交通事故治療の流れ|期間・費用・病院選びから示談で損しない対応法

更新:2025年10月02日 公開:2024年09月18日
基礎知識
交通事故治療の流れ|期間・費用・病院選びから示談で損しない対応法
交通事故によって怪我をされたのであれば、すみやかに適切な治療を受ける必要があることは間違いありません。

しかし「どこで治療を受けるべきか」によって身体の回復だけでなく、後の慰謝料請求にも大きく影響します。さらには、「治療期間はどのくらいか」「費用は誰が負担するのか」など、多くの疑問や不安を抱えている方も少なくないでしょう。

本コラムでは、交通事故治療の基本的な流れから、症状別の治療法、治療期間の目安、費用の仕組み、適切な病院選びのポイントまで、交通事故被害者が知っておくべき重要な情報を、ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士が解説します。適切な治療を受けて確実に回復し、正当な補償を得るための完全ガイドとしてご活用ください。

1、事故直後はまず病院へ|治療開始時に押さえるべき2つの鉄則

交通事故に遭ったらすぐに病院を受診するようにしましょう。

  1. (1)鉄則1|事故から24時間以内に受診を!

    早期に怪我の治療をすることで症状の悪化を防ぐことができるというメリットがあるのはもちろんですが、事故から時間がたってから受診したのでは、事故と怪我との因果関係を否定されてしまい、適切な賠償を受けることができなくなるおそれがあります。

    そのため、事故によって怪我を負った場合は、事故当日または翌日には病院の受診を行うようにし、遅くとも事故から1週間以内には必ず受診するようにしてください

  2. (2)鉄則2|接骨院・整骨院を使うときは必ず病院で確認!

    交通事故で怪我を負った場合には、整形外科などの医療機関を受診することが大切です。

    後遺障害が残った場合に、後遺障害等級の認定の申請手続きを行おうと思えば、後遺障害診断書を取得する必要があります。もっとも接骨院や整骨院では、後遺障害診断書の発行ができませんので、病院にも通院し、症状の経過を診てもらう必要があります。

    仕事などの関係で、夜間や休日に診療してもらえない病院には頻繁には通うことができず、他方で症状が強く生じているため、症状を緩和させるべく接骨院や整骨院に通う必要があるという方もいると思いますが、その場合であっても、必ず病院も並行して通院するようにし、病院の医師に、接骨院・整骨院へ通院することについての許可を得ておいた方がいいでしょう

2、交通事故治療の流れと慰謝料請求までの6ステップ

交通事故が発生してから示談交渉開始までの流れは、以下のようになっています。

  1. (1)交通事故発生|警察への届け出と加害者情報の確認

    交通事故が発生し、被害にあったときは、必ず警察に通報してください。
    軽微な事故だからといって警察への届け出を怠ると、事故の証明に必要な「交通事故証明書」の発行を受けることができません。これがないと、加害者側の保険会社から賠償金の支払いを受けるのが困難になるなどのリスクが生じます。

    また、警察に連絡した後は、加害者との間で以下のような情報を交換しておきましょう。

    • 加害者の氏名、住所、電話番号
    • 加害者が加入している自賠責保険会社や任意保険会社の情報
  2. (2)病院受診|医師の診断を受け治療開始

    交通事故に遭い怪我を負ったときは、症状が強くなかったとしても、すぐに病院を受診するようにしましょう。
    事故直後は興奮状態で痛みに気付かないケースが多く、後から強い痛みや不調が現れるケースも少なくありません。

  3. (3)治療|医師の指示に従い治療に専念

    病院を受診した後は、怪我の程度や症状に応じて入院や通院により治療を続けていきます。
    加害者が任意保険に加入している場合、治療費は、基本的には加害者側の保険会社が支払ってくれますので、治療費の心配なく治療を続けることが可能です。

    治療中は、主治医に症状をしっかりと伝え、必要な検査を行ってもらうようにしてください。

  4. (4)治療完了|治療期間の目安と症状固定の判断

    事故による怪我の治療期間は、当然ながらそれぞれの状況によって大きく異なります。しかし、病院へ行かず痛みを我慢し市販の痛み止めを飲むなどでしのいでしまった場合、治療を受けた期間としての認定が難しくなるため、痛みや違和感があるのであれば必ず通院してください

