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交通事故で身体障害が残った…。 慰謝料の金額に関わる後遺障害等級とは?

公開日:2021年6月30日 後遺障害
交通事故でケガを負ってしまった場合、治療を続けてもケガが完全に治らず、後遺障害が生じてしまう場合があります。



「後遺障害」と「身体障害」は、文字としては似ていますが、前者は交通事故の損害賠償の解決に関わり、後者は自治体などによる公的支援サービスに関わる単語です。



本コラムでは、交通事故の結果として身体障害が残ってしまった場合や後遺障害が生じた場合に採るべき手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。

1、交通事故の後遺障害等級とは?|身体障害との違いについて

交通事故の損害賠償処理における「後遺障害」とは、一般的に、交通事故によって生じてしまった後遺症のうち、自動車損害賠償保障法に基づく「後遺障害等級」のいずれかに該当したものを指します
後遺障害等級は、後遺障害の程度の重さを表すものであり、第一級から第十四級までに分かれます。
交通事故の被害者が加害者に請求できる後遺障害慰謝料や逸失利益の金額は、後遺障害の等級によって大幅に変わるのです

一方、「身体障害」は、身体障害者福祉法に基づき、身体障害者手帳の交付対象となる身体の障害のことを指します
身体障害者手帳を保有する人は、さまざまな公的支援サービスを受けることができます。
身体障害にも身体障害の種類や重さに応じた「等級」が存在しますが、その基準は後遺障害とは別であり、一級から七級までとなっております。

このように、後遺障害と身体障害は、負傷の結果として身体に残ってしまった障害という点で共通しているものの、問題となる場面や認定基準が異なるのです

2、後遺障害等級の認定基準|「事前認定」と「被害者請求」の違いについて

交通事故で被害者が負った損害は、加害者に対して賠償を請求することができます。
基本的に、損害賠償を請求する際には示談交渉が行われて、交渉がまとまったのちに「示談金」として支払われることになります。
示談金の内訳として代表的なものが、事故で負ったケガの治療に関わる費用(治療費・通院のための交通費・入院のための部屋代など)と、ケガによる休業損害、そして事故でケガを負ったことよって生じた精神的苦痛に対する賠償金である「傷害慰謝料(入通院慰謝料)」です。
後遺障害が生じた場合には、さらに「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」を請求できます。
すなわち、「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」を示談金に含めるためには、後遺障害等級が認定される必要があるのです

後遺障害等級の認定基準と、等級の認定を申請するための二つの方法である「事前認定」「被害者請求」について、解説いたします。

  1. (1)後遺障害別等級表とは

    後遺障害等級は、後遺障害の症状を類型化した後遺障害別等級表に従って認定されます。
    この後遺障害別等級表は、自動車損害賠償保障法施行令に定められています。

  2. (2)後遺障害等級認定の申請方法

    後遺障害等級の認定は、「損害保険料率算出機構」という機関が行っています。
    申請方法については、申請を加害者の任意保険会社に任せてしまう「事前認定」と、被害者が自分で申請を行う「被害者請求」の2種類に分類されます

  3. (3)「被害者請求」を行うべき理由|事前認定の難点と被害者請求のメリット

    後遺障害等級認定の申請を行う際には、「被害者請求」で行うことをおすすめします

    事前認定のメリットは、被害者は後遺障害診断書を加害者の任意保険会社に提出するだけでよく、比較的手間がかからないということです。
    しかしながら、加害者の任意保険会社の側で書類の準備が遅れた場合には、後遺障害等級の認定も遅延されるというデメリットがあります。
    また、事前認定では、申請を加害者の任意保険会社に任せてしまうため、被害者に有利な証拠を被害者の判断で提出することができません。そのため、後遺障害等級認定の重要な判断要素となる証拠書類を十分に提出できない場合があるのです。

    一方、被害者請求では、被害者主導で申請手続きを行うことができます。
    そのため、効率よく準備を進めれば、早期に後遺障害等級認定を受けることが可能になるのです。
    また、被害者自身が提出する資料を収集することができますので、自らに有利な証拠を積極的に収集し提出することができます。

    このような理由から、事前認定よりも被害者請求の方が、最終的に被害者にとって有利な解決を得られる可能性が高くなるといえるのです。

  4. (4)後遺障害等級認定には異議申立ても可能

    後遺障害等級認定の結果に不服がある場合には、加害者の自賠責保険に対して異議申立てを行うことができます。


    たとえば、手続きの面倒を省くために事前認定で申請を進めたものの、思ったよりも低い後遺障害等級しか認定されなかったという場合には、弁護士に相談して異議申立てを行うことをおすすめします。
    ただし、一度認定されたものを異議申立で覆すのは容易ではありません。
    そのため、後遺障害の申請をお考えの方はまず弁護士に相談してみることを強くおすすめします

3、後遺障害に対して支払われる賠償金の相場は?|慰謝料・逸失利益など

交通事故が原因で後遺障害が生じてしまった場合に、加害者または任意保険会社から賠償してもらえる損害の項目および金額相場について解説します。

  1. (1)後遺障害慰謝料

    後遺障害が生じてしまうと、その後の人生に大きな支障が生じます。
    そのため、後遺障害によって生じた精神的苦痛への賠償金である後遺障害慰謝料の金額は、相応に大きなものとされるのです。
    また、後遺障害の等級は原則として障害の重さを示すものなので、等級が高くなるほど後遺障害慰謝料の金額も高くなるのです。

