交通事故で胸骨骨折…症状・治療と弁護士相談の重要性

更新:2026年01月14日 公開:2026年01月14日
治療・症状固定
交通事故で胸骨骨折…症状・治療と弁護士相談の重要性
交通事故によって胸の中央にある胸骨を骨折すると、強い胸痛や呼吸のしづらさなどの症状が現れます。受傷直後だけでなく、数日経ってから痛みが増すこともあり、生活に大きな支障をきたすことがあります。

骨折の程度によっては保存療法で済む場合もありますが、入院や手術が必要となるケースもあり、治療期間や安静期間は数週間から数か月に及ぶことも少なくありません。さらに、胸郭変形や慢性的な痛み、呼吸機能の低下といった後遺障害が残るおそれもあるため、将来の補償を見据えて対応することが重要です。

今回は、交通事故で胸骨骨折のケガを負った場合の症状や治療、認定される可能性のある後遺障害等級などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、胸骨骨折とは? 交通事故で多い原因と特徴

交通事故の衝撃で胸骨を骨折すると、胸の激しい痛みや呼吸のしづらさに悩まされることがあります。以下では、胸骨骨折の基本的な特徴や交通事故で起こりやすい原因について説明します。

  1. (1)胸骨骨折の概要

    胸骨骨折とは、胸の中央にある「胸骨」が外部からの強い力によって折れる(損傷する)ことをいいます

    胸骨は、肋骨や鎖骨と連結して胸郭を形成し、心臓や肺などの重要な臓器を保護しています。そのため、胸骨が骨折すると、単なる骨の損傷にとどまらず、呼吸器や循環器の働きに悪影響を及ぼす可能性もあります。

  2. (2)初期症状

    胸骨骨折を負うと、多くの場合は胸の強い痛みが現れます。受傷直後から痛むこともあれば、数時間〜数日後に痛みが強まるケースもあります。さらに、以下のような症状が見られることがあります。

    • 胸部を押すと強い痛みが走る(圧痛)
    • 呼吸するたびに痛みが増して息苦しくなる
    • 寝返りや上体を起こすなど日常動作で痛みが悪化する
    • 骨折部位に腫れや皮下出血が生じる

    胸骨は、呼吸のたびにわずかに動くため、安静にしていても痛みが出やすいのが特徴です。そのため日常生活に大きな支障を及ぼしやすい外傷といえます。

  3. (3)主な原因

    交通事故で胸骨骨折が起こる主な原因は、以下のとおりです。

    ① シートベルトによる強い圧迫
    衝撃時にシートベルトが胸を強く締め付けることで胸骨が折れることがあります。

    ② 正面衝突時のハンドル圧迫
    車のハンドルに胸部が直接ぶつかり、胸骨が骨折するケースがあります。シートベルトを着用していないと特にリスクが高まります。

    ③ エアバッグ作動による圧迫
    エアバッグは安全装置ですが、作動時の圧力が胸骨にかかり、骨折を引き起こす場合があります。

    このように、胸骨骨折は、交通事故で胸部が強く圧迫されることで生じるケースが多く、事故直後に異常を感じなくても、後から症状が悪化することもあります。

    そのため、事故後は早めに医療機関で検査を受けることが大切です

2、治療と安静期間の目安

胸骨骨折の治療は、骨折の程度や合併症の有無によって大きく異なります

軽度であれば安静にして自然治癒を待つ場合もありますが、重度の骨折や心臓・肺など周囲の臓器に影響が及ぶ場合には、入院や手術が必要となることもあります。以下では、治療方法と安静期間の目安について説明します。

  1. (1)軽度の骨折:保存療法(固定と安静)

    胸骨骨折が軽度の場合、多くは保存療法が選択されます。胸骨は、身体の深部にあるためギプスで完全固定することは難しいものの、胸部を圧迫固定することで安静を保ち、自然な骨癒合を促すのが一般的です。

    この場合は入院を必要とせず、外来通院で経過観察を行いながら痛み止めの投与などで症状をコントロールしていきます。治療期間としては、数週間〜数か月の安静で回復が期待できます。

  2. (2)重度・合併症あり:入院・手術が必要になる場合も

    胸骨が大きくずれていたり、心臓や肺などの臓器損傷を伴う場合には、入院治療が必要です。状況によっては胸骨を金属プレートなどで固定する手術が行われることもあります。

    また、呼吸器障害や心嚢液貯留などの合併症が疑われるときは、集中治療室(ICU)での管理が行われるケースもあります。
    命に関わるおそれもあるため、重度の胸骨骨折では早期の診断と適切な治療が欠かせません

  3. (3)安静期間の目安

    胸骨骨折の安静期間は、骨折の程度や合併症の有無によって異なります。

    • 軽度の骨折:数週間〜1か月程度で骨癒合が進む
    • 重度の骨折・手術を伴う場合:数か月に及ぶこともある
    • 合併症がある場合:回復期間がさらに長引く

    特に、胸骨は、呼吸や咳など日常の動作で常に動かされるため、治癒に時間がかかる傾向があります。安静にしていないと再骨折や変形治癒につながる可能性もあるため、医師の指示に従った生活管理が重要です

