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交通事故における慰謝料請求の手順と計算方法、適切な金額について解説

公開日:2023年11月29日 慰謝料・損害賠償
交通事故の被害に遭ってしまうと、怪我の治療や通院、働けない期間や後遺障害の発生など、被害者にはさまざまな損害が生じます。

交通事故の損害については、加害者が加入する保険会社から賠償を得ることができる場合が多いと言えます。しかし、保険会社から提示される慰謝料等の損害賠償金が、被害を十分にカバーできる金額でないことも少なくありません。

そのような場合は、過去の裁判事例に基づいた算定基準(裁判所基準/弁護士基準)を用いて賠償金を計算し相手側に主張していくことで、適切な金額が受け取れる可能性があります。

今回は、交通事故における慰謝料請求の方法や注意点などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、交通事故被害者が請求できる慰謝料の種類と相場

交通事故の被害者が請求できる慰謝料については、どのような種類があるのでしょうか。

  1. (1)損害賠償金と慰謝料の違い

    交通事故被害者の中には、「損害賠償金」と「慰謝料」を混同して認識している方も少なくありません。

    慰謝料とは、被害者が受けた肉体的・精神的苦痛を慰謝するために支払われるお金です。他方、損害賠償金は、治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益など加害者に対する請求すべての金額を指しています。すなわち、慰謝料は、損害賠償金に含まれる一項目といえます。

    「損害賠償金=慰謝料」ではありませんので、この点だけはしっかりと押さえておきましょう。

  2. (2)請求できる項目と計算方法

    交通事故で請求できる損害賠償金の項目としては、以下のものが挙げられます。

    • 治療費……必要かつ相当な実費全額
    • 通院交通費……公共交通機関は実費全額、自家用車は原則1キロメートルあたり15円のガソリン代
    • 休業損害……事故前の収入を基礎に現実の収入減少額
    • 傷害慰謝料(入通院慰謝料)……入通院期間等を基準に計算
    • 後遺障害慰謝料……認定された後遺障害等級を基準に計算
    • 死亡慰謝料……被害者の立場(一家の支柱、母親・配偶者、その他)に応じて計算
    • 逸失利益……基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数により計算

2、慰謝料を受け取るまでの流れ

以下では、交通事故による慰謝料を受け取るまでの流れについて説明します。

  1. (1)相手方保険会社と示談交渉をするときの主な流れ

    相手方保険会社との示談に至る主な流れは、以下の通りです。

    • ① 治療
    • ② 完治または症状固定(※後遺障害を負った場合は後遺障害等級申請)
    • ③ 保険会社との示談交渉
    • ④ 示談成立(※示談に合意できない場合は裁判などを検討)


    ① 治療
    交通事故で怪我をした場合には、すぐに病院を受診して怪我の治療を行います。軽微な事故であっても、「痛みもないから大丈夫だろう」と自己判断するのは危険です。なぜなら、事故直後は怪我をしていても興奮しているため痛みを感じにくかったり、徐々に症状が悪化したりする可能性もあるからです。

    事故から時間がたってから病院を受診しても、保険会社から事故との因果関係を否定され、慰謝料請求ができなくなるおそれもありますので必ず病院に行くようにしましょう。

    ② 完治または症状固定
    交通事故の怪我の治療は、怪我が完治または「症状固定」となるまで続けます。

    症状固定とは、これ以上治療を継続しても症状の改善が見込めない状態になることをいいます。症状固定後も痛みなどがある場合は、後遺障害等級認定を申請していくことになります(本章(2)で後述)。

    なお、治療途中にもかかわらず、加害者の保険会社から治療費の打ち切りを告げられることがあります。保険会社から治療費を打ち切られたとしても、医師が治療の必要性があると判断しているのであれば、通院を継続し、すみやかに弁護士に相談しましょう継続して治療することで、治療の正当性を明らかにし、適切な治療費を獲得できる可能性が高まります

    ③ 示談交渉
    怪我が完治または症状固定となると、加害者の保険会社から慰謝料を含む損害賠償金の金額が提示されます。被害者は、保険会社から提示された金額の妥当性を精査していくことになります。

