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後遺障害等級6級の認定基準とは? 具体的な症状と適切な慰謝料額

公開日:2023年10月12日 後遺障害 慰謝料・損害賠償
交通事故による怪我の内容や程度によっては、治療を継続したとしても完治せず、後遺障害が生じてしまうケースがあります。後遺障害が生じた場合には、後遺障害等級認定の手続きにより、症状に応じた等級認定を受けることが可能です。

後遺障害等級6級の場合、重い後遺障害であるケースが多いため、被害に遭われた方は将来のためにも、適切な賠償金を得ることが大切です。

今回は、後遺障害等級6級の認定基準や具体的な症状、請求できる損害賠償金などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、後遺障害等級6級の認定基準

どのような症状が後遺障害等級6級と認定されるのでしょうか。以下では、後遺障害等級6級の認定基準と主な症状の内容を説明します。

  1. (1)両眼の視力における後遺障害

    両眼の視力が0.1以下になった場合には、後遺障害等級6級1号に該当します。
    ここでいう「視力」とは、コンタクトレンズや眼鏡による矯正視力のことをいいます。したがって、事故により視力が落ちてこれまで裸眼で生活できていた方でメガネなどが必要となったとしても、眼鏡やコンタクトレンズをつけて検査をした結果が0.1以上あれば後遺障害6級とは認定されません。

    なお、矯正ができない状態である場合には裸眼視力によって測定します。

  2. (2)咀嚼または言語の機能の後遺障害

    咀嚼(そしゃく)または言語の機能に著しい障害が残った場合には、後遺障害等級6級2号に該当します。

    咀嚼機能に著しい障害を残すものとは、粥食またはこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないものをいいます。

    言語機能に著しい障害を残すものとは、以下の4種の語音のうち2種の発音不能のものまたは綴音機能(語音を一定の順序に連結する力)に障害があるため言語のみを用いて意思疎通できないものをいいます。

    • 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ)
    • 歯舌音(な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ)
    • 口蓋音(か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)
    • 喉頭音(は行音)
  3. (3)両耳の聴力における後遺障害

    両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になった場合には、後遺障害等級6級3号に該当します。

    具体的には、両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上のもの(両耳が90dB以上の場合には4級3号に該当)または両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上80dB未満であり、かつ、最高明瞭度が30%以下である場合をいいます。

  4. (4)1耳の聴力を失い他耳の聴力も低下した後遺障害

    1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になった場合には、後遺障害等級6級4号に該当します。

    具体的には、1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが70dB以上80dB未満である場合をいいます。

  5. (5)脊柱(背骨)における後遺障害

    脊柱に著しい変形または運動障害が残った場合には、後遺障害等級6級5号に該当します。
    脊柱に著しい変形を残すものとは、エックス線写真、CT画像、MRI画像により、脊椎圧迫骨折などを確認することができる場合になります。

    具体的には、以下のいずれかに該当するものをいいます。

    • 脊椎圧迫骨折などにより2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎(背骨が前に倒れている状態)が生じているもの
    • 脊椎圧迫骨折などにより1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生じるとともに、コブ法による測彎度が50度以上になっているもの
    • 脊柱に著しい運動障害を残すものとは、以下のいずれかにより頸部および胸腰部が強直したものをいいます。
    • 頸椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折などが存在し、そのことがエックス線写真などにより確認できるもの
    • 頸椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
    • 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
  6. (6)1上肢(肩から手)の後遺障害

    1上肢の3大関節中の2関節の用を廃した場合には、後遺障害等級6級6号に該当します。
    上肢の3大関節とは、肩関節、肘関節、手関節のことをいいます。

    関節の用を廃したとは、以下のいずれかに該当するものをいいます。

    • 関節が強直したもの
    • 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
    • 人工関節、人口骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの
  7. (7)1下肢(股関節から足首)の後遺障害

    1下肢の3大関節中の2関節の用を廃した場合には、後遺障害等級6級7号に該当します。
    下肢の3大関節とは、股関節、膝関節、足関節をいいます。

    関節の用を廃したとは、上肢と同様に、以下のいずれかに該当するものをいいます。

    • 関節が強直したもの
    • 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
    • 人工関節、人口骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの
  8. (8)手指における後遺障害

    1手の5の手指またはおや指を含み4の手指を失った場合には、後遺障害等級6級8号に該当します。手指を失ったとは、おや指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を失った状態をいいます。

