自転車事故とモペット事故|大きな違いと後悔しない慰謝料請求方法

更新:2026年01月07日 公開:2022年03月18日
慰謝料・損害賠償
自転車事故とモペット事故|大きな違いと後悔しない慰謝料請求方法
警視庁が公表している交通事故発生状況によると、令和7年上半期における自転車事故の件数は7551件でした。うち死者数は10人、負傷者数は6420人となっており、いずれも前年より増加しています。

しかし近年では、「自転車だと思っていた相手が実はモペット(ペダル付き原動機付自転車)だった」というケースもあります。モペットは見た目が自転車に似ていることから、事故直後に相手が何に乗っていたのか判断が難しい場合もあるでしょう。

本コラムでは、事故の被害者が行うべき対応や自転車とモペットの見分け方・注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士が解説します。

出典:「自転車の交通人身事故発生状況(令和7年上半期)」(警視庁)

1、自転車事故・モペット事故の被害者がすぐやるべき鉄則

交通事故直後の対応は、今後の損害賠償請求に大きく影響します。自転車やモペットと事故に遭った際、被害者がすぐにやるべき行動について、以下で順に見ていきましょう。

  1. (1)安全確保と警察へ通報

    事故発生直後は、安全確保と警察への通報が最優先です。これは自分自身の身を守るだけでなく、事故を正式な記録として残すためにも欠かせない行動となります。

    通報後に作成される「交通事故証明書」は、保険請求や損害賠償請求の際に非常に重要な資料です。

    相手が立ち去ろうとしている場合であってもその場で通報し、人身事故として届け出ましょう。

  2. (2)相手の身元と保険の確認

    加害者の身元と保険情報の確認は、損害賠償を請求するための基礎情報になります。

    運転者の名前・住所・連絡先・運転免許証の種類と番号・保険会社などをメモし、可能であれば写真も撮っておきましょう。

    自転車運転者の場合は、最低限名前・住所・連絡先を交換し、保険に入っているかどうかを尋ねるようにしてください。

  3. (3)証拠の保全

    事故状況を証明できる証拠は、過失割合の判断や損害賠償金の額を左右します。事故に巻き込まれてしまった際は、可能な限りの記録を残しておくことが非常に重要です。

    具体的には、現場の道路状況や相手の車両の全体像、破損状況・位置関係・ナンバープレートなどをカメラで撮影しましょう。

    また、目撃者がいる場合は名前と連絡先を聞いておくのが望ましいです。

  4. (4)医師の診察を受ける

    軽傷で救急車を呼ばなかった場合でも、事故直後はできるだけ早い段階で医師の診察を受けてください。初期段階で受診しなかった場合、「事故との因果関係が認められない」と判断されてしまうおそれがあります。

    見た目ではわかりにくいケガもあるため、専門医による診察を受け、必要に応じて検査を受けましょう。

    受診したあとは、医師の指示に従って治療が完了するまで通院を続けます。

  5. (5)自身の保険会社にも連絡を

    自身も任意保険に加入している場合は、交通事故に遭ったことを連絡しておきましょう。

    自転車やモペットが相手だと、「加害者が無保険だった」「損害賠償に応じない」といったトラブルに発展するケースもあります。そのような場合に、自分の保険から補償を受けられる可能性があります。

    事故から日数が経過すると補償制度を利用できなくなる可能性があるため、初期対応が終わった時点で連絡するのが望ましいです。

2、自転車とモペットの違い|損しかねない過失割合への影響

見た目が似ていても、自転車・電動アシスト自転車・モペットでは法的な扱いが異なります。以下では、それぞれの車種の違いと過失割合への影響、モペット事故のリスクについて確認していきましょう。

  1. (1)似ていてもかなり違う! 自転車・電動アシスト自転車・モペットの見分け方

    自転車・電動アシスト自転車・モペットの違いは、以下のとおりです。

    自転車 電動アシスト自転車 モペット
    主な特徴 人力のみ 人力+アシスト 原動機で走行
    法規区分 軽車両 軽車両 原動機付自転車
    運転免許証 不要 不要 必要
    ナンバープレート なし なし あり
    自賠責保険 なし なし 加入義務
    ヘルメット着用 努力義務 努力義務 義務
    走行速度の上限 制限なし アシスト機能の上限:時速24kmまで 最高時速30km