    保険会社から提示された金額が相場よりも低いという場合には、保険会社との交渉により賠償金額の上乗せを求めていくことになります。しかし、一般の方と保険会社の担当者の交渉では、賠償金額の上乗せを認めさせるのは困難なケースも少なくありません。十分な損害賠償金を得るには、弁護士に示談交渉を依頼するのがおすすめです。

    ④ 示談成立
    損賠賠償金の金額に納得ができたときは、示談書または免責証書に署名押印して、示談が成立となります。
    一度成立した示談については、後日取り消すことができませんので、示談に応じるかどうかは慎重に判断することが大切です。

  2. (2)症状固定後も症状が残るときは後遺障害等級申請を

    症状固定時に痛みや痺れなど何らかの症状が残っているときは、後遺障害等級申請をします。後遺障害等級申請は、実際の症状の内容に応じて第1級から14級までの後遺障害等級に区分されます。

    後遺障害等級認定を受けることができると、一般的な損賠償金に加えて、「後遺障害慰謝料」および「後遺障害逸失利益」という損害賠償金を請求することができます。これらは、損害賠償金の中でも金額が大きく、どの等級に認定されるかにより金額が大きく異なります。

    適切な後遺障害等級認定を受けることができれば、損害賠償金は飛躍的に上がることになります。

  3. (3)示談に合意できないときは裁判などを検討

    保険会社との示談交渉で、納得いく金額が提示されない場合には、裁判などの法的手続きも検討してみましょう。

    裁判になれば解決までに時間がかかることになりますが、被害者の主張が裁判所に認められれば、保険会社からの提示額よりも大幅に損害賠償金を増額できる可能性があります。

    無理に示談を成立させるより、裁判に踏み切ることでメリットが大きくなるケースもあるため、まずは最適な手段を弁護士に相談してみましょう。

  4. (4)入金されるタイミングは?

    交通事故の損害賠償金は、保険会社と示談が成立した後に支払われます。一般的には、示談成立後2週間前後で被害者が指定した口座に損害賠償金が振り込まれます。

    なお、示談を待つことができないという場合には、加害者が加入する自賠責保険に対して、被害者請求を行うことで、示談成立前であっても損害賠償金の一部の支払いを受けることができます。

3、交通事故で慰謝料請求をするときの注意点

交通事故で慰謝料請求をする際は、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)慰謝料の相場は算定基準によって異なる

    慰謝料の算定基準には、以下の3つの基準があります。

    • 自賠責保険基準……自賠責保険会社が慰謝料を計算する際に利用する基準
    • 任意保険基準……任意保険会社が慰謝料を計算する際に利用する基準
    • 裁判所基準(弁護士基準)……裁判例を基準に定められた慰謝料の算定基準。3つのうちで最も高額

    交通事故の慰謝料は、上記の3つの基準のうちどれを利用するかによって、慰謝料の金額が大きく異なるため、算定基準ごとに慰謝料の相場を把握しておくことが大切です。

    なお任意保険基準は、具体的な算定基準が公開されていませんので、以下では、自賠責保険基準および裁判所基準を例にして、代表的な症状に対する慰謝料相場を説明します。

    ① むち打ち
    むち打ちにより3か月間通院(実通院日数は26日)した場合の傷害慰謝料の相場は、以下のようになります(令和2年4月1日以降に発生した事故を想定しています)。

    • 自賠責保険基準:22万3600円
    • 裁判所基準(赤い本):53万円


    ② 骨折
    交通事故で骨折し、局部に頑固な神経症状を残すものとして後遺障害等級12級13号が認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は、以下のようになります。

    • 自賠責保険基準:94万円
    • 裁判所基準(赤い本):290万円


    ③ 高次脳機能障害
    交通事故により脳にダメージが加わると、高次脳機能障害になることがあります。高次脳機能障害となり、特に軽易な労務以外の労務に服することができない状態になれば、後遺障害等級5級2号が認定されますが、その場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のようになります。

    • 自賠責保険基準:618万円
    • 裁判所基準(赤い本):1400万円


    ④ 死亡
    交通事故により一家の支柱となっていた父親が亡くなってしまった場合の死亡慰謝料の相場は、以下のようになります。なお、家族構成は、配偶者と子ども1人とします。

    • 自賠責保険基準:1050万円
    • 裁判所基準(赤い本):2800万円
  2. (2)弁護士に任せると慰謝料が上がる可能性が高い

    上記のとおり、自賠責保険基準と裁判所基準を比較すると圧倒的に裁判所基準の方が有利であることがわかります。被害者としては、当然有利な裁判所基準を利用して、保険会社との示談交渉をしたいところです。

