醜状(下肢)の後遺障害
目次
醜状の症状と治療法
醜状(しゅうじょう)とは、一般的に「人目につく程度以上の傷痕が残ってしまった状態」を指します。
治療を行っても残りうる醜状としては、
- 線状痕
- 瘢痕(はんこん)
- 欠損
- ケロイド
- 血腫
- 色素沈着
などがあります。
これらの諸症状に対しては、形成外科で治療が行われています。たとえば、ケロイドについては放射線治療等により、線状痕などについては真皮縫合と呼ばれる皮下縫合により、ある程度目立たなくすることが可能となっています。
足の傷跡(下肢醜状)の後遺障害等級認定
下肢醜状として定められている後遺障害等級は、14級5号(下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの)のみです。
ここで、下肢における「露出面」とは、自賠責認定実務では、大腿(太もも)から足背部までとされています。また、てのひらの大きさとは、指以外の部分を指し、被害者のてのひらが基準です。
複数の瘢痕や線状痕がある場合には、それらの面積を合計して評価することとなります。
等級 | 症状 | 自賠責基準 | 裁判基準 |
---|---|---|---|
14級5号 | 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの | 32万円 | 110万円 |
瘢痕の程度によっては〇級相当と認定されることもある
本来、醜状の等級は以下のどれかが定義されています。
外貌醜状(顔の醜状)
- 7級12号「著しい醜状」
- 9級16号「相当程度の醜状」
- 12級14号「醜状」
上肢醜状(腕の醜状)
- 14級4号
下肢醜状(足の醜状)
- 14級5号
しかし、醜状については、等級として定められているもの以外であっても、等級認定されることがあります。
たとえば、上肢または下肢の露出面において、てのひらの3倍以上の瘢痕があれば、特に著しい醜状と判断され、12級相当と判断されます。このように、下肢醜状であれば等級は14級5号ですが、それ以上の等級が認定されることもあるのです。
また、露出面以外の瘢痕でも等級認定を受けられることがあります。
12級相当
胸部と腹部、または背部と臀部の合計面積の2分の1以上に瘢痕を残している
14級相当
胸部と腹部、または背部と臀部の合計面積の4分の1以上に瘢痕を残している
後遺障害等級認定獲得のためのポイント
醜状痕の後遺障害認定には、醜状が存在することが前提となりますが、さらに、他人から見て酷いと思われる程度、人目につく程度以上でなければならないとされています。そこで、認定にあたっては、調査事務所で面接調査を行い、そこで色素沈着の程度、部位、形態などの確認を行って最終的な判断をすることになります。
上記のように、醜状痕については、客観的に判断できる明確な基準があるとはいえないので、どうしても調査する者の主観が入る余地があります。そこで、面接調査にあたっては、弁護士などが同行し、適切に計測等がなされているかをチェックすることが大切です。
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