    治療を続けた結果、交通事故による怪我が完治または症状固定となった場合、基本的には、その日以降の治療費や通院交通費などの傷害部分の損害賠償を、加害者側に請求することはできなくなります。

    症状固定とは、これ以上治療を継続しても症状の改善が見込めない状態をいいます。なお、症状固定の判断を行うのは医師であり、保険会社ではありません。保険会社から症状固定として支払いをしたいと打診された場合も、医師の診断に従ってください。

    症状固定時になお症状が残っている場合は、下記のとおり、後遺障害等級の認定の申請手続きをとることを検討することになります。

  5. (5)慰謝料請求の準備|後遺障害等級認定の申請

    事故による怪我が完治せず、症状固定の段階になっても重い症状が残ってしまっている場合は、後遺障害があるとして、後遺障害等級の認定の申請手続きを行います。

    ここで適切な後遺障害等級が認定されれば、その等級に対応する後遺障害部分の損害の賠償を請求することができます。

  6. (6)損害賠償請求|保険会社と示談交渉を開始

    怪我が完治し、または症状固定となり後遺障害等級の認定の申請手続きが終了した段階で、加害者側の保険会社と示談交渉を開始します。
    通常は、保険会社から「示談のご案内」などと題する書面が届き、その中に具体的な賠償額が記載されていますので、その内容を踏まえて交渉を進めていきます。

3、交通事故の治療で注意すべきNG行為3選

交通事故の治療をする際には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)自己判断による通院の中断と接骨院などの利用

    交通事故の治療の終了時期は、主治医が判断します。自己判断で治療を終了する、接骨院などだけに通うなどの行為はやめましょう。

    治療終了のタイミングではないのに自己判断で治療を中断してしまうと、その後に治療を再開したとしても、再開後の治療費の支払いに応じてもらうことができなくなってしまう可能性があります。
    また、後遺障害が残ったとしても、適正な後遺障害等級の認定を受けることが難しくなるなどのリスクも生じます。

    そのため、医師が完治または症状固定と診断するまでは、適切な頻度で定期的に通院するようにしてください

  2. (2)保険会社からの「治療費打ち切り」を安易に受け入れる

    治療期間がある程度長くなると相手の保険会社から治療費の対応の打ち切りを打診されることがあります。しかしながら、仮に保険会社からの治療費の対応が終了したからといっても、治療自体を終了する義務はありません。

    治療の終了時期を判断するのはあくまでも主治医です。相手の保険会社が治療費の打ち切りを打診してきても、主治医が治療の継続が必要だと判断しているのであれば、医師の判断にしたがって治療を続けるべきでしょう

    保険会社からの治療費支払いの対応が打ち切られてしまった後は、いったんは窓口で被害者が治療費の支払いをしなければなりませんが、事故と因果関係が認められる治療であれば、示談交渉の際に、立て替えて支払った治療費も含めて、損害の賠償を請求することができます。

  3. (3)相手方保険会社に後遺障害等級認定申請を任せる

    治療を続けても完治せず、後遺障害が残ってしまったときは、後遺障害等級の認定の申請手続きをとるようにしましょう。

    後遺障害等級の認定の申請手続きには、相手の保険会社に任せる「事前認定」という手続きと、被害者自身で行う「被害者請求」という手続きの2種類があります。提出する資料が同じであればどちらを選択しても結論が変わることはありません。

    しかしながら、相手の保険会社は、後遺障害等級が認定されると、認定されなかった場合と比べて、より高額な賠償金を支払うことになります。そのため、相手の保険会社による積極的な協力はあまり期待できないでしょう。

