交通事故にあった場合、「壊れた車は修理できるのか」「ケガが治るのか」「治療にかかったお金は支払われるのか。いくらぐらい支払われるのか」など、今後の生活やお金についてのさまざまな不安が心に浮かぶ方も多いでしょう。
そのような方に向けて、弁護士が交通事故の解決までの流れについてお伝えします。
交通事故 解決までの大まかな流れ
交通事故でケガをした場合は、まず警察を呼んで初期対応をし、つぎに病院に行って治療、後遺症が残ってしまった場合には後遺障害等級認定を申請、最後に保険会社との示談交渉を行う、という4つのステップを踏んで解決するのが基本です。
物が壊れた場合は、警察を呼んでの初期対応、損害金額の確定、保険会社との示談交渉の3ステップです。
ケガをした場合
-
事故直後
警察・保険会社とのやり取り
-
治療
病院での治療・通院
-
後遺症がある場合
後遺障害等級認定
-
治療後・
後遺障害等級認定後保険会社との示談交渉
物が壊れた場合
-
警察・保険会社とのやり取り
-
損害金額の確定
-
保険会社との示談交渉
解決までにかかる時間ってどのくらい?
交通事故が解決するまでにかかる時間は数か月~長いと数年かかることもあるとお考えください。これは、保険会社との示談交渉が始まるのが、ケガが完治・もしくはそれ以上良くはならないと医師から判断された後になるからです。
弁護士に依頼する最適なタイミングは?
弁護士に依頼するタイミングは、早ければ早いほど良いです。
弁護士に依頼すれば、以下のようなメリットがあります。
- 事故直後から被害者の代理人として動くことができるため、被害者が直接保険会社担当者とやり取りをしなければならないというストレスが軽減される
- 損害賠償請求で損をしないよう、いろいろなアドバイスができる
- 任意会社との示談交渉をするとき、裁判所基準という最も高い基準で交渉できる
なお、ご自身の自動車保険に弁護士特約がついていれば、無料で弁護士に依頼できるケースがほとんどです。
事故直後 ① 警察・保険会社とのやり取り
- できれば、事故直後の現場の写真を撮影し、ドライブレコーダーのデータを保存しよう
- 事故の証明のため、必ず警察へ通報を
- 相手の情報は確実に入手
- その場で示談交渉するのはNG
警察への通報
交通事故の被害に遭ってしまった場合には、まず警察への通報をします。通報は、道路交通法上の義務ですので、必ず電話しましょう。警察が到着したら、事故の状況を正しく伝え、実況見分に協力しましょう。警察への通報を行わないと、事故があったことを証明できる書類を発行してもらうことができません。
また、ケガをした場合は、人身事故として届け出をするのが基本ですが、もし物損として届け出が出されてしまった場合は、後から診断書を出して修正を求めましょう。
加害者の情報を得る
相手に損害賠償を請求するためには、以下の情報が必要です。確認しておきましょう。
- 加害者の氏名、住所、連絡先
- 加害者が加入する自賠責保険や任意保険に関する情報(保険会社名、契約者、契約番号など)
- 加害者の車のナンバー、車種
ただし、現場で示談交渉を進めるのは絶対にNGです。ケガや損害の額がはっきりしてから交渉を進め、適正な賠償金を得ることを強くおすすめします。
保険会社への連絡
ご自身の加入する保険会社にも、事故が起きたと連絡しましょう。保険契約の内容によっては、レンタカーやレッカー車などの手配を行ってくれます。
治療 ② 病院での治療・症状固定
- 仕事などで忙しかったり、我慢できる症状であっても、事故直後なるべく早く病院に行く
- 自己判断で通院を減らしたり通院をやめたりしない
- 医師の指示なく接骨院や整骨院に通うのはやめる
- 治療中に保険会社から治療費の打ち切りを伝えられても、安易に承諾しない
- 症状固定の判断は、医師に慎重にしてもらう
事故直後に病院を受診
ちょっとでも体が痛いなと思ったら、病院(整形外科)に行きましょう。
また、事故直後にはケガをしていないと思っていても、後から症状があらわれることがあります。そうした場合は、すぐに病院を受診してください。
病院へ行くことを先延ばしにしてしまった場合、その症状と事故の因果関係が否定される可能性が高まります。因果関係がないと判断された場合には、実際に症状があったとしても、十分な補償を受けられなくなるかもしれません。
「ケガが軽いから大丈夫」と思っても、「仕事や家庭がある」といった事情があったとしても、ご自身の利益を守るため、なるべく早く病院を受診することをおすすめします。
医師の指示通りに通院する
病院には、医師の指示通りに適切な頻度で通院しましょう。ケガの内容・程度によりその頻度は変わりますが、一般的には週2~3回程度は通院する方が多いです。
痛みがひどいのに、「仕事あるから」などといって通院の回数を減らしたり、通院をやめたりするのは危険です。加害者側の保険会社から治療費の支払いを早く打ち切られる、後遺症が出た場合に適切な後遺障害の認定を受けられなくなる、などのデメリットが発生する可能性があります。
また医師の指示なく整骨院や接骨院にのみ通うのも危険です。医師の指示がない自己判断で受けた治療の費用は、保険会社の支払い対象外となることがあるためです。
医師の指示通りに適切な通院を心がけましょう。
完治・症状固定
通院は、医師からケガが完治したと判断されるまで続けましょう。
しかし、残念ながらすべての方のケガが完治するわけではありません。治療を続けても、これ以上良くならない状態になることがあります。この状態を「症状固定」といいます。
完治した場合は、これまでにかかったすべての治療費や損害を計算し、保険会社との示談交渉を始めます。
ケガが完治せず残ってしまった症状(後遺障害)がある場合には、STEP3に進み、後遺障害等級認定を申請します。
治療中に保険会社から治療費打ち切りと言われたら
