足(足首)の後遺障害
症状と治療法
人体における「下肢」(腰から下の部分をイメージしてください)には、①股関節、②膝関節、③足関節(足首のことです)の3つの重要な関節があります(3大関節)。
このうち、足関節は、歩行時の衝撃を吸収・分散し、身体の前方移動の視点になるという重要な役割を担っています。
足関節関連の傷病名としてよく見受けられるのが、「足関節果部骨折」や、「足関節捻挫症」です。このうち、足関節捻挫症は、足関節が横の動きに対して弱いことに起因して発症することが多く、捻挫の大半は足の裏を内側に向ける動き(「内反」といいます)が強く強制されることにより発症します。
具体的な症状としては、捻挫の程度により痛みや腫れが見られます。また、靭帯が完全に断裂してしまった場合には、足首を上手く動かせなくなります(可動域の異常)。
治療方法としては、靭帯断裂の場合には靭帯縫合を行いますが、靭帯が少し伸びた程度の軽い症状であれば、捻挫症の基本的な治療法である「RICE治療」が施されます。RICE治療とは、Rest(患部を安静にする)、Ice(患部を冷やす)、Compression(患部を圧迫する)、Elevation(心臓より高い位置に患部を上げる)の頭文字を取った治療法です。
足首の後遺障害等級認定
等級 | 症状 | 自賠責基準 | 裁判基準 |
---|---|---|---|
8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | 324万円 | 830万円 |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの | 187万円 | 550万円 |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの | 93万円 | 290万円 |
後遺障害等級認定獲得のためのポイント
足関節果部骨折の場合は、多くのケースで足関節の後遺障害を残します。そして、足関節果部骨折は、通常、脛腓靭帯断裂や距骨の脱臼及び亜脱臼を併発することから、後遺障害の等級としては10級11号が想定されます。
一方、軽い捻挫症の場合は、初期治療を誤らなければ後遺障害を残すことはありません。
もっとも、靭帯断裂など重度の捻挫症の場合には、受傷後6ヶ月ほどで症状固定となり、後遺障害が残るケースがあります。
ここで注意しなければならないのは、後遺障害等級は、後遺障害診断を受ける時の状態で判定されるということです。すなわち、人間の身体は私たちが思っている以上に良く出来ているものであり、後遺障害とはいっても症状は日々改善していくものです(これを医学的には「日にち薬」と説明したりします)。
したがって、ずるずると通院を継続することで下手に症状固定の時期を遅らせてしまうと、かえって後遺障害が認定される可能性が低くなるという点に注意が必要です。
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