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交通事故の時効は3年、5年、20年! 時効開始のタイミングや止める方法

公開日:2022年12月19日 基礎知識 慰謝料・損害賠償
交通事故の被害に遭った場合には、交通事故の加害者に対して、損害賠償請求を行います。交通事故の内容や程度によっては、加害者への損害賠償請求まである程度の時間を要することもありますが、その際に注意しなければならないのが「時効」の問題です。

時効が成立してしまうと、損害賠償請求が認められない可能性もありますので、時効成立前に適切な対応をとる必要があります。

今回は、交通事故の損害賠償請求権の時効について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、交通事故の損害賠償請求の時効はどれぐらい? 3年、5年、20年

交通事故の損害賠償請求権は、どのくらいの期間で時効になってしまうのでしょうか。

  1. (1)交通事故の被害者が有する請求権

    交通事故の被害に遭った場合には、怪我の治療のための治療費、会社を休んだ場合の休業損害、精神的苦痛を被った場合の慰謝料、後遺障害が生じた場合の逸失利益などさまざまな損害が発生します。このような損害については、交通事故の加害者に対して、不法行為を根拠として、損害賠償請求していくことができます(民法709条)。

    また、交通事故の被害者は、加害者が加入している自賠責保険会社に対して、直接損害賠償額を請求することもできます。これを「被害者請求」といいます。加害者が任意保険に加入していないような場合には、自賠責保険会社に対する被害者請求によって損害の回復を図ることになります。

  2. (2)各請求権の時効期間

    交通事故の被害に遭った場合には、どのような請求をするのかによって、時効期間が異なってきます。以下では、請求権ごとの消滅時効期間について説明します。

    ① 加害者に対する損害賠償請求

    ● 怪我を負った場合
    交通事故によって怪我をしてしまった場合には、人身事故として、加害者に対して損害賠償請求をしていきますが、この場合の時効期間は5年または20年です。

    ● 怪我を負わなかった場合
    交通事故によって怪我をしなかった場合には、物損事故として加害者に対し損害賠償請求をしますが、この場合の時効期間は3年または20年です。

    ● 改正民法との関係
    なお、改正前民法では、人身事故と物損事故のいずれのケースでも時効期間は3年または20年とされています。改正民法の施行日である令和2年4月1日の時点で改正前民法による時効が完成していない場合には、改正民法の5年または20年の時効が適用されます。


    ② 自賠責保険会社に対する被害者請求
    自賠責保険会社に対して被害者請求をする場合の時効期間は、3年です。改正民法の損害賠償請求の時効期間と自賠責保険会社に対する被害者請求の時効期間は、異なりますので、被害者請求をする場合には、早めに手続きを進めるようにしましょう。

2、時効が開始されるタイミングは?

時効期間は、どのタイミングからスタートするのでしょうか。以下では、時効の起算点について説明します。

  1. (1)時効の起算点の考え方

    時効の起算点とは、どの時点から時効期間がスタートするのか、という問題です。時効の起算点は、時効の成立に大きな影響を及ぼすことになります。

    交通事故の加害者に対する損害賠償請求権は、「損害および加害者を知った日」の翌日から5年の時効期間がスタートすることになります。一般的な交通事故の場合には、交通事故の発生直後に加害者を知ることになりますので、事故発生日の翌日から時効期間がスタートします。

    ただし、加害者がわからないひき逃げ事故の場合には、その後の警察の捜査によって加害者が特定された時点が5年間の時効の起算点となりますが、警察の捜査によっても加害者が不明であるという場合には、事故の翌日から20年で時効となります。

  2. (2)損害によって異なる時効の起算点

    基本的に、「損害および加害者を知った日」の翌日から時効はスタートしますが、事故の種類や請求する損害の内容によって、時効の起算点の考え方が異なるため、注意が必要です。

    ① 物損事故の起算点
    事故発生の翌日が起算点となります。

    ② 人身事故(後遺障害がない場合)
    事故発生の翌日が起算点となります。

    ③ 人身事故(後遺障害による損害部分について)
    後遺障害がある場合には、後遺障害の有無が確定しなければ「損害を知った」とはいえません。そのため、人身事故のうち後遺障害による損害については、症状固定日の翌日が起算点となります。

    ④ 死亡事故(死亡による損害について)
    被害者が死亡した日の翌日が起算点となります。

3、時効を止める方法はある? 時効成立後は必ず請求できないのか

時効の完成が迫っているという場合には、時効を止める方法はないのでしょうか。また、時効成立後の請求は、絶対に認められないのでしょうか。

  1. (1)時効をストップまたはリセットする方法

    時効の完成が迫っているという場合には、時効の更新または完成猶予といった措置をとることによって、時効の完成を妨げることができます。

    ① 時効の更新
    時効の更新とは、時効の更新事由が認められた時点で、それまでの時効期間をリセットし、ゼロから改めて時効期間のカウントをスタートするという制度です。時効の更新は、民法改正によって名称が変更になったものであり、以前は「時効の中断」と呼ばれていました。
    代表的な時効の更新事由としては、以下のものが挙げられます。