    そのため、適正な後遺障害認定を受けるためには、被害者自身にも負担が生じてしまいますが、被害者請求により行うべきであるといえます

4、交通事故治療中から弁護士相談しておくメリット

交通事故の示談交渉は、被害者自身で対応するのではなく、交通事故問題についての対応経験が豊富な弁護士に依頼するのがおすすめです。

  1. (1)保険会社との対応から解放され治療に専念できる

    事故の怪我の治療をしなければならない状況で、保険会社とのやりとりまでしなければならなくなると、被害者にとっては大きな負担となります。このような負担を軽減し、治療に専念するためにも、保険会社との交渉は弁護士に任せるのがおすすめです。

    弁護士に依頼すれば保険会社との面倒な対応をすべて任せることができますので、被害者の負担は大幅に軽減するでしょう。また、弁護士が対応すれば保険会社から不利な条件で示談を強いられる心配もありません。

  2. (2)適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高まる

    事故により後遺障害が生じてしまったときは、後遺障害等級の認定の申請手続きを行うことで、症状に応じた等級認定を受けることができる可能性があります。
    後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できるようになりますので、被害者が受け取ることができる賠償金の金額が大幅に増加することになります。

    もっとも、後遺障害等級は、1級から14級まであり、どの等級が認定されるかによって、賠償金の金額は大きく変わってきます。適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、専門家である弁護士のサポートが必要になりますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

    早期に弁護士に相談すれば、治療段階から、後遺障害等級の認定の申請手続きを見据えたアドバイスを受けられます。また、上記の「被害者請求」手続きを、弁護士にて適切な証拠書類をそろえたうえで、行うことができますので、適正な後遺障害等級の認定が受けられる可能性が高くなります。

  3. (3)慰謝料算定基準が変わり慰謝料を増額できる可能性がある

    慰謝料の算定基準には、以下の3つの基準があります。

    • 自賠責保険基準
    • 任意保険基準
    • 裁判所基準(弁護士基準)

    慰謝料の金額は、基本的に、「自賠責保険基準<任意保険基準<裁判所基準」の順に大きくなりますので、被害者としては裁判所基準で慰謝料を算定するのがもっとも有利といえるでしょう。

    しかし、弁護士が介入しない示談交渉において、相手の保険会社が、裁判所基準で算定した慰謝料の支払いに応じる可能性は低いというのが現状です。

    他方で、弁護士が示談交渉を行えば、裁判所基準に基づいて慰謝料の算定を行い、示談交渉を行うことが可能です。少しでも多くの慰謝料を獲得したいという場合は、弁護士に示談交渉を任せることが重要となりますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

  4. (4)弁護士費用特約があれば自己負担なしで依頼できる

    弁護士への相談をためらう理由のひとつが費用面の不安です。しかし、自動車保険に「弁護士費用特約」を付帯していれば、この問題は解決できます。

    弁護士費用特約とは、交通事故の被害者が弁護士に依頼する際の費用を保険会社が負担してくれる特約です。一般的に弁護士費用は300万円まで補償されるため、実質的に自己負担なしで弁護士のサポートを受けることができます

    この特約は、ご自身の自動車保険だけでなく、ご家族の保険やご自宅の火災保険にも付帯している場合があります。交通事故に遭われた際は、まず加入している保険の内容を確認し、弁護士費用特約が利用できるかどうかをチェックしてみましょう。費用の心配なく弁護士のサポートを受けられます。

5、まとめ|交通事故治療で後悔しないためにも弁護士に相談を

交通事故による怪我の治療は、単に身体を回復させるだけでなく、その後の慰謝料や損害賠償に直結する重要なプロセスです。適切なタイミングで正しい治療を受け、必要な記録を残すことで、損をすることなく、将来的に適正な補償を受けることが可能になります。

特に治療費の打ち切りや完全に治らず後遺障害になってしまった場合においては、早期に交通事故対応についての知見が豊富な弁護士にご相談ください。ひとりで悩んだり個人で保険会社と戦おうとしたりすることは、早期解決の道を閉ざしてしまいかねません

なるべく早いタイミングで弁護士に相談することにより、適切な損害賠償請求ができるようになるだけでなく、治療に専念していただけます。適切な治療と正当な補償の獲得に向けて、ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームが全力でサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
パートナー弁護士
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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