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後遺障害等級7級の認定基準|主な症状と適切な慰謝料を受け取る方法

公開日:2023年11月16日 後遺障害 慰謝料・損害賠償
交通事故による怪我が完治せず、後遺症が生じてしまった場合には、症状に応じて後遺障害等級認定を受けることができます。

中でも後遺障害等級7級は、労働能力が5割以上失われた状態となり、仕事や日常生活への影響も大きくなるため、賠償額も高額になる傾向があります。

しかし、適切な慰謝料を受け取り今後の生活を安定させていくためにも、後遺障害等級7級の認定基準や慰謝料の計算方法などを理解しておくことは大切です。

今回は、後遺障害等級7級の認定基準や慰謝料の計算方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次

  1. 1、後遺障害等級7級の認定基準
    1. (1)一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
    2. (2)両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
    3. (3)一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
    4. (4)神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    5. (5)胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    6. (6)一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの
    7. (7)一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
    8. (8)一足をリスフラン関節以上で失ったもの
    9. (9)一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
    10. (10)一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
    11. (11)両足の足指の全部の用を廃したもの
    12. (12)外貌に著しい醜状を残すもの
    13. (13)両側の睾丸を失ったもの
  2. 2、併合7級となるケース
    1. (1)後遺障害等級の併合とは
    2. (2)併合7級に該当するケースとは
  3. 3、請求できる慰謝料額は弁護士への依頼で増額可能
    1. (1)交通事故による賠償金の項目
    2. (2)算定基準により受け取ることができる賠償金が異なる
  4. 4、後遺障害等級7級に関係する裁判例
    1. (1)後遺障害等級認定の内容と慰謝料額について争った裁判事例(大阪高裁令和4年7月29日判決)
    2. (2)後遺障害等級7級が認定された兼業主婦の過失割合と基礎収入額で争った裁判事例(東京地裁_令和3年3月29日判決)
  5. 5、まとめ

1、後遺障害等級7級の認定基準

どのような症状があれば後遺障害等級7級が認定されるのでしょうか。以下では、後遺障害等級7級の認定基準を説明します。

  1. (1)一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの

    片方の眼を失明し、もう片方の眼の視力が0.6以下になった場合には、後遺障害等級7級1号が認定されます。

    失明とは、以下のいずれかの状態を指します。

    • 眼球を亡失(摘出)したもの
    • 光の明暗がわからないもの
    • 光の明暗がようやくわかる程度のもの

    また、視力は、メガネやコンタクトレンズなどをつけた状態で測定します。

  2. (2)両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

    40cm以上の離れた場所からでは、会話を聞き取ることができない状態になった場合には、後遺障害等級7級2号が認定されます。
    両耳の聴力は、純音による聴力レベルと語音による聴力検査結果により測定し、後遺障害等級7級2号に該当するのは、以下のいずれかに該当する状態です。

    • 両耳の平均純音聴力レベルが70㏈以上
    • 両耳の平均純音聴力レベルが50㏈以上、かつ、最高明瞭度が50%以下
  3. (3)一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

    片方の耳の聴力を失い、もう片方の耳の聴力が1m以上離れた場所からでは会話を聞き取ることができない状態になった場合には、後遺障害等級7級3号が認定されます。具体的には、以下のいずれにも該当する状態をいいます。

    • 1耳の平均純音聴力レベルが90㏈以上
    • 他耳の平均純音聴力レベルが60㏈以上
  4. (4)神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

    脳や神経の損傷により、簡単な仕事以外に就くことができない状態になった場合には、後遺障害等級7級4号が認定されます。具体的には、1人では手順どおりに作業を行うことが難しく、ときどき助言を必要とする状態です。

  5. (5)胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

    呼吸器、循環器、腹部臓器、泌尿器の機能に障害が残り、簡単な仕事以外に就くことができない状態になった場合には、後遺障害等級7級5号が認定されます。具体的には、以下のような症状が挙げられます。

    • 呼吸器……動脈血酸素分圧が60Torrを超え70Torr以下、かつ、動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外
    • 循環器……除細動器を植え込んだもの
    • 腹部臓器……胃の切除により消化吸収障害、ダンピング症候群、胃切除後逆流性食道炎のいずれも認められるもの
    • 泌尿器……片方の腎臓を失い、GFRが30ml/分を超え50ml/分以下のもの
  6. (6)一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの

    片手の親指を含む3本の指を根元から失った場合、または、親指以外の4本の指を根元から失った場合には、後遺障害等級7級6号が認定されます。

  7. (7)一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの

    片手の5本の指または親指を含む4本の指の用を廃した場合には、後遺障害等級7級7号が認定されます。

    手指の用を廃したとは、以下の状態をいいます。

    • 手指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
    • 中手指節関節または近位指節間関節の可動域が健側の可動域の2分の1以下に制限されるもの
    • 母指については、橈側外転または掌側外転のいずれも健側の2分の1以下に制限されているもの
  8. (8)一足をリスフラン関節以上で失ったもの

    片方の足をリスフラン関節以上で失った場合には、後遺障害等級7級8号が認定されます。
    リスフラン関節以上で失ったものとは、以下のいずれかに該当するものをいいます。

    • 足根骨において切断したもの
    • リスフラン関節において中足骨と足根骨とを離脱したもの
  9. (9)一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

    片方の上肢に「偽関節」が残り、常に硬性補装具を必要とする状態になった場合には、後遺障害等級7級9号が認定されます。偽関節とは、骨折した骨がくっつかずに不安定な状態になっていることをいいます。

  10. (10)一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

    片方の下肢に偽関節が残り、常に硬性補装具を必要とする状態になった場合には、後遺障害等級7級10号が認定されます。

  11. (11)両足の足指の全部の用を廃したもの

    両足の指の全部の用を廃した場合には、後遺障害等級7級11号が認定されます。
    足指の用を廃したものとは、以下の状態をいいます。

    • 第1の足指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
    • 第1の足指以外の足指を中節骨もしくは基節骨を切断したものまたは遠位指節間関節もしくは近位指節間関節において離断したもの
    • 中足指節関節または近位指節間関節の可動域が健側の可動域の2分の1以下に制限されるもの
  12. (12)外貌に著しい醜状を残すもの

    外貌に著しい醜状が残った場合には、後遺障害等級7級12号が認定されます。外貌に著しい醜状を残すものとは、以下のいずれかに該当する場合で、それが人目に付く程度以上のものをいいます。

    • 頭部に手のひら大以上の瘢痕または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
    • 顔面に鶏卵大面以上の瘢痕または10円銅貨大以上の組織陥没
    • 頸部に手のひら大以上の瘢痕
  13. (13)両側の睾丸を失ったもの

    両側の睾丸を失った場合には、後遺障害等級7級13号が認定されます。また、以下のいずれかに該当する場合には、後遺障害等級7級13号が準用されます。

    • 常態として精液中に精子が存在しないもの
    • 両側の卵巣を失ったもの
    • 常態として卵子が形成されないもの

2、併合7級となるケース

複数の症状が合わさって併合7級と認定されるケースもあります。以下では、後遺障害等級の併合と併合7級に該当するケースを説明します。

  1. (1)後遺障害等級の併合とは

    後遺障害等級の併合とは、系列が異なる2つ以上の後遺障害等級がある場合に、それらを1つの等級にまとめて評価することをいいます。

    後遺障害は、大きく以下の10の部位に分けられます。

    • 神経系統の機能、精神
    • 頭部、顔面部、頸部
    • 胸腹部臓器(外生殖器を含む)
    • 体幹(脊柱など)
    • 上肢(肩、ひじ、手、指)
    • 下肢(股関節、ひざ、足、足指)

    これらの部位ごとに「機能障害」、「変形障害」、「欠損」などの障害に応じて35種類の系列に区分されています。

    部位や障害の種類が異なる後遺障害が生じた場合に、異なる系列と評価されれば、併合によって、以下のような処理がなされます。

    • ① 5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を3つ繰り上げる
    • ② 8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を2つ繰り上げる
    • ③ 13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を1つ繰り上げる
    • ④ ①~③以外の場合で後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級とする
  2. (2)併合7級に該当するケースとは

    以下のように系列が異なる複数の後遺障害が生じたケースでは、併合7級に該当すると判断されます。

    • 脊柱の運動障害(8級2号)と醜状障害(12級14号)
    • 1眼の失明(8級1号)と局部の頑固な神経症状(12級13号)
    • 肩関節の用を廃した(8級6号)と脊柱の変形障害(11級7号)

3、請求できる慰謝料額は弁護士への依頼で増額可能

交通事故の慰謝料額は、弁護士に依頼することで増額できる可能性があります。

  1. (1)交通事故による賠償金の項目

    交通事故の被害に遭った場合には、怪我の内容や程度に応じて、以下の賠償金を請求することができます。

    • 治療費
    • 通院交通費
    • 休業損害
    • 慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料)
    • 逸失利益
  2. (2)算定基準により受け取ることができる賠償金が異なる