    もっとも、保険会社は、弁護士に示談交渉を依頼したとき、又は裁判をしたときにしか裁判所基準で和解してくれないことがほとんどです。示談交渉で裁判所基準による慰謝料請求をするには、弁護士への依頼が不可欠です少しでも慰謝料額を増額したいという方は、弁護士への依頼を検討しましょう

  3. (3)慰謝料請求は時効がある

    交通事故による慰謝料請求には、時効があります。具体的には、損害および加害者を知った日の翌日から時効がスタートし、5年で時効が成立します。

    一般的な交通事故では、交通事故直後に加害者を知ることになります。事案によりますが、慰謝料請求等の人身損害を請求する場合、基本的には、完治又は症状固定日から時効がスタートすることになります。

4、相手が任意保険未加入だった場合の請求方法

加害者が任意保険に加入していなかった場合にはどうすればよいのでしょうか。以下では、相手が任意保険未加入だった場合の損害賠償金の請求方法について説明します。

  1. (1)相手方自賠責保険へ請求する手順

    任意保険への加入は、任意とされていますが、自賠責保険は、必ず加入しなければならない強制保険です。加害者が任意保険に加入していなかった場合には、加害者の自賠責保険から一定の補償を受けることができます。

    加害者の自賠責保険に請求する際には、以下のような書類を準備して、自賠責保険に送る必要があります。

    • 自賠責保険金支払請求書
    • 交通事故証明書
    • 事故発生状況報告書
    • 医師の診断書
    • 診療報酬明細書
    • 通院交通費明細書
    • 休業損害証明書
    • 後遺障害診断書
    • レントゲン写真
    など

    上記の書類の提出を受けた自賠責保険では、損害保険料算出機構の調査事務所に書類を送付し、そこで調査が行われます。調査の結果、支払額が決定された場合には、自賠責保険から保険金が支払われます。

  2. (2)支払請求書による請求時の注意点

    支払請求書により自賠責保険に請求する場合には、被害者自身で書類を準備して自賠責保険に送付しなければなりません。

    準備すべき書類は膨大な量になりますので、不備のないように記入し、漏れなく自賠責保険に提出するようにしましょう。万が一、書類の不備や記入漏れなどがあると、自賠責保険会社から追加書類の提出依頼や修正を依頼され、保険金の支払い手続きが遅れてしまいますので、しっかりとチェックすることが重要です。

  3. (3)慰謝料請求は加害者本人に行う必要がある

    自賠責保険から支払われる保険金は、あくまでも最低限の補償に過ぎませんので、不足する部分については、加害者本人に慰謝料請求していく必要があります。

    まずは、被害者において損害額を計算して、加害者に支払いを求めていきます。任意保険に加入していれば、基本的には一括で支払いを受けることができますが、損害賠償額が高額になると加害者の資力によっては、一括での支払いが難しいこともあります。そのような場合には、分割払いも検討する必要があります。

    また、加害者との間で損害賠償額の合意が得られないとき、又は加害者がそもそも話し合いに応じてくれないときは、裁判所に訴訟を提起しなければなりません。

  4. (4)自身が加入する保険の利用を検討

    加害者が任意保険に加入していない場合には、ご自身が加入する任意保険から補償を受けられる可能性があります。

    • 搭乗者傷害保険
    • 無保険車傷害保険
    • 車両保険
    • 人身傷害保険

    このような保険に加入している場合には、ご自身の保険会社から保険金を受け取ることができます。加害者に資力がない場合や不誠実な対応しかしないような場合には、ご自身の保険利用も検討してみましょう。

5、まとめ

交通事故の慰謝料請求は、どのような算定基準を用いるかによって、金額が大きく異なってきます。また、通院や怪我の治療中に示談交渉をすることは、被害に遭った方にとって大きな負担です。

弁護士であれば、本人に代わって保険会社や加害者と交渉ができますので、体力的、精神的な負担を軽減することができます。不利な条件で示談に応じてしまうリスクを回避し、適切な慰謝料請求をするためにも、実績のある弁護士に相談することをおすすめします

交通事故の慰謝料請求をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までまずはご相談ください。

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