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3、胸骨骨折による後遺障害の可能性

胸骨骨折は、時間の経過とともに自然治癒するケースもありますが、骨の変形や神経症状、呼吸器の機能障害といった後遺障害が残ることもあります。以下では、胸骨骨折で想定される等級や認定のポイントを説明します。

  1. (1)胸骨骨折により認定され得る後遺障害等級

    胸骨骨折により認定され得る後遺障害等級としては、主に「変形障害」「神経障害」「呼吸器障害」の3つに大別されます。以下では、それぞれの後遺障害の詳しい内容を見ていきましょう。

    ① 変形障害|胸郭変形
    胸骨骨折によって胸郭変形が生じた場合、「鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤に著しい変形を残すもの」として、後遺障害等級12級5号が認定される可能性があります。
    「著しい変形」とは、裸体となった際に、変形・欠損が明らかにわかる程度のものをいい、レントゲン写真によってはじめてわかる程度のものは該当しません。

    ② 神経障害|慢性的な痛みの残存
    胸骨骨折により受傷部位に慢性的な痛みが残った場合、以下の後遺障害等級が認定される可能性があります

    • 12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
    • 14級9号:局部に神経症状を残すもの

    レントゲンやCTなどの画像所見により胸骨骨折を原因とする神経症状であることが明確に確認できる場合は12級13号、それ以外のケースでは14級9号が認定される可能性があります。

    ③ 呼吸器障害
    胸骨骨折により肺を損傷した場合、呼吸器の機能障害が認定される可能性があります。
    その場合に認定される可能性のある等級としては、以下のとおりです。


    【別表第1】
    後遺障害等級 症状
    1級2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
    2級2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

    【別表第2】
    後遺障害等級 症状
    3級4号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
    5級3号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    7級5号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    9級11号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
    11級10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
    13級11号 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
  2. (2)胸骨骨折で後遺障害等級を獲得するためのポイント

    胸骨骨折による後遺障害等級の認定には、医師の診断書や画像所見(レントゲン・CTなど)が極めて重要です

    • 骨の変形が確認できる画像
    • 神経症状が持続していることを示す診療記録
    • 呼吸機能検査の結果

    これらの客観的な資料を揃えることで、等級認定の可能性が高まります。逆に、症状を口頭で訴えるだけでは「自覚症状」と判断されてしまい、等級認定が難しくなります。

    そのため、事故後は定期的に医療機関を受診し、必要な検査や診断を受けて証拠を残すことが、将来の補償につながる重要なステップとなります

4、交通事故被害者が弁護士に相談すべき理由

胸骨骨折のような大きなケガを交通事故で負った場合、治療や生活への影響だけでなく、損害賠償や後遺障害の補償といった法的な問題にも直面します。

被害者自身で保険会社との交渉や後遺障害等級の申請を行うのは難しく、不利な条件で示談が成立してしまう危険性もあります。そこで重要になるのが、交通事故問題に詳しい弁護士への相談です

  1. (1)実際の手続きの流れ

    交通事故後に弁護士へ相談すると、以下のような流れで手続きが進みます。

    • 医療記録や診断書、画像所見の収集
    • 後遺障害診断書の作成に向けた医師への依頼書作成等のサポート
    • 自賠責保険や任意保険への請求手続き
    • 必要に応じて異議申し立てや訴訟手続き

    弁護士が関与することで、被害者は治療や生活の回復に専念でき、手続きの不安を大きく軽減できます。

  2. (2)慰謝料・休業損害・後遺障害等級認定のサポート

    胸骨骨折は治療が長期に及ぶことも多く、その間の通院費や休業損害を適正に補償してもらうことが非常に重要です

    また、胸郭の変形や慢性的な痛みなどの後遺障害が残った場合には、後遺障害等級の認定を受けられるかどうかで賠償額に大きな差が生じます。

    弁護士が介入すれば、慰謝料を保険会社が提示する基準(任意保険基準)より高額な「裁判所基準(弁護士基準)」で算定できるほか、医師と連携して後遺障害診断書の作成を支援し、必要な検査の受診をすすめることも可能です。

  3. (3)保険会社との示談交渉で不利にならないために弁護士の関与が必要

    交通事故の損害賠償は、多くの場合、被害者と加害者側の保険会社との示談交渉によって解決が図られます

    しかし、保険会社は営利企業である以上、支払額をできるだけ抑えようとするため、提示される金額が必ずしも適正とは限りません。特に、胸骨骨折のように治療が長引いたり、後遺障害が残ったりする可能性があるケースでは、適切な賠償を受けられないリスクが高まります。

    弁護士が代理人として交渉にあたれば、提示額を精査して増額交渉を行うほか、後遺障害認定に不服がある場合の異議申し立てや、必要に応じた裁判への移行も可能です。専門的なサポートを受けることで、被害者は本来受け取るべき補償を確保しやすくなります。

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5、まとめ

交通事故による胸骨骨折は、強い痛みや呼吸困難だけでなく、胸郭の変形や慢性的な神経症状といった後遺障害が残る可能性があります。治療が長期化すれば、休業損害や逸失利益の補償も重要な問題となります。

しかし、保険会社との交渉を被害者自身で行うと、十分な賠償を受けられないリスクが高まりますので、早期に交通事故に詳しい弁護士に相談することが大切です。

交通事故で胸骨骨折を負った場合は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください

この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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