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交通事故の逸失利益とは? 後遺障害・死亡における計算方法と注意点

公開日:2023年8月30日 後遺障害 慰謝料・損害賠償
交通事故で怪我をすると、治療を続けても完治することなく、後遺症が生じてしまうことがあります。このような後遺症は、後遺障害等級認定を受けることにより、障害の程度に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益の支払いを受けることが可能です。

逸失利益は、被害者の収入や後遺障害の程度によって、金額が異なってきます。適切な金額を請求するためにも逸失利益の計算方法を理解しておくことが大切です。

今回は、交通事故の逸失利益の計算方法や注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、交通事故の逸失利益とは?

交通事故の逸失利益とはどのようなものなのでしょうか。以下では、交通事故の逸失利益に関する基本事項を説明します。

  1. (1)逸失利益とは

    交通事故の逸失利益とは、交通事故がなければ本来得られたであろう将来の収入のことをいいます。交通事故によって後遺障害が生じたり、死亡してしまった場合には、労働の一部または全部が制限される結果、将来得られるはずであった収入が減少するという損害が生じます。このような損害を補填するものが逸失利益です。

    交通事故の逸失利益には、以下の2種類があります。

    ① 後遺障害逸失利益
    後遺障害逸失利益とは、交通事故によって後遺障害が生じてしまった場合に発生する逸失利益です。
    交通事故による怪我の中には、治療を継続してもこれ以上症状の改善が見られないものもあります。このような状態を「症状固定」といい、症状固定時点で残存している障害については、後遺障害等級認定を受けることができる可能性があります。
    後遺障害等級認定の手続きで、等級認定を受けることができれば、認定された後遺障害等級に応じた逸失利益を請求することが可能です。

    ② 死亡逸失利益
    死亡逸失利益とは、交通事故によって被害者が死亡した場合に発生する逸失利益です。
    交通事故で死亡してしまうと、それ以降の労働は一切できなくなります。死亡逸失利益は、亡くなった被害者の将来得られるはずだった収入を補填するお金です。
    ただし、被害者が亡くなったことにより、本来生じるはずであった生活費の負担を免れることになりますので、失われた収入の全額が補償されるわけではありません。
  2. (2)休業損害・慰謝料などとの違い

    交通事故の被害に遭った場合には、逸失利益以外にも、休業損害や慰謝料などの損害を請求することができます。

    休業損害とは、交通事故により仕事を休んだことによる減収分を補填するものです。逸失利益は、症状固定以降の将来の減収分を補填するものであるのに対して、休業損害は、怪我が完治したときまたは症状固定時までに生じた現実の減収分を補填するものであるという違いがあります。

    慰謝料とは、交通事故により被害者に生じた精神的苦痛に対して支払われるお金です。入通院慰謝料の他に、死亡慰謝料や後遺障害慰謝料があります。逸失利益と同様に、死亡慰謝料は死亡を原因として、後遺障害慰謝料は後遺障害を原因として支払われるものですが、逸失利益は将来の減収分の補填であるのに対して、慰謝料は精神的苦痛に対する賠償という違いがあります

2、後遺障害逸失利益の計算方法は?

逸失利益は、後遺障害と死亡で計算方法が異なっています。以下では、交通事故で後遺障害が生じた場合の後遺障害逸失利益の計算方法について説明します。

  1. (1)後遺障害逸失利益の計算方法

    後遺障害逸失利益は、以下のような計算式によって計算をします。

    後遺障害逸失利益
    =基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数


    後遺障害逸失利益の計算で用いられる「基礎収入」、「労働能力喪失率」、「労働能力喪失期間」、「ライプニッツ係数」という用語はどのようなものなのでしょうか。以下で、詳しく説明します。

  2. (2)計算式に含まれる各要素の説明

    ① 基礎収入
    基礎収入とは、逸失利益の計算の基礎となる収入のことをいいます。基本的には、事故前1年間の収入が基準になりますが、被害者の職業や属性によって、基礎収入の内容は異なってきます。
    具体的な職業・属性に応じた基礎収入は、以下のようになります。

    • 会社員……事故前年の源泉徴収票記載の総支給額
    • 自営業……事故前年の確定申告書の所得金額(売り上げから諸経費を引いたもの)
    • 専業主婦(主夫)……賃金センサスの女性全年齢平均賃金
    • 子ども・学生……賃金センサスの男女別全年齢平均賃金


    なお、具体的な事情によっては、上記の基礎収入以外の考え方を採用することもありますので、実際の状況に応じた主張をしていくことが重要です

    ② 労働能力喪失率
    労働能力喪失率とは、後遺障害によりどの程度労働能力が低下したかを数値化したものになります。労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて、以下のように決められています。



    ③ 労働能力喪失期間
    労働能力喪失期間とは、後遺障害により労働能力が制限される期間をいいます。労働能力喪失期間は、原則として症状固定時から67歳になるまでの年数です。
    ただし、以下のようなケースでは、労働能力喪失期間の計算が異なります。

