もらい事故こそ弁護士相談が重要! 弁護士費用特約を活用した賠償請求

更新:2025年10月20日 公開:2021年08月13日
示談交渉
もらい事故こそ弁護士相談が重要! 弁護士費用特約を活用した賠償請求
あなた自身には一切落ち度がない「もらい事故」。もらい事故に遭ってしまった場合、通常の事故とは異なり、あなた自身の保険会社が交渉してくれるわけではありません。事故による負傷の治療などと並行して、あなた自身が保険会社と交渉をしなければならないのです。

精神的負担と保険会社の対応に取られる時間を軽減し、適切な賠償金を得て解決するためにも、ご自身の保険に付帯されている「弁護士費用特約」を使ってください。交通事故対応についての知見が豊富な弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

本コラムでは、もらい事故に遭われた方が適切な補償を受け、安心して日常生活に戻るための具体的な解決策である、弁護士相談の必要性と弁護士費用特約を使うメリットについて、ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士がわかりやすく解説します。

1、もらい事故に弁護士は必須! 知らないと損する3つの理由

もらい事故とは、被害者側に一切の過失がない交通事故を指します。信号待ちで停車していたときに後続車両に追突されたケースが代表的な事例です。

このような事故では、自身で対応を進めると、以下の理由から、精神的な負担が大きいだけでなく、本来受け取れるはずの正当な賠償金を受け取れなくなってしまうリスクが非常に高い傾向があります。

  1. (1)あなたの保険会社は示談交渉ができない

    一般的な交通事故では、被害者にも過失がある場合、加入している保険会社が示談交渉を代行してくれます。しかし、もらい事故の場合、被害者側にはまったく過失がないため、ご自身の保険会社は示談交渉を代行できません

    これは、弁護士法第72条に『弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない』という規定があるためです。

    なぜ一般的な交通事故では保険会社が示談交渉を代行できるのかというと、それは被害者側にも過失があるからです。被害者側にも過失がある場合、被害者側の保険会社も相手方に対して保険金を支払う義務が生じます。そのため、保険会社側としては「自身の債務に関する交渉」として、相手側の保険会社と交渉できるのです。

    しかし、被害者側に過失がないもらい事故では、ご自身の保険会社が加害者側に保険金を支払う義務がありません。そのため、あなたの保険会社があなたの代わりに交渉してしまうと、弁護士ではない者が有償で他人の法律事務を扱うことになるため、弁護士法に抵触してしまうのです。

    したがって、被害者であるあなた自身が加害者側の保険会社と直接交渉を行わなければなりません。もしくは、直接弁護士に対応を依頼する必要があるといえます。

  2. (2)相手方保険会社の提示額は最低基準の慰謝料

    交通事故の慰謝料には、主に以下の3つの算定基準があります。

    • 自賠責保険基準:交通事故被害者への最低限の補償を目的とした基準で、最も慰謝料額が低い
    • 任意保険基準:各任意保険会社が独自に定める基準で、自賠責基準の金額に限りなく近い
    • 裁判所基準(弁護士基準):過去の裁判例に基づいて算定される基準で、最も慰謝料額が高くなる傾向がある

    加害者側の保険会社が提示する慰謝料額は、多くの場合、任意保険基準に基づいています。被害者自身で交渉しても、加害者側の保険会社は賠償額を抑えようとすること、また、弁護士ではない個人が裁判所基準を用いた請求をしても認められないことがほとんどであり、提示額の増額は非常に困難であるのが実情です。

  3. (3)加害者側との直接交渉は負担が大きい

    示談交渉に不慣れな方が、経験豊富な保険会社の担当者を相手に、ご自身の主張を認めさせることは大変困難といえるでしょう。なぜなら、相手方の保険会社の担当者は、日々数多くの交通事故案件を扱う交渉のプロであり、法律や保険の専門知識、そして交渉術に長けているためです。この圧倒的な知識と経験の差の中で、対等な交渉を行うことは非常に困難を伴います。

    また、保険会社からの連絡は通常、平日の日中に行われます。平日にお仕事をされる方であれば、業務時間中に何度も電話がかかってきて対応を迫られることになります。治療のための通院も並行して行う中で、保険会社との煩雑なやり取りに時間を割かれることは、精神的な負担を増大させることでしょう。結果、不利な条件で示談を成立させてしまう可能性があります

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弁護士費用特約を利用されてご依頼となった場合には、特約から1時間1万1千円(税込)の相談料を頂戴いたしますが、お客様のご負担はございません。

2、弁護士費用特約で負担ゼロにも! 利用する5つのメリット

弁護士費用特約とは、交通事故の被害者が弁護士に法律相談をする費用や弁護士に依頼する費用などを保険会社が負担してくれるサービスです。「特約」ですので、自動車保険に加入していれば必ず利用できるわけではなく、保険契約の際に別途、弁護士費用特約の申し込みが必要になります。

