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後遺障害等級1級の認定基準とは? 主な症状と受け取ることができる慰謝料額

公開日:2023年3月28日 後遺障害 慰謝料・損害賠償
交通事故によるケガが治療をしても完治せず、後遺症が残ってしまった場合、症状に応じた適切な後遺障害等級の認定を受けることが重要です。後遺障害等級1級は、交通事故の後遺症について認定される等級の中でもっとも重いものです。重度の後遺症が残ってしまった場合、ご本人はもちろん、ご家族にとっても、精神的にだけでなく経済的にも非常におつらい状況に置かれているのではないでしょうか。

弁護士は、後遺障害等級認定(後遺障害認定)や損害賠償請求の手続きを一貫してサポートすることができます。さらに、受け取ることができる金額を算出する基準は主に3種類あり、弁護士に対応をご依頼いただくことで、もっとも高額で実情に適した金額で算出される裁判所基準(弁護士基準)で請求することが可能となります。

本コラムでは、後遺障害等級1級の認定基準や主な症状、請求できる損害賠償の種類や金額などを、ベリーベスト法律事務所 交通事故専門チームの弁護士が解説します。

1、後遺障害等級1級の認定基準・主な症状

交通事故の後遺症のうち、どのような症状がある場合に後遺障害等級1級が認定されるのでしょうか。後遺障害等級1級の認定基準と、主な症状の内容をまとめました。
(参考:「後遺障害等級表」(国土交通省)

  1. (1)常に介護を要するもの

    後遺障害等級1級の中でも「要介護」のカテゴリーに分類されるのが、以下2つの後遺障害です。

    要介護1級1号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
    要介護1級2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

    「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し」た場合にあたるのは、脳や神経の機能にダメージを受けたケースです。
    「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し」た場合にあたるのは、脳や神経以外の臓器の機能にダメージを受けたケースです。

    いずれにしても、交通事故によって身体のどこかにダメージを受けた結果、「常に介護を要する」状態になった場合に、これらの等級が認定されます。

    「常に介護を要する」状態には、生活全般において介護が必要な状態、具体的には、四肢麻痺の状態や植物状態(遷延性意識障害)などが該当します。

  2. (2)両眼の失明

    交通事故によって、両眼を完全に失明した場合には、後遺障害等級1級に該当します。

    1級1号 両眼が失明したもの
  3. (3)咀嚼機能・言語機能の喪失

    咀嚼機能・言語機能の両方を喪失した場合には、後遺障害等級1級に該当します。

    1級2号 咀嚼および言語の機能を廃したもの

    「咀嚼」の機能とは、食べ物をかみ砕く機能のことです。咀嚼機能を「廃した」とは、流動食以外は摂取できない状態をいいます。

    「言語」の機能とは、子音を発音する機能のことです。言語機能を「廃した」とは、以下の4種類の子音のうち、3種類以上が発音できない状態をいいます。

    口唇音 ま行、ば行、ぱ行、わ行、ふ
    歯舌音 ざ、た、だ、な、ら、さ行、しゅ、じゅ、し
    口蓋音 か、が、や行、ぎゅ、にゅ、ひ、ん
    咽頭音 は行
  4. (4)両腕・両脚の切断・全用廃

    交通事故により、両腕(両上肢)をひじ関節以上で失った場合、両腕の用を全廃した場合、両脚(両下肢)をひざ関節以上で失った場合、両脚の用を全廃した場合には、後遺障害等級1級に該当します。

    1級3号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
    1級4号 両上肢の用を全廃したもの
    1級5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
    1級6号 両下肢の用を全廃したもの

    腕の「用を全廃した」とは、3大関節である肩関節・ひじ関節・手関節のすべてがまったく動かないか又はこれに近い状態にあるもの(この状態を「強直」といいます)を指します。また、3大間接の強直に加えて、手指の全部が強直した場合も「両上肢の用を全廃した」に当たります。

    脚の「用を全廃した」とは、3大関節である股関節・ひざ関節・足関節のすべてが強直したものをいいます。また、3大関節の強直に加えて、足指の全部が強直した場合も「両下肢の用を全廃した」にあたります。