    ただし、後遺障害慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の三種類があります。

    自賠責基準は、自賠責保険から支払われる保険金額を示しています。

    任意保険基準は、示談交渉において加害者側の任意保険会社が提示する金額を示しています。
    具体的な金額は非公開ですが、自賠責基準と弁護士基準の中間的な金額になることが多いようです。

    弁護士基準は裁判例を参照して設定されたものであり、もっとも被害者側に有利な基準となっています
    弁護士を伴って示談交渉を行う際には、加害者側の任意保険会社も弁護士基準を用いた慰謝料の支払いを受け入れるケースが多いといえます。

    自賠責基準および弁護士基準による後遺障害慰謝料の金額は、以下のとおりです。

    後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
    1級1150万円2800万円
    2級998万円2370万円
    3級861万円1990万円
    4級737万円1670万円
    5級618万円1400万円
    6級512万円1180万円
    7級419万円1000万円
    8級331万円830万円
    9級249万円690万円
    10級190万円550万円
    11級136万円420万円
    12級94万円290万円
    13級57万円180万円
    14級32万円110万円
  2. (2)後遺障害逸失利益

    後遺障害慰謝料と並んで金額が大きくなりやすいのが、後遺障害逸失利益です。
    後遺障害によって労働能力を喪失した場合、喪失率に応じて、将来に仕事を通じて得られるはずだった収入が損害として認められます

    労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて、概ね以下のように定められています。
    ただし、同じ等級でも、障害の種類や職業などの具体的な事情によって、労働能力喪失率は上限する場合があります。

    後遺障害等級労働能力喪失率
    1級100%
    2級100%
    3級100%
    4級92%
    5級79%
    6級67%
    7級56%
    8級45%
    9級35%
    10級27%
    11級20%
    12級14%
    13級9%
    14級5%

4、身体障害者手帳の交付を受けるための手続きは?

交通事故により後遺障害を負った場合、障害の種類や程度によっては、身体障害者手帳の交付を申請できる場合があります。

身体障害者手帳の交付を受けられるのは、身体障害者障害程度等級表に従い、身体障害者等級が認定される障害を負っている場合です。

(参考:身体障害者障害程度等級表(厚生労働省)

身体障害者手帳の交付は、市区町村の福祉事務所窓口で申請を行います。
必要となる書類などは以下のとおりです。

【身体障害者手帳の交付申請の必要書類】
  • ・身体障害者診断書
  • ・医師の意見書
  • ・交付申請書
  • ・個人番号カードまたは通知カード
  • ・身分証明書
  • ・被害者本人の証明写真
  • ・印鑑

5、身体障害者手帳が交付された場合に利用できる支援制度は?

身体障害者手帳の保有者は、以下のような公的な福祉サービスや助成制度を利用することができます。

① 医療費の助成
身体障害の程度を軽くするための治療を受けた場合、自立支援医療(更生医療)の制度により、医療費の自己負担が原則1割に抑えられます。
さらに、自治体ごとに上乗せの助成制度が設けられている場合もあります。
詳しくは、お住まいの自治体の窓口に問い合わせてください。

② 車いすその他の補装具の購入・修理費用助成
盲人安全杖・補聴器・義肢・車いす・歩行器などの補装具の購入・修理については、自己負担が原則1割になります。

③ 税金の軽減措置
所得税・住民税・自動車税・相続税・贈与税などについて、身体障害者手帳保有者への優遇措置が設けられています。

(参考:「障害者と税」(国税庁)

④ 公共料金の割引
公共交通機関や公共施設の利用料金、NHKの受信料、携帯料金などについて、割引料金が適用されます。

6、交通事故で後遺障害を負った場合、弁護士に相談すべき理由とは?

交通事故が原因で後遺障害を負ってしまった場合、後遺障害等級の認定や、加害者側の任意保険会社との示談交渉を行う必要があります。
その際、弁護士に依頼をすれば、以下のようなさまざまなメリットがあるのです。

  1. (1)示談交渉が有利になる

    弁護士を伴うことにより、後遺障害慰謝料について、被害者に有利な弁護士基準をベースとした示談交渉を進めることができます
    その他の損害項目についても、専門家である弁護士がついていれば、加害者側の任意保険会社に足元を見られることなく、被害者の権利を正しく主張できる可能性が高くなります。

  2. (2)後遺障害と事故の因果関係の立証がしやすくなる

    後遺障害等級の認定においては、後遺障害と事故との間の因果関係を、被害者側で立証する必要があります。
    弁護士であれば、因果関係の立証にどのような証拠が必要であるかを適切に見極め、必要な証拠をタイムリーに収集・提出するためのサポートをすることが可能です

  3. (3)被害者請求や異議申立ての手続きを代行させられる

    後遺障害等級認定に際しては、被害者請求や異議申立てなど、手間のかかる手続きを数多くこなす必要があります。
    後遺障害等級の認定の申請の経験豊富な弁護士に依頼することで、これらの手続きを代行させることができるのです

7、まとめ

交通事故で後遺障害を負ってしまった場合、今後の人生に重大な影響が生じます。
身体の苦痛や不便に悩まされている状況で、後遺障害等級の認定手続きや加害者との示談交渉を行うことは、被害者にとって大きな負担となります。

交通事故の被害に遭い、後遺障害が生じてしまった方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。
後遺障害等級の被害者請求や異議申立て、加害者側への後遺障害慰謝料や逸失利益の請求まで、ベリーベストの弁護士がサポートいたします。

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