    見分ける際には、以下のようなポイントをチェックしましょう。

    • ペダルをこいで進んでいたか否か
    • 走行中のスピード
    • ナンバープレートの有無
    • ヘルメット着用の有無

    なお、モペットの中には原動機付自転車ではなく、「特定小型原動機付自転車」として扱われる車両もまれに存在します。あとからでも見分けがつきやすくなるように、可能であれば相手の車両の写真を撮っておくことが望ましいです。

  2. (2)相手がモペットなら「原付」扱い! 過失割合は激変する可能性

    モペットの道路交通法上の区分は「原動機付自転車」であり、原付バイクと同じように扱われます。

    自転車同士の事故と異なり、「モペットと自転車」や「モペットと歩行者」の事故はモペット側に重い過失が認定されやすくなります。

  3. (3)モペット事故で起こりうる可能性があるリスク

    モペットとの事故では、通常の交通事故よりも複雑な問題が発生しやすくなります。主なリスクは、以下のようなものです。

    • 無免許運転
    • 無保険走行
    • モペットなのに「これは電動アシスト自転車だ」と主張される

    上記のようなケースに直面した場合、事故直後の対応と証拠の確保が重要となります。警察への通報はもちろんのこと、弁護士の介入によって適切に対処できる可能性が高まるため、早めの相談を検討しましょう。

3、弁護士が教える慰謝料計算の基本と現状

自転車やモペットとの交通事故に遭ったとき、被害者が受けた損害に対しては、法律に基づいて賠償請求ができます。ただし、その請求額や交渉の進め方には注意が必要です。

以下では、慰謝料の基本的な考え方や問題点、弁護士のサポートが有効となる理由を解説していきます。

  1. (1)加害者が自転車やモペットでも損害賠償できる項目は同じ

    加害者が自転車であってもモペットであっても、損害賠償の項目は自動車事故と変わりません。請求できる主な損害賠償項目は、以下のとおりです。

    • 治療費
    • 通院交通費
    • 休業損害
    • 入通院慰謝料
    • 車両の修理費

    交通事故を起こした加害者には、乗っていた車両の種類にかかわらず損害賠償責任が生じます。損害賠償請求をスムーズに進めるためにも、事故状況を示せる証拠はできるだけ多く集めておきましょう。

  2. (2)相手方保険会社の提示額は低め

    保険会社から提示される慰謝料の金額は、必ずしも適正額であるとは限りません。保険会社は、慰謝料の算出に独自の基準(任意保険基準)を採用しているためです。

    保険会社から提示される慰謝料は、基本的に弁護士が扱う「裁判所基準(弁護士基準)」で算出される金額よりも低額となる傾向があります。

    提示された金額をそのまま受け入れるのではなく、妥当性を確認することが重要です。

  3. (3)後遺障害があるときは等級認定がカギを握る

    交通事故で負ったケガが完治せず、後遺症として残った場合は、後遺障害等級認定の申請が必要です。

    1級から14級までのいずれかの等級が認められれば、加害者に対して後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できる可能性があります。1級に近い等級になるほど後遺障害の症状は重く、請求できる金額も大きくなります。

    しかし、認定の基準は専門的かつ厳格であり、被害者が自分ひとりで資料を整えるのは簡単ではありません。適正な等級の認定を受けるためには、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

  4. (4)弁護士でなければ最高水準の請求が難しい

    慰謝料を最高水準の「裁判所基準(弁護士基準)」で請求するには、弁護士の関与が不可欠です。

    慰謝料の算出基準には、自賠責基準・任意保険基準・裁判所基準(弁護士基準)の3種類があります。保険会社が扱う任意保険基準は最低限の補償である自賠責基準と同等か、やや高い程度とされています。

    対して、裁判所基準(弁護士基準)は過去の判例などをもとに、もっとも高い水準で慰謝料の算出が可能です。任意保険会社から提示された金額に納得できない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。

    以下の慰謝料算定ツールでは、完全無料・匿名であなたの交通事故慰謝料を無料で算定することができます。慰謝料の算定や弁護士相談の参考としてご活用ください。

  5. (5)相手が無保険だったときできること|自転車・モペット事故共通

    自転車やモペットとの事故では、相手が保険に加入していないケースもあるでしょう。

    相手が無保険でも、自身が任意保険に加入していれば、人身傷害補償や無保険車傷害保険などの補償を受けられる可能性があります。

    また、加害者に直接請求することも可能なため、加害者に資力があれば賠償金を受け取れます。相手が無保険の場合でも、諦めずにどの補償が使えるかを検討することが重要です。

