弁護士費用特約は家族も使える? 対象範囲と利用時の注意点

更新:2024年09月09日 公開:2022年04月25日
基礎知識
弁護士費用特約は家族も使える? 対象範囲と利用時の注意点
交通事故に遭ってケガをしてしまったとき、一般的には加害者や加害者が加入している任意保険会社に対して損害の賠償を求めることになります。しかし、ご自身や被害者のご家族が直接対応しようとしても、治療や看護、仕事が忙しく対応する時間がなかったり、もろもろの事情が重なり相手方保険会社との交渉がうまくいかなくなったりするケースは少なくないようです。

そこで、弁護士に依頼したいと考えても、依頼をするためには弁護士費用がかかることがネックになっている方もいるかもしれません。そのようなとき役に立つのが「弁護士費用特約」です。被害者が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用を保険会社から支払ってもらうことができます。また、弁護士費用特約は、自分自身ではなくご家族が加入している保険に附帯している場合にも利用できる可能性があることはあまり知られていないようです。

本コラムでは、弁護士費用特約の内容や、ご家族など弁護士費用特約を利用できる範囲などについて、ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士が解説します。
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1、弁護士費用特約とは│利用のメリット

弁護士費用特約とは、自動車保険に加入する際にオプションとして付けることができる特約です。
まずは、弁護士費用特約の内容と、利用するメリットについて見ていきましょう。

(1)弁護士費用を保険金から支払ってもらえる

自動車保険に付ける弁護士費用特約の内容は、「交通事故の示談交渉や損害賠償請求を弁護士に依頼した場合に、弁護士費用相当額を保険金として支払う」というものです。

交通事故の被害者にとって、弁護士費用がネックになって、弁護士への依頼を躊躇してしまうということはよくあります。しかし、弁護士費用特約を利用すれば、このような心配をすることなく弁護士に依頼をして、加害者側に対して正当な賠償を求めることができます。

ただし、特約の限度額や対象範囲などは保険会社によって異なりますので、保険の内容はよく確認するようにしましょう。

(2)費用倒れに終わる心配をせずに弁護士に依頼できる

損害の金額がそれほど大きくない場合(物損のみの場合など)や、実際にどのくらいの金額の賠償が認められるかわからないという場合は、弁護士費用特約を利用するメリットが大きいといえます。

弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用の大部分を保険金でカバーできるケースが大半です。損害の金額がよほど大きくない事件であれば、実質的な自己負担がゼロになるのが通常です。そのため、弁護士費用特約を利用することによって、費用倒れを心配することなく弁護士に依頼をすることが可能になるのです。

弁護士に依頼をする経済的・心理的ハードルが格段に下がることは、弁護士費用特約の大きなメリットといえるでしょう。

2、弁護士費用特約の対象範囲は広い│家族や親族も利用できる場合がある

自動車保険は、車をメインで運転する人の名義で加入するのが通常です。保険契約を結んだ本人を被保険者といいます。

しかし、車を共用していて、家族や親族が運転する場合もあるかもしれません。もし被保険者以外が事故に遭ってしまった場合、家族や親族は弁護士費用特約を利用することはできるのでしょうか。

(1)本人だけでなく同居の家族・親族も利用できる

一般的な自動車保険の弁護士費用特約は、本人だけでなく、配偶者や同居の家族・親族も利用できるとされています。そのため、

  1. 本人の運転中に事故に遭い、配偶者や同居の家族・親族が負傷した場合
  2. 配偶者や同居の家族・親族が車を運転中に事故に遭った場合

などにも、弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼をすることができる可能性があります。加入している保険の対象範囲がどこまであるかは、事前に確認しておくと安心でしょう。

(2)別居中であっても、未婚の子どもは利用可能

また、別居中であったとしても、未婚の子どもは弁護士費用特約を利用できる場合が多いです。

たとえば実家に帰省中、親の車を借りてドライブに出掛けた際に事故に遭った場合などには、弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼をすることが可能なケースもあります。

(3)保険約款で補償内容を必ず確認する

上記のとおり、弁護士費用特約は本人以外の家族や親族でも利用できる場合が多いですが、実際に利用可能な人の範囲は保険契約の内容によって決まります。

弁護士費用特約の利用を検討する際には、保険約款などで補償内容を必ず確認するようにしましょう。

また、弁護士費用特約を実際に利用する際には、保険会社に対して利用の旨を連絡することになるため、弁護士への相談前に、保険会社に弁護士費用特約を利用できるかどうか確認しておくとスムーズでしょう。

