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後遺障害等級4級の認定基準とは? 主な症状と賠償金について解説

公開日:2023年5月29日 後遺障害
後遺障害等級4級は、交通事故の後遺症について認定される等級の中でも重い部類です。交通事故によって後遺症となった場合、認定される後遺障害等級によって、損害賠償の金額が大きく左右されます。

弁護士にご相談いただくことによって、適正な後遺障害認定を受けるために、必要な手続きを一貫してサポートすることが可能です。また、最も高額な算定基準を用いた請求が可能となることから、より実態に即した慰謝料を請求できる点も、弁護士に対応を依頼するメリットとなります。

今回は、後遺障害等級4級の認定基準や主な症状、請求できる損害賠償の種類や金額などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、後遺障害等級4級の認定基準・主な症状

交通事故の後遺症のうち、後遺障害等級4級が認定されるのは、具体的にどのような場合なのでしょうか。
後遺障害等級4級の認定基準と、主な症状の内容をまとめました。
(参考:「後遺障害等級表」(国土交通省))

  1. (1)両眼視力の著しい低下

    両眼視力が0.06以下になった場合には、後遺障害等級4級1号に該当します。なお、両眼視力が0.02以下になってしまった場合は、後遺障害等級2級2号です。

    4級1号 両眼の視力が0.06以下になったもの

    いずれの場合も、裸眼の視力ではなく、メガネなどを用いた矯正視力について測定した数値で決定されます。

  2. (2)咀嚼機能および言語機能の著しい障害

    咀嚼機能・言語機能の両方につき著しい障害が残った場合には、後遺障害等級4級2号に該当します。

    4級2号 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

    「咀嚼」の機能とは、食べ物をかみ砕く機能のことです。
    咀嚼機能に「著しい障害を残す」とは、粥食またはこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できない状態をいいます。なお、流動食以外は摂取できない場合は、後遺障害等級1級2号または3級2号となります。

    「言語」の機能とは、子音を発音する機能のことです。
    子音を分類すると、口唇音、舌歯音、口蓋音、咽頭音の4つの語音に分類されます。
    言語機能に「著しい障害を残す」とは、以下4種類の語音のうち、2種類が発音できない状態または綴音機能(語音を一定の順序で連結させること)に障害があるため、言語のみで意思疎通できない状態をいいます。もし3種類以上の語音を発音できない場合は、後遺障害等級1級2号または3級2号となります。

    口唇音 ま行、ば行、ぱ行、わ行、ふ
    歯舌音 ざ行、た行、だ行、な行、ら行、さ行、しゅ、じゅ、し
    口蓋音 か行、が行、や行、ぎゅ、にゅ、ひ、ん
    咽頭音 は行
  3. (3)両耳聴力の全喪失

    両耳の聴力を完全に失った場合は、後遺障害等級4級に該当します。

    4級3号 両耳の聴力を全く失ったもの
  4. (4)片腕・片脚の切断

    片腕(一上肢)をひじ関節以上で失った場合、または、片脚(一下肢)をひざ関節以上で失った場合には、後遺障害等級4級4号または5号に該当します。なお、両腕をひじ関節以上で失った場合は後遺障害等級1級3号、両脚をひざ関節以上で失った場合は後遺障害等級1級5号に該当することになります。

    4級4号 一上肢をひじ関節以上で失ったもの
    4級5号 一下肢をひざ関節以上で失ったもの
  5. (5)両手指の全用廃

    両手の指が全く動かなくなる(=用を廃した)運動障害を負った場合、後遺障害等級4級6号に該当します。ただし、両手の指を全部失った場合は、後遺障害等級3級5号となります。

    4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの
  6. (6)両足の切断(リスフラン関節以上)

    両足をリスフラン関節以上で失った場合、後遺障害等級4級7号に該当します。

    4級7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの

    リスフラン関節とは、5本の足指の骨それぞれと足の甲の骨の間にある関節で、歩行動作の着地時など足に体重がかかった際の衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています。

2、交通事故の加害者に請求できる主な損害賠償の種類

交通事故の被害者は、加害者に対して多岐にわたる項目の損害賠償を請求できます。

後遺障害等級4級に該当する場合、慰謝料・逸失利益が高額となるほか、治療費や休業損害なども大きな金額になるケースが多いので、弁護士を通じて漏れなく請求を行ってください

  1. (1)治療費等

    交通事故による怪我を治療するためにかかった費用は、過失割合が加害者10割の場合、その全額につき加害者に対して支払いを請求できます。

    (例)
    • 通院治療費
    • 入院費
    • 手術費用
    • 通院交通費
    • 装具、器具購入費
    など
  2. (2)休業損害

    交通事故によって負った怪我が後遺障害等級4級に該当するのであれば、その治療のため、仕事を休まざるを得なくなるケースがほとんどでしょう。

    この場合、必要性及び相当性が認められる範囲で、加害者に対して休業によって失われた賃金(休業損害)の賠償を請求できます。
    休業損害の計算式は、以下のとおりです。