    ● 債務者の承認
    債務者(交通事故の場合、加害者など)の承認があったときから時効が更新されます。

    ● 裁判上の請求
    確定判決によって権利が確定したときから時効が更新され、その後10年間は時効が完成しません。

    ● 支払督促
    支払督促の確定によって時効が更新されます。

    ● 強制執行
    強制執行の手続きが終了したときから時効が更新されます。


    ② 時効の完成猶予
    時効の完成猶予とは、時効の完成猶予事由が認められた時点で、時効期間のカウントが一時的にストップする制度です。時効の完成猶予は、民法改正によって名称が変更になったものであり、以前は「時効の停止」と呼ばれていました。
    代表的な時効の完成猶予事由としては、以下のものが挙げられます。

    ● 催告
    加害者に対して内容証明郵便などで支払いの請求をした場合には、6か月間時効の完成が猶予されます。催告を繰り返しても時効の完成猶予の効果が延びることはありませんので、時効の完成が猶予されている間に、裁判上の請求などをしていく必要があります。

    ● 裁判上の請求
    訴えの提起によって時効の完成が猶予されます。その後、訴えの却下や取り下げがあった場合には、そのときから6か月間時効の完成が猶予されます。

    ● 支払督促
    支払督促の申し立てによって時効の完成が猶予されます。

    ● 強制執行
    強制執行の申し立てによって時効の完成が猶予されます。

    ● 仮差し押さえ、仮処分
    仮差し押さえや仮処分の手続き終了時から6か月間時効の完成が猶予されます。
  2. (2)時効成立後であっても請求できるケース

    時効は、時効期間が経過すれば自動的に権利が消滅するというわけではなく、時効によって権利が消滅するのは、当事者から時効の援用があった時点となります。時効の援用とは、時効によって利益を受ける人が時効の完成を主張することをいいます。たとえば、交通事故の加害者から時効期間経過後に「時効なので支払いません」といった主張があった場合には、時効の援用によって、損害賠償請求権は消滅します。

    このように時効は、当事者からの援用があって初めて権利消滅という効果が生じるものとなりますので、裏を返せば当事者が援用をしなければ時効期間が経過したとしても、損害賠償請求をすることは可能です。

    また、時効期間経過後に加害者側が損害賠償に応じる旨の回答をした場合には、法律上、加害者が時効の利益を放棄したと評価できる可能性があります。この場合には、時効の利益を放棄した日から新たに5年間の時効がカウントされますので、損害賠償の請求が可能となります

4、交通事故で時効が迫っていたら、弁護士へすぐに相談を

交通事故の被害者の方のうち、時効の完成が迫っているという方は、早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)時効の期間を正確に判断できる

    交通事故の時効には、どの時点から期間がスタートするのかという起算点の問題があり、状況によって時効が完成するまでの期間が異なるため、時効完成の有無の判断は、専門的な知識がなければ難しい問題であるといえます。

    交通事故から長期間が経過しているというケースでは、時効が完成している可能性もありますので、まずは、専門家である弁護士に時効の完成の有無を判断してもらうとよいでしょう

  2. (2)時効の完成猶予・更新によって時効の成立を妨げることが可能

    時効が完成していないという場合には、時効の完成猶予または更新といった方法によって時効の進行をストップまたはリセットすることが可能です。すぐに裁判を起こすだけの資料が準備できないという場合には、催告によって6か月間時効の完成を猶予することもできますので、その間に訴訟提起の準備を進めていくとよいでしょう。

    時効の完成が迫っているという場合には、弁護士が迅速に時効の完成猶予および更新の措置をとり、時効の成立を妨げることができます。時効期間が経過してしまうと、弁護士であっても対応が困難となりますので、早めに相談をすることをおすすめします

  3. (3)慰謝料を増額できる可能性がある

    交通事故によって怪我をした場合には入通院慰謝料(傷害慰謝料)を、後遺障害が生じた場合には、後遺障害慰謝料を相手に請求することができます。

    このような交通事故の慰謝料を算定する基準には、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)基準、任意保険基準、裁判所基準(弁護士基準)という3つの基準があり、裁判所基準がもっとも慰謝料が高額になる可能性が高い基準です。この裁判所基準を利用して慰謝料の算定をすることができるのは、通常、弁護士に依頼をして、弁護士が保険会社と示談交渉をする場合か裁判をする場合です。
    そのため、被害者の方が個人で交渉をしたとしても、裁判所基準を前提とした慰謝料を請求することは非常に困難です。

    裁判所基準によって慰謝料を計算することによって、保険会社から提示されている慰謝料額を増額することができる可能性があります。少しでも多くの賠償金を獲得したいという方は、弁護士にご依頼ください。

5、まとめ

交通事故の被害に遭ってから一定期間が経過してしまうと、時効によって権利が消滅し、損害賠償請求をすることができなくなってしまいます。一般的な事故であれば、時効期間前に示談が成立するためそこまで問題にはなりませんが、後遺障害が生じるような重大な事故の場合には、示談成立までに相当な期間がかかることもありますので、時効についても意識しておくことが大切です。

交通事故から期間が経過しており、時効が心配だという方は、まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください。

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