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交通事故の治療を整骨院で続けたい方が知るべき慰謝料請求の注意点

更新日:2022年11月18日 慰謝料・損害賠償
令和4年版の交通安全白書によると、令和3年中に発生した交通事故による死者を除いた負傷者数は約36万人におよびますが、そのうち92.5%は軽傷者だったことがわかっています。

交通事故によって軽傷にあたる症状といえば打撲やむちうちをイメージする方が多いでしょう。これらのケガは外見上の回復が早いため、病院での入院・通院を早々に切り上げて整骨院(接骨院)に通いたいとお考えの方は少なくないようです。



ここで問題となるのが「整骨院への通院は、交通事故の治療費・慰謝料の請求根拠に含まれるのか」という点です。街頭には「交通事故専門」「保険OK」といった看板を掲げている整骨院が目立ち、利用も気軽になりました。しかし、病院に通わず整骨院(接骨院)のみに通院していると、治療費・慰謝料請求の対象にならないと保険会社から言われてしまう可能性があるのです。

1、整骨院(接骨院)の通院は治療費・慰謝料請求の対象になるのか?

交通事故に遭ってケガをし、治療を整骨院に任せた場合、注意したいのは「整骨院=病院ではない」という点です。

整骨院で施術をするのは柔道整復師であり、国家資格を有する医師ではありません。医師ではない人に治療を任せると、治療費・慰謝料請求の対象にならないのではないかと疑問に感じる方も多いでしょう。

  1. (1)整骨院への通院でも慰謝料の請求は可能

    整骨院では、整形外科のように詳しい検査や治療はできませんが、交通事故によって生じたケガの治療に必要と認められれば、施術も治療の一環として扱われることになります。では、接骨院への通院が交通事故によって生じたケガの治療に必要と認められるためにはどのようにする必要があるのかについては、次章で解説します。

  2. (2)病院での初診は必須

    整骨院の治療費・慰謝料も請求は可能ですが、少なくとも初診だけは、病院・整形外科の受診が必須となってきます。整骨院のみの受診では請求が認められない可能性があるので注意が必要です。

    また、整骨院では精密な検査ができないため、必要な治療が施されないおそれがあります。詳しい検査をしないと発覚しないケガもあるので、大したケガではないと感じていても病院での受診は必須です

    さらに、整骨院で施術をするのは柔道整復師であり、柔道整復師では「診断書」が作成できません。保険会社への治療費・慰謝料の請求にあたっては「診断書」が重要な証拠となるため、病院を受診して医師の診断を受ける必要があります

    正しい対応は、まず病院を受診し、医師の指示を仰いでから整骨院に通院することです
    医師に「整骨院への通院が有効」という診断書を作成してもらえれば、整骨院への通院が「医師が認めた治療の一環」とみなされやすくなるので、まずは医師に相談するべきでしょう。

  3. (3)病院にも定期的に受診する

    整骨院に通院している場合であっても、定期的に病院にも通院すべきです。

    医師が継続して症状を把握していなければ、早い段階で症状固定と判断されてしまうおそれがあります。症状固定とは、治療を継続しても症状がそれ以上改善しない状態のことを言います。医師から早い段階で症状固定と判断されてしまうと、保険会社はその時点で治療費の打ち切りを打診してくるのが一般的です。

    適切な期間について、保険会社から治療費を支払ってもらうためにも、定期的に病院に通院するようにしましょう

  4. (4)後遺障害が残った場合

    後遺障害が残った場合は、後遺障害の認定を受けて慰謝料を請求することになります。後遺障害の認定に必要な「後遺障害診断書」は、通常の診断書と同様、医師でなければ作成できません。つまり、整骨院に通っているだけでは後遺障害診断書の作成ができず、後遺障害の認定を受けることはできないこととなります。

    したがって、後遺障害の認定申請を考えている場合は、整骨院への通院とあわせて病院への通院が必須となります

2、交通事故の入通院慰謝料の基準3つ

交通事故によってケガをし、病院に入院・通院する場合は、加害者に対して慰謝料を請求することになります。ここで注目したいのが、交通事故の慰謝料額には3つの基準が存在するということです。

どの基準を適用するのかによって慰謝料額に大幅な差が生じるので、しっかりチェックしておきましょう。

  1. (1)自賠責基準

    法令で加入が義務付けられている自賠責保険による算定基準が「自賠責基準」です。
    自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するための保険ですが、支払われる金額は3つの基準の中で最も低いのが難点です

    自賠責保険による慰謝料の基準は法令によって定められています。そのため、交通事故の被害者は最低限の慰謝料請求が法律によって補償されることとなります。

  2. (2)任意保険基準

    運転手が任意で契約している自動車保険による算定基準が「任意保険基準」です。
    慰謝料額は、各保険会社が独自に定めた基準によって決められ、また、保険会社ごとの基準は公開されておりません。実際に交渉してみなければ、いくらになるかはわからないのが任意保険基準の実態なのです。