    休業損害=1日当たりの基礎収入×休業日数※
    ※休業日数として認められるのは、症状固定までの休業のみ


    1日当たりの基礎収入は、被害者の仕事に応じて以下の数値となります。

    <1日当たりの基礎収入>
    • 会社員の場合:事故前3か月の給与合計額÷実稼働日数(実際に働いた日)
    • 自営業者の場合:事故前年度の年間所得÷365日
    • 専業主婦の場合:賃金センサスの女性労働者の全年齢平均給与額÷365日


    会社員の場合、「事故前3か月の給与合計額÷3か月の歴日数である90日」とする算定方法もあります。しかし、雇用契約上、休日に働く場合、休日出勤手当などが加算されることが一般的といえます。したがって、「事故前3か月の給与合計額」に、休日分の給与額が反映されていないにもかかわらず、日額給与額算定のために、休日分を含めた日数で割る算定方法は妥当とはいえません。

    たとえば、会社員の方が交通事故に遭ったケースで、事故前3か月の給与合計額が90万円、療養目的で200日間の休業を経て、医師により症状固定の診断が行われたとします。
    この場合、実稼働日数を60日とすると、休業損害は300万円です。

    休業損害
    =90万円÷60日×200日
    =300万円


    自営業者や家事に主に従事しながらパートで働いていた方、アルバイトをしている学生だったなどの場合は、保険会社が提示する休業損害と実態に大きな差があると感じられることがあります。その場合は、なるべく早いタイミングで弁護士へご相談いただくことをおすすめします

  3. (3)慰謝料

    交通事故によって怪我を負い、後遺症が残った場合、被害者が受けた精神的損害の賠償(=慰謝料)を加害者に対して請求できます。

    請求できる慰謝料は、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類です。

    ① 入通院慰謝料
    怪我を治療するために入院・通院を余儀なくされたことによる精神的損害の賠償金です。

    ② 後遺障害慰謝料
    後遺症となったことによる精神的損害の賠償金です。


    後遺障害等級4級に該当する場合、特に後遺障害慰謝料は1670万円と非常に高額です(弁護士基準)。詳しくは後述しますが、個人で交渉している場合、保険会社は、自賠責基準といわれる最低限の補償を行う算定基準で計算された737万円に限りなく近い金額を提示するケースが多いと考えられます。弁護士に対応を依頼することで、より実態に即した慰謝料額を請求することが可能です。

  4. (4)逸失利益

    交通事故によって後遺障害がある場合、被害者は労働能力の全部または一部を失うため、加害者に対して将来得られなくなった収入(=逸失利益)の賠償を請求できます
    逸失利益の計算式は、以下のとおりです。

    逸失利益=1年当たりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
    (参考:「就労可能年数とライプニッツ係数表」(国土交通省))


    後遺障害等級4級に該当する場合、大半の労働能力を失うと考えられるため、労働能力喪失率は「92%」とされています。

    たとえば、後遺症が残った時点で40歳(就労可能年数:27年)、1年当たりの基礎収入(年収)が500万円であったとします。
    この場合、後遺障害等級4級の逸失利益は8430万円余りです。

    後遺障害慰謝料と併せれば、損害賠償額は1億円を超えることになります。

    逸失利益
    =500万円×92%×18.327
    =8430万4200円

3、弁護士を通じた請求により、損害賠償が増額される可能性あり

弁護士を通じて請求を行うことで、交通事故の損害賠償額を増額できる可能性があります。

後遺障害等級4級に該当する場合、特に後遺障害慰謝料や逸失利益が高額になるため、弁護士のサポートを受けて適正額の損害賠償を請求しましょう

  1. (1)弁護士基準に基づく請求による増額

    加害者側の任意保険会社は「自賠責保険基準」や「任意保険基準」に基づく、いわば最低水準に限りなく近い保険金を提示してくるでしょう。しかし、弁護士が交通事故の損害賠償を請求する場合、「裁判所基準(弁護士基準)」に基づき、被害者の客観的な損害額を算出します。

    弁護士基準は上記2つの基準よりも被害者に有利で、かつ訴訟で認められる金額水準に沿っているため、損害賠償の増額が期待できます。

    (例)
    後遺障害等級4級の後遺障害慰謝料

    • 自賠責保険基準:737万円(令和2年3月31日までに起きた事故の場合は712万円)
    • 弁護士基準:1670万円
    933万円の増額
  2. (2)賠償を拒否された損害の認定による増額

    加害者側の任意保険会社は、被害者が賠償を請求する損害項目の一部につき、交通事故との因果関係を否定するなどして保険金の支払いを拒否する可能性があります。

    弁護士は、あくまでも客観的な損害の全額につき賠償金を獲得するため、任意保険会社に対して徹底的に反論できます。訴訟等を通じて主張の対立していた損害が認定されれば、トータルの損害賠償額も増額するでしょう。