    具体的には、以下の場合が該当します。

    • 手指を中手骨または基節骨で切断したもの
    • 近位指節間関節(おや指では指節間関節)において基節骨と中節骨とを離断したもの

2、併合6級となるケース

ここまで説明してきたような、ひとつの症状で後遺障害等級6級と認定されるケースもあれば、複数の症状が合わさって併合6級と認定されるケースもあります。

  1. (1)後遺障害等級の併合とは

    後遺障害等級の併合とは、系列の異なる2つ以上の後遺障害等級がある場合に、1つの等級にまとめて評価することをいいます。

    後遺障害は、まず以下の10種類の部位に区分されます。

    眼、耳、鼻、口、神経系統の機能または精神、頭部・顔面部・頸部、外生殖器を含む胸腹部臓器、体幹、上肢、下肢


    さらにそれぞれの部位ごとに「機能障害」、「変形障害」、「欠損」などの障害に応じて35種類の系列に区分されています。
    部位や障害の種類が異なる後遺障害が生じた場合に、異なる系列と評価されれば、併合によって、以下のような処理がなされます。

    • ① 5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を3つ繰り上げる
    • ② 8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を2つ繰り上げる
    • ③ 13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を1つ繰り上げる
    • ④ ①~③以外の場合で後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級とする
  2. (2)併合6級に該当するケースとは

    以上を前提とすると、以下のように系列の異なる複数の後遺障害が生じた場合には、併合6級に該当すると判断されます。

    • 高次脳機能障害(7級4号)と醜状障害(12級14号)
    • 1眼の失明(8級1号)と脊柱の運動障害(8級2号)
    • 醜状障害(7級12号)と局部の頑固な神経症状(12級13号)
    など

3、支払われる賠償金額は弁護士への依頼で増額可能

交通事故の慰謝料などの賠償額は、弁護士に依頼することによって増額できる可能性があります

  1. (1)後遺障害が認定された場合の賠償金

    交通事故によって怪我をした場合には、主に以下の損害を請求することができます。

    • 治療費
    • 通院交通費
    • 休業損害
    • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)


    さらに、後遺障害が認定された場合には、上記に加えて、以下の損害を請求することができます。

    • 逸失利益
    • 後遺障害慰謝料


    逸失利益や後遺障害慰謝料は、交通事故の損害の中でも大きな割合を占める項目になりますので、後遺障害等級認定の有無によって、被害者が受け取ることができる賠償額は大きく異なってきます。

  2. (2)弁護士に依頼することで賠償額が増額できる理由

    弁護士に依頼することで賠償金が増額できるのは、以下のような理由があるからです。

    ① 裁判所基準により慰謝料を請求できる
    慰謝料の算定基準には、
    ・自賠責保険基準
    ・任意保険基準
    ・裁判所(弁護士)基準
    の3つの基準があります。

    この3つの基準のうち、通常、自賠責保険基準が最も金額が低く、裁判所基準が最も高額になる基準です。

    保険会社との交渉において裁判所基準を利用して慰謝料を請求した場合に、裁判所基準を前提に交渉をすることができるのは、弁護士が代理人になった場合に限られるケースが一般的です。そのため、弁護士に交通事故の事案を依頼することで、慰謝料を増額できる可能性があります

    ② 適切な後遺障害等級認定を受けることができる
    逸失利益や後遺障害慰謝料は、より上位の等級が認定されるほど高額になります。そのため、症状に応じた適切な後遺障害等級認定を受けることが重要となります。

    後遺障害等級認定の手続きには、以下の2つの方法があります。

    • 事前認定………加害者の保険会社が主導して行う
    • 被害者請求……被害者側が主導して行う


    事前認定は、手間がかからず楽な方法ですが、賠償金を支払う保険会社が手続きを行うため、被害者に有利な等級認定のために尽力してくれるとは限りません。

    適切な後遺障害等級認定を受けるためには、弁護士のサポートを受けるなどして被害者請求を行うのがおすすめです。弁護士に依頼をすれば、複雑な後遺障害等級認定の手続きをすべて任せることができますので、心身の負担を軽減することができるでしょう。

4、後遺障害等級6級に関係する裁判例

以下では、後遺障害等級6級に関する裁判例を紹介します。

  1. (1)後遺障害等級認定の内容について争った裁判例

    【事案の概要】
    原告が交差点において赤信号で原動機付自転車を停車していたところ、被告が前方注視義務を怠り、追突したことにより、原告は、左脛骨骨折、左腓骨骨折、左脛骨神経損傷などの傷害を負いました。

    その後、後遺障害等級の認定手続きにおいて、以下の理由から後遺障害等級6級と判断されました。

    • 左膝関節および左足関節の可動域が健側の10%程度に制限されており、「1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの」として、後遺障害等級6級7号に該当する。左膝や左足関節の疼痛等の症状も派生する症状としてこの等級に含めて評価する。
    • 左足第1から第5指の機能障害については、「1足の足指の全部の用を廃したもの」として後遺障害等級9級15号に該当する。左足趾の疼痛等の症状も派生する症状としてこの等級に含めて評価する。
    • 上記の障害は、異なった系列の障害であるものの、併合の結果が障害の序列を乱す(5級7号の「1下肢の用を全廃したもの」と同程度とはいえない)ため直近下位の後遺障害等級6級相当と判断する。