  6. (6)相手がモペットであれば政府の保障事業も利用可能

    交通事故の相手がモペットであれば、政府の「自動車損害賠償保障事業」が利用できます。

    自動車損害賠償保障事業とは、被害者が受けた損害を加害者に代わって国が立て替え払いする制度です。加害者が特定できないひき逃げ事故や、自賠責保険に加入していない無保険事故が対象となります。

    保障事業を利用するためには、被害者自身で損害保険会社の窓口に請求が必要です。

4、自転車・モペット事故被害者が弁護士に相談すべきケース

自転車やモペットとの事故では、状況によっては被害者側が不利な立場に立たされてしまう可能性があります。損害賠償請求や交渉の進め方で悩んだときには、早期の弁護士への相談が有効です。

以下では、どのようなケースで弁護士に相談すべきか具体的に解説していきます。

  1. (1)弁護士費用特約に加入している

    自身が加入している保険に「弁護士費用特約」が付帯している場合は、積極的な活用をおすすめします。

    弁護士費用特約とは、弁護士への相談費用や依頼費用を保険会社が負担してくれる特約です。弁護士費用特約を利用できれば、一般的には法律相談料10万まで、弁護士費用は最大300万円までの範囲で、弁護士への依頼費用が補償されます。

    多くのケースでこの範囲に収まり、交通事故の弁護士費用が300万円を超えるケースは少ないため、実質的な自己負担なく弁護士のサポートを受けられます。

  2. (2)その事故が原因で後遺障害を負った

    交通事故により後遺障害を負った場合は、弁護士に相談すべきといえます。後遺障害にかかわる損害賠償の金額は、弁護士の関与によって大きく変わる可能性があるためです。

    後遺障害の認定を受けるためには、自賠責損害調査事務所(損害保険料率算出機構の自賠責損害調査部門)への申請が必要です。この申請には、診断書や検査資料・医師の意見書など多くの書類が求められます。

    弁護士は申請だけでなく認定後の異議申し立てなどにも対応できるため、早い段階での相談を検討しましょう。

  3. (3)相手側保険会社の対応に疑問を感じたとき

    相手側の保険会社は、あくまで自社(または契約者)にとって有利な解決を目指して動きます。そのため、保険会社からの提案が被害者にとって最適とは限りません。

    被害者自身で交渉にあたった際、保険会社の対応が悪かったり、提示された内容に納得できなかったりするケースもあるでしょう。

    保険会社の対応に疑問がある場合は、弁護士に相談しアドバイスを受けることをおすすめします。

  4. (4)ベリーベスト法律事務所の対応事例

    弁護士の関与によって、賠償金額が大幅に増額されたり、適正な後遺障害等級が認定されたりするケースがあります。ここでは、ベリーベスト法律事務所が実際に対応した2つの事例をご紹介します。

    被害者は自転車で車道を走行中に歩道から飛び出した加害者を避けようとして転倒し、労災で後遺障害11級の認定を受けました。しかし、相手側の保険会社から提示された金額はわずか88万円という低額です。

    弁護士は自賠責基準で後遺障害認定をやり直し、慰謝料や逸失利益を適切に算定しました。ほぼ被害者側の主張がとおる形で裁判が進み、結果として860万円の賠償金を獲得しています。

    歩行中に自転車と衝突し、頭部に重傷を負った被害者のケースです。相手側の保険会社が提示してきた金額についての相談を、ベリーベスト法律事務所で受けました。

    慰謝料の金額について争いになりましたが、当事務所の弁護士が慰謝料や逸失利益も精査して交渉を進めた結果、約689万円と十分な賠償金を獲得しています。

5、まとめ

自転車やモペットとの事故は、見た目では判断が難しいケースも多いです。対応を誤ると、本来受けられるはずの補償が受けられなくなってしまうおそれがあります。

特にモペットは原付として扱われ、過失割合や保険の適用範囲に大きな違いが出るため、事故直後の対応が非常に重要です。

適切な損害賠償金を受け取るためには、相手側の保険会社の提示額をうのみにせず、弁護士に相談することが有効となります。不安な点がある方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士にご相談ください。

この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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