交通事故での弁護士特約の使い方|注意点や弁護士に依頼するメリット

更新:2024年09月10日 公開:2024年05月08日
慰謝料・損害賠償
交通事故での弁護士特約の使い方|注意点や弁護士に依頼するメリット
交通事故の損害賠償請求を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用がかかるのが原則です。

しかし、自動車保険などに付帯された弁護士特約を使えば、弁護士費用の全部または大部分がカバーされます。ご自身が加入している保険に、弁護士特約が付いているかどうかを確認しましょう。

本記事では、交通事故について利用できる弁護士特約について、補償内容・使い方・注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、弁護士特約(弁護士費用特約)とは?

「弁護士特約(弁護士費用特約)」とは、弁護士費用を保険会社に支払ってもらえる特約です。

交通事故などのトラブルに巻き込まれた際には、加害者に対して損害賠償を請求できることがあります。
しかし、加害者がすんなり損害賠償金を支払うとは限らず、弁護士への依頼が必要になるケースも少なくありません。弁護士に依頼する場合は弁護士費用がかかり、被害者にとっては経済的な負担が生じます。

そのような場合でも加入している保険に弁護士特約が付いていれば、交通事故などのトラブルが発生した際に、弁護士に依頼する費用を保険金から支払ってもらえます。多くの場合、弁護士費用の全額が保険金によってカバーされるので、被害者は経済的な負担なく弁護士に依頼することが可能です

2、弁護士特約の使い方・手続きの流れ

弁護士特約を使う際の手続きの流れは、以下のとおりです。



  1. (1)保険に弁護士特約が付いているかどうか確認する

    まずは、ご自身が加入している保険に弁護士特約が付いているかどうかを確認しましょう。自動車保険のほか、火災保険やクレジットカードなどにも弁護士特約が付いていることがあります

    また、弁護士特約の契約者だけでなく、配偶者、契約者や配偶者と同居している親族、加入者や配偶者の未婚の子(別居時も利用可)、これらの者が所有する自動車の運転者や同乗者なども弁護士特約を利用できる場合があります。弁護士特約を使えるかどうかは、保険約款などを参照して確認しましょう。

    とはいえ、保険約款などは複雑な内容になっていることもありますので、ご心配な場合は、一度ご加入されていらっしゃる保険会社にご確認されることをおすすめいたします。

  2. (2)依頼先の弁護士を探す

    弁護士特約が使えることが分かったら、依頼先の弁護士を探しましょう。

    無料相談を利用して、複数の弁護士を比較検討したうえで選ぶことがおすすめです。交通事故案件に関する実績や経験・知識、対応の丁寧さ、弁護士費用などに注目して、信頼できる弁護士を選びましょう。

  3. (3)保険会社に弁護士特約の利用を伝える

    依頼する弁護士が決まったら、次に、保険会社に弁護士特約を利用する旨と、依頼先の弁護士に関する情報を連絡しましょう。
    保険会社への連絡後は、費用に関するやり取りは弁護士と保険会社の間で直接行われるケースがほとんどです。

  4. (4)弁護士と委任契約を締結する

    依頼する弁護士との間では、依頼内容や弁護士費用などを記載した委任契約を締結します。委任契約の締結は、保険会社への連絡より前であっても構いません。
    弁護士とのトラブルを避けるため、委任契約書の内容は締結前に必ず確認しましょう。

  5. (5)保険会社から弁護士へ弁護士費用が支払われる

    保険会社への連絡と委任契約の締結が済んだら、通常は、保険会社から弁護士へ着手金などの弁護士費用が直接支払われます。
    また、弁護士による事件の処理が終了した段階では、その結果に応じて保険会社から弁護士へ報酬金が支払われます。

3、弁護士特約を使いたい場合の注意点

交通事故の損害賠償請求について、弁護士特約を使って弁護士に依頼する際には、以下の各点に注意しましょう。



  1. (1)弁護士特約を使えないケースがある

    弁護士特約の補償内容によっては、一部の交通事故が適用対象外となることがあります。
    たとえば自転車や歩行者間の事故は適用対象外となる場合があるほか、被保険者に故意または重大な過失がある交通事故についても、弁護士特約は使えないのが一般的です。

    実際に発生した交通事故について、弁護士特約を適用できるかどうかは、その補償内容をよく調べたうえで判断しましょう。

  2. (2)交通事故発生後に付けた弁護士特約は使えない

    交通事故に対して適用できる弁護士特約は、その交通事故が発生する前に付けたものだけです。
    交通事故の発生後に付けた弁護士特約は、その交通事故について適用することはできない点にご注意ください。