治療中にもかかわらず、加害者側の保険会社から「症状固定だ」とか「治療費の支払いを打ち切る」などと、言われることがあります。
保険会社としては、治療が長引けば長引くほど支払金額が高くなるため、できるだけ治療期間を短縮させたいと考えることがあるのです。こうした場合は、主治医に治療の終了時期を確認し、保険会社に伝えましょう。
後遺症がある場合 ③ 後遺障害認定
- 認定された等級によって、保険会社に請求できる金額が変わる
- 申請方法は2通り。被害者請求がおすすめ
- 認定に納得がいかなければ異議申し立ても可能
後遺障害等級認定とは
ケガが完治せず症状固定になった場合には、示談交渉の前に後遺障害等級認定の申請をしましょう。適切な後遺障害等級認定を受けることができれば、その障害に関する損害も請求できます。認定された等級によって、保険会社に請求できる金額も変わってきますので、しっかりとした準備をして申請をすることが大切です。
申請の方法は、以下の通り2通りあります。
申請方法 (1) 事前認定
事前認定とは、加害者側の保険会社に後遺障害等級認定の手続きを任せることです。被害者側にとっては、自分で申請する手間が省けるというメリットがありますが、提出する資料をチェックすることができないため、適切な等級が受けられなくなる可能性があります。
賠償金の支払いをするのは加害者側の保険会社なので、被害者に有利な認定となるよう積極的に動くとは限りません。そのため事前認定を選ぶと、適切な等級の認定を受けることができなくなってしまうというリスクがあります。
申請方法 (2) 被害者請求
被害者請求は、被害者側が後遺障害等級認定の手続きを、すべて自分で行うことです。必要な書類集めや申請書作成など、すべての手続きを自身で行わなければなりませんので、負担は大きいですが、適正な等級認定を受けられる可能性が高くなります。
後遺障害等級認定されなかった場合
等級認定されなかったり、認定された等級に不満がある場合は、異議申し立てができます。
異議申し立ては何度でもできますが、初回の申請には出していない新しい証拠を出さない限りは、結果を覆すことは難しいと考えるべきです。
なお、当事務所では、後遺障害等級認定サポートを行っております。詳しくは以下をご覧ください。
治療後・後遺障害等級認定後 ④ 保険会社との示談交渉
- 示談交渉のスタート時期は3つに分かれる
- 示談交渉の流れは3ステップ
- 示談書の確認項目は複雑。ぜひ弁護士に相談を
- 示談書への署名は慎重に。示談成立後に追加請求は難しい
- 任意保険会社の提示額は、裁判所基準と比べて低額である場合が多い
- 示談不成立の場合は、訴訟やADRを検討する
示談交渉のスタート時期は3つに分かれる
保険会社との示談交渉は、損害金額が確定してから行います。そのため、そのスタート時期はケースによって3つに分かれます。
| 物損のみの場合 | 修理金額等の損害が確定したとき |
|---|---|
| ケガをして 完治した場合 |
完治したとき |
| 後遺障害があるとき | 後遺障害等級認定の結果がわかったとき |
示談交渉の流れは3ステップ
示談交渉は上記の通り、3ステップで進みます。以下でひとつひとつ解説します。
STEP 加害者側保険会社から示談書案をもらい、確認する。
実務上ほぼすべてのケースにおいて、加害者側保険会社が示談書案を作成し、被害者がこれに応じられるか否かを検討するという形がとられています。まずは、示談交渉ができる状態になったと保険会社に連絡し、示談書案が送られてくるのを待ちましょう。
送られてきた示談書案の確認項目は、大まかに言うと以下の通りです。
- 記載された事故の内容が、交通事故証明書と一致しているか
- 過失割合や損害額、保険会社提示額は納得できるものか
詳しい確認内容は以下のコラムやSTEP2をご確認ください。
STEP 保険会社と交渉する
保険会社から送られてきた示談書案が納得いくものであれば、署名・押印をして書類を送り返すことで示談が成立します。
しかし、交通事故で請求できる項目は主な例を挙げただけでも多数あり、また示談書の内容は複雑です。
- 治療費
- 通院交通費
- 付き添い費用
- 入院雑費
- 休業損害
- 傷害慰謝料(入通院慰謝料)
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
安易にサインするのではなく、まず以下のようなツールを使い、適正な賠償金の金額を計算してみましょう。また、示談交渉を弁護士に依頼するのもおすすめです。
弁護士に保険会社との示談交渉を依頼すれば、賠償額が上がる可能性があります。
実は、交通事故の賠償金を計算するにあたって、使われる基準は複数あります。
任意保険会社の基準は、弁護士や裁判所が交渉に使う基準より低く抑えられている傾向があります。弁護士に依頼すれば、裁判をしなくても、裁判所基準で示談交渉が可能です。
STEP 示談成立。不成立の場合は、ADRや訴訟へ
弁護士を通じて、もしくはご自身で保険会社と交渉し、賠償額に納得がいけば示談成立となります。保険会社から示談書や免責証書が届きますので、内容を確認し署名押印して返送しましょう。
なお、賠償額の振り込みは、免責証書等の返送から1~2週間後となるのが一般的です。
保険会社との交渉が決裂した場合には、示談不成立となり、ADR(裁判外紛争解決手続)や訴訟で解決の道を探ることになります。
この場合、賠償額が裁判所基準で計算されるので、保険会社の提示額より高額になる可能性が高いものの、解決まで時間がかかることがあります。訴訟やADRを行うべきかは、弁護士に相談しながら決めることをおすすめします。
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