2、交通事故の加害者に請求できる主な損害賠償の種類

交通事故の被害に遭った場合、加害者に対してさまざまな項目の損害賠償を請求できます。

特に後遺障害等級1級に該当する場合、介護費用・慰謝料・逸失利益が極めて高額となります。自賠責保険基準や保険会社基準により算出された慰謝料額よりも実情に沿った金額を受け取れるよう、裁判所基準(弁護士基準)で請求できる弁護士に対応をご依頼いただくことを強くおすすめします。

  1. (1)治療費等

    交通事故によるケガの治療にかかった費用は、因果関係が認められる限り、すべて実費により請求できます。

    (例)
    • 通院治療費
    • 入院費
    • 手術費用
    • 通院交通費
    • 装具、器具購入費
    など
  2. (2)介護費用

    介護にかかる費用は、将来分を含めて一括で請求できます。
    介護費用の計算式は、以下のとおりです。

    介護費用=日額×365×介護年数に対応するライプニッツ係数
    • ※日額は、一般的に、近親者が介護する場合は8000円、職業介護者が介護する場合は合理的な実費とされますが、具体的な看護の状況により増減することがあります
    • ※介護年数=要介護になった時点からの平均余命

    (参考:「就労可能年数とライプニッツ係数表」(国土交通省)

    たとえば、男性が交通事故の被害者であるケースで、事故時点(要介護となった時点)での平均余命が30年(51歳半ば)だったとします。この場合、日額を8000円とした場合の介護費用の金額は以下のとおり、5700万円余りと非常に高額となります。

    介護費用
    =8000円×365×19.600
    =5723万2000円
  3. (3)慰謝料

    交通事故によって被った精神的損害についても、慰謝料として加害者に損害賠償を請求できます。

    後遺症が残ったケースでは、「入通院慰謝料」と「後遺症慰謝料」の2種類を請求可能です。

    ① 入通院慰謝料
    交通事故でケガをして、入院・通院を余儀なくされたことにより被った精神的損害の賠償金です。

    ② 後遺症慰謝料
    交通事故のケガが完治せず、後遺症が残ったことにより被った精神的損害の賠償金です。


    特に後遺障害等級1級に該当する場合、自賠責基準の場合は常に介護を要するケースで1650万円(被扶養者がいるときは1850万円)、裁判所基準(弁護士基準)による後遺症慰謝料は2800万円と、極めて高額なものとなります。

  4. (4)逸失利益

    交通事故によって残った後遺症が原因で働けなくなった場合、将来にわたって得られなくなった収入(=逸失利益)につき、加害者に対して損害賠償を請求できます。
    逸失利益の計算式は、以下のとおりです。

    逸失利益=1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

    (参考:「就労可能年数とライプニッツ係数表」(国土交通省)

    後遺障害等級1級に該当する場合、労働能力喪失率は「100%」です。

    たとえば、交通事故に遭った時点で51歳(就労可能年数:16年)、1年あたりの基礎収入(年収)が500万円だったとします。
    この場合、後遺障害等級1級の逸失利益は6300万円近くと非常に高額となります。

    逸失利益
    =500万円×100%×12.561
    =6280万5000円

3、弁護士への依頼により、損害賠償は増額の可能性あり

交通事故の損害賠償額は、弁護士に請求を依頼することによって増額となるケースが一般的です。特に後遺障害等級1級に該当する場合、弁護士に対応を依頼することで獲得できる損害賠償額が大きく変わる可能性が高いということをぜひ知っておくべきです。

  1. (1)裁判所基準(弁護士基準)に基づく請求による増額

    被害者本人が加害者側の任意保険会社との示談交渉に臨んだ場合、「自賠責保険基準」や「任意保険基準」に基づいた保険金を提示されるケースが一般的です。その場合、客観的な損害額より著しく低額になる傾向があります。自賠責保険は最低限の補償を行うことが目的とされており、また、保険会社は営利目的の企業であって自分たちの支出は少ない方がいいと考えるためです。

    これに対して弁護士に請求を依頼すれば、過去の判例等に基づき客観的な損害額を算出し得る「裁判所基準(弁護士基準)」によって請求を行うことができます。法的な根拠をそろえて裁判所基準に基づく請求を行うことで、損害賠償の増額が認められる可能性が高まります。