3、弁護士費用特約の注意点と知っておくべきこと

弁護士費用特約を利用する場合には、知っておくべき点、注意すべき点がいくつかあります。それぞれのポイントを押さえて、賢く弁護士費用特約を利用しましょう。

(1)弁護士費用特約は任意加入である

弁護士費用特約を利用するためには、自動車保険に加入する際、弁護士費用特約を実際に付けていることが必要になります。

弁護士費用特約は任意加入なので、必ず付けないといけないものではありません。そのため、自動車保険への加入条件によっては、弁護士費用特約が付いていない場合もあります。

弁護士費用特約は、年間で見ても数千円~数万円程度の金額で付けることができるので、もしもの場合に備えて付けておくことをおすすめします。

(2)弁護士費用特約を利用しても保険の等級は下がらない

保険金の支払いを何度も申請すると、保険の等級が下がって月々の保険料が上がってしまうのと同様に、弁護士費用特約を利用するとその後の保険料が上がってしまうのではないかと心配になる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、弁護士費用特約を何度利用しても、自動車保険の等級が下がってしまうことはありません。そのため、家族が加入している自動車保険も含めて、利用できる弁護士費用特約がないかを探して、弁護士への依頼を積極的に検討するべきでしょう。

(3)被害者が納得して依頼できる弁護士を探すべき

弁護士費用特約を利用する場合でも、保険会社の指定する弁護士に依頼をすることは必須ではありません。契約者が弁護士を自由に選ぶことができます。

そのため、被害者は自分で情報を集めて、納得して依頼することができる弁護士を探すべきといえます。保険会社が推薦する弁護士が必ずしも被害者にマッチする、もしくは交通事故に詳しい弁護士とは限らないからです。

弁護士を選ぶ際には、交通事故に関する事件処理の経験が豊富かどうかに着目して選ぶのが良いでしょう。実績がある法律事務所であれば、ホームページに解決実績数や解決事例一覧などを掲載しています。また、後遺障害などを負った場合は、医学的知見からのアプローチも必要となるため、医療の専門スタッフなどと連携しているかどうかも確認しておきたいポイントです。

ベリーベスト法律事務所には、多数の交通事故事件の実績をもつ弁護士で結成された交通事故専門チームがあります。また、医療コーディネーターとの連携も可能なため、後遺症でお悩みの際にも適切な後遺障害等級の認定手続きのサポートを行います。交通事故に関するご相談は初回60分無料です。まずはお気軽にご相談ください。

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4、弁護士費用特約を利用する際の流れ

最後に、弁護士費用特約を利用する際の具体的な流れについて解説します。それほど複雑な手続きは必要ないので、以下を参考にして弁護士費用特約を利用してください。

(1)保険会社に弁護士費用特約を利用したいと連絡する

まず、保険会社に弁護士費用特約を利用したい旨を連絡します。その際、事故の内容や状況などを伝えて、弁護士費用特約が利用できるかどうかを確認しましょう。弁護士費用特約を利用できる人の範囲についても、この機会に念のため確認してもらいましょう。

(2)弁護士を探す

弁護士費用特約を利用できることがわかったら、具体的に依頼する弁護士を探します。弁護士費用特約によって弁護士費用の面での心配はほとんどなくなるので、交通事故事件の経験が豊富かどうか、信頼できるかどうかなどを重視して弁護士を選ぶと良いでしょう。

(3)保険会社に依頼する弁護士の情報を伝える

実際に依頼をする弁護士が決まったら、その弁護士の情報を保険会社に連絡します。ここまで手続きが済んだら、後は弁護士と保険会社の間でやり取りをして、弁護士費用の支払い手続きを済ませてくれる場合がほとんどです。

5、まとめ

弁護士費用特約は家族や親族も利用できるケースが多々あります。保険約款などで補償内容を確認して、積極的に弁護士への依頼を検討しましょう。わからない場合は、ご自身が加入している保険会社へ問い合わせてみることをおすすめします。

弁護士費用特約を利用すれば、ほとんどの方がご自身がお金を支払う必要なく弁護士を依頼でき、泣き寝入りせずに加害者側に対して適切な損害の賠償を請求することが可能です。弁護士に相手方保険会社への対応を依頼することで治療に専念できるだけでなく、受け取れる慰謝料の増額も期待できます。

ベリーベスト法律事務所では、交通事故専門チームの弁護士が適切な慰謝料を受け取れるよう丁寧にサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
外口 孝久
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プロフィール
外口 孝久
プロフィール
ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士
所属 : 第一東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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