  3. (3)複数の後遺障害等級が認定されたケースによる増額

    弁護士は、被害者に残った後遺症すべてを考慮した併合等級を主張し、損害賠償の最大化を目指すことが可能です。

    交通事故によって複数の後遺障害がある場合、併合によって最終的な後遺障害等級が繰り上がります。たとえ、個々の後遺障害等級が4級ではなくても、併合され後遺障害等級が4級になることがあるのです。

    <併合等級表>
    1級~5級 6級~8級 9級~13級 14級
    1級~5級 最も重い等級+3級
    6級~8級 最も重い等級+2級 最も重い等級+2級
    9級~13級 最も重い等級+1級 最も重い等級+1級 最も重い等級+1級
    14級 最も重い等級 最も重い等級 最も重い等級 14級

    たとえば、加害者側の任意保険会社が後遺障害等級6級を主張していたものの、弁護士が介入することによって追加で主張した8級相当の後遺障害が認められた場合、併合等級4級が認定されることになります。

    この場合、後遺障害慰謝料は以下のとおりとなります。

    • 6級(自賠責保険基準):512万円
    • 4級(弁護士基準):1670万円
    1158万円の増額

4、後遺障害等級4級に関係する裁判例

後遺障害等級4級に相当する後遺症を巡って、損害賠償責任が争われた裁判例を2つ紹介します。

  1. (1)後遺障害等級が併合4級と認定された事故で過失割合を争ったケース

    自転車に乗車中、事業用大型貨物自動車に衝突され、脳挫傷、外傷性くも膜下出血、頭がい骨骨折などの障害を負った交通事故のケースです。原告はこの事故により後遺障害等級5級2号に該当する高次脳機能障害を負い、さらに後遺障害等級12級相当の臭覚脱失が認められ、これらの併合によって後遺障害等級4級に認定されていました。しかし、被告側は、原告が症状固定後は家事に従事していることから後遺障害等級5級2号相当の労働能力喪失や臭覚脱失による労働能力喪失を否認するとともに、後遺障害等級4級の後遺障害慰謝料も争っていました。さらに、事故時の信号表示が目撃者証言と被告の供述に齟齬があったことから過失割合についても争っていた事案です。

    東京地裁は、被害者の後遺症が後遺障害等級併合4級に該当することを改めて認めたうえで、目撃者の証言を信憑性が高いとし、原告には過失がないという判断を下しました。結果、逸失利益3947万円余り、後遺障害慰謝料1670万円など、総額8001万円余りの損害賠償額を認め、人身傷害補償保険や自賠責保険などから支払われていた部分を相殺した金額の支払いを命じました(東京地裁平成21年11月17日判決/平成20年(ワ)第10772号)。

  2. (2)バイク同乗中の事故で後遺障害等級4級となり遺族へ慰謝料請求を行ったケース

    原告は、知人Aが運転する普通自動二輪車(オートバイ)に同乗中に起きた道路柵に衝突する事故によって下肢を膝関節以上で失う怪我を負い、後遺障害等級4級5号が認定されていました。なお、Aは当事故により死亡しており、Aの相続人となった遺族らに対して慰謝料を含めた損害賠償請求を行いました。遺族らはAの運転を止めずに同乗した原告にも過失があると主張するほか、逸失利益の損害額について争いとなりました。

    大阪地裁は、原告とAの関係上、運転を止めることはできなかったこと、被告である遺族も運転に問題がある状態だと感じていなかったことから、原告には過失がなく、遺族らが損害を賠償する義務があることを認定しました。また、逸失利益についても、将来的に体に負担がかからない業務へ転職したとしても等級4級の後遺障害を負った事実は変わらず、不確実な見通しを根拠に労働能力喪失率を設定することはできないと判断しました。結果、逸失利益9423万円余りなどの賠償を遺族らに命じています。(大阪地裁平成12年11月2日判決/平成11年(ワ)第14038号)

5、まとめ

後遺障害等級4級に該当する場合、後遺障害慰謝料・逸失利益などを中心に、請求可能な損害賠償がかなり高額になる可能性が高いでしょう。この場合、過失割合や併合により労働能力喪失率が少し変わるだけで、大幅に受け取れる金額が増減します。適正額の損害賠償を獲得するためには、相手方保険会社の主張をそのまま飲まず、弁護士を代理人として請求を行うことを強くおすすめします

ベリーベスト法律事務所では、事故や損害の状況の分析、後遺障害診断書に関する医師とのやり取り、実際の示談交渉や訴訟手続きの代行などを通じて、最大限の損害賠償を獲得できるように尽力します。弁護士費用特約に加入していれば、基本的に持ち出しの費用をかけることなく弁護士にすべての対応を委任することが可能です。交通事故の損害賠償請求は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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