    交通事故の慰謝料の算定基準には、

    • 自賠責保険基準
    • 任意保険基準
    • 裁判所(弁護士)基準

    という3つの基準があります。自賠責保険は被害者に対して最低限の補償で、任意保険は各保険会社が定める補償基準です。

    裁判所基準は、過去の裁判例を基に金額が算定されるため、慰謝料額が最も高額になりますが、裁判所基準を利用するには、弁護士を介して依頼することが条件となります。

    また、逸失利益は、後遺障害等級、ライプニッツ係数、基礎収入、労働能力喪失率という要素によって計算をしますが、機械的に計算できるものではなく、被害者の実際の状況を主張立証していく必要があります。

    このように、交通事故ではさまざまな基準や要素を基に賠償金額が決められます。そのため、適切な賠償金を受け取るためには、交通事故の知見がある弁護士のサポートが不可欠といえますまずは実績がある弁護士に相談することをおすすめします

4、後遺障害等級7級に関係する裁判例

以下では、後遺障害等級7級に関係する裁判例を紹介します。

  1. (1)後遺障害等級認定の内容と慰謝料額について争った裁判事例(大阪高裁令和4年7月29日判決)

    【事案の概要】
    信号機による交通整理の行われていない交差点において、X車とY車が衝突するという事故が発生しました。Xは、病院での治療の結果、頸部痛、両上肢痺れ、巧緻障害、振戦などの症状について、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として、後遺障害等級5級2号に該当すると認定されました。

    そこで、Xは、後遺障害等級5級2号に基づく損害の賠償を求めるため、裁判所に訴えを提起しました。

    【争点】
    ① Xの後遺障害等級
    ② 素因減額

    【裁判所の判断】
    ① Xの後遺障害等級について
    Xの頸部痛、両上肢痺れ、巧緻障害、振戦などの症状が本件交通事故によるものであるかが争点となりました。裁判所は、これらの症状は、主として事故とは因果関係のない変性疾患である脊髄症によるものであると認定し、後遺障害等級5級2号の認定を否定しました。
    他方、これらの症状は、もともと劣化があった状態に本件事故の外力が加わり悪化したといえることから、その範囲で本件事故と相当因果関係のあるものと認めました。そして、Xの後遺症は、軽易な労務程度であれば就労可能な状態であることから、後遺障害等級7級相当であると認定しました。

    ② 素因減額
    裁判所は、Xの既往症が損害の拡大に寄与したといえるため素因減額を行うべきとしました。ただし、Xは既往症を自覚しておらず、事故当時40歳で疾患にあたる程度であったともいえないことから、30%の範囲での素因減額が相当と判断しました。なお、原審での神戸地裁では、60%の素因減額が認定されています。

  2. (2)後遺障害等級7級が認定された兼業主婦の過失割合と基礎収入額で争った裁判事例(東京地裁_令和3年3月29日判決)

    【事案の概要】
    対向して走行するX運転の自転車とY運転の車両とが衝突するという事故が発生しました。
    Xは、外傷性くも膜下出血等の怪我を負い、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として後遺障害等級7級4号と認定されました。

    そこで、Xは、後遺障害等級7級4号に基づく損害の賠償を求めるため、裁判所に訴えを提起しました。

    【争点】
    ① 過失割合
    ② 逸失利益(兼業主婦であるXの基礎収入)

    【裁判所の判断】
    ① 過失割合について
    Xは自転車を運転して、車線の右側(Yから見て車線の左側)を走行しており、Yに近づいた際に急にふらついて路側帯から車道に向かって進入したために本件事故が発生しました。
    そのため、Xには、道路の右側を通行したこと、ハンドルを的確に操作せずにふらつき運転をしたという過失が認められ、以下の過失割合が認定されました。
    X:Y=30:70

    ② 逸失利益について
    Xは、整体院での事業収入、牧師業での給料、保育園での給料および主婦としての家事労働により504万5309円の基礎収入があったと主張しました。

    しかし、裁判所は、整体院での事業収入および牧師業での給料を裏付ける証拠がないことから否定し、保育園での給料と主婦としての家事労働による収入のみを認めました。また、Xは、夫と二人暮らしで通常の主婦よりも家事の負担が軽かったとして、賃金センサス女子学歴計全年齢平均の年収額の85%が相当であると認定しました。

5、まとめ

交通事故によって後遺障害が生じた場合には、通常の賠償金に加えて、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することができます。これらの賠償金は、損害額全体に占める割合も非常に大きいため、適切な賠償金を獲得するには、適切な後遺障害等級を受けることが大切です。

ベリーベスト法律事務所では、交通事故事案についての経験豊富な弁護士を中心とした交通事故専門チームが適切な後遺障害等級認定を受けられるよう全力でサポートします。交通事故の被害に遭われてお困りの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

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