    (例)
    後遺障害等級1級の後遺症慰謝料

    ① 常時要介護の場合
    自賠責保険基準:1650万円(被扶養者がいる場合は1850万円)
    弁護士基準:2800万円
    1150万円(or 950万円)の増額

    ② 要介護でない場合
    自賠責保険基準:1150万円(被扶養者がいる場合は1350万円)
    弁護士基準:2800万円
    1650万円(or 1450万円)の増額
  2. (2)保険会社が支払いを拒否している損害項目の請求による増額

    交通事故の損害項目は多岐にわたるところ、加害者側の任意保険会社が、一部の損害項目について支払いを拒否し、又は損害として計上しないまま示談しようとするケースがよく見られます。

    弁護士を通じて請求を行うことで、客観的に発生した損害項目のすべてにつき、適正額の賠償を獲得できる可能性が高まります。

    (例)
    加害者側の任意保険会社が、介護費用の支払いを一切拒否した場合
    事故時点で51歳半ば(平均余命30年)、介護にかかる日額が8000円である場合
    介護費用5723万2000円の獲得(増額)


    そのほか、具体的な事情に応じて、保険会社が逸失利益を争ってくるケースや、過失割合に争いがあるケースがあります。このようなときも、弁護士が適切な証拠などに基づき対応することで、実情に即した賠償を受けられるでしょう。

4、後遺障害等級1級に関係する裁判例

後遺障害等級1級に相当する後遺症を巡って、損害賠償責任が争われた裁判例を2つ紹介します。

後遺障害等級1級に相当する傷病である場合は、多くのケースでその状況が明らかであることから、等級そのものを争うケースはほとんどありません。認定された後遺障害等級に付随する逸失利益や将来介護費用、介護のために自宅を改修した費用などについて争うことになるでしょう。

  1. (1)学生のバイク事故で過失割合や逸失利益、将来介護費用などについて争った裁判例

    事故当時大学生だった男性がバイクで走行中、タクシーに衝突されて遷延性意識障害が残った事案です。後遺障害等級は1級と認定されたものの、加害者側との間で、過失割合や逸失利益、将来介護費用などについて争いがありました。

    札幌地裁は、被害者が負うべき過失はなかったこと、大学生であってもアルバイト就業についての休業損害や大学卒業後の逸失利益について認め、職業介護と近親者介護を併せて、将来介護費用を日額2万円として平均余命まで認定しました。さらに後遺症慰謝料2800万円、住宅改修費用1500万円なども損害として認定し、総額約3億6000万円の損害賠償を命じました(札幌地裁令和3年8月26日判決)。

  2. (2)徒歩で道路横断中にあった事故で過失割合やその家族に対する慰謝料について争った裁判例

    夜間に優先道路を徒歩で横断中に乗用車にはねられた高齢者に後遺障害等級1級1号が認められていた事案です。過失割合や将来介護費、逸失利益とともに、被害者の子どもに対する慰謝料について争われました。

    神戸地裁は、加害者が最高速度を上回る速度で走行していたこと、被害者は夜間に優先道路を横断したなどの事実から、被害者の過失割合は2割であると認定しています。他方で、被害者は当時介護施設でひとり暮らししていたことから、この家事労働についての逸失利益は認めませんでした。判決では、すでに支払い済みの損害賠償金を差し引いた約5700万円を支払うよう命じるとともに、被害者の子ども1人あたり80万円の慰謝料と弁護士費用などの支払いを命じています。(神戸地裁平成26年4月30日判決)。

5、まとめ

後遺障害等級1級に該当する場合、後遺症慰謝料・逸失利益・介護費用などを中心に、加害者側に対して高額の損害賠償を請求できる可能性があります。症状に応じて適切な金額の損害賠償を獲得するためには、弁護士へご依頼ください

ベリーベスト法律事務所では、交通事故案件について経験豊富な弁護士を中心とした交通事故専門チームが団結し、後遺障害診断書の作成に関して医師と緊密にやり取りを行いつつ、適正な後遺障害等級の認定を受けられるようにサポートします。

交通事故に遭ってしまい、重篤な状況に陥ってしまったときは、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。その後の加害者側との示談交渉や訴訟についても、弁護士が全面的に代行しますので、安心してお任せいただけます。

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