弁護士費用特約を利用することで、弁護士への依頼費用を気にすることなく、数々のメリットを享受できます。

  1. (1)慰謝料が最も高額な「弁護士基準」になる

    弁護士費用特約を活用することにより、弁護士に対応を依頼することが可能です。

    依頼を受けた弁護士は、最も高額な裁判所基準(弁護士基準)を前提とした慰謝料を請求します。弁護士が交渉にあたることで、加害者側の保険会社は、裁判に発展した場合に裁判所基準で支払う可能性や、弁護士費用がかかることを考慮し、示談交渉段階でも裁判所基準を前提とした交渉に応じる可能性が高まります。

    これにより、提示された慰謝料額を増額できる可能性が高まるでしょう。

  2. (2)面倒な示談交渉から解放され治療に専念できる

    弁護士に依頼することで、相手方保険会社との面倒な対応や示談交渉を任せることができます。

    弁護士が受任通知を送ると、それ以降、加害者側の保険会社との連絡窓口は弁護士に一本化されます。これにより、被害者にかかる精神的・時間的負担を大幅に軽減でき、怪我の治療や回復に専念できる環境が整います。

    弁護士は保険会社の担当者と対等に交渉を進められるため、より有利な条件での示談成立が期待できます。

  3. (3)適切な後遺障害等級の認定をサポート

    交通事故の怪我で後遺障害となってしまった場合、後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金が大きく変わってきます。適切な後遺障害等級の認定を受けることは非常に重要です。

    後遺障害等級の認定は、加害者側の保険会社に手続を任せる「事前認定」と呼ばれる方法もあります。しかし、事前認定では加害者側の保険会社は申請に必要最低限の資料しか用意しない場合があります。
    弁護士に依頼すれば、「被害者請求」と呼ばれる方法で、被害者側にて行う後遺障害等級申請の手続きを任せることができ、適切な等級認定を受けられる可能性が高まります。弁護士は、等級認定に必要な有利な資料を積極的にそろえるためのサポートを行ったり、症状が適切に記載されたカルテなどを提出したりするなど、認定に向けて最善を尽くします。

  4. (4)保険料は上がらない! 費用倒れもない

    弁護士費用特約を利用した場合でも、翌年の自動車保険料に影響はなく、保険等級が下がる心配もありません。対人・対物保険や車両保険とは異なり、弁護士費用特約の利用は保険料の増額にはつながらないためです。

    また、弁護士費用特約を利用すれば、法律相談料10万円まで、弁護士費用300万円までを保険会社が負担してくれるのが一般的です。多くのケースでこの限度額内に収まるため、弁護士費用を心配することなく依頼できます。

    費用倒れのリスクを心配せずに弁護士に依頼できるため、弁護士費用特約は利用するデメリットが特になく、いわばメリットしかないサービスといえるでしょう。

  5. (5)弁護士費用特約の補償範囲

    弁護士費用特約で補償される対象範囲は、保険契約の契約者(記名被保険者)だけではありません。

    具体的には、以下の範囲の方も含まれるケースが多いため、契約内容を確認してください。

    • 記名被保険者の配偶者
    • 記名被保険者の家族(同居の親族、別居の未婚の子ども)
    • 契約の車に搭乗中の方

3、弁護士相談のタイミングと特約がないときの対処法

弁護士への相談は、早ければ早いほどそのメリットを最大限に活かせます。

  1. (1)初回相談のベストタイミングは事故直後

    弁護士に相談する最適なタイミングは、事故発生直後です。もちろん、弁護士費用特約は、交通事故発生直後から示談成立までの間であればいつでも使用できます。しかし、可能であればできるだけ早い段階で使用することをおすすめします。

    なぜなら、事故直後に弁護士に依頼することで、今後の事故対応の流れや治療の頻度、必要な検査などについてアドバイスを受けられ、安心して治療に専念できるためです。また、適切な賠償金請求の基礎となる証拠を早い段階から確保でき、また相手方保険会社との初期対応も弁護士に任せられるため、精神的な負担を軽減できます。

    特に、後遺症が懸念されるケースでは、後遺障害等級認定が賠償額に大きく影響するため、早期に弁護士に依頼し、適切なアドバイスを受けることが非常に重要です。

    反対に、示談交渉がこじれてから弁護士に相談すると、不利な状況を覆すのが難しくなるケースがあります。そのため、事故に遭われたら、まずはできるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)相談から解決(賠償金受取)までの流れ

    弁護士費用特約を使った弁護士への相談から解決までの流れは、以下の通りです。

    弁護士費用特約を使用する流れは以下の通りです。

    ① 保険会社に連絡:まず、ご自身の保険会社に連絡し、弁護士費用特約の有無と、今回の事故に適用できるかを確認します。事前に特約利用の意向を伝えておくことで、その後の手続きがスムーズに進みます。

    ② 弁護士に相談・依頼:特約の利用が可能と確認できたら、実際に相談・依頼する弁護士を探します。特約の限度額内であれば、無料で法律相談が受けられるため、複数の弁護士に相談し、相性や実績を見極めることが可能です。交通事故分野の解決実績が豊富な弁護士を選ぶと良いでしょう。

    ③ 弁護士から保険会社に費用請求:弁護士との委任契約締結時に、弁護士費用特約を利用する旨を伝えれば、弁護士が保険会社に直接費用を請求してくれます。そのため、ご自身が弁護士費用を直接支払う必要はありません。