    • 18歳未満の子ども……18歳から67歳までの年数
    • 大学生……大学卒業時から67歳までの年数
    • 67歳を超える高齢者……平均余命の2分の1
    • 67歳までの期間が短い人……「症状固定時から67歳までの年数」と「平均余命の2分の1」のうちいずれか長い方


    ④ ライプニッツ係数
    ライプニッツ係数とは、中間利息控除を行うための数値です。交通事故の賠償金は基本的には一括で支払われることになりますが、将来の収入は、本来であれば毎月の給料日ごとに発生するものです。そのため、逸失利益として前倒しで一括での支払いを受けると、被害者には多くの利息が発生してしまい、必要以上に利益を与えることになります。そこで、中間利息控除によりもらいすぎの利息を控除するのです。
    ライプニッツ係数は、年齢・就労可能年数に応じて、以下のように決められています。

3、死亡逸失利益の計算方法は?

交通事故により被害者が亡くなってしまった場合には、死亡逸失利益を請求することが可能です。以下では、死亡逸失利益の計算方法を説明します。

  1. (1)死亡逸失利益の計算方法

    死亡逸失利益は、以下のような計算式によって計算をします。

    死亡逸失利益
    =基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対するライプニッツ係数


    死亡逸失利益の計算で用いられる「基礎収入」、「生活費控除率」、「就労可能年数」、「ライプニッツ係数」という用語はどのようなものなのでしょうか。以下で、詳しく説明します。

  2. (2)計算式に含まれる各要素の説明

    ① 基礎収入
    基礎収入は、後遺障害逸失利益と同様の考え方により算出します。

    ② 生活費控除率
    生活費控除率とは、収入全体のうち生活費が占める割合のことをいいます。交通事故で被害者が死亡した場合、本来生じていたはずの生活費の支払いを免れることになりますので、損害の公平な分担という観点から、将来得られたであろう収入から、支出を免れた生活費を控除する必要があります。
    生活費控除率は、被害者の立場に応じて、以下のように定められています。

    • 一家の支柱(被扶養者1人)……40%
    • 一家の支柱(被扶養者2人以上)……30%
    • 女性(主婦、独身、幼児などを含む)……30%
    • 男性(独身、幼児などを含む)……50%


    ③ 就労可能年数・ライプニッツ係数
    就労可能年年数・ライプニッツ係数は、後遺障害逸失利益の労働能力喪失期間・ライプニッツ係数と同様の考え方により算出します。

4、交通事故・逸失利益については弁護士へ相談を

交通事故により後遺障害が生じた場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)適切な後遺障害等級認定を受けられるようサポートできる

    後遺障害の等級認定の方法には、被害者請求と事前認定という2つの方法があります。

    被害者請求は、被害者が書類の収集、作成、提出まですべての手続きを行うものであるのに対して、事前認定は、加害者の任意保険会社がすべての手続きを行ってくれるものです。事前認定の方が被害者の負担は少ない可能性はありますが、賠償金の支払いをする加害者の任意保険会社が行う手続きでは、適正な後遺障害等級の獲得は期待できません。

    適切な後遺障害等級認定を受けるためには、被害者請求がおすすめです。

    弁護士に依頼をすれば、被害者が行う書類の収集、作成、提出などの面倒な手続きをほとんど弁護士に任せることができます。後遺障害等級認定の負担を軽減しつつ、適正な認定を受けようとする場合には、弁護士に依頼をするようにしましょう。

  2. (2)複雑な逸失利益の計算を任せることができる

    今回説明したとおり逸失利益の計算方法は、後遺障害と死亡とで異なり、被害者の立場や属性によっても異なる複雑な計算となっています。逸失利益の金額は、交通事故の賠償額の中でも大部分を占めるものになりますので、適切な賠償額を受け取るためにも、弁護士に計算を任せるのがおすすめです

    弁護士であれば、原則的な計算方法では被害者の特性を反映できないケースでも、特殊事情を主張立証することで、本来の逸失利益よりも多くの金額を請求することが可能な場合があります。保険会社から提示された逸失利益の金額に納得できないという方は、まずは、弁護士に相談するようにしましょう。

  3. (3)弁護士に依頼することで弁護士基準での慰謝料請求が可能になる

    交通事故の慰謝料の算定基準には、以下の3つの基準があります。

    • 自賠責保険基準
    • 任意保険基準
    • 弁護士基準(裁判基準)


    このうち、被害者にとってもっとも有利な基準は、弁護士基準になります。しかし、弁護士基準を用いて保険会社と交渉することができるのは、弁護士に依頼した場合に限られるといえます。慰謝料を少しでも増額したいという場合には、弁護士への依頼が不可欠になります。

5、まとめ

交通事故により後遺障害が生じたり、被害者が死亡した場合には、将来の減収分として、逸失利益を請求することができます。逸失利益の計算は、被害者の立場や属性に応じて異なりますので、適切な金額を請求するためにも、まずは、弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故の被害に遭われてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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