    原告は、このような認定に不服があり、適正な後遺障害等級の判断を求めて、裁判所に訴えを提起しました。そして、裁判では、以下のような理由から、原告の後遺障害は、3級相当であると主張しました。

    • ① 左膝関節および左足関節の後遺障害等級6級7号と、左足第1から第5指の後遺障害等級9級15号を併合して後遺障害等級5級相当とすることは、併合の結果が障害の序列を乱すものとはいえない。
    • ② 左足趾の疼痛については、「神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として、後遺障害等級7級4号に該当する
    • ③ 右肩関節の機能障害については、「1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」として、後遺障害等級8級6号に該当する
    • ④ ①が5級相当となり、これと③、④が併合されて3級相当と評価されるべきである


    【裁判所の判断】
    裁判所は、証拠関係から以下の後遺障害を認定しました。

    • ① 左膝関節および左足関節の可動域が健側の10%程度に制限されており、「1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの」として、後遺障害等級6級7号に該当する。
    • ② 左足第1から第5指の機能障害については、「1足の足指の全部の用を廃したもの」として後遺障害等級9級15号に該当する
    • ③ CRPSにより左足趾の疼痛については、「神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として、後遺障害等級7級4号に該当する


    さらに、①~③の障害は通常派生する関係にあることから、いずれか上位の等級で評価するのが相当であり、併合の方法を用いると序列を乱すことになることから、6級相当とするのが相当であると判断しました(千葉地方裁判所令和2年9月10日判決)。

  2. (2)過失割合と労働能力喪失率で争った裁判例

    【事案の概要】
    被告が渋滞で停止していたところ、原告運転の自転車が被告車両の右側を走行し、追い抜こうとしました。その際、被告は、原告運転の自転車が右後方から接近しているにもかかわらずサイドミラーで確認することを怠り、漫然と発進加速させ、原告と衝突するという事故が発生しました。

    この事故により、原告は、左足をひかれるという大怪我を負い、後遺障害等級の認定手続きにおいて、以下の理由から後遺障害等級6級と判断されました。

    • 左下肢の全域にわたり瘢痕(傷跡)が認められることなどから、後遺障害等級7級相当に該当する
    • 左足関節の可動域が健側の4分の3以下に制限されていることから、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として、後遺障害等級12級7号に該当する
    • 胸腹部および背臀部の採否痕が全面積の4分の1程度以上の範囲に瘢痕を残すことから、後遺障害等級14級相当に該当する
    • 上記の複数の後遺障害を併合し、後遺障害等級6級となる
    • 原告は、後遺障害等級6級を前提とした労働能力喪失率(67%)による逸失利益の支払いを求めて、裁判所に訴えを提起しました。


    【裁判所の判断】
    裁判では、事故態様と原告の労働能力喪失率が主な争点となりました。
    事故態様については、原告および被告の供述や証拠関係から、被告が車を発進させる際に後方を確認し、安全な車間距離を保って走行すべき注意義務があるにもかかわらず、これを怠ったことを認定し、原告と被告の過失割合を以下のように判断しました。

    原告:被告=10:90


    労働能力喪失率については、認定された後遺障害等級は6級ですが、瘢痕という労働能力とは直接関係性を有しづらい障害がメインであったため、具体的な労働能力への制限をめぐって争いが生じました。

    裁判所は、以下のような理由から瘢痕についても一定の労働能力の制限が生じるとして、25%の労働能力喪失率を認定しました。

    • 左下肢の醜状障害は、単なる醜状障害にとどまらず、筋力低下などの機能障害を有し、頑固な神経症状を残している
    • 左下肢の機能障害は、事務職の仕事にも支障が生じるものであり、左足関節の機能障害を越える支障が生じている
    • 原告は、症状固定時30歳の女性であり、スカートが制服となる仕事に就く際に制約が生じる可能性がある


    なお、左足関節の機能障害(12級7号)の労働能力喪失率が14%とされていますので、裁判所は、醜状障害による労働への支障を考慮して、25%まで認定したものと考えられます(東京地方裁判所令和元年7月19日判決)。

5、まとめ

交通事故により、後遺障害等級6級に該当する障害が生じた場合には、後遺障害慰謝料、逸失利益など高額な賠償金を請求できる可能性があります。交通事故による損害賠償額は、弁護士に依頼することによって、増額できる可能性がありますので、症状に応じた適切な賠償額を獲得するためにも、まずは、弁護士に相談することをおすすめします

ベリーベスト法律事務所では、適正な後遺障害等級認定のサポートを行っています。交通事故の被害に遭ってお困りの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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