    一般的には、自賠責基準に多少の上乗せをした金額が慰謝料の相場になりますが、次にご紹介する裁判所基準と比較すると、低額になります

  3. (3)裁判所基準・弁護士基準

    3つの基準のうち、慰謝料額がもっとも高額になるのが「裁判所基準」です。裁判所基準は「弁護士基準」と呼ばれることもあります。

    日弁連交通事故相談センターが刊行している『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(いわゆる「赤い本」)や『交通事故損害額算定基準』(いわゆる「青い本」)に掲載されています。交通事故の過去の裁判例をもとに「裁判で争えばこの程度になる」という基準が示されています。

    裁判所基準も自賠責基準と同様に基準額が公開されています。しかし、自賠責基準ほどしゃくし定規に定まっているわけではありません。裁判所基準は被害者の実態に合わせて適正な金額を算定しますので、言い換えれば、交渉の余地があるということです。
    弁護士に依頼することで、受け取る慰謝料の額が、自賠責保険基準の2倍(または、それ以上)となるケースもあります

  4. (4)整骨院への通院でも考え方は同じ

    病院への入通院に対する慰謝料は3つの基準によって算定されますが、整骨院への通院だからといって扱いが変わるわけではありません。医師の指示に従い、有効な治療の一環として整骨院に通っている期間は、病院への通院と同様、慰謝料請求が可能です

    ただし、事故後に一度も医師による診察・治療を受けていない、医師の同意を得ていないなどのケースでは、慰謝料請求が認められないケースが多いので注意が必要です。

3、整骨院に通院した場合の慰謝料の算出方法

整骨院への通院に対する慰謝料の算出方法は、整形外科などの病院に通院した場合と同じです。

  1. (1)自賠責基準の算出方法

    自賠責基準を適用した場合は、次の計算式に当てはめて算出します。

    「実際に通院した日数×2」または「治療期間」の少ない方×4300円
    ※2020年3月末日以前に起きた事故は4200円の旧基準となります


    ここで注意が必要なのが、計算式によって算出された慰謝料額が必ず受け取れるわけではないという点です。自賠責保険が補償する傷害による損害額は、治療費・看護料・通院交通費・義肢などの費用・診断書料・文書料・休業損害などの総額の上限が120万円と定められています。

    そのため、長期の入院・通院によって治療費が高額になっているケースや、休業を余儀なくされた期間が長いなどのケースでは、120万円の枠を使い切ってしまい、慰謝料としては十分に支払われない可能性がでてきます。また、ご自身に100%の過失がある事故の場合は、自賠責保険でも補償が受けられないので注意が必要です。

  2. (2)裁判所基準の算出方法

    裁判所基準では、重症・軽症の2つの場合にわけて慰謝料額を計算します。「赤い本」をはじめとした資料には重症・軽症の各慰謝料算定表が掲載されているので、入院期間と通院期間に応じて表に当てはめることで慰謝料額が算出できます。

    たとえば、むちうち症になって入院しないまま整形外科と整骨院に3か月通院した場合、赤い本の別表Ⅱに当てはめると慰謝料額は53万円になります。

    自賠責基準に当てはめた場合の慰謝料額は、3か月間毎日通院していたとしても、4300円×90日=38万7000円です。適用される基準が異なるだけで10万円以上の差が生じることになるわけです。

4、交通事故の慰謝料請求は弁護士への依頼がおすすめ

すでに保険会社から示談金額を提示されているのであれば、提示金額が適正かどうか弁護士に相談することをお勧めします。裁判所基準での増額が見込める場合には、弁護士に交渉を任せるのが得策です。

とくに整骨院での治療を受けているケースでは、保険会社が「治療期間として認めない」という対応を取るおそれがあります弁護士が治療の一環として必要な通院であると交渉すれば、治療期間として認められやすくなるでしょう

また、弁護士に依頼すれば、専門的知見から後遺障害の認定に向けたサポートが得られます

さらに、弁護士に示談交渉を任せれば、面倒な保険会社とのやり取りからも解放されます。安心して治療に専念できるうえに事故対応へのストレスからも解放されて、個人で対応するより早く、事故以前の平穏な生活を取り戻すことができるでしょう。

5、まとめ

交通事故に遭って整骨院に通う期間も、適切に通えば、病院への通院期間と同様、慰謝料請求の対象となります。適切な補償を受けるためにも、初診は病院の医師による診断書を作成してもらい、整骨院に通いたいということを医師に相談しましょう。

また、保険会社は任意保険基準にもとづいた低い慰謝料額を提示してきます。提示金額の妥当性を検討することなく応じるのは得策ではありません。弁護士に依頼して裁判所基準での慰謝料を請求し、適切な慰謝料を支払ってもらうようにしましょう

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