    ④ 解決・賠償金受け取り:交渉がまとまれば、示談合意書を取り交わし、合意した賠償金が指定口座に振り込まれて解決となります。

    もし交渉が決裂した場合は、裁判所での調停や訴訟に移行する可能性もありますが、弁護士が最善の解決を目指して最後までサポートしますのでご安心ください。

  3. (3)特約なしでも大丈夫? 費用倒れしないケース

    「弁護士費用特約がないから」と弁護士への依頼を諦める必要はありません。弁護士費用特約がない場合でも、弁護士に対応を依頼したほうが経済的メリットを見込めるケースは多くあります。

    特に、事故により後遺障害が残ってしまったケースなど、高額な賠償金が支払われるような事案では、弁護士費用を支払ったとしても、十分な賠償金を受け取れるため、費用倒れのリスクは低いといえます

    最近では、初回の相談料を無料としている弁護士事務所も多くみられます。もし弁護士費用特約を付けていなかった場合でも、まずは一度弁護士に相談し、ご自身のケースで弁護士に依頼するメリットがあるかどうかを確認することをおすすめします。

4、後悔しない! もらい事故対応の経験豊富な弁護士の選び方

弁護士であれば誰でも交通事故問題に詳しいわけではありません。特に「もらい事故」は過失割合が10:0となる特殊なケースであり、示談交渉の進め方や保険会社との対応には専門的な知識と経験が求められます。

もらい事故で後悔しないために、どのような基準で弁護士を選ぶべきか、具体的なポイントを解説します。

  1. (1)交通事故、特に「もらい事故」の実績

    交通事故の解決には専門的な知識と経験が求められます。特に、もらい事故は保険会社が示談代行できない特殊なケースであるため、交通事故分野、とりわけ「もらい事故」の解決実績が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。豊富な実績を持つ弁護士は、経験に基づいた適切なアドバイスや交渉により、より適切な解決までサポートします。

    ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームには、多数の重傷案件を含む3万件以上の案件を解決に導いてきた実績があります(2012年2月~2025年7月末現在)。

  2. (2)料金体系が明確でリスク説明があるか

    弁護士費用特約を利用する場合は、原則としてあなた自身の負担はありませんが、特約がない場合は費用が発生します。弁護士選びにおいて、料金体系の透明性は非常に重要です。

    弁護士費用を払うことで、かえって得られる経済的利益が少なくなる事態を避けるためにも、弁護士に依頼する前に、料金体系が明確であるか、そして費用倒れのリスクなどについて丁寧に説明してくれるかを確認しましょう。

    信頼できる弁護士は、良い面ばかりを強調するのではなく、依頼に伴う潜在的なリスクも正直に説明します。たとえば、慰謝料の増額が期待できる一方で、「必ずしも希望通りの結果になるとは限らない」ことや、裁判に移行した場合の追加費用など、依頼者にとって不都合な内容についても率直に伝える弁護士であれば、誠実であると判断できるでしょう。費用面だけでなく、リスクもしっかり説明してくれる弁護士を選ぶことをおすすめします。

  3. (3)無料相談で必ず確認すべき3つのこと

    多くの弁護士事務所では、初回の無料相談を実施しています。

    無料相談の機会を最大限に活用し、以下の3点を確認しましょう。

    ① 弁護士費用特約の利用可否と補償範囲:ご自身の保険契約で弁護士費用特約が適用されるか、その限度額や対象範囲を具体的に確認します。

    ② 担当弁護士の交通事故(特に、もらい事故)に関する専門知識と実績:担当する弁護士が、交通事故の中でも、もらい事故の解決経験が豊富であるか、具体的な解決事例などを尋ねて、その専門性を見極めましょう。

    ③ ご自身の事故に対する具体的な解決方針と見込み:事故状況を説明した上で、どのような対応が可能か、慰謝料増額の見込み、後遺障害申請のサポートなど、具体的な解決への道筋を明確に示してもらいましょう。

    これにより、弁護士との相性や信頼性を判断することができるでしょう。

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5、まとめ|もらい事故の不安は1人で抱えず弁護士に相談を

もらい事故は、あなたにまったく落ち度がないにもかかわらず、心身ともに大きな負担を強いられる理不尽なものです。

本記事で特に覚えていただきたい内容は以下のとおりです。

  • あなた自身の保険会社は示談交渉を代行できない
  • 加害者側保険会社の提示額は、本来より低い慰謝料である
  • 弁護士費用特約を使えば、自己負担なく弁護士に依頼できる

本記事で解説した内容を知らずにご自身で対応を進めてしまうと、本来受け取れるはずの正当な賠償金を受け取れず、後悔してしまいかねません

ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームは、豊富な実績と知見があります。適切な補償を受けられるよう、状況に応じて医療機関とも連携することも可能です。もらい事故の被害に遭われた方が、1日でも早く元の穏やかな生活を取り戻せるよう、専門知識と経験を持つ弁護士が全力でサポートします。

あなたの正当な権利を守るため、1人で悩まず、まずは私たちにご相談ください。

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この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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