  3. (3)弁護士特約には補償の上限額がある

    弁護士特約には、300万円程度の補償上限額が設定されているのが一般的です。この場合、弁護士費用が上限額を超えると、超過部分については自己負担となります。

    ただし、相当高額の損害賠償を請求する場合を除いて、多くのケースでは弁護士費用の総額が補償上限額の範囲内に収まります。基本的には、弁護士費用の負担はゼロ、またはほとんどないことが多いと考えてよいでしょう。

    また、自己負担について心配な場合は、担当の弁護士に確認してみるのもよいかもしれません。

  4. (4)弁護士特約を利用しても、保険の等級には影響しない

    被害者自身が加入している車両保険などは、適用を受けると保険の等級が上がり、その後の保険料が上がってしまうケースが多いです。

    しかし、弁護士特約は保険等級制度の対象外なので、適用を受けても保険の等級が上がることはありません。保険料上昇の心配は不要なので、気兼ねなく弁護士特約をご利用ください。

4、弁護士特約を使って交通事故対応を弁護士に依頼するメリット

交通事故の被害者が弁護士特約を使って弁護士に依頼することには、以下に挙げるように多くのメリットがあります。積極的に弁護士特約をご利用のうえ、弁護士にご依頼ください。



  1. (1)費用を心配せずに弁護士へ相談できる

    交通事故の損害賠償請求を行うに当たって、弁護士費用は大きなネックとなります。まだ金銭の支払いを受けていない段階から、高額の弁護士費用を捻出するのは難しく、強い抵抗を感じるという方もいらっしゃるでしょう。

    しかし、弁護士特約を使えば、交通事故の損害賠償請求に関する弁護士費用の負担がゼロ、またはほとんどなくなります。経済的な心配をせず、ちゅうちょなく弁護士に依頼できることは、弁護士特約を利用することの大きなメリットです。

  2. (2)損害賠償の増額が期待できる

    交通事故の損害賠償は、弁護士に依頼して請求することで増額が期待できます。

    交通事故について、賠償を請求できる損害項目は多岐にわたります。治療費・休業損害・逸失利益・慰謝料などが典型例ですが、そのほかにもさまざまな項目の損害賠償を請求可能です。
    弁護士は、交通事故によって被害者が受けた損害を漏れなく見積もり、その全額を加害者側に対して請求いたします。ご本人では気づきにくい損害についても漏れなくリストアップしますので、損害賠償の増額につながります

    また、加害者側の任意保険会社は、「任意保険基準」という独自の基準によって保険金額を提示することが多いです。任意保険基準による金額は、裁判所が認定する損害額に遠く及ばないため、適切な算定基準とはいえません。

    弁護士は、過去の裁判例に基づいて客観的な損害額を算定する「弁護士基準(裁判所基準)」を用いて、適正額の損害賠償を請求いたします。適正額の保険金の支払いを求めることで、被害者は結果的に充実した賠償を受けられる可能性が高まります。

  3. (3)負担の軽減・早期解決につながる

    交通事故の損害賠償請求を被害者自身が行うことは、時間・労力・ストレスの観点から大きな負担になります。弁護士にご依頼いただければ、保険会社のやり取りを含め、損害賠償請求の対応を全面的に代行いたしますので、依頼者のご負担は大幅に軽減されるでしょう。

    また、弁護士を通じて損害賠償請求を行うことは、紛争の早期解決にもつながります。法的に論点を整理したうえで、損害賠償に関する建設的な示談交渉ができるからです。
    仮に交渉が決裂したとしても、弁護士が代理人として交通事故ADRや訴訟に対応し、できる限り早期に適切な解決を目指します。
    交通事故の損害賠償請求は、弁護士にご相談ください。

5、まとめ

弁護士特約を利用すると、交通事故の損害賠償請求に関する弁護士費用がゼロ、またはその負担がほとんどなくなります。費用の心配なく弁護士に依頼できるうえに、損害賠償の増額や負担の軽減・早期解決が期待できるので、積極的に弁護士特約を利用し、弁護士に依頼しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、交通事故に関する被害者のご相談を随時受け付けております。弁護士特約もご利用可能です。さまざまな交通事故案件を経験してきた弁護士が、適正額の損害賠償を得られるようにサポートいたします。
交通事故の損害賠償請求は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修者
外口 孝久
外口 孝久
プロフィール
外口 孝久
プロフィール
ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士
所属 : 第一東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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