、生活上の負担が大きくなるため後遺障害として評価されます。
泌尿器の後遺障害は、腎機能の数値的低下や排尿・蓄尿機能の障害の程度、尿路変向術の有無などを基準として等級が認定されます。
① 腎臓の障害
・片側の腎臓を失った場合
等級 認定基準 7級5号 GFR値が30ml/分を超え50ml/分以下の場合 9級11号 GFR値が50ml/分を超え70ml/分以下の場合 11級10号 GFR値が70ml/分を超え90ml/分以下の場合 13級11号 上記に該当しないもの - ※GFR値=腎臓の機能を測る指標
・腎臓を失っていない場合
等級 認定基準 9級11号 GFR値が30ml/分を超え50ml/分以下のもの 11級10号 GFR値が50ml/分を超え70ml/分以下のもの 13級11号 GFR値が70ml/分を超え90ml/分以下のもの
② 尿管・膀胱・尿道の障害
・尿路変向術を行った場合
等級 認定基準 5級3号 非尿禁制型尿路変向術を行ったもので、尿が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パッドなどの装着ができない場合 7級5号 非尿禁制型尿路変向術を行った場合で上記に該当しない場合
または
尿禁制型尿路変向術を行ったもので、禁制型尿リザボアの術式を行った場合9級11号 禁制型尿リザボアおよび外尿道口形成術を除く、尿禁制型尿路変向術を行った場合 11級10号 尿禁制型尿路変向術を行ったもののうち、尿道カテーテルを留置した場合または外尿道口形成術を行った場合
・排尿障害を残す場合
等級 認定基準 9級11号 残尿が100ml以上の場合 11級10号 残尿が50ml以上100ml未満である場合
または
尿道狭さくにより糸状ブジーを必要とする場合14級(準用) 尿道狭さくにより糸状ブジー第20番がかろうじて通る状態で、ときどき拡張術を行う必要のある場合
・蓄尿障害を残す場合
等級 認定基準 7級5号 持続性尿失禁がある場合
または
切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁のため、終日パッドなどを装着し、かつ、しばしばパッド交換をする必要がある場合9級11号 切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁のために、常時パッドなどを装着しなければならないが、パッドの交換までは必要としない場合 11級10号 切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁のために、常時パッドなどを装着は必要ないものの、下着が少し濡れる場合
または
頻尿がある場合 -
(5)生殖器系|睾丸など
交通事故による骨盤・陰部の外傷では、生殖器に損傷が及ぶ場合があります。男性では睾丸(精巣)の損傷や勃起・射精障害、女性では卵巣や子宮などに障害が残ることがあり、生殖機能の喪失や低下として後遺障害の対象となります。
生殖器の後遺障害は、臓器の欠損や生殖機能への影響の程度に応じて男女別に等級が定められています。
① 男性の場合
等級 認定基準 7級13号 両側の睾丸を失った場合 7級相当 常態として精液中に精子が存在しない場合 9級17号 生殖機能に著しい障害を残す以下の場合
・陰茎の大部分を欠損した場合
・勃起障害を残す場合
・射精障害を残す場合13級相当 片側の睾丸を失った場合
② 女性の場合
等級 認定基準 7級相当 両側の卵巣を失った場合
常態として卵子が形成されない場合9級17号 生殖機能に著しい障害を残す以下の場合
・膣口狭さくを残す場合
・両側の卵管に閉塞もしくは癒着を残す場合
・頸管に閉塞を残す場合
・子宮を失った場合11級相当 狭骨盤(産科的真結合線が9.5cm未満または入口部横径が10.5cm未満のもの)または比較的狭骨盤(産科的真結合線が10.5cm未満9.5cm以上または入口部横径が11.5cm未満10.5cm以上のもの)が認められる場合 13級相当 片側の卵巣を失った場合 引用:「胸腹部臓器の障害に関する障害等級認定基準について」(厚生労働省)
なお、複数の臓器に後遺障害が残った場合には、それぞれの等級を踏まえて等級が繰り上がる「併合」の考え方が適用される可能性があります。
このような判断は専門的となるため、交通事故に詳しい弁護士に相談することが重要です。
3、内臓破裂によりご家族が亡くなられた場合|死亡事故におけるご遺族の対応
内臓破裂は大量出血や臓器機能不全を伴う重大な外傷であり、懸命な救命治療にもかかわらず亡くなられるケースもあります。以下では、死亡事故となった場合にご遺族が知っておくべき損害賠償の内容と刑事手続きについて解説します。
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(1)死亡事故で請求できる損害賠償金の内訳
交通事故により被害者が亡くなられた場合、ご遺族は加害者側(主に保険会社)に対して死亡による損害賠償を請求することができます。その際の主な項目は、以下のとおりです。
① 死亡慰謝料
被害者本人および遺族の精神的苦痛に対する賠償です。
被害者本人に対する一般的な相場(弁護士基準)は、以下のとおりです。- 一家の支柱:2800万円前後
- 配偶者・母親など:2500万円前後
- その他の家族:2000~2500万円
内臓破裂のような強い苦痛を伴う死亡や事故態様の悪質性が高い場合には、個別事情により増額が認められる場合があります。
また、被害者が死亡した場合には、ご遺族固有の精神的苦痛に対する慰謝料が認められる可能性もあります。
② 死亡逸失利益
被害者が生存していれば将来得られたはずの収入を賠償するものです。
年齢・職業・収入・扶養状況などを基に算定されます。主婦や高齢者でも認められます。
③ 葬儀関係費
通夜・葬儀・火葬・墓石費用など、社会通念上相当な範囲の費用が対象となります(通常150万円程度が基準)。
このほか、死亡までに治療期間がある場合には傷害慰謝料(入通院慰謝料)や治療費なども請求対象となります。 -
(2)加害者に対する刑事手続きと「被害者参加制度」
交通事故で被害者が死亡した場合、多くの場合、過失運転致死罪などにより加害者の刑事責任が問われます。遺族は、刑事手続きの被害者として、以下のような関与が可能です。
- 捜査機関への意見提出
- 起訴・不起訴の通知を受ける
- 刑事裁判の傍聴
- 被害者参加制度の利用
このうち被害者参加制度とは、一定の重大事件において遺族が刑事裁判に参加できる制度です。具体的には以下のようなことが可能です。
- 法廷での意見陳述
- 加害者への質問
- 量刑に関する意見表明
突然家族を失った被害者遺族にとって、「事故の責任がどのように評価されるのか」を見届ける機会となります。
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(3)加害者側の悪質性と慰謝料増額の可能性
交通死亡事故では、事故態様の悪質性が高い場合、慰謝料の増額が認められる場合があります。具体的には、以下のような事情がある場合です。
- 飲酒運転
- 著しい速度超過
- ことさらに信号無視
- 無免許運転
- ひき逃げ
- スマホ操作など前方不注視
- 薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等
これらは単なる過失ではなく「重大な危険行為」と評価されやすく、遺族の精神的苦痛も大きいと判断されるためです。裁判実務でも、加害者に故意もしくは重過失がある悪質事故では慰謝料増額が認められる傾向があります。
4、交通事故で内臓破裂と診断された直後からご家族ができること
内臓破裂による重傷事故では、その後の後遺障害認定や賠償額の判断に医療記録や事故資料が大きく影響します。
適切な賠償を受け、加害者に法的責任を負わせるためには、事故直後からの対応が重要です。以下では、ご家族が行える「法的準備」として意識しておきたいポイントを説明します。
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(1)治療の記録と医師とのコミュニケーションを大切にする
内臓破裂の後遺障害は外見からわかりにくいことが多く、医学的記録が非常に重要です。特に、交通事故の後遺障害認定では、カルテや検査結果などの医療記録が判断の基礎となります。そのため、ご家族としては、以下の点を意識しましょう。
- 面会時の症状や体調の変化をメモする
- 痛み・息苦しさ・食事量・排泄など生活状況を把握する
- 日常生活への支障を医師に具体的に伝える
- 説明内容を記録する
医師は、患者本人の訴えを中心に記録しますが、重症時は本人が十分に訴えられないこともあります。「以前より疲れやすくなった」「食が細くなった」といったご家族だからこそ気づく日常の細かな変化を医師に伝え、カルテに記載してもらうことが、後の後遺障害認定において重要な証拠となります。
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(2)事故に関する資料・証拠を集める
交通事故の賠償では、事故態様や過失割合などが重要な争点になりえます。そのため、ご家族としては、以下のような資料を収集しましょう。
- 交通事故証明書
- 警察の実況見分調書(作成後)
- 事故現場や事故車両の写真
- ドライブレコーダー映像
- 目撃者情報
- 救急搬送の記録
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(3)保険会社とのやり取りは慎重に進める
事故後は、加害者側保険会社から連絡がありますが、内臓破裂は治療期間が長期化しやすく、後遺症の有無や程度も経過を見ないと確定しません。そのため、早い段階で示談や賠償内容に同意してしまうと、後に重い後遺症が判明しても十分な賠償を受けられなくなるおそれがあります。
また、保険会社とのやり取りは記録を残し、慎重に対応することが重要です。疑問や不安がある場合は、事前に専門家に確認することが望ましいといえます。 -
(4)交通事故に詳しい弁護士にできるだけ早く相談する
内臓破裂のような重傷事故では、治療段階から後遺障害認定や賠償を見据えた対応が必要になるため、早期に交通事故に詳しい弁護士へ相談することが重要です。
弁護士が関与することで、保険会社との交渉対応や証拠収集、損害算定などを任せることができるため、ご家族は被害者の看病や生活対応に専念しやすくなります。また、症状固定後では対応が難しい問題も多いため、治療中の段階から相談しておくことが適切な賠償の確保につながります。
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5、内臓破裂による重傷・死亡事故で弁護士に相談すべき理由
内臓破裂による重傷・死亡事故では、賠償や責任追及の場面で専門的判断が必要になるため、弁護士への相談が重要となります。以下では、内臓破裂事故で弁護士に相談すべき理由を説明します。
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(1)重傷・死亡事故は賠償額が大きく争いになりやすい
内臓破裂のような重傷事故や死亡事故では、治療費・後遺障害慰謝料・逸失利益・将来介護費・死亡慰謝料など賠償額が高額になります。賠償額が大きいほど、保険会社は、支払額を抑える方向で判断する傾向があるため、後遺障害等級や逸失利益の算定、過失割合などをめぐって争いになることもあるのです。
弁護士が介入することで、損害の評価根拠を整理し、適正な賠償額での解決を目指すことができます。 -
(2)後遺障害等級認定のサポートが必要
後遺障害等級は医療記録を基に審査機関が判断しますが、内臓破裂による機能障害は検査数値や生活影響の評価が複雑であり、医学的資料の整い方が結果に大きく影響します。また、診断書の記載内容や検査結果の示し方によって等級が左右されることもあります。
交通事故に詳しい弁護士は、必要な医療記録の収集や症状経過の整理、後遺障害診断書作成時のポイント整理などを通じて、医学的評価が適切に反映されるよう支援できます。これにより、認定されるべき後遺障害等級が正しく判断される可能性が高まります。 -
(3)家族の精神的負担を軽減できる
重傷事故や死亡事故では、ご家族は看病や生活対応、葬儀、各種手続きなど多くの負担を抱えます。そのような状況で保険会社との交渉や資料収集、賠償手続きまで対応することは大きな精神的負担となります。
弁護士に依頼すれば、保険会社との交渉や損害算定、資料収集などの実務を任せることができ、ご家族は看病や生活対応等、被害者の治療支援や心身の回復に専念しやすくなります。また、専門家が関与しているという安心感も心理的支えになります。 -
(4)刑事・民事の両面対応が可能
内臓破裂による事故では、加害者に対する民事事件としての賠償請求だけではなく、被害者参加制度を利用して意見陳述などにより刑事手続きへ参加をすることもあります。
このような場合、弁護士は、民事・刑事の双方についてご家族を支援することが可能です。
具体的には、刑事手続きでは被害者参加制度の利用手続きや意見陳述の準備、裁判への関与方法の助言などを行い、被害感情や事故の重大性が適切に伝わるようサポートします。
また民事面では、刑事事件で明らかになった事故態様や過失の評価を踏まえて賠償請求を進めることができます。
6、まとめ
交通事故による内臓破裂は生命に関わる重大な外傷であり、救命された場合でも臓器機能障害などの後遺症になる可能性があります。
また、死亡事故となった場合はご遺族が損害賠償や刑事手続きに向き合うことになります。適切な賠償を受け、加害者に法的責任を負わせるためには、事故直後から医療記録や事故資料の収集などを意識することが大切です。
内臓破裂による重傷・死亡事故では、弁護士のサポートが特に重要となります。事故後の対応でお困りの方は、ぜひベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士にご相談ください。
交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。
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