足(膝)の後遺障害
膝関節の骨と関節
膝関節は、大腿骨と脛骨で構成される「脛骨大腿関節」と、膝蓋骨と大腿骨で構成される「膝蓋大腿関節」の2つの関節から構成されています。
そして、脛骨大腿関節の間には、「半月板」と呼ばれる線維性の軟骨組織があり、膝関節の安定性の向上を図る役割を果たしており、また、脛骨大腿関節を支持する「内側側副靱帯」「外側側副靱帯」と「前十字靱帯」「後十字靱帯」が、膝関節の屈曲・伸展運動を制動しています。
交通事故受傷(ダッシュボードでの膝の強打、バイク乗車中の転倒事故等)によって膝関節周辺の骨折、半月板や靱帯損傷等が生じると、膝関節の可動域制限や負傷部位の可動時痛が残ってしまうことがあります。
膝関節の後遺障害等級認定
獲得すべき後遺障害等級は、12級7号(1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの)、10級11号(1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの)又は8級7号(1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの)が対象となってきます。
膝関節の後遺障害慰謝料の目安
等級 | 症状 | 自賠責基準 | 裁判基準 |
---|---|---|---|
12級7号 | 健側に比べ可動域が4分の3以下に制限されている状態 | 224万円 | 290万円 |
10級11号 | 健側に比べ可動域が2分の1以下に制限されている状態 | 461万円 | 550万円 |
8級7号 | 関節の完全強直又はこれに近い状態にあるもの 神経麻痺等により自動運動不能又はこれに近い状態にあるもの |
819万円 | 830万円 |
後遺障害等級認定獲得のためのポイント
①負傷部位のCTやMRI画像を取得していること
単に痛みで膝関節が曲がらないという状態ではなく、外傷性の異常所見があることが必要になってきます。
②適切に可動域が測定されていること
医師の目分量ではなく、「ゴニオメーター」(測定器)で適切に「健側」と「患側」の可動域が計測されていること。
③症状が事故後から症状固定まで一貫して続いていること
事故後、一定期間経過して生じる症状については、疑念を抱かれてしまいます。
④医療機関への治療状況
自覚症状を主治医に伝え,半年間を目安にしっかり治療に専念できているか。
⑤過不足のない後遺障害診断書が完成していること
後遺障害等級認定は書面審査が基本。単に作成すればいいわけではありません。
以上のポイントは最低限の注意事項で、各人の状況によっては、不利な事情をカバーする医療的証拠等も提出する必要があります。適切な後遺障害等級認定を獲得するためには、治療方針も含めて事前の分析と準